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10月9日 「天然記念物奈良のシカ駆除問題」について、くまもり本部が午前中にJR奈良駅前で初のシールアンケート・午後に集会

この日の午後、くまもり本部は、奈良県文化会館で、一般市民向けに「奈良市D地区シカ駆除開始問題」を考える集会をもつことになっていました。

事前参加申し込みがあまりにも少なかったので、いったいこの問題について奈良市民がどう考えているのか、午前11時~12  時までの間、JR奈良駅前に立って奈良市民かどうかを確認してからシールアンケートを行い、インタビューしてみました。

 

午前のシールアンケート

JR奈良駅にて、シールアンケートを行う熊森本部スタッフたち(緑色のジャンパー着用)

何の話か聞く前に、みなさん余裕がないのか、知らない人とかかわり合いたくないのか、多くの方が忙しそうに避けて通り過ぎて行かれます。

それでもなんとか38人の方にお答えしていただくことができました。

「奈良のシカ」駆除に関するシールアンケート結果。中央は、どちらとも言えない。(クリックで拡大)

 

アンケートの結果、多くの人がこの問題を知らなかったり、知っていても全く関心がないことがわかりました。

悲しいけれど現実です。これでは集会に人が集まらないはずだと、納得しました。

私たちは、奈良県が今年120頭を上限に、奈良市内の山間部にある2つの地区(田原・東里)で天然記念物「奈良のシカ」の駆除を開始したことをひとりひとりに伝えていきました。

アンケートの結果は、以下です。

駆除に反対という方の方が少し多く、ホッとしました。

 

・駆除に賛成の意見…12人

・シカの数が増えすぎたので減らすべき。

・農作物被害が深刻で、農家が困っておられる。

 

・駆除に反対の意見…18人

・「奈良のシカ」は神様の使いだから。(少数、高齢者)

・殺すなんてかわいそう。

・柵を強化すればよい。

 

アンケートを取ってみて、奈良市民から神鹿文化が消え去りつつあるのを感じ、さびしくなりました。伝統文化を、学校で教えないのでしょうか。

初めてのシールアンケート。短時間に人々の動向をつかむのに、最適です。支部でもぜひご活用ください。お勧めです。

 

午後からの集会 15名参加

まず初めに、奈良奉行の知恵で、シカによる農作物被害や人身事故等の問題を乗り越え、「奈良のシカ」が今日まで神の使いとして人々に護られてきた長い歴史を、映像で見ていただきました。

映像視聴中

 

その後、くまもり本部の野生動物保全担当の水見竜哉が、今年7月に行った現地調査の報告を行いました。

参照:7月13日くまもりNEWS:殺しても鹿害は減らない、予算は防除柵強化に!奈良市D地区訪問

 

続いて、シカよけ柵の設置補助実態について、奈良市と兵庫県豊岡市を比較してみました。

 

 

奈良県は天然記念物のシカを殺す前に、兵庫県など近隣府県のように国からの補助金(「鳥獣被害防止特措法」)を取って、地元の方々のために、金網の強固なシカ防除柵を現地に設置してあげてほしいです。

 

<参加者の意見交換会>

Aさん:私は長年ネコの保護活動をしてます。動物を殺すのは一切嫌です。近所の90歳くらいのおばあちゃんに「奈良市D地区のシカ、殺されるみたいやで」って話したら「そんなんあかん。神様の使いやで。」と言われました。でも若い人にこの話をしてみたら、反応ない。難しいんです。この問題、ネットに流したら、意外と海外の方が反応があるかもしれません。

 

Bさん:初めて知ることが多く、参考になりました。もっと多くの人達にこの問題を知らせていかなければならないと思いました。税金は、シカを殺すことではなく、柵に使って欲しいです。

 

Cさん:新実南吉の「ごんぎつね」を思い出しました。もっと、人間は動物の声に耳を傾けてあげなくてはなりません。シカの存在を否定するのではなく、草が生えて困っている場所にシカを連れて行って除草してもらうとか、活用できないのでしょうか?

 

Dさん:私、人権擁護委員している関係で人間にも人権があるように、動物にも植物にも生きる権利があるとおもうんです。特に日本人は昔から自然を大切にする民族だったはずです。

 

Eさん:小さいころから奈良のシカとふれあってきました。動物が大好きです。奈良のシカに関する科学的なデータの収集が進んでいません。今回の奈良県の調査費1800万が、しかるべき調査に使われるといいのですが。

私は、奈良公園のシカが本当に健康なのか、幸せなのか気になります。今の奈良公園のシカは健康でないと思います。あの狭いエリアで本当に暮らせる頭数は何頭なんでしょうか。奈良公園のシカは毎年子供を産む数が減っており、高齢化してきている。

公園外に出て農作物に被害を与えると捕獲されて公園に連れ戻され、狭い檻の中に収容されて終身刑状態になります。もう、一生外には出してもらえない。見に行ったら、本当に悲惨でした。

奈良のシカと一言に言っても、田原地区と大台ケ原、京都東山は山が続いているのでシカは移動しています。奈良公園にいるシカと山にいる野生のシカは暮らし方が違う。

もっと情報集めをしなければ、多くのことは指摘できないと思います。

 

(森山会長の終わりのあいさつ)

今日JR奈良駅で奈良市民にシールアンケートを実施しました。シカ問題になど関心ないという人が、ものすごく多かったです。

全生物と共存してきた祖先の文化が、今、人間のことしか考えない文化に急速に変化していっています。私たち自然保護団体は、これがとても怖いのです。

なぜなら、いろいろな生き物たちの命の尊厳がわかって初めて自然破壊にブレーキがかかり、自然を守っていこうということになるからです。

人間のことしか考えなくなった文明は、自然を破壊して滅びます。

世界で唯一ここだけの奈良の神鹿文化は、本当にすばらしい。貴重です。人類の宝です。人とシカとの共存は奈良がお手本にならなければならない。

奈良の人たちに今一度神鹿文化の歴史を学んでいただき、全国に世界に、行政に声を挙げていってもらいたいです。

誰も声を挙げる人がいないというので、今日は兵庫県からやってまいりましたが、この後は奈良市民が継いでいただきたいです。

 

熊森から

人々の関心がなくても、大事な問題は、気づいた者が粘り強く取り上げていかなければなりません。

どうしたら、人々に関心を持ってもらえるか、知恵を絞っていきましょう。

ひとりで考えていたらしんどくなります。

みなさん、日本熊森協会に、ご入会下さい!

一緒に考えていきましょう!

 

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