くまもりNews
県境超えて移動するツキノワグマ対策で広域タッグ 兵庫・京都・岡山・鳥取が検討会 目撃相次ぐ大阪も参加へ
以下、産経新聞より
人を襲うなどの被害事例が相次ぐツキノワグマについて、対策に悩む兵庫県が隣接する京都、岡山、鳥取の3府県と共同で広域的な保護管理計画を策定する方針であることが11月13日、分かった。府県境を越えてクマが移動するため単独での対策が困難なことが背景にあり、今年度中に検討会を立ち上げ作業を始める。クマの目撃情報が相次ぐ大阪府も検討会に参加の方向で、生息地把握や駆除計画などで「広域タッグ」を組む。
兵庫県などによると、4府県以上での保護管理計画策定は珍しいという。
従来は各府県が個別に保護管理計画を策定しているため、「対策してもクマが県境を越えれば台無しになる」(兵庫県)との側面があった。生息数も各府県で調査方法が異なり、正確に把握できていないという。
このため検討会では保護や管理について府県で認識を共有し、共通の方法で生息数を調査。広域的な駆除の方向性などを盛り込んだ保護管理計画の策定を目指す。重点地域としては、クマの目撃情報が多い兵庫北東部から京都などの「近畿北部地域個体群」の西側部分と、兵庫北西部から鳥取、岡山の「東中国地域個体群」を設定する。
近年になってクマが住民と遭遇するケースが増加。検討会に参加方針の5府県の昨年度の目撃情報は3214件で過去5年で最も多かった。クマに襲われたとみられる事例も11件発生。クマが生息していないはずの大阪府でも平成26年度以降は毎年目撃されている。
こうした現状を受け、保護を続けてきた兵庫県は昨年、20年ぶりにツキノワグマの狩猟を復活。今年も15日から狩猟を解禁する。岡山県も今年、17年ぶりに狩猟を解禁。京都府も解禁に向けた検討を進めるが、鳥取県は現在のところ解禁は考えておらず、各府県の足並みをそろえるためにも広域の保護管理計画が重要な役割を担うことになる。
(熊森から)
地域個体群全体でクマを見ていくというのは、とてもいい方向だと思います。
しかし、それは人とクマが共存するためにであって、<駆除計画などで「広域タッグ」を組む>(上記新聞記事より)ためであってはなりません。
クマが山から出て来るようになって、地元の方々が被害や事故に悩まされるようになっていますが、原因はクマたちの奥山生息地を破壊し続けてきた人間にあります。
上記記事から、兵庫県は相変わらず、物言えぬ弱者であるクマにクマ問題の全責任を負わせようとしているのが伝わってきて、残念に思いました。4府県がタッグを組むことで、このようなものの見方にも変化が起きることを期待します。
もう一つ期待できるかもしれないのが、クマに関する情報の公開が進むことです。兵庫県は森林動物研究センターができて、兵庫県立大学の先生がクマの調査をするようになってから、ほとんどのクマ情報が非開示となりました。
熊森は、昨年度、兵庫県鳥獣対策課に対して、クマの捕獲日時、市町村、集落、雌雄、年齢、体重、何回目の捕獲か、胃内容、行動圏等の情報公開願い文を提出しましたが、当初、全面拒否されました。
理由は、将来、世界的なクマの論文を書こうとされている先生の知的財産を守るためということです。
県民の税金で調査したことが、ひとりの研究者の財産にされてしまうのはおかしいと思った私たちは、昨年度、知事や情報公開・個人情報保護審議会に、せめて他府県並に情報を公開してほしいと訴えました。私たちが知りたいのは先生の知的財産などではなく、単なる基礎データ(生データ)だけです。
この問題は今のところまだ全面解決には至っておりませんが、4府県が合同調査することで、このようなことも改善されてくるかもしれません。
今後は、調査員の中に、将来、世界的なクマの論文を書こうとされている先生を入れないようにしていただきたいと願います。そういう方は、やはり情報を非開示したいと願われるだろうと思うからです。