くまもりNews
代々熊本県の林家である平野虎丸氏が訴える 公務員は林業から手を引くべし
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森林整備、水源涵養林、森づくりなどといういろいろな呼び名で植林が行われていますが、目的はすべて、木材用途(林業)です。
しかし、あまりにも植え過ぎました。
木材が多過ぎるので値段が安くなり、国や県が行っている分収造林の場合、入札不調となる場合が多く、伐期がきたスギでも伐採されずに山に残されているのです。
それが今回のような土砂崩れや流木災害の原因にもなっています。
私たちが昨年購入した宮崎県五ヶ瀬町三ヶ所の山林も、国有林の隣接地にあり急斜面で沢を抱いており、山崩れがあちこちで発生しています。
数年前入札不調で伐採されなかったために、お金が入らなかった元の山主さんたちから「アケボノツツジがあるので購入してほしい」という希望がありましたので、購入しました。
宮崎県と分収造林契約されている山ですが、10年間契約を延長されて山主さんたちにお金が入る目途がなくなったためです。
山主さんたちは皆高齢です。
生きているうちに県と契約したスギの分収造林が少しでもお金になることを願っておられたのですが、叶いませんでした。
分収造林で入るお金よりも、私たちに山を売ったお金のほうが高くなったので喜ばれました。
そういう方々がたくさんおられます。
私たちは宮崎県から引き続き分収造林契約を望まれていますが、早期に伐採したいという私たち側の理由で分収造林契約をしません。
国や県と分収造林契約している山は、山主さんが伐採したくても出来ないというのが実態です。
国や県と契約していない民間の山林は伐期が来ればいつでも伐ることはできますが、急斜面など、出しが悪い場所の場合、業者が安く買いたたくので山主さんは「売らない」選択をします。
出しが悪い山の場合、値がつかないことも多々あります。
そういうわけで山にたくさんのスギが残っている現状です。
最近は、木材を山から減らすために、火力発電(バイオマス発電)に利用しているようですが、国民の(膨大な)税金で植林・保育した木材用途のスギを「燃やす」、などというのは許されないことだと思います。
火力用途なら、自然に生えた雑木で十分だからです。
これほど山にスギが残っているにもかかわらず、まだスギが植林されて続けているのは、スギを植林することを仕事とする公務員がいるからです。
商品は多すぎれば価値が下がり、売れ残ります。
林野庁や県の森林整備課・森林保全課がなくならない限り、スギ余りは続き、山崩れや流木災害、洪水が増えることになります。
伐期が来ているにもかかわらず伐採されないスギはたくさんあります。
特に、搬出が難しい急斜面のスギ植林地が売れ残ることになるので、今後、土砂災害や洪水はますます大きくなることがはっきりしています。
私たちが自然保護のために購入したスギ伐採地においては、急斜面の沢沿いの木や道路沿いの木は伐採するとき危険が伴うので残されているところがありました。
植えるときは小さな木なので何ということもないのですが、30年も経つと、人間の手に負えなくなるのがスギやヒノキなど木材用途で植林された木です。
簡単に伐ることも出来ず、動かすこともできません。
分収造林で入札不調になるのは、急斜面の山に植林されたスギです。
平坦地で出しのいい山は高値がつきます。
だからこそ平坦地での林業を私は勧めています。
売れない木を植える必要はないからです。
公務員は毎年税金で植林しているので、売れなくても損はしないので続けていますが、国民は豪雨災害や流木災害の犠牲となって生命と財産、インフラなどを失って大損をしています。
公務員が林業をやめることが一番国民のためになる選択です。
熊森から
なぜ、伐り出しやすい場所以外のスギ・ヒノキの人工林が大量に放置されているのか、平野さんのブログを読むとよくわかります。
国が言うように、山主に経営意欲がないからではありません。
来年から、放置人工林は、地方自治体や林業企業体が山主に変わって50年契約で管理していくことになります。
平野さんは、林業に使える山以外は、放置すること。人間が管理してはならないと言われます。
人間が管理すると、野生鳥獣は全て害とされてしまうからです。
奥過ぎたり急斜面すぎたりして材を搬出する手段がない人工林、無理に搬出しても赤字になるだけの人工林、こういう山の人工林を伐採したら、後は管理しないでひたすら放置する。放置することで豊かな自然がやがて必ず甦る。
管理しようと思う人は、中途半端に賢い人。自然が何なのか知らない人。
やはり、平野さんが言われるように、日本の林業が壊滅状態に陥ったのは、市場原理を無視して公務員が林業をしたことが原因かもしれません。
林野庁には、林業ではなく、国有林の自然を守る仕事をしていただきたいです。