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テレビ東京「池の水ぜんぶ抜く」に、熊森が番組改善提案

<熊森は、以下の感想をテレビ東京に送らせていただきました。みなさんも、テレビ東京に声を届けてください。>

〒106-8007

東京都港区六本木3-2-1

六本木グランドタワー㈱テレビ東京ホールディング

「池の水ぜんぶ抜く」制作責任者様

TEL:03-6635-1771(代表)

 

番組は90分間もあり、たくさんの芸能人や子供たちがワイワイきゃあーきゃあー言って動き回り笑い合っていました。このような番組を集中して終わりまで見るのは相当疲れましたが、とにかく2018年7月22日放映分を、初めから終わりまで、ネットで一度、初視聴してみました。

 

この番組には、功罪2つの側面があると思いました。

 

功の面は、魚獲りをしたこともない芸能人や子供たちに、池の水を抜いて魚を獲りやすくしてやり、魚やカメを獲らせてやっていることです。人間も動物ですから、逃げ惑う生き物を追いかけて知恵比べをしながら獲ることを楽しいと感じる本能を有しています。

また、獲った獲物について、専門家が一つ一つ解説をしてくれます。これは、知的好奇心をそそるもので、私たちが見ていても楽しい部分です。

 

しかも、泥沼に沈み込んで危険と隣り合わせの上で獲らせたりもしています。ヒヤヒヤはらはらさせて冒険心をあおって楽しませています。あー楽しかったと参加者たちも最後に言っていました。確かに安全の中でしか生きて来なかった若い人たちにとっては、スリルもあって楽しかったんだと思います。

 

生き物に触れ合える場を番組が作ってあげたのは、いいことでしょう。(ただし、若い女性タレントに胸まで泥沼にめり込ませて獲らせていたのは、危険極まりないです。その部分の沼底が背丈を超えて深かった場合、全身が沈んでいく恐れがあり、そうなったら、もう誰も助けられなかったと思います。事故が起きなかったのは幸いでしたが、あの泥の深さまで行かせるのは、今後、絶対にダメです)

 

 

 

もう一つの罪の面は、やはり、<外来種=殺すべき対象>という、カルトと言っていいまでの誤った思想を、科学的検証もせず垂れ流しにしていることです。若い男性タレントが、獲った魚を観察した後、「(水に)もどしてあげていい?」とスタッフに尋ねていました。他生物に対する人間の共感本能からは、これまた当然の発言です。しかし、そこに、「外来種だからだめ。生態系に悪い影響を与える。在来種を守るために駆除しなければならない」という答えが何の解説も検証もなく提示されるのです。そして、最後のまとめは、心無い誰かがペットの外来種を自然界に放したために、日本の生態系が破壊されたのですと、個人を悪者にしています。

 

しかし、こんなことになった責任は、外来種が自然に逃げ出すこともあるし、飼い主が家庭内の狭い飼育環境をかわいそうに思ったり、飼いきれなくなったりして自然界に逃がす恐れがあることなども十分知りながら、儲けるために輸入し続ける無責任な輸入業者や、それを許している無責任な環境省にあります。本当に責任を問われなければならない悪は、後者の方であるのに、個人の責任までに止めてしまっているのはダメでしょう。

 

また、今さら日本の生態系から外来種だけを全部取り除くことなど不可能なのに、この番組は、みんなで毎年外来種を捕獲して殺し続ければ何とかなるという一部の研究者たちが考えた誤った思想を広めることに無批判に加担しています。池を2か月間干して、獲り切れなかった外来種を駆逐すると番組のリーダーのような方が叫んでおられましたが、同時におびただしい在来種も昇天させられていますから、この部分には嘘があります。

 

外来種を日本の生態系に放り込むということは、もう人間がその後何をしても取り返しのつかない事態を生む大変なことのです。番組内でも、図らずも、去年もたくさん獲ったのにまだ外来種が減っていないことを示す箇所が何か所かありました。人間が獲っても獲っても、生きものは環境収容力までは増え続けて減りません。ならば、外来種根絶作戦は、無用の殺生をしてるだけなのです。(まだ野外繁殖していないなど、生態系から取り除ける時期の外来種であれば、取り除いて人間が責任を取って終生保護飼育すべきです。)

 

外来種根絶殺害に夢中になっている学者には、していることの滑稽さがもう見えなくなってしまっていると思われます。研究者とはそういう者です。しかし、多くの人が第3者としてこの番組を見ているということですから、外来種根絶殺害のおかしさ、残酷さ、無意味さに気づいて、指摘する人がこれまで出て来なかったのだろうかと、残念に思いました。

 

この番組から、外来種根絶殺害論者に利用されている部分を、取り去るべきです。第一、今の私たちの生活は、外来種と在来種が織りなした新しい生態系によって成り立っており、今さら外来種だけ外すことはできないし、そのようなことをしたら生物学者池田清彦氏(早稲田大学名誉教授)も言われているように、人間は生きていけなくなります。

 

大事なことは、外来種の輸入を止めることなのです。ミシシッピーアカミミガメはかつての10分の一に減ったというものの、今も年間10万匹も輸入されています。熊森は当初からこの問題については、外来種の輸入を止めることが一番であると、環境省にずっと訴え続けてきました。遅きに失しましたが、現在、何種類かは輸入が止められました。しかし、未だに多くの外来種が我が国では合法的に輸入されています。

 

最後に、この番組で絶対にやめてほしいのは、面白いから、視聴率が取れるからということでしょうが、子どもを外来種捕獲隊長にしていることです。子どもには、外来種根絶殺害論の正邪などわかりません。大人に言われて深く考えることもできないまま、間違った極端な研究者に洗脳されて誤った行動に参加してしまいます。

いずれ、外来種根絶論の間違いや残酷性が問題になる時代が必ず来ると私たちは確信しています。そのとき、大人たちに踊らされて、外来種根絶という誤った残虐行為に隊長という責任ある立場で参加してしまったことを悔いて、彼が苦しむ時が来るでしょう。まさに、オウムの事件と重なります。

 

 

 

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