くまもりNews
速報 衆議院総務委員会に引き続き 3月14日、参議院総務委員会でも、森林環境税で放置人工林を天然林化するよう、熊森資料で国会議員が質問
2019.03.14 参議院総務委員会
参議院インターネット 3時間12分1~3時間18分までで視聴可能
http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.phpより
「総務委員会」を選択し、発言者に「若松謙維」と入力すると、3/14の動画が表示されます。
若松 謙維(かねしげ)議員 総務委員会での質問要旨(約6分間)文責:くまもり
若松:森林環境税につきまして、総務省と農水省にお伺いいたします。
今回の森林環境税と森林環境譲与税は、森林の公益的機能に着目した税であります。
この税で本州や四国、九州に広がる人工林を天然林化して、土砂災害防止や豊かな水源の森を再生することを、税の使用目的に入れるべきだと考えております。
資料を委員の先生方にもお配りさせていただいております。(委員たちが、資料を見る)
ご存知の通り、戦後の拡大造林政策で天然林を伐採し、奥地までスギ・ヒノキを植林しました。しかし、間伐もしているわけでありますが、現在、その人工林の3分の2が間伐が間に合わないで放置されて、荒廃しております。
放置された人工林の内部には日光が入らず下草も生えない、雨で表土が流出し保水力が低下した結果、谷川の水量も低下、生態系にも影響が出ています。
私も災害対策特別委員長でありましたので、豪雨による山崩れに関しましては、九州北部豪雨災害も現地も行ってまいりましたし、また西日本豪雨災害の被害も見てまいりました。災害に強い森をつくるためには天然林の再生が必要であります。
特にこの放置人工林はですね、食べ物がないということで野生動物たちが餌を求めて里に出てくると、こういう原因にもなっております。併せて、大量の花粉を発生させているという弊害もあります。
この放置人工林を天然林に再生すること、これが野生動物との共存や花粉症軽減にもつながるということです。
次に、この天然林化ですが、具体的にどうしていくかということなんですけども、これはもうずっと研究してるNPO関係者の方のお話が(注:熊森作成資料に)実体験を基にわかりやすく説明されております。
配布された資料を見ている委員たちと、質問中の若松謙維議員
特に人工林の間伐、これは必要だなと思うんですけど、実際にやってみると(人工林の)木を太くするには有効なんですけど、結局残された針葉樹がですね、成長してすぐに元の状態(放置人工林)に戻ってしまったというのが(配布資料の)最初の例であります。ですから、間伐ではですね、結局、天然林の復元にはならないことが、実証されております。
そこで、皆伐という考え方がありまして、この図にもありますが、まるごとしっかり(人工林の)木を皆伐して除くと、種とかが鳥に運ばれて自然に(天然林に)回復したということで、特にこの9年経過後、青く広葉樹が茂っている状況になっています。併せて、一番下の図にありますが、こういう風に豪雪とか寒冷地の上、シカも多いという地域は、当然、シカが若芽を食べてしまいますので、そのための防護柵を設置することが必要になってまいります。
この場所には、広葉樹が植樹されたそうですが、結局、周囲から鳥や風によって種が運ばれて、4年間で46種類の自然の木が生育したということであります。(平野虎丸顧問による植えない森造りの提唱)
今回のこの森林環境税はどちらかというと財源確保が重点なんでしょうけど、この税をどう使っていくかということがこれからの議論であります。是非、今ご説明させて頂いたような放置人工林の天然林化、是非、こういったところにも使途として使っていくべきだと考えますが、総務大臣、いかがでしょうか。
委員長:石田総務大臣
石田:森林環境譲与税の使途につきましては、法律上、森林の整備に関する施策及び森林整備の促進に関する施策を規定しているところでございまして、各地方団体におきましてはこの法律上の使途の範囲内において地域での実情に応じて幅広く断続的に事業を実施することが可能であり、ご指摘の人工林を天然林化する事業についても森林の整備に該当するものとして活用可能であると考えます。
答弁する石田総務大臣
委員長:若松かねしげくん
若松:そこで、農水省にお伺いしたいんですけども、いわゆる、実際にどう使われるかはなかなか不透明でありますし、実際にこのような天然林化っていうのはなかなかそのノウハウとして定着されていないし、今後どうやっていいかということがよくわからないということもありますので、是非ですね、放置人工林の天然林化ですか、これが進むように指針の明示とかノウハウの提供、これ是非ですね、林野庁にお願いしたいと思っているんですけど、いかかでしょうか。
委員長:林野庁、織田森林整備部長
織田:はい、お答えいたします。平成28年5月に閣議決定いたしました森林林業基本計画におきましては、多様で健全な森林づくりを推進することとしておりまして、その際、地域の自然条件等に応じて、針葉樹だけではなく、針葉樹に広葉樹が混じったような針広混交の森づくりなども進めることとしているところでございます。
これまでの対策に加えまして、この森林環境税を活用した地方団体の取組みにより、針広混交林化も含めて多様で健全な森づくりが一層推進されることを期待しているところでございますし、また農林水産省にいたしましても、必要な技術的支援を行って参りたいというふうに考えております。
答弁する林野庁、織田森林整備部長
委員長:若松かねしげくん。
若松:是非あの、そのノウハウが伝わるようにしっかり良いガイドラインなり、通達などを期待しております。よろしくお願い致します。
熊森から
今回、参議院総務委員会で配布された資料は、熊森が、兵庫県宍粟市波賀町原集落の皆さんと人工林を天然林化するため2005年から10年かけて共同実施した事業結果に基づくものです。
原集落のみなさん、本当にありがとうございました。みなさんとの先行事例が、全国に於ける人工林の天然林化の良き指針となります。おかげで、間伐では、針広混交林にはならないことを、前もって全国市町村の皆さんに知っていただけます。