くまもりNews
胸がつぶれる 石木ダムに50年間反対し続けてきた地元住民たちの土地を長崎県が強制収用申請
映画「ほたるの川のまもりびと」を、見に行きました。(現在、大阪の第七藝術劇場など各地で上映中)
なんとなく、ほたるを川に呼び戻す活動かと思って見に行ったら、全然違う内容でした。
50年前、川棚町に石木ダム計画問題が持ち上がりました。
地元住民が50年間も反対運動を続けておられます。
50年!?もう、気が遠くなりそうです。
人生のほとんどすべてを、ダム反対に費やさざるをえなかったことになります!
映画によると、住民は、業者によるダム工事の強行に備えて実力阻止部隊を結成し、1年中見張っています。
工事をする人は、行政からお金をもらって次々と新しく元気な人がやってきますが、地区を守ろうとする住民には、どこからもお金が出ません。その上、代わってくれる人もなく、同じ人間がずっとがんばり続けるのですから、もうへとへとだと思います。みんな年老いていきます。
想像しただけで、どんなに大変かと思います。
休みの日でも、旅行にも行けず見張りを続けなくてはなりません。
たとえ、どんなに意味のあるダム工事計画であったとしても、50年間も住民が立ち退きたくないと断り続けているのですから、完全に行政の負けです。
行政が最後まで残っている13家族を説得できなかったのです。
そんなところにダムを造る権利は国にも県にも市にも誰人にもありません。
もはや基本的人権を認めるかどうかの問題です。
いくら自分がいいと思っても、相手が絶対嫌だということは、してはならないのです。
これは、最低限の社会ルールだと思います。
行政としては、地元の人たちに、みなさんを50年間も苦しめ続けてきてすみませんでしたと謝り、反対運動に命を懸けてきた信念の住民たちを表彰すべきでしょう。
ところが、こともあろうに、長崎県は、国がダム事業を認定したことを盾にとって、ダムの完成で水没するおよそ9万平方メートルの土地などを国家権力によって機動隊を使って強制的に収用するための「裁決申請」を行ったのだそうです。もう無茶苦茶だと思いました。完全に、政治ゼロの世界です。
それにしても、小さな小川のような石木川をせき止めて、あんな大きなダムいっぱいの水などたまるのでしょうか。
工事会社が仕事欲しさに政治家を動かして、ダム工事を進めようとしてきたとしか思えません。
作家故森村桂さんが言われていたように、工事会社にお金をあげたらいいと思います。
50年も、彼らなりにがんばり続けたのですから。
ただし、工事は一切しないでください。
(土建業のみなさんは、国土をコンクリートで固める自然破壊工事ではなく、今後は、放置人工林の天然林化を仕事にして下さい。それなら応援します。)
みなさんも、ネットで石木ダムのことを調べてみてください。
50年前と今では、時代がすっかり変わっています。
これからはどんどん人口が減っていく時代です。
調べれば調べるほど、ここまでの無茶がこの国で許されていいのかと、胸がつぶれそうになりました。
熊森顧問の、京都大学名誉教授今本博健先生が、石木ダムを造る必要など全くないことを、見事、論理的に説明されています。
全国から長崎県知事に、もうここの地区の住民を自由にしてやってほしい。これ以上いじめるのはやめよという声を届けませんか。こんないじめを見逃して、いじめのない学校や社会など作れません。
強大な国家権力に押しつぶされようとしているこの地区の13軒の勇者たちを、全国民で支えていきましょう。
最近、各地で、このような国家権力による国民いじめや野生動物いじめが目立ちます。
まだ正義感を失っていない若者たちに、先頭に立って声を上げてもらいたいです。
国家権力につぶされそうになっている弱者たちを、人ごとだと思って黙って見すごす人たちは、本当に自己中で、弱虫だと思うのですが、みなさんはどう思いますか?
熊森は声を上げます。
映画の最後に登場した川原(こうばる)地区のみなさんの歌声が、今もずっと耳に残っています。
最後まで戦い続けてきた13軒のみなさんの心を思うと、泣きそうになりました。
みなさんも、長崎県知事に声を届けてください!
長崎県庁 〒850-8570 長崎市尾上町3-1 電話095-824-1111(代表)
FAX 095-826-5682
P.Sちなみに、ダム賛成派の声も聞いてみようと思ってネットで調べてみると、何と、長崎県が、ダム推進動画を造っていました。
<長崎県制作、石木ダム推進動画の感想>
偏見無しで見せてもらったつもりですが、見ただけで、その嘘嘘しいこと。
バックには大きな川棚川が流れていますが、今回のダムはその支流の小川みたいな小さな石木川をせき止めるダムで、問題をすり替えていることがすぐにわかりました。
それにしても、登場人物はみなさん、やらされていることが見え見えの演技。
お金がもらえるなら、良心や正義感を捨てる人はいつの世でもいるんですね。
映画「ほたるの川のまもりびと」に出て来た人たちの真実味ある発言と、思わず比べてしまいました。
反面動画として見てください。
おもしろいです。
改めて、人間どう生きるべきか教えられます。