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2019年 琵琶湖の北湖、観測史上初めて全層循環が起きずじまいに終わる

日本熊森協会です。

全層循環は「琵琶湖の深呼吸」とも呼ばれ、酸素を多く含む表層の水が冬場の冷え込みで比重を増して沈み込み、底層の水と混ざり合う現象です。

全層循環には、春から秋にかけて酸素濃度が低下する湖底に、1年分の酸素を供給する役割があります。

自然界では、大気も水も物質も、すべてのものが循環して元通りになるようになっています。

地球の自然は、ほんとうにうまくできています。

 

琵琶湖グランドホテルから見た琵琶湖

 

しかし、今年は、暖冬の影響で全層循環の時期がずれ込み、これまでで最も遅かった2007年の3月19日を過ぎても、全層循環の兆しがありませんでした。

そして、とうとう、全層循環が起こることなく、春になってしまったのです。

1979年の調査開始以降、初めてのことだそうです。

以前、全層循環があったにもかかわらず、夏場に湖底生物が大量に酸欠死した年があったようですが、大丈夫なのでしょうか。

 

近畿の水がめ琵琶湖で命を繋いでいる近畿2府4県の私たちにとっては、何とも不安な春となりました。私たちの琵琶湖はどうなっていくのでしょうか。(ふだん琵琶湖への感謝を忘れているのに、異変が起きたと聞くと、突然不安になります。)

 

滋賀県琵琶湖環境科学研究センターの研究員に電話をして聞いてみました。

「今年は、高島市今津沖(北湖)の水深90メートルの湖底(琵琶湖の20分の1面積に相当)に達するまでの全層循環は起きませんでしたが、水深70~80メートルまでの水は循環しました。」

(ホッ)

 

この結果、湖底の水中に溶存する酸素DO( Dissolved Oxygen)は、現在8ml/水lリットル中とのことです。(例年は、10ml/l)

湖底の生き物たちが死滅する溶存酸素DOは、2ml/lと言われているので、夏にそこまで落ち込むかどうかです。今のところは予測がつかないそうです。

 

今すぐ、湖底生物が死に絶えるという状況ではないということでした。

滋賀県琵琶湖環境科学研究センターの研究員さん、いろいろと、ていねいに教えて下さってありがとうございました。

 

今年1~2月の表層の水温は過去10年の平均と比べて1度ほど高かったのだそうです。たった1℃高かっただけで、全層循環が起きなくなってしまうなんて、何と自然界はデリケートなのでしょうか。まさに、手塚治虫さんが言われるように、ガラスの地球だなと思いました。

 

この地球を、ますます強大化していく科学技術の力とあくなき利益の追及で、毎日毎日破壊し続けているのが、人類という動物です。いつ、自らの愚かさ、罪深さに気づくのでしょうか。気づいたときはもう手遅れ・・・このような地球の将来が見えてきた方は、破滅の日を少しでも遅らせようと22年間闘い続けている日本熊森協会の旗の元に、どうぞ、お集まりください。

少しでも長く生き延びられるよう、全力で自然を守り再生していきましょう。

他生物のために、次世代のために。

 

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