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4月から「森林経営管理法」スタート 放置された私有人工林は市町村が管理、企業が伐採の流れに

生物の多様性や水源を失うとして、私たちが27年前から訴え続けてきた放置人工林問題。

最近は豪雨による崩れが激しくなり、野生動物だけではなく、人間も命を失ったり財産を失ったりすることが増加。もう待ったなしです。

 

事ここに及んで、国は、やっと重い腰を上げ、2018年に森林経営管理法、2019年に森林環境税・森林環境譲与税法を、国会で矢継ぎ早に成立させました。

 

突然の法案提出→成立だったため、放置人工林を抱える山主さんにどれくらい新法が周知徹底されているのかわからなかったのですが、和歌山県有田市と海南市で配布されているフリーペーパー「アリカイナ」の本年3月号に、興味深い記事が掲載されていました。

 

「アリカイナ」によると、今年2月9日に、和歌山県有田川町・旧清水町地区で開催された山林所有者説明会に、約200人が詰めかけたということです。やはり、具体的にどういうことになるのか、みなさんよくわからず、心配になられたのだと思います。

 

森林経営管理法によると、市町村は、放置人工林の所有者を調べ、森林管理の委託希望をたずねたり管理委託のお願いをしたりして、管理権を得ます。所有者不明の場合はホームページや掲示板で広告し、半年たっても連絡がなかった場合は、その森林を市町村の管理下におきます。

 

一方、都道府県は、意欲と能力のある林業経営者(企業)をリストアップします。市町村は、管理下に置いた森林のうち、もうかりそうな山は、リストアップされた企業に伐採や収益の権利を与えます。

 

「アリカイナ」によると、無断で人の山の木を伐って販売してもうけるのは、盗伐に匹敵するほどの財産権の侵害である(憲法29条に抵触)と森林経営管理法に反対している専門家もおられるそうで、山主にも結構反対者がいるということです。有田川町では、山林所有者への意向調査は、10年かけて行う予定だそうです。

 

熊森としては、放置人工林は余りにも弊害が多く、亡国につながるため、国としては一刻も早く手を打たなければならないと思います。しかし、どんないいことでも、強制は許されません。市町村山林担当者は、何とか山主さんとよく話し合っていただいて納得されたところから、管理方法、供給過多による材価低下を防ぐための計画的な伐採、伐採後の跡地の処置、販売利益の分配など、スムーズに事が運ぶように、がんばっていただきたいです。現在、全国市町村の3分の2には、山林担当職員がいないということです。放置人工林をかかえる市町村に、優秀な山林担当者を付けることが、森林環境譲与税を使って第一になされるべきことでしょう。

 

ただ、放置人工林は、材の搬出が不可能、または、無理して搬出しても搬出経費が掛かり過ぎて赤字となるため放置されてきた山林であることが多く、民間企業が無理に材を搬出しようとして、大型機械を入れて無茶な林道造りを実施し、どうせ他人の山、後は野となれ山となれで、山をずたずたにしてしまわないか心配です。市町村の強力な監視が必要です。

 

市町村は、企業に、山神様や野生動物たちの存在を忘れないようにすることを指導していただきたいし、放置人工林を天然林に戻すことで、林業者(山仕事)に森林環境譲与税から多額のお金が支払われるようにしていただかなくてはなりません。また、人口減、空き家増加、和風建築の需要減を考慮していただき、拡大造林政策の失敗を深く反省して、50年後の放置人工林を造るようなスギ・ヒノキの再造林だけはやめていただきたいです。

 

今後、あちこちの市町村で、森林経営管理法の実施に当たり、山主への説明会が持たれると思います。林森経営管理法がどのように進んでいくのか、私たちにはわからないことが多くあります。情報をお持ちの方は、熊森本部まで情報提供いただけたらありがたいです。

 

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