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10月19日(土)クマ大量捕殺問題を考える会 翌日は恒例の熊森クマ生息地ツアー 於:兵庫県
- 2019-11-17 (日)
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本部は10月19日(土)、兵庫県尼崎市の尼崎商工会議所会館で、熊森から見て全国ワースト1である兵庫県と京都府のクマ対応について考える会を持ちました。
なんと東京都支部からも自費参加者が1名ありました。
守りたいあまり兵庫まで勉強しに来た、その情熱に拍手です。
こんな人がもっともっと増えてほしいです。
この会は昨年までは、兵庫県のクマ狩猟再開問題を過去3年間取り上げてきましたが、今年は去年にも増してクマが大量に捕殺されているため、狩猟問題よりさらに大変なこの問題を取りあげました。(行政が次々とクマ保護政策を後退させていくため、自然保護団体として熊森がなすべきことが増える一方です)
行政の問題点
まず、日本熊森協会の室谷悠子会長が、クマを大量に捕殺している行政の問題点を40分間話しました。
・大量のクマ捕獲用箱罠を常設
「以前は、農作物などに被害が出た場合、その被害に対して被害者が有害捕獲を役場に申請し、許可が下りたらドラム缶檻を1か月間設置し、捕獲してもらう。捕獲されなかった場合は捕獲罠を片付けるというシステムが普通でした。
森林動物研究センターの研究者たちのクマ激増説に基づくのか、兵庫県は平成29年(2017年)7月から、これまでシカやイノシシを捕獲してきた10000を超える県内常設箱罠のうち2379基にクマ札を付けて共同捕獲罠とし、クマがかかったら問答無用で全て殺処分するという方針に切り替えました。尚、今年のクマ推定生息数は830頭だそうです。」
・誘引物として米糠を使用
「罠の中に入れている強い誘因物=米糠で、山からクマを集落近くに誘引しています。」
・無害グマまで有害として捕殺
「米糠に誘引されてクマ札付き箱罠にかかったクマには全く実害のないクマがたくさん含まれているにもかかわらず、全て殺処分します。被害など出しようがない赤ちゃんグマであっても殺処分していました。その結果、過去最多の91頭ものクマを駆除してしまいました。
兵庫県のクマ管理体制は研究者のための?大量虐殺であり、熊森がめざしている公正で動物倫理にそった共存や棲み分けとは程遠いものです。
地元の方々の声と被害防除
続いて、本部クマ担当の水見が、兵庫県のクマ生息地の方々の生の声と被害対策のあり方について話しました。
県はクマの被害などまだ何も発生していない春の時点で、大量のクマ捕殺許可書を前もって地元に出しています。
米糠で無害グマを集落周辺までおびき出して捕殺してほしいというのは、本当に地元の総意なのでしょうか?
開場風景
・地元の声(取材動画)
昔からクマだけじゃなく多くの野生動物と共存してきた。今年、すでに90頭ものクマが殺されていたなんて、わしらは全く知らなかった。ショックだ。自分たちが昔スギばっかり植えたので山にクマたちの餌がもうない。かわいそうだ。
・被害防除
生ごみなどの誘引物を屋外に置かないようにしたり電気柵を設置したりして、クマを集落に寄せ付けないことが一番です。(行政は、大量の米糠入り罠を設置して集落周辺にクマを呼び込むというしてはいけない真逆をしている。人身事故を誘発しており、県の責任は大きい)
クマが出て来る時期には、車で移動したり、夕方~夜~朝までのクマと遭遇しやすい時間帯には鈴などを持ち歩き、クマに人間が近づいてきたことを知らせてやることで多くの人身事故は防げます。
奥山を開発や人工林で動物たちが棲めない山にしてしまった人間には、昔のように食料豊かな山を奥地に再生して、人とクマとの棲み分け共存を可能にしてやる責任があります。
参加者の意見交換
発表後、集会に参加された方々とみんなで意見交換を行いました。
翌日は、1日かけてクマ生息地ツアーです。
奥山は紅葉が始まっていました。ブナには無数のクマの爪痕がついていましたが、どれも古いものばかりで、今年の爪痕は見つかりませんでした。糞も全く見つけられませんでした。
話が少し前後しますが、熊森本部は今年も10月7日、 クマ狩猟講習会場で、クマ狩猟中止を呼びかけるチラシを参加した猟師たちに配布しました。兵庫県は、この後のクマの有害捕殺数の伸びを見て狩猟をどうするか考えるそうです。講習会には神戸など遠くからも意外と多くの70人程度の猟師が来ていました。
今年も講習会の傍聴はマスコミに許されただけで、熊森は建物内に入ることさえ拒否されました。チラシを配りかけると、敷地内から出るように県の職員に言われました。一応従いましたが、公的な建物なのに敷地に立ち入ることも許されないなんて、ひどい話です。県民として怒り心頭です。