くまもりNews
新潟県魚沼市で6人もの人身事故を起こして射殺されたオスグマの体は、米糠まみれだった
- 2019-11-10 (日)
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日本海側は、2000年代になって大発生したナラ枯れで、クマたちの冬籠り前の主な食料であったミズナラのドングリが大量に失われてしまっています。
それに輪をかけて、今年、ブナ・ミズナラが大凶作~凶作です。クマたちが冬籠り前の食料を求め、必死になって連日、各地で山から出て来ています。
冬ごもり中の何か月間飲まず食わずですから、今、食い込んでおかないと冬ごもり中に死亡するそうです。クマたちは命がけでもう必死です。
新潟県魚沼市では、人間に追われて逃げ惑うクマが、10月18日、19日にかけて連続6件の人身事故を起こし、射殺されました。
(10月19日新潟日報モアより)
この事件について熊森本部にテレビ局から電話取材が入り、野生動物保全担当の水見竜哉研究員がコメントしました。
最近、クマに関することは熊森に聞こうという流れがメディア界にできてきたようです。
テレビニュースを見て衝撃を受けたのは、警察車か何かが車でこのクマを追い掛け回しているすぐそばで、人々が歩いていることです。
クマが集落に出て来た時、まず行政がしなければならないのは、「只今、クマが出てきています。みなさん家の中に入って、戸を閉め、合図があるまで出ないでください」と、緊急広報することです。
そして、クマを刺激しないようにして、山に帰る道を作ってやることです。
このクマは、テレビ映像で見ると、車に追われて、走りに走り続けていました。もう、死ぬほど息が切れていたと思います。人間に見つかって逃げ惑うクマは、パニックに陥っています。目の前に、人が現れたら、はたき倒して逃げ続けます。もし自分がこのクマだったらと想像してみたら、クマの心理がわかるはずです。クマも人間も同じなのです。
食料を探しに集落近くまで出てきて、朝方山に帰りそびれたクマだと思います。
熊森本部は魚沼市の担当者にお話をお聞きしました。
<以下、魚沼市の担当者のお話>
10月19日に射殺されたクマの年齢は5歳から6歳でオスでした。射殺後見に行くと体中に米糠がついていました。
魚沼は国内屈指の米の産地で、この時期は収穫期なのでたくさん米糠が出ます。その米糠を畑に山積みにしている場所もあります。精米所にクマがやってきて糠の袋を破いたという被害もありました。このクマも、米糠に引き寄せられて出て来たと思います。
米糠や、生ごみは必ず頑丈な屋内で保管するように、市街地やその周辺に呼びかけています。
魚沼市は東西を山に挟まれた細長い盆地の中にあり、盆地を流れる魚野川には山から無数の川が流れ込んでいます。クマは山からつながる川の繁みを伝って市街地までやってきます。
熊森から
魚沼市の担当者さん、お忙しい中、いろいろと教えて下さってありがとうございました。
米糠がクマを誘引することをみなさんに知ってもらって、クマを呼び込まない対策を練ってもらいたいです。
クマによる人身事故が起きないように。
殺される不幸なクマを出さないために。
今秋、熊森本部は、全国から入ってくるクマ事件に対応するために、連日てんてこ舞いです。
ブログに上げているのは活動のほんの一部だけです。人手が全く足りません。
現在、職員を3名募集しています。我こそはと思ってくださる皆さん!どうか、応募してください!
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