くまもりNews
11月21日・22日、ついに四国のクマのえさ場づくり始まる 高知県香美市熊森第2トラスト地22ha
- 2019-11-30 (土)
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残りわずか16頭と言われる四国のクマたちの絶滅を回避するには、調査研究だけではだめです。
短期的には、給餌したり、気候風土が似ており遺伝的にも近いと言われる紀伊半島のクマを導入することなどが必要でしょう。
また、長期的には、戦後の拡大造林で高標高にまで植え過ぎたスギ・ヒノキを除去し、えさ場となる天然林を復元してやることが必要です。
この分野は熊森が会設立以来ずっと取り組んできた分野なので、まず第一弾として熊森がお手本を見せて、行政に続いてもらおうと考えています。
今回伐採することになった人工林は、2018年10月に、熊森が四国のクマの餌場復元のために購入した、高知県香美市と徳島県那賀町の県境の標高約1050mにある、広さ22ヘクタール(甲子園球場約4ヘクタール)のトラスト地です。このトラスト地面積の90%以上がスギ・ヒノキの人工林となっています。
この歴史に残る記念すべき伐採作業に参加したのは、熊森本部2名、熊森愛媛県支部2名、そして地元地域おこし協力隊1名の5名です。
11月21日(作業日1日目)天気快晴
先週みんなで整備した旧街道を、伐採用大型工具などを背負ってトラスト地まで登りました。
空身では1時間15分程で登れるのですが、今回は大荷物のため、2時間15分かかりました。トラスト地が近づくとますます急勾配となり、さすがの猛者たちも限界状態でした。
何とかして四国のクマたちにえさ場を造ってやりたいという強い気持ちがなければ、登れるものではないと思いました。
トラスト地まで登ってしまうと、標高差50m前後のフラットな地形が約20ヘクタールほど広がっています。そこが熊森トラスト地です。
伐採現場は太さ30cmほどのヒノキに覆われています。
急に大規模な皆伐をしてしまうと、乾燥に強い植生ばかりになってしまったり、急激な環境変化で野生動物の移動経路を変えてしまったり等、様々な問題が懸念されるため、今回は50m四方の小面積皆伐を行い、様子を見ながら徐々に伐採面積・伐採箇所を広げていくことにしました。
長年放置され枝打ちがされていないため、伐倒時に掛かり木になりやすい場所です。
記念すべき最初の1本目の伐倒
予想どおりかかり木に。みんなでロープを引いて倒しました。
ヒノキの高さ13~15m程。枝は堅くて多く、枝払いだけでも一苦労です。
倒した木は、枝を落とす人、3~4mごとに切って丸太にする人、みなで分業して片づけていきます。
切った枝葉の量だけでもものすごい量です。
当協会の研究者から、ヒノキの葉はアレロパシーが強いから、置いておくと他の植物が芽を出せず、植生回復が遅くなるというアドバイスをいただいていましたので、皆伐地の外に全て運び出しました。
幹の部分は丸太にして、積み上げて置いておきます。丸太が崩れないよう、切り株にかけて積み上げています。こうしておくことで、皆伐地の地面が露わになり、今後植樹活動がしやすくなります。
急遽予定を空けて駆けつけてくださった那賀町地域おこし協力隊の方は、まだ伐倒をしたことがないという事でした。熊森スタッフの指導のもと、1本伐倒体験をしていただきました。
1日目は約4時間にわたる作業の末、約20本伐倒。ようやく青空が仰げるだけ林冠が空いてきました!
11月22日(作業日2目)天気雨
朝早く山を登り、午前中に現場に到着しました。
昨日ある程度伐倒したために、どんどん切る本数が増え作業が進みました。
視界はどんどん開けていきます。
そして午後4時、目標としていた40m四方の小面積皆伐が、無事終了しました!
2日間で計9時間作業、合計65本のヒノキを伐りました。
伐採前
伐採後
雨足が強まってきたため、まだ倒木処理が終わっていないものもありましたが、下山。
作業にかかわってくださったみなさま、本当にありがとうございました。
本部に電話報告すると、よくやったと大変喜んでもらえました。
今後も、このトラスト地の人工林を伐り進めてまいります。
来春には、クマの食料にもなる、実のなる樹をどんどん植樹していこうと考えております。
やるべきことはたくさんありますので、ご協力いただけます方はぜひ日本熊森協会までお問い合わせください!
日本熊森協会本部 TEL:0798-22-4190 FAX:0798-22-4196
メール:field@kumamori.org 担当:水見(みずみ)