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12月5日、熊森顧問の片山大介参議院議員が国会で、クマ大量捕殺問題について質問しました

環境省の発表によりますと、2019年は10月末時点で、ヒグマ460頭、ツキノワグマ4289頭、計4749頭もの捕殺数になっています。これは、現時点で過去最多数を記録しています。

参議院環境委員会で質問する片山大介議員

この問題に対し、当会顧問を務める、片山大介参議院議員が、12月5日の参議院環境委員会で、小泉進次郎環境大臣に質問しました。

以下、参議院インターネット審議中継より熊森が文字起こししたものです。

 

片山議員:次はクマの話題なんですけれども、今年度はクマの捕殺数がものすごい増えているんですよね。で、過去最多は平成18年度の4679頭だったんだけれども、これがもう大幅に上回るペースで、10月末の時点で4750頭あまりで、来年3月の年度末には初めて5000頭を超えるんじゃないかと言われているんですよね。それで、なんで多いのかというのを聞くと、罠の数がすごく増えてきているというんですよね。まあシカとイノシシの罠が増えて来ているからそちらの方の罠に引っかかる、それを錯誤捕獲といいます。まずね、原則で確認したいのが鳥獣保護管理法ではシカやイノシシを捕獲する目的で仕掛けた罠にクマが掛かった場合は、これは、野に放す、すなわち放獣をしないといけないという理解でよろしいんですか。

 

小泉環境大臣:そのとおりです。

 

片山議員:そうすると、シカやイノシシの頭数がすごく増えてきているのはわかるんですが、クマがそこまで増えてきているのかなというのはありますし、それから、クマは、地域によっては絶滅の恐れのある地域個体群に指定されている、2年に1度しか子を産まないとも聞いているんですよね。人命第一なのはもちろんなんですけれども、クマの捕殺がこれだけ増えている、過去にないほど増えているということであれば、基本的に捕獲の許可は都道府県の自治事務だと言うんだけれども、やはり鳥獣保護管理法の所管している環境省として、実態がどうなっているか、過剰な捕獲が行われていないのかというのを調べてもいいのではないかと思うんだけれども、これはどのようにお考えですか。

 

小泉環境大臣:環境省では、クマをはじめとする鳥獣の保護や管理に関して、都道府県が鳥獣保護管理法に基づき、特定鳥獣保護管理計画を作成するための指針となるよう、ガイドラインを作成しています。クマ類に関するガイドラインの見直しは、来年度に予定しているところであります。その見直し作業において、クマの適切な保護管理のために必要な、生息状況や出没状況、そして捕獲状況等についても調査をしていく予定です。尚、先生がおっしゃった通り、今、クマの捕殺数においては、過去最多、今の時点でもそうですので、まさにそういった変化というのは見られるというふうに考えております。

 

片山議員:今年は、山の木の実りも少ないとか、いろいろなことがあって人里に降りてくるというのもあると思います。それが、人への被害とかもあるのかもしれないですけれども、少し、野生鳥獣についてもきちんと管理をするというか、絶滅の恐れのある個体群もあるというので、そこはきちんとやっていただきたいなと言うのはありますけれども。最後にそれだけ聞いて終わります。

 

小泉環境大臣:先程、錯誤捕獲というお言葉が有りましたが、まさにそれはシカやイノシシの罠にクマが誤って入ってしまったという、そういった場合についてでありますが、これは原則、安全に配慮しつつ放してください、放獣を行うように都道府県に対しては指導しています。ただ、人身被害防止の観点から有害鳥獣として捕殺をされている場合もあるというように聞いておりますので、いずれにしてもしっかりと調査をしていきたいと思います。

 

片山議員:ぜひ頑張っていただきたいと思います。ありがとうございました。

 

熊森から

今回、小泉環境大臣によって、錯誤捕獲されたクマは放獣すべきというのが国の方針であることが確認されました。心強い限りです。

シカやイノシシを捕獲する名目で設置許可を得た罠に、誤って他の動物がかかってしまったら、その場で逃がさねばならないのは当然ですから、錯誤捕獲されたクマは原則、安全に配慮しつつ放獣するよう都道府県に対しては指導していますとの小泉環境大臣の答弁は真っ当です。

た、出された問題から逃げるのではなく、しっかりと調査をしていくという答弁は頼もしい限りです。熊森が声を挙げたことで、環境省の調査が開始されるのであれば、こんなうれしいことはありません。

 

×しかし、現実には、北海道や東京都など、クマの放獣体制がいまだにない都道府県がいくつもあります。実際に環境省が具体的にどのようにこのような都道府県を指導されてきたのか、熊森としては知りたいところです。

 

×更に、今年どうしてこれだけクマが大量に捕殺されているのかというと、ひとつには、誤捕獲されたクマが大量に捕殺されているからです。環境省の方針に反して勝手に誤捕獲グマをどんどん殺処分している府県の実態をぜひ調査して発表してください。

 

また、誤捕獲されたクマを捕殺していると言われないように、兵庫県のようにクマの生息推定数の3倍ものクマ捕獲罠を常時設置して、米糠でクマを誘引し、巧みに大量捕殺を進めている県もあります。こちらにも厳しい指導が必要です。

 

罠を使ってのクマ狩猟は禁止されています。理由は、罠を用いるとクマを獲りすぎてしまうからです。

×しかるに一方で、有害駆除名目で大量のクマ捕獲罠を常設している実態を放置していては、何をしていることかです。今年のような乱獲や過剰捕獲を防げません。

 

環境省は今後、誤捕獲グマ殺処分問題と、クマ捕獲罠大量設置問題に取り組んでいただきたいです。

今年度のようなクマの行き過ぎた捕殺が今後起きないように、早急に対策をお願いします。

 

日本の水源の森を守ってきたクマを害獣視して、数を低減させることばかりに躍起になっている都道府県を放置すれば、生物多様性条約締約国としての責任が果たせません。ここで一つ環境省に、がんばってもらいたいです。

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