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北海道古平町の山菜採り男性行方不明事件で、ヒグマ研究50年の熊森顧問門崎允昭氏がコメント
- 2020-06-03 (水)
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以下、北海道新聞より
山菜採りの71歳男性、所持品残し不明 クマに襲われたか 古平
【古平】5月15日午後4時45分ごろ、後志管内古平町浜町の無職男性(71)が山菜採りに出かけたまま帰宅しないと、妻から余市署に通報があった。
同署などによると、男性は15日昼前に「タケノコを採りに行く」と妻に書き置きを残し、1人で乗用車で出かけたとみられる。通報を受け、同署や消防、猟友会などが16日、約50人態勢で自宅近くの山中を捜索。酒井さんの携帯電話や長靴、リュックサックが見つかったが、本人は見つからず、午後5時に捜索を終了した。
同署などは、現場の状況から、ヒグマに襲われた可能性もあるとみている。
・古平町の担当者は、北海道立総合研究機構エネルギー・環境・地質研究所の間野勉専門研究主幹の「地域の人が気軽に裏庭のように行く集落の目と鼻の先に危険が潜んでいる。同じクマが2年続けて襲ったこともあり、人間をおそれないクマも現れている。今後も人を襲うおそれがあり、問題のクマを早く駆除する必要がある」というアドバイスをもとに、現場への立ち入りを禁止するとともに、ヒグマを捕殺するための罠を山中に11月まで3基設置しており、かかったら殺処分するそうです。
北海道のヒグマの生態とクマの人身事故のメカニズムについて、50年間研究されてきた、北海道野生動物研究所所長の門崎允昭先生は、今回の事件について以下のようにコメントされています。
羆が人を襲った場合の羆の行動特性
1、羆が人を襲った現場には、必ず最低でも半径数㍍の範囲に人と羆が抗争した痕が残ります。
2、人が羆に襲われて、人が羆から逃れて走り逃げた場合にも、必ず、走り逃げた、はっきりとした痕が残ります。
3、羆が人を襲い、人を倒し、羆が己が安心し得る場所に口で衣服や人体を咥えて、移動させる
場合がありますが、その場合は、最遠で90mでした。ですから半径90mの範囲を探すと、人体を見つけ得る事ができます。鹿の死体を300m移動させていた事例が有りますから、半径300mの範囲を、探すのが、最善です。遺体を羆が食べ尽くしても、衣服は残ります。頭部を必ず食べ残します。
4、半径300mの範囲を精査しても被害者の死体が見つからない場合には、被害者が(羆が原因とした場合)発見し得ない場合には、遺留品が有った場所ないしその付近で羆に襲われたとは断じ得ません。
5、檻罠を3個も仕掛けて羆を獲り殺そうという発想を持つこと事態、研究者にあるまじき事です。
熊森から
北海道のヒグマは自分の生息地かそうでないかをきちんと認識しており、人の住む町に出てきた場合、人間を襲うことは皆無です。
しかし、自分の生息地である森に人が入ってきた場合、何か不都合があったのか、年平均約1件の人身事故を発生させています。(たった1件!と意外に思われる方が多いと思いますが、事実です)ヒグマ猟のハンターに対する人身事故は、年平均0.5件です。
怖がりのツキノワグマと違い、ヒグマはまず人身事故を起こさない動物です。にもかかわらず、恐ろしい動物として、北海道で手あたり次第人間に殺されているのが現実です。2019年度捕殺されたヒグマは、711頭にものぼりました。
ヒグマの人身事故に関する門崎先生の知見は、さすが徹底した現場調査を続けられてきただけあって、すごいと思います。
古平町の担当者によると、半径100mをしっかり調べをてみたが、人体が引きずられた跡や衣服などなかったということです。ただし、長靴にクマが噛んだような跡があり血が付いていたり、現場近くにクマの糞と思われるものがあったそうです。この事件はミステリーです。
不明男性の捜索は1週間で終わってしまいました。
この場所は、ヒグマの国です。当然、ヒグマによる人身事故は考えられますが、1週間捜索して何も発見できなかったということから、別のことも考えられます。少なくとも、この場所で事故が起きたわけではないようです。
今回、熊森が問題にしたいのは、古平町がこの場所に誘引物を入れた捕獲罠を長期間設置していることです。またしても無実のヒグマを捕獲して殺人の罪を着せ、殺そうというのでしょうか。許されないことだと熊森は思います。
みなさん、捕獲檻を撤去していただけるよう、古平町にお願いしませんか。
古平町産業課農林係 住所:〒046-0121 北海道古平郡古平町大字浜町40−4
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