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今どきの新聞 誤報を指摘されたら「ツキノワグマ 大人の雄は『肉食』」記事の問題 中間報告
- 2020-06-09 (火)
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(その1)5月27日、ある新聞社の夕刊全国版に、明らかに学術的に間違った記事見出しが掲載されました。すぐに記者さんに教えてあげなくてはと、翌日、新聞社本社に電話をしました。
かいつまんで話すと、電話に出られた方の答えは、
「記者に電話をつなぐことはしておりません。記事に関するご意見は、読者窓口しか受け付けません」という杓子定規な答えで、とりつくしまもありません。誤報を出してしまったショックや慌てふためきは何もないようです。
執筆した記者にとっては、28年間クマ問題に取り組んできた熊森とつながれるまたとない良い機会だと思うのですが、これでは記者の取材網も広がらず、記者の成長も見込めないのではないでしょうか。
仕方なく、読者窓口に電話をしましたが、時間を変えて6回かけてもいつも話し中でかかりません。
読者窓口に何台の電話を設置されているのか知りませんが、読者の声など聞く気はないということでしょうか。終了時間直前にやっとかかりました。
「伝えておきます」との定型対応のみです。
「伝えておくだけではなく、訂正記事をだしてほしいのですが」
「伝えておきます」
ウ~ン、今はこんなことになっているのか。
これでは国民の新聞離れが一層進むと思いました。
第一、真実を伝える新聞の使命を投げ捨ててしまっています。
問題記事は以下です。クリックで大きくなります。
(その2)ツキノワグマもヒグマも、人間同様、雑食動物です。
人間によって長い間、奥山に閉じ込められてきたクマは、まるでベジタリアンの様な食性になってしまいました。学術書には98%草食で、残り2%は昆虫食となっています。以前、川にダムがないころは、奥山まで遡上してきたサケにありつけたクマも多かったでしょうが、今はそのようなことはほとんど望めません。
平成になって、奥山でシカの餓死個体や駆除個体が多く見られるようになってきました。クマは雑食ですから、死肉があれば食べます。そんな中、地形的に特殊な地域である栃木県足尾で、生きたシカを襲って食べたクマが出現しました。
研究者がどのような統計の取り方をされたのか不明ですが、現在、この地域のクマ成獣オスの15%の食料がシカ肉であったとしても、だからと言って、「肉食」と決めつけるのは大きな誤りです。あくまでクマは大きく草食に偏った雑食動物です。
若い研究者の発表がどのようなものであったかも気になって、大学に電話しました。事務職員に、いくら遅くなってもいいので、特任助教という先生に電話をお願いしたいと強くお願いしましたが、何日待ってもいまだに電話がありません。
この国のマスコミと研究者の在り方に、ぞっとしてきました。これでは真理の追究、真実の報道がなされない国になってしまいます。人間だれしもミスがありますが、指摘されたときに、真摯に聞く、改めて見直す、間違っていたとわかったら訂正する。こんな当たり前の以前できていたことができない国になってきているんですかね。
仕方がないので、新聞社の東京本社編集局長あてに、手紙を出し、以下の2点を要望しました。
1、誤った記事見出しの訂正。
訂正していただかないと、クマなんかこの国から殺し尽くしてしまえという誤った世論をいっそう形成してしまう有害性のある見出しです。
訂正見出し例:「足尾の雄成獣グマの食性の15%はシカ肉」
2、電話1本でいいので、クマの写真無断使用に対する謝罪。
この記事にあるクマの写真は、熊森協会が5年前から大阪府で保護飼育している元野生のツキノワグマのオスで推定10歳のとよ君です。山菜、果物、ドングリなどが主食で、昆虫の代わりに時々小魚を与えていますが、ほぼ草食に偏った雑食です。今も元気で大変穏やかに暮らしています。間違った肉食記事に無断使用されて、お世話隊のボランティア一同大変ショックを受けています。
熊森は、新聞社や記者への個人攻撃は一切考えておりませんので、固有名詞は外しました。真実を伝えていただきたいだけです。
新聞社編集局長からのお返事が来たら、ブログ読者の皆様に再度お伝えします。(完)