くまもりNews
尼崎市公立小学校3年生に、熊森職員になって初めての環境教育 「わたしたちに森は必要か」
わたしは、昨春、環境教育担当として熊森に就職したものの、いきなりコロナで、これまで学校で授業させていただく機会がなく、学校外でくまもり紙芝居をさせていただいたことが少しあっただけでした。
1月14日、遂に初授業の日がやってきました。なんと熊森は、この小学校で20年間連続、環境教育をさせていただいているのです。
兵庫県も今、コロナ第3波のまっただなかですが、何とか例年通りのイベントを子供たちに体験させてあげたいという学校側の意向で、コロナ対策を強化しながらの環境教育となりました。例年は、1、3、5年生を1学年ずつ3クラス教室に集めて3時間の授業するのですが、今年は密にならないよう、子供の間を離して、3年生のみ1クラスごとに3回実施です。
まず初めに、自己紹介。
おねえさんが大学4年生の時、研究室にクマが入ってきたのです。こわくなって、クマのことをネットで調べてみて、日本熊森協会を知りました。このことがきっかけで、日本熊森協会に就職し、野生動物や森を守る仕事をしていますと話すと、全員の子供たちの目が私を見ているのを感じました。
次に森の写真を見せて、森はどんなところか発表してもらいました。
明るい、虫がいる、木がいっぱい生えている・・・板書が間に合わないほど次々と子供たちが発言してくれます。
次に、スギの放置人工林の写真を見せて、これも森かな?木がいっぱいあるよというと、子供たちは比較することにより、森とはなにか認識しなおします。
森=いろいろな植物+いろいろな動物+いろいろなび生物
尼崎市には今や森はゼロです。森がどういうものかわかってもらってから、私たちに森は必要かという投げかけをしてみました。
この日は4つの観点を提示して子供たちに考えてもらいました。
時々、ぬいぐるみのツキノワグマの「つっきん」が登場して、情報を提供してくれます。
「昔はね、森にいっぱい食べ物があったんだけど、去年もその前の年も、森のドングリの木が大量に枯れちゃって木の実は実らず、大好きな昆虫もほとんどいなくなっちゃったんだ」
と語ると、子供たちから、一斉に
「どうして」
の疑問が飛び出します。3年生の子供たちにどう説明すればいいのか、一瞬たじろぎました。
「地球温暖化とか酸性雨とかいろいろ言われているけど、まだよくわかりません。どっちにしても人間が原因を作っているようです」フーッ。
ツキノワグマの「つっきん」が、
「ぼくたちおなかがすいてね、食べ物を求めて次々と山から出て行ったんだ。そうしたら、人間が大勢やってきて、みんな鉄砲で撃ち殺しちゃったんだ。ニュースで見たでしょう」
というと、
「かわいそう!」
の声が、子供たちの中から反射的に上がりました。子どもたちにとって、こういうことは理屈ではなく、本能的にかわいそうなのです。
授業も終盤にさしかかりました。
1400万人もの人が毎日水道水を使うのに、どうして琵琶湖の水はなくならないんだろう。実は460 本の川の水が一年中、琵琶湖に注がれています。
滋賀県の全ての川をていねいに熊森スタッフが色塗りした地図を見せると、子供たちはびっくりする前に、
「川はいっぱい分かれてたりするのに何本かわかんない!」という反応。
何のことを言っているのかよくわからなかったので、前に出てきて説明してもらいました。
「(川の)こことかくっついてたり離れてたりしてるよ」と教えてくれる児童
確かにこれはどう数えてるの?と一瞬、私も考えこんでしまいました・・・。
(後で調べたところ、琵琶湖に注ぎ込んでいる川の数というのは、琵琶湖に面している川の本数のみを数えたもので、支流の本数は数えていないとのことでした。)
子どもたちから出る発言は予想外の連続でした・・・
子どもたちの視点はいつも鋭いです。おかげで大変勉強になりました。私も子どもたちのような目で見れたらなぁと思います。
私は初めての授業でドキドキだったのですが、コロナもなんのそのビックリするくらい元気いっぱいな子どもたちに助けられ、なんとか初授業を乗り越えることができました。
3年生だけでもこんなに勉強になったので、他の学年の授業もしてみたくなりました。
コロナの中、子どもたちにすこしでも幅広い体験をと、熊森を呼よんでくださったこの小学校に、心から感謝します。
●熊森協会本部では環境教育部員を募集中!!
これまで、日本熊森協会では、多くの大学生たちが、今、日本で起きている森や野生動物の危機的状況について学び、保育園、幼稚園、小学校に出かけて、後輩たちに環境教育を実施してきました。
学生の皆さん、若者が教える子供たちへの熊森環境教育、学外サークルとして、一緒に取り組みませんか?
関心のある方は、ぜひご応募ください!
電話0798-22-4190
メールconntact@kumamori.org