くまもりNews
絶体絶命、馬毛島のマゲシカ守れ(鹿児島県)
- 2021-04-30 (金)
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マゲシカは、鹿児島県種子島の西方海上の馬毛島(無人島)に昔からすむ、ニホンジカの亜種です。キュウシュウジカとヤクジカの中間型を示すものとされています。
環境省は、「地域個体群」としてレッドリストで扱っており、生物多様性の観点からも、歴史・文化の面からも貴重です。また、これほど小さい面積に数百頭のシカの群れが維持されてきた場所は世界でも例がないそうです。
森林草原地帯にすみ、早朝あるいは夕刻原野に出て採食します。角は毎年はえかわり、4~5月にかけて袋角がはえ、9月には立派な角になりますが、翌年3月くらいには落下します。草食性です。
マゲシカ 平川動物公園より
馬毛島のある場所 NHKより
かつての緑あふれる馬毛島
馬毛島には、マゲシカを含め13種類の絶滅危惧種が生息するということです。
熊森は、馬毛島にずっと注目してきました。
なぜなら、馬毛島開発が島を十字に横切る巨大な「滑走路」を建設して、マゲシカたちの生息域を大破壊し始めたからです。馬毛島には川がなく湿地があるだけです。このような大開発を行って地表の植物をはぎ取ってしまうと、マゲシカたちの生存を支えてきた水飲み場がなくなってしまいます。
現在の馬毛島
2019年、政府は160億円で馬毛島を自衛隊訓練場として買収することに島の所有者と合意しました。馬毛島は、米空母艦載機の離発着訓練(FCLP)施設と自衛隊基地を兼ねた「基地の島」に生まれ変わろうとしています。その計画は以下です。
防衛省基地計画
マゲシカの生き残る場所がない!
マゲシカ 朝日新聞より
資料1 2021年4月24日、朝日新聞
要約
2000年は約570頭で、今回は320頭と推定した。生息環境は10年前よりも悪化し、個体群の維持にとって深刻な事態になっているとみられる。
面積の減った森林、草原にシカが集中してきた結果、生息場所・えさ場としての質が低下し、環境の悪い更地にあふれ出ている可能性がある。この状態が続けばメスと子の死亡率が上がり、絶滅の確率が高まることが懸念される。
国はできる限り環境を復元し、その段階を基準にアセスを行うべきだ。マゲシカを絶滅させないための計画見直しも必要になるだろう。
島での研究が再開できれば全国で問題になっているシカの個体数管理に新たな知見をもたらすだろう。国、県、西之表市と市民が協力し、今のまま馬毛島とマゲシカを後世に残すことを考えてほしい。
資料2
熊森から
計画では馬毛島の9割が滑走路や訓練施設を整備する「事業実施区域」になります。シカを区域外だけに置くのか、区域内にも生息地を設けるのか、防衛省は「現段階で決めていない」と回答しているそうです。現計画では、間違いなくマゲシカは絶滅です。
馬毛島の基地化は国策とは言え、生物の多様性を守ることが最も大事と言われている時代です。
明治のオオカミについで、絶滅危惧種であるマゲシカを絶滅させる日本であっていいのでしょうか。私たち一般国民が声を上げない限り、マゲシカは絶滅させられます。マゲシカたちの運命は、私たち一般国民の肩に掛かっていることをみなさんにお伝えしておきたいです。
熊森の会員になったが何をしたらいいのかわからないと言う声もあります。
そこに住んでいる一番大きな生き物をシンボルにして自然を守っていくのが熊森流の自然保護です。
ぜひ、防衛省にメールやFAXなどで声を届けたり、基地計画の見直しを訴える立澤史郎教授や、マゲシカの絶滅を止めようとしている「馬毛島の自然を守る会」などを応援していきましょう。
熊森本部も、防衛省や地元に声を届けます。
防衛省
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岸 信夫 防衛大臣 様