くまもりNews
兵庫県の熊森植樹地の見回りとシカよけ柵の修理
- 2021-06-15 (火)
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6月8日、熊森本部は豊岡市内にある4か所の熊森植樹地のうちの3か所を見回ってきました。
ここでは、里にクマが出てこないよう、集落からはなれた山奥に実のなる木を植えています。
大型野生動物との棲み分けを復活させるのがねらいです。
1か所目
豊岡市は、日本海に面する豪雪地帯で、冬季の積雪が2mを記録することもあります。この数年少雪が続いていましたが、昨年から今年にかけての数年ぶりの大雪で、苗木をシカの食害から守るためのネットがなぎ倒されていました。
この場所では、10本ほどの苗木を3か所に分けて大きくシカ除けネットで囲っていましたが、なだれ落ちる雪の力で囲いが倒れ、シカが入って苗木を食べてしまっていました。
これまでも何度も試行錯誤してきましたが、豪雪地帯、急斜面、シカ高密度、この3条件がそろうと、実のなる木を植樹してもなかなかうまく育ちません。
6月17日、ボランティアさんに来ていただいて、植樹地を階段状に整備し、1本づつの苗木にシカ除けガードをつけるやり方に変えようと思います。大きな囲いでは、1か所囲いが破れただけで、シカがすべての苗木を食べてしまうからです。
2か所目
この場所では、1本づつの苗木にシカ除けガードをつけています。苗木の成長はよく、すでに人の背丈を超えている木が多いです。シカよけ柵が雪の力で倒れてしまっているのもありましたが、なぜかシカの食害はあまり見られません。
下の写真のカキの木には、クマが実を食べに来て枝を折った跡がありました。
3か所目
ここでは、2002年に斜面に植えたシバグリやコナラが現在、高さ5~6mにまで大きく成長しています。2019年に地元の植木屋さんから、ヤマボウシ、ウワミズザクラ、シバグリ、ヤマグワの大苗を購入し、(購入時の高さ2.5~3m程度)植えてみました。
今年の大雪でネットは倒れ、シカに食べられている芽が多くありましたが、何とか幹の頂芽(ちょうが)は無事でした。ヤマグワはかろうじて葉が残っており、実がついていました。
倒れたネットを、しっかり修繕してきました。
植樹地を回っている途中、山奥のキャンプ場の近くに大量のごみが捨てられ散乱しているのを見つけました。近くに大きな鉄板の蓋付きごみ箱があるのに、なぜ外に捨てるのかと思って蓋を開けてみると、中にはテレビやラジカセといった家電がいろいろと捨ててありました。
不法投棄です。片付け始めましたが、あまりにも膨大で私たちだけでは片付けきれないため、役場に行って回収をお願いしたところ、すぐ動いてくださるということでした。ありがたいです。
奥山水源の森こそすべての生き物の命の源です。
祖先は、神様が棲んでおられるところとして入ることすら禁止し、遠くから手を合わせてきた場所です。
山奥に捨てられた大量のごみを見て、「山」という聖域がいかに今の日本人に軽視されているのかがわかりました。
熊森が、ほとんどだれも見ていない奥山の荒廃を世間に伝え続け、自ら野生動物たちの餌場やねぐらを復元・再生する活動を続けて25年目です。
これまで必死に動き続けてきましたが、民間のボランティア団体には限界があります。
思い切った法整備が必要です。
生きとし生けるものたちの命を救い水源の森を再生することを、多くの国民が願っていると会員数で示さなければ、法整備にまで進みません。まだの方は、ぜひご入会下さい!
すでに会員になってくださっている皆さんは、一人でもいいので会員を増やしていただきたいです。
入会ページhttps://congrant.com/project/kumamori/2662