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くまもりが「西中国ウインドファーム配慮書」に会として意見書を送付
- 2021-12-08 (水)
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以下は、電源開発株式会社が計画している「西中国ウインドファーム配慮書」に、日本熊森協会が送付した意見書です。
電源開発株式会社 風力事業部 陸上開発室様
「(仮称)西中国ウインドファーム事業 計画段階環境配慮書」意見書
令和3年12月8日
〒662-0042 兵庫県西宮市分銅町1-4
日本熊森協会 会長 室谷悠子
会員18618名を代表して、以下の意見書をお送りします。
<結論> 計画されている事業は、生物多様性保全、水源保全及び近隣住民の生活の保全の観点から白紙撤回していただくしかないです。
日本の電気供給の基幹を担う、日本を代表する大企業として、企業倫理の観点から、このような大規模な環境破壊・住民生活破壊を発生させうる開発から撤退を英断していただきたいです。
Fit法が制定された当初、予測されなかった再エネ事業による問題が噴出してきており、全国各地で事業者と住民との間の紛争が起こってきています。法整備や規制には時間がかかるために、追い付いていない現状がありますが、地域に問題を発生させ得る事業は行わない姿勢を示すことが、社会から信頼される企業であると考えます。
当協会は、クマたちが棲む最高に豊かな森をこの国に残すための実践活動を25年間続けて参りました全国組織の実践自然保護団体です。
1.自然生態系保全・水源確保に反する計画です
貴社が企画されました「西中国ウインドファーム事業」の配慮書を全て見させていただきましたが、事業計画地域はまさに環境省が絶滅の恐れがある地域個体群に指定している西中国山地ツキノワグマ地域個体群の生息地であり、100%樹林地帯です。ここは西中国の人々の貴重な水源の森でもあります。自然生態系保全の面からも、未来にわたる地元の水源確保の面からも、自然を改変することが許されない場所です。
尾根筋に風車群が建設された暁には、尾根を渡るコウモリや渡り鳥が甚大な被害を受けることは貴社も予測されている通りです。
2.ほぼ全域が保安林であり、改変は森林法の趣旨に反します
事業計画地域は、ほぼ全域が保安林に指定されている森林地域です。土砂災害警戒区域や砂防指定地、地滑り防止区域などが含まれており、地元住民が安全で安心して暮らせるよう、保安林に指定されているのです。ここを改変することは森林法の保安林指定を無視することになり、住民の暮らしをおびやかします。許されるものではありません。
太陽光発電と違って、風力発電は森林破壊面積が少ないという方もおられますが、尾根筋は山の命ともいえる大変センシティブな場所の上、巨大なブレードを配送するため尾根筋に至るまで伐り開かれなくてはならない道幅の広い林道面積のことも加えると、森林が受けるダメージは建設工事中も建設後も大きなものです。
3.事業計画を半減しても配慮書を正当化できるものではありません
貴社は、この地域の尾根筋に風車を並べることによる各部門への多大なる負の影響を繰り返し予測して記述されております。その点は評価できます。しかし、下記のように、配慮書には当初考えていた事業面積の半分以下に計画を縮小したことを正当化する表現が相次いでおり、私たちは受け入れることができません。
記
配慮書抜粋:事業の実施に伴う地形の改変及び施設の存在による影響を最小限に留めるために、風力発電機設置想定範囲を絞り込んだ。重大な環境影響は回避又は低減できる可能性が高いものと評価する。
以上
確かに当初の事業面積を半減すれば、重大な環境影響は半減またはそれ以下になるかもしれませんが、それでも現在の計画が森林生態系や住民生活に与える影響は限りなく甚大です。
貴社配慮書による事業実施想定区域と風車数
総面積1万175ha(山口県7千648ha、島根県2千527ha) 風車33基
当初の事業面積を過大に見積もっておき、その後、面積を縮小したので事業実施は認められるべきという主張に対しては、半減させたからよいというものではないことを申し入れさせていただきたいと思います。(完)
熊森から
日本列島最後の聖域である奥山の自然が、再エネ推進名目の事業によって、全国各地で破壊されようとしています。一度壊された自然は、もう二度と元に戻りません。
本末転倒とはこのことです。
再エネ事業者の暴利を支えているのは、私たちの家庭の毎月の電気料金に上乗せされている再エネ賦課金です。ちなみに、先月の我が家の再エネ賦課金は、1233円でした。このお金が、国内外の大金持ちの懐に入っていく仕組み、それがFIT法なのです。トホホ。