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2021年度北海道ヒグマ捕殺数1030頭!来春から親子狩りと穴狩りも解禁に

以下、北海道新聞2022.11.23より

 

専門家でつくる道の「ヒグマ捕獲のあり方検討部会」は11月22日、クマの市街地出没を減らす対策として、若手ハンターを育てるため、2~5月中旬の残雪期に特別に許可する「人材育成捕獲」を拡充し、これまで規制してきた親子連れの捕獲や冬眠中に捕獲する「穴狩り」を来年から解禁する方針をまとめた。冬眠明けのクマに人への警戒感を植え付ける狙い。

規制を設けずに奨励した残雪期の「春グマ駆除」(1966~90年)で生息数が激減したことを踏まえ、雌グマについては捕獲上限を定めてとり過ぎないよう管理する。また、穴狩りは人里周辺で行うとした。

 

なお、2022.12.20、上部組織の「北海道ヒグマ保護管理検討会」でも、この案が承認され、正式に決定された。(熊森)

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒグマの親子 北海道

 

熊森から

クマ狩猟とは、人間に何の被害も出していないクマを、人間が銃を持ってかれらの生息地に入り込んで撃ち殺す行為です。昔はクマ狩猟で生計を立てていた人もいますが、今はまずいないでしょう。

生き物を殺すことはいつも残酷ですが、来春から解禁されることになった親子熊や冬ごもり中の穴熊狩猟は、なかでも最も残酷です。

親子熊の場合、母熊は子供を守ろうと必死になりますし、子熊は母グマに必死ですがります。かわいそうで見ておれません。

穴熊が雌だった場合は、穴には赤ちゃんグマがおり、殺された母グマのおっぱいにしがみついていたりすると思います。

これらのいたいけない子グマまで殺すのです。

ハンターでも、やりたくない人が多いのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

駆除された母ツキノワグマのおっぱいに吸い付いている赤ちゃんグマ

 

現在、北海道では、ヒグマは年中大量に駆除されています。北海道内で2021年度に捕殺されたヒグマは、1030頭を超えました。門崎允昭先生によると、捕殺数が千頭を超えたのは1018頭だった1906年(明治39年)以来、115年ぶり。過去最高の駆除数です。(道庁ヒグマ対策課に電話すると、ヒグマ駆除の9割はシカ肉やハチミツを入れた箱罠にかけてからヒグマを撃つ。1割は銃で直接ヒグマを撃つ。シカ用くくり罠に錯誤捕獲されるヒグマは、年間数例だそうです)

捕殺数の内訳は市町村が道の許可を得て罠などをかけて行う「駆除」が9割以上を占め、ハンターが趣味で行う「狩猟」はわずか40頭台でした。

 

今回、北海道庁は、この狩猟数をもっと増やそうというわけです。

 

何のために?

 

冬眠明けのクマに人への警戒感を植え付ける狙いだそうです。

 

しかし、脅すだけならわかりますが、殺してしまうのですから、こんなやり方では人を恐れるクマなど誕生しないのではないですか。人の怖さを知ったクマは、即、この世から消されてしまうのですから。

 

いったいどういう人たちが、こんな対策を決めたのか。ヒグマと人との軋轢が起きているのはわかりますが、すべて、ヒグマに責任があるのでしょうか。殺さない解決法は思いつかなかったのでしょうか。委員に女性がいなかったのではないでしょうか。

 

委員名を調べてみました。

梶 光一(国立大学法人東京農工大学 名誉教授)

坂井 憲一(北海道猟友会千歳支部 支部長)

佐藤 喜和(酪農学園大学農食環境学群環境共生学類 教授)

釣賀 一二三(地方独立行政法人北海道立総合研究機構エネルギー・環境・地質研究所自然環境部 研究主幹)

藤本 靖(NPO法人南知床・ヒグマ情報センター 理事長)

三浦 直之(七飯町環境生活課 自然環境係長)

村上 裕(北海道猟友会北見支部 指導員)

山中 正実(公益財団法人知床財団 特別研究員)

 

うーん、この人たちが悪いというわけではありませんが、人選が偏り過ぎです。猟友会員が入っておられることは評価しますが、道民の半分を占める女性、自然保護団体、ヒグマの心がわかる動物愛護団体などを入れなければ、道民の声を代表した対応策にならないと思います。ヒグマ問題には、多様な道民の衆知を集めることが大切です。

 

今年3回開かれた「ヒグマ捕獲のあり方検討部会」の議事録を読んでみました。

膨大過ぎて読み切るのに苦痛を伴いましたが、全文読み終えました。

この案を正式に承認した「北海道ヒグマ保護管理検討会」のメンバーも調べてみました。

 

 

検討部会飯島 勇人(国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所野生動物研究領域 主任研究員)

佐藤 喜和(酪農学園大学 農食環境群 教授)

釣賀 一二三(地方独立行政法人北海道立総合研究機構 エネルギー・環境・地質研究所 自然環境部 研究主幹)

浦田 剛(占冠村農林課林業振興室 野生鳥獣専門員)

宮内 泰介(北海道大学大学院文学研究院人間科学部門地域科学分野地域科学研究室 教授)

山本 幸 (公益財団法人知床財団事業部 事業部長)

横山 真弓 (兵庫県立大学自然・環境科学研究所 教授)

 

うーん、この人たちが悪いというわけではありませんが、人選が偏り過ぎです。

学識経験者からなる委員ということですが、このようなことは学識経験者だけで決めてはならないのです。

しかも、学識経験者にもいろいろなタイプがありますが、道庁は持論に賛成してくれそうな人ばかり集めていると感じます。

私たちは北海道に住んでいないので、わからないことも多々あると思いますが、まず人選の問題について、北海道庁に改善を求めたいと思います。このような会には、自然保護団体を入れなければならないと決まっているのに入れていません。

 

部会のある構成員が、「北海道庁はヒグマ絶滅政策はやめたけれど、ヒグマ保護重視に転換したことなど一度もないと思う。狩猟数に上限はないなど世界的に見て異常だし、有害駆除に関しても、駆除申請して認められないことはほとんどない」と言われています。

 

これは私たちがずっと感じてきたことです。狩猟だけではなく、有害駆除にも上限が必要だと思います。多くの道民はまず殺すありきの北海道ヒグマの捕獲実態を知らないから黙っているだけです。知ればこれはひどすぎると声を上げる人たちが多く出ると思います。マスコミの皆さん、生々しいヒグマ捕殺の実態を、全道民や全国民に伝えてください。先住民であるヒグマを大切にできない北海道なら、人間も大切にされないと思います。

 

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