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静岡市葵区の大規模地滑り報道に欠けている大事な視点2つ

2023年8月23日、静岡市葵区の北部で大規模な地滑りが発生。

以下、マスコミ報道。

 

地滑りの起点部分は幅約170メートルにわたって稜線から崩れ、土砂は市道まで約1・5キロ区間にわたって流出した。林道の一部も崩落した。

静岡市が19世帯に避難を呼びかけた。

難波市長は24日朝 現地を視察した上で、「深層崩壊が起きた。先週の台風7号にともなう雨が主な要因とみられる」と説明しました。

これまでに人的被害も物的被害も確認されていません。

 

大規模な地滑りが発生した現場=23日午後5時半ごろ、静岡市葵区諸子沢(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)

大規模な地滑りが発生した現場=23日午後5時半ごろ、静岡市葵区諸子沢(静岡新聞社ヘリ)

 

熊森から

この報道には大事なことが二つ抜けています。

 

その1

崩れた山の写真をようく見てください。

単なる山が崩れたのではなく、放置されたスギの人工林が崩れているのです。放置人工林が崩れましたと報道すべきです。
今回、この山が放置人工林だったから崩れたのか、自然林でも崩れていたのかどうかは、人間にはわかりません。
しかし、圧倒的に、放置人工林が大雨で崩れやすいことは、これまでの各地の山崩れで、現象的に明らかです。
報道によって、国民が、放置人工林が大崩壊したという新たな視点を得るようにすべきです。

それによって、放置人工林を間伐しようとか、自然林に戻そうとかいう発想が国民の中から出てくるからです。

しかし、どの報道を見ても、スギのスの字も人工林のジの字も出てきません。
報道者が知らないのか、戦後の林野庁の拡大造林政策の失敗に触れないように忖度しているのか、どちらでしょうか。

 

その2

これまでに人的被害も物的被害も確認されていませんという表現は、すでに人間至上主義に陥っています。
放置人工林内ですから、生き物たちがあまりいなかったかもしれませんが、わかった範囲でいいので、イノシシが2頭巻き込まれて死んでいましたとか、川魚が土砂に埋まって死んでいましたとか、他の生き物の被害にも言及してほしいです。人間だけではなく他生物のことも思いやれる文明だけが自然を守ることに成功し、持続可能な文明となるのです。

 

報道関係の皆様、以上よろしくお願いします。

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