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3月12日 森田俊和議員、衆議院環境委員会でクマ問題について森の視点から質問
- 2024-04-01 (月)
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3月12日、令和6年衆議院第2回環境委員会で森田俊和衆議院議員(埼玉県、立憲)がクマと森について質問されました。
(要旨)文責熊森
森田俊和衆議院議員 熊について森の視点から質問させていただきます。
山で生息してきた動物たちが、里地里山やもうちょっと住宅が密集しているようなところにまで下りてきてしまって、ひどい場合には人身事故にもつながるというのは非常に不幸なことです。私は、対症療法的なところよりも、少し根本的なところをお尋ねをしてみたいなと思います。その根本原因の一つとして言われているのが、山が、森が痩せてしまっているということです。
日本の国土の三分の二が森林であり、そのうちの四割以上が杉、ヒノキの人工林だと言われております。熊の食べ物は人間が森に入って食べるものとそんなに変わらないと思うんです。春になればフキが出てきたりとか、若い芽、葉っぱが出てきて食べたり、あるいは、夏になれば、いろいろな虫を食べたりとか、秋になれば、ドングリとかいろいろな木の実だと思いますけれども、いずれにしても、杉、ヒノキだと、熊やほかの動物たちが食べるものがどうしてもないという状況になっていると思います。
また、山深いところと人が住んでいる場所の間にも、きちんとした自然の植生に近い森を用意するということも必要なんじゃないかなと思います。
伊藤環境大臣 委員御指摘のように、奥山というのは大事ですね。
環境省としては、奥山等において熊類の保護を図るための①保護優先地域、あるいは、人身被害等の防止を図るための人の生活圏、それらの間の緩衝地域を設定し、それぞれの地域に応じて適切に管理を行うゾーニング管理、これを引き続き進めていくという方針でございます。
舞立大臣政務官 令和三年の六月に閣議決定しました森林・林業基本計画におきまして、多様で健全な森づくりを推進することとしておりまして、森林整備事業において針広混交林や広葉樹林の造成への支援を行うとともに、例えば、②森林環境譲与税を活用して、住民の要請に応じた針広混交林や広葉樹林の育成も図っているところでございます。
環境省回答に対する熊森見解
①奥山を本当にクマ保護優先地域にするのなら、奥山でのシカ・イノシシ捕獲用のくくり罠設置を禁止すべきである。
シカ・イノシシ用の罠といっても、くくり罠にはクマ、カモシカ、キツネ、タヌキなどいろいろな動物が皆かかる。錯誤捕獲は罠設置者の責任で放獣すると決められているが、放獣は大変なので、実際にはほとんどが殺処分されるか放置されて死に至っている。罰則無し。
兵庫県の場合はクマに関しては放獣されているが、指や足首が欠損したものが一定数見られる。以前、くくり罠は足を失うなど、どの動物にとっても残虐過ぎるので、熊森がくくり罠禁止を強く環境省に要望したことがある。
その時、環境省は、今、くくり罠を禁止することはできないが、罠の直径を12センチ真円に規制するので成獣グマは掛かりにくくなる。これで様子を見てほしいとの回答をされた。しかし、すぐに、長野県から、短径が12センチであれば長径は何センチでもいいとの規制緩和が始まって、多くの県で現在、弁当箱型と言われる規制緩和されたくくり罠が使用されている。その結果、錯誤捕獲されるクマが多数生まれている。国にはこの実態を何度も訴えているが、環境省からの改善策はいまだなし。
第一、奥山は野生動物優先地域であるから、いかなる動物に対しても、罠を掛けるべきではない。どうしてもシカを排除しなければならない場所があるなら、罠ではなく、祖先がしていたように、柵かシシ垣で排除すべきである。
②国は市町村に、樹種転換を指導する必要がある。熊森の強い訴えで、森林環境譲与税を使っての針広混交林化や広葉樹林化は、確かに可能になった。問題は、市町村職員に山のことがわかる者がいなくなり、そのような事業に取り組もうとするところがほとんどないことである。ある市を訪問したらそこの担当職員たちに至っては、子供の時からずっとあったスギ・ヒノキの人工林を、自然の山だと皆勘違いされており、針広混交林化や広葉樹林化に向けての意識が全くなかった。行政は私たちのように長年各地で森再生に携わってきた民間の自然保護団体と協力して、具体的な施策を進めていただければと願う。
その他 冷温帯の下層植生は、シカに食べられると再生できない。奥山にシカを誘導する結果となっている奥山観光道路を閉じるべきである。