くまもりNews
愛知県で誤捕獲されたクマは、なぜ、1頭も放獣できないのか (中間まとめ)
- 2010-11-25 (木)
- 熊森の見解
わたしたちは今年、愛知県担当者から、愛知県に生息するツキノワグマは推定あと6頭で、絶滅危惧種であるという説明を受けました。当協会は、全生物のため人のため、クマの棲む豊かな森を次世代に残さねばならないと決意して作った会です。わたしたちは、なんとかこの6頭を守り、人工林率64%の山を、少しずつ自然林にもどしていきたいと考えました。
愛知県で、今年、イノシシの箱ワナにクマが誤ってかかるたびに、現地に飛んでいったり、電話をしたりして、「誤捕獲グマは、他府県がしているように、その場で檻のふたを開けて放獣してください、または、檻の場所が悪ければ山中に移動させて放獣してください」と、お願いしました。そのために、当協会の持てる力を全部出し切って協力することを申し出ました。しかし、1頭も放獣してもらえませんでした。4頭射殺、1頭は飼育者に譲渡。どうしてこうなってしまうのでしょうか。
1、愛知県では、クマの捕獲許可権限は市に下ろされています。行動半径の大きいクマを、市に投げることに無理があります。権限は県に、さらに、国にもどすべきです。
2、イノシシの箱罠を野生鳥獣の生息地の真っ只中の自然林の中にかけると、クマがかかってしまう。田畑や民家の近くにかけるべきです。罠は、人と動物のすみわけが促進できるようにかけるべきです。
3、行政担当者に、クマという動物への知識や理解が不足。(クマがほとんどいない県だから、やむおえない面もある)
4、行政担当者が県内放獣を絶対に認めないのは、地元の理解が得られないからということでした。地元の放獣反対者らと落ち着いてじっくりと話し合いたいとお願いしましたが、会わせてもらえませんでした。今後、このような場をぜひ設けてもらいたいと思います。
5、愛知県内放獣が絶対にだめなら、誤捕獲されたクマを、放すという当然すべきことは、他県で行うしかない。(わたしたちは、原則として、人がクマを飼うことに反対です。飼育者がまず、いないし、クマは、広い山野を駆け巡って初めて生を全うできる動物だから、飼うとかわいそうなことになるのです)
当協会は、愛知県の隣接県である三重県に676ha、岐阜県に82ha、静岡県に294haという広大な山を持っているので、1頭ぐらいならクマを放してもらってもどうということはありません。当協会の山を放獣地に提供してもいいと申し出ました。しかし、各県の担当者の正式な許可が得られなかったと断られました。
6、遺伝子のかく乱を認めないという遺伝子純潔原理主義者からも、他県放獣を止められたそうです。クマは何県も渡り歩く動物なので、隣接県の山に放獣することなど何の問題もないのではないか。それよりも、わたしたちは、この国がクマという種を失うことのほうが、取り返しのつかない損失であると考えます。
以上は、現在、私たちが思うことです。どうしたら、誤捕獲されたクマを放獣できる県になるのか、愛知県民を中心に、みんなで考えていかねばならないと思います。