くまもりNews
10/16 付け A新聞報道「(クマは)うんと増えている」には、驚きました
A新聞10月16日付け1面下の有名なコラムに、—-今年は里での悪さが目立つ。—–として、最近のクマの人身事故例が2例挙げられていました。その後、「(クマは)うんと増えているというのが、定点観測の実感です」—-と言う有名な写真家Mの言葉を紹介して、絶滅寸前のクマを、クマがうんと増えていることにしていました。写真家Mの言葉をまにうけて信じている人がいたなんて、驚きました。
わたしたちは奥山の元クマの生息地を歩き続けています。はっきり言いましょう。今や、本来のクマ生息地にはクマがいず、奥山は空っぽになっています。山に食料がまったくないという大変な事態が起きているからです。かつて、人前になど姿を現すことはなかったクマたちが人間の所に出てくるようになったのは、よほどのことがあったからで、冬篭り前の食い込み用食料を必死で求めてでのことです。その証拠に、山の実りが良かった2009年には、クマはほとんど山から出てきませんでした。こんなことは、子供でも知っています。
クマは大変臆病な動物です。今、人の姿が消えた夕暮れに、そっと出てきて必死で食料を探し続け、人の姿が現れ始める早朝に、そっと姿を消しています。しかし、人に見つかってしまうと、恐怖のあまり人から逃げようとして前足で人をはたいて逃げます。これが人身事故と呼ばれるものです。もしクマが、ここまで臆病な動物でなかったら、かれらのえさではないので、人間に出会っても、知らん顔をしていることでしょう。
欧米では、クマが出てくると、みんな家の中に入って戸を閉め、クマを刺激しないようにして、クマが山に帰るのをそっと待つそうです。日本では、クマが見つかると、猟友会やマスコミ関係者が、みんなでクマ捕り物を開始。追い掛け回します。クマの心臓は、もう破裂しそうになっています。出会った人を片っ端から前足ではたいて逃げ道を作ろうとします。クマの人身事故は、クマという動物への対応間違いから、人間が引き起こしているのです。厚いガラスを突き破って建物の中に飛び込んでまで、人間から隠れようとしているクマの恐怖がなぜわからないのでしょうか。最後、みんなでクマを追い詰め、クマが行き場をなくして動くと、人に向かってきたので撃ち殺しましたというのが、日本の猟友会の決まったせりふです。クマという相手の立場に立って考えてみることを、お願いしたいです。そうすれば、こんなコラムは、絶対に書けないはずです。
写真家Mが、自動撮影カメラで、クマがうんといることを撮影したと言っているから事実じゃないかと言われるかもしれません。しかし、わたしたちは、自分の目で、クマが山にいないこと、クマの痕跡がまったく奥山にないことを確かめています。目視ほど確実なものはありません。