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人もクマも獣舎も、想像を超える疲弊ぶり 八幡平クマ牧場からSOSの大声が聞こえる 5月21日⑦

八幡平(はちまんたい)クマ牧場は、十和田八幡平国立公園内にあり、周りは自然がいっぱいの風光明媚な所にありました。先日、1頭のヒグマが亡くなり、今またもう1頭のヒグマが、仲間からのいじめにあって亡くなろうとしているということでした。

クマ牧場に着くと、いきなり現地におられた新聞記者さんたちから、質問攻めにあいました。

記者「熊森は、どうしようと思ってやってこられたのですか」

くまもり「今来たばかりでまだわからないことだらけですが、とにかく、残された28頭のクマを殺処分しないで、終生保護飼育する方法を見つけるために来ました。いったん生き物を飼ったな

 

 

ら、最後まで責任を持って世話しなければならないのは、人として当然のことです。28頭ものクマを貰ってくれるところなど考えられないので、とにかくここで寿命まで保護飼育するしかないと思うのです」

この後、経営者、応援に来られていた県の職員3名、そして私たち2名の計6名は、月水金に与えているという残飯を、病院など4か所の施設まで取りに行きました。施設が遠いのと、残飯がいっぱい入った重いペール缶を運ぶのが大変なのとで、しゃべる力も失うほど疲れました。

しかも、41年間使っているというトラックはおんぼろで、リフトの油圧機が半分つぶれていました。まず支援すべきは、このトラックだとわかりました。(5月25日、熊森支援済み)

いただいた残飯入りペール缶を13缶積んで、牧場に帰ってきたのが午後3時半。時間がないため、大急ぎで走り回って給餌です。

 

ましな檻もありましたが、全体的に、施設は予想をはるかに超えて老朽化していました。残飯を、大きなスコップですくって餌箱に投げ入れるのですが、鉄製の餌箱が錆びてぼろぼろで穴が開いていたり、飲めそうな水がない檻があったり、真っ暗な檻にずっと閉じ込められたままの母子グマがいたりして、胸が痛みました。「とりあえず、この母子グマを日光が当たる所に移してやってください」と経営者に頼みました。(5月25日経営者によって解決済み)

経営者の方が、「熊森さん、6頭のツキノワグマだけでも助けてやりたい。お願いです。飼ってやってください。わたしは、両手をついてでもお願いしたい」と言われました。「飼えるものなら、とっくに飼ってあげていますよ。残念ながら、今の熊森はまだまだ小さくて、逆立ちしても、クマたちを飼う力などありません」くまもりが、正直に答えました。

20年も勤めておられたベテランの飼育係の方々を、事故で失って1ヶ月。八幡平クマ牧場では、経営者も、応援に派遣されている県の職員も、残されたクマたちも、施設や獣舎も、みんな疲労困憊しきっているように感じました。全てに緊急の支援が必要です。

本当に、来てよかったと思いました。現地に来なければ絶対にわからなかったことが、次々と見えてきました。何を支援すればいいのか、次々と具体策が浮かんできて、来る前よりも希望が湧いてきました。

この施設を、クマたちが快適に暮らすように改修するのは、気が遠くなるほど大変だ。1頭でも2頭でも、大切に飼って下さるところを見つけて、貰ってもらうようにすることが先決だ。この日の朝と夜とで、考えが変わりました。

この日の夜、わたしたちが秋田県に来ていることを知った県内の熊森会員から、携帯の留守電にメッセージが入っていることに気づきました。明日、早朝、県内会員が応援に駆け付けてくれることになりました。明日はレンタカーを借りようと思っていましたが、これで土地勘のある秋田の会員と、大きく動けます。

今は、全国どこに行っても、多くの町で、現地の熊森会員が車で応援に駆けつけてくれるようになりました。組織のありがたさをかみしめながら、眠りにつきました。(続く)

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