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全頭救命に向けて、本当によくやってくださっている秋田県を初め、牧場経営者など、関係者すべてを支援する体制を民間としても作っていきたい⑭

今回秋田県に来て古い映画の看板を見て気づいたのですが、1992年当時、兵庫県尼崎市の中学生たちが「ツキノワグマを絶滅させるな」と立ち上がって、当協会発足の原点となる激しいクマの保護運動を展開した背景には、1991年の校内映画上映会で、愛くるしいいたずら子グマを主人公にした秋田県が舞台の映画「イタズ」を見ていたからかもしれません。この映画を見ると、クマが人間と心を通い合わすことのできる素晴らしい動物であることがわかります。もう一度この映画を見てみたくなりました。

<秋田県庁に申し入れる熊森森山会長>

前日、秋田県佐竹知事さんとの会見を急遽申し込みましたが、急なことでかないませんでした。しかし、秋田県生活環境部部長さん、次長さん、課長さんら偉い方々が、50分間対応して下さいました。驚いたのは、ずっと県庁記者クラブの若い記者さんたちが、横で取材されていたことです。このオープンさは、民主主義の基本です。部長さんを初め、みなさんが真剣に私たちの申し入れを聞いてくださいました。何と誠実で良心的な行政なのだろうかと、感激しました。

熊森の申し入れ内容

◎必ず、全頭救命を果たしてほしい。長年クマ保護活動に携わってきた実践自然保護団体として、熊森はできる限りの協力を惜しまない。

●事件後1ヶ月、経営者もクマたちも疲労困憊しきっているため、これ以上の人的クマ的消失がおきないよう、負担軽減、飼育環境や飼育方法の改善をお願いしたい。(すでに、秋田県は連日次々と手を打っていっておられました。すばらしい県職員さん達です)

●今、日本中、世界中が、八幡平クマ牧場に残されたクマたちはどうなるのか、注目している。いったん生き物を飼ったなら、最後まで責任を持って飼うのは、人として当たり前のことだ。秋田県だけで全頭救命が無理なら、環境省(国)にも入ってもらい、飼育した動物に大人が責任をとるところを子どもたちに見せてほしい。その教育効果は計り知れないから、文部科学省も予算を組んで協力してくれるのではないか。

このあと、県庁記者クラブで、記者会見を持っていただきました。

記者さんたちが熱心に質問され、関心の高さがうかがわれました。ありがたかったです。残り28頭のクマたちの引き取り手が、現れなかったらどうなるのか、みなさんとても心配されていました。どうなろうとも、熊森の選択肢に、殺処分はありません。

人間が、金儲けの為に、または楽しむ為に、狭い檻に生涯クマたちを閉じ込めて生の喜びを奪い、利用するだけ利用して、利用できなくなったら安楽死という美名の元、殺処分してしまう。それではまるで、人間が悪魔になってしまっています。こんなことが許されるなら、人間という動物は倫理観を失い、人間社会までだめになってしまうでしょう。純粋な子供たちは、夢や希望を失い、誰もがもう大人のいう事など信用しなくなるでしょう。その弊害は計り知れなく大きく、取り返しのつかないものです。

経済第一主義病、人間至上主義病に冒され、生き物の命を使い捨てて平気な思想が、森を壊し、自然を破壊し、地球環境を復元不可能にまで痛めつけ、人類を破滅へと導いているのです。八幡平クマ牧場のクマたちの全頭救命は、単にクマたちだけの問題ではなく、日本人が西洋の自然観から脱却し、全生物の命を尊重する持続可能な祖先の文明へ立ち戻れるか、国の命運をかけた重要な局面なのです。

わたしたち心ある国民が力を合わせて、秋田県を初め、牧場経営者など、関係者すべてを支援する体制を作っていきたいと思います。

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