くまもりNews
どんぐり運びでご迷惑をかけた一部地元のみなさん ごめんなさい
猟期に入ってからも、クマ目撃が民家周辺で続いています。なんとかクマが集落の中に入ってこないように、兵庫県のクマ生息地の裏道に、地元の方とドングリを置いてまわりました。
今年は、まだ都会の公園のドングリが実っていない夏に、クマが山から出てきてしまいました。山に異変が起き、夏の食糧がなかったのです。やっとドングリが落ちだして、山に持って行ってやろうとしたとき、すでに奥山にクマはいませんでした。そのため、クマの絶滅を止めるための緊急食糧援助としては、これまでの凶作年と違って、集落近くにドングリを運ばざるをえなかったのです。
ここなら入る人もなさそうだから大丈夫だろうと判断して置いた場所が、地元の人が通ることもある場所だったりして、「こんなところに、クマを集めるな」と、お叱りを受けたこともありました。やはり、地元の学校などで取り組んでもらわないと、外から行った者には、置く場所の選定が難しいと思いました。ご迷惑をおかけしたみなさん、本当に申し訳ございませんでした。
前回置いたクリやドングリは、みごと全部食べられて、完全に殻だけになっていました。すぐ横に、大きなクマのふんがたくさんありました。まだ、クマが山に帰れないでいることがわかりました。今年、兵庫県で人里に出たとして有害駆除されたクマは、11月30日までで、68頭にものぼっています。放獣作業中に死亡した2頭と10月20日までに交通事故死したと報告されている11頭を合わせると、今年、兵庫県で、クマが人間によって、81頭消されたことになります。
1992年に、兵庫県のクマは、残り推定60頭、絶滅寸前ときいて、わたしたちは、なんとか絶滅を止めようと立ち上がり、18年間がんばり続けてきました。狩猟禁止を勝ち取り、保護獣化に成功。山の実り凶作年には、高速道路を使い、往復に6時間も7時間もかけて自費で都会の公園のドングリをクマの棲む山に運びました。100頭ぐらいに回復してきたのではないかというのを聞いて、とびあがって喜んだことを思い出します。しかし、今年の大量駆除で、わたしたちの、これまでの苦労は水の泡。座り込んでしまいたいほどショックです。兵庫県の方針が変わったのでしょうか。担当者が、クマなどどうでもいいと思う人に変わったのでしょうか。私たち自然保護団体は、県担当部署から完全にカヤの外に置かれ、行政の内部がさっぱり見えません。
今年、大量駆除が暴走しているのを知って、状況を聞こうと、10月にクマ生息地の県民局の担当部署に電話したところ、「忙しくて1分1秒の時間もありません」と断られました。「いつだったらお話が聞けそうですか」には、無言でした。いまだに県行政は、官尊民卑だと感じます。
ちなみに、2004年の山の実りなしという第1回目の異常年でさえ、兵庫県で捕殺されたクマは、7頭。同じく、2006年は4頭。そして、今年、2010年が68頭!なのです。しかも、12月の今も、兵庫県ではまだイノシシ罠に誤捕獲されるクマが後を絶たないということです。兵庫県は、イノシシの鉄格子罠の上部を開けてクマが逃げられるようにしたクマスルー罠は、クマの餌付けになる恐れがあるとして、義務付けていません。一方、富山県庁では、イノシシ罠の上部を金属ノコギリでカットするように徹底して指導したところ、今年、イノシシ罠にクマが誤捕獲される例はゼロになったということです。
変わったクマのふんを見つけました。ギンナンの実がいっぱいです。でも、皮も、当然のことながら中の種も消化されていません。食べた意味があったのだろうか、不思議でした。