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山形県クマ春季捕獲中止の要望書賛同署名、全国29都府県1021名分を持って特定鳥獣保護管理検討委員会へ

全国の皆様に報告と御礼
日本熊森協会山形県支部 八木文明

日本熊森協会山形県支部では、去る1月24日、山形県知事に対し、森林環境の保全や野生動物との共生という観点から、クマの「春季捕獲」を来年度は中止してほしいことなどを盛り込んだ要望書を提出しました。この要望書への賛同署名を呼びかけておりましたが、2月17日までに、全国29都府県からあわせて1021名分の署名をお送りいただいております。それぞれの地域、職場、ご家族、ご友人などへの呼びかけ、ほんとうにありがとうございました。

去る2月16日、私は、山形県の「特定鳥獣保護管理検討委員会」に、自然保護団体の代表として出席してきました。この日に間に合った署名912名分を自分の席に置き、皆様から後押しをしていただいていることを心強く感じながら会合でさまざまな発言をしてまいりました。

結論を先に申し上げれば、来年度について、私たちの要望を実現することはできませんでした。せっかく署名をお送りいただいたのにと思うと残念です。しかし、私はそれほど落胆してはいません。私たちの働きかけはまだ始まったばかりであり、今後の地道な取り組みがいつか理解されるはずであるという可能性に期待しているからです。

痛ましいことですが、山形県では今世紀に入ってからの10年間で、2300頭を超えるツキノワグマを捕殺してきました。そこに来年度は、「229頭」(今年度は218頭)を上限として、捕殺が行われることになりました。また、この中に「春季捕獲分」として含まれているのは86頭(今年度は83頭)です。いずれも昨年度を上回る数字となっています。

この数字を出すにあたって県は、県内に生息するクマを1985頭と試算しています。これは昨年度当初の推定生息数の2109頭から捕獲分227頭を差し引き、それに自然増加率が環境省のマニュアルの中に示されている12%であるとして算出したものです。

百歩譲って、この数値がかなり精度の高いものであるとすれば、環境省が全国に棲むツキノワグマの生息数を15000頭から25000頭と見積もっていることから、その10%もの個体が山形にいることになります。そしてさらに、「捕獲上限229頭」は、この生息数の11.5%になります。クマは、前の年の秋の実りの状況によって、出産が大きく影響をうけると聞いていますが、昨年山の実りが大凶作だったことなどは、この算出では全く考慮されていません。

全国のみなさんからの署名が集まっていることに触れながら、私は、「この会合で話し合っているのは実は山形だけの問題ではない」ということを強調してきました。クマに住民票はありませんし、森林が作り出す酸素や水にも、県境も国境もありません。
会合は、県事務局が出した案に反対の意見を述べたのは私一人でした。結果としては「少数否決」ということですが、今回の取り組みは「ゼロ」ではなかったと思っています。いくつか前進の兆しも見えています。

山形県内にはたくさんの国有林がありますが、これまで森林管理局は国有林へのクマの放獣を認めてきませんでした。そのことが放獣のハードルにもなっていたのですが、昨年秋、県の自然保護団体協議会(私たちの支部も加入している)の名前で東北森林管理局に提出した要望書に対し、今後条件の整備を県との間で行ないながら、放獣を認めてゆくという回答が得られています。

また、放獣の前提となる、クマを傷つけないで捕獲するドラム缶ワナの製作について、県費での対応を検討してゆくという考えを県は示しています。

問題の大きさを考えれば小さな一歩ではあるのですが、一歩がなければ365歩もないのです。

ご協力いただいたみなさんにお願いです。署名は「終わり」ではなく始まりです。たとえば、山形のクマ捕獲の問題点について、新聞にぜひ投書してくださいませんか。また、県のHPから入って、県知事や担当部局あてにみなさんの声を届けていただけませんか。山形が全国の方々から注目されているということは、行政には強いインパクトを与えるはずです。どうぞご検討ください。なお、その際には決して匿名や無記名ではなくお願いいたします。正しいと信ずる意見を表明するのに、自分を隠す必要はありません。

山形支部では現在4月24日(日)の午後に、支部の総会を兼ねて勉強会を開催する予定です。山形県外からの参加も大丈夫です。ちょうど桜が見ごろの時期かもしれません。花見を兼ねてぜひ参加ください。また、今年秋あたりに、山形の森をみていただくツアーの実施を考えています。ナラ枯れやブナ枯れの現状と、ゆたかな原生林を見ていただく中身の濃い、しかも低価格のツアーを検討してゆくつもりです。案内を協会のHPなどに掲載していただきますので、ぜひお声をかけあってご参加ください。

このほかに、山形県の鶴岡市内でクマのクロちゃんを飼育しておられる佐藤八重治さんが、6月あたりにツアーを検討してくださっています。こちらも何らかの広報がなされると思いますので、そのときには参加をご検討ください。

みなさま、ほんとうにありがとうございました。

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