くまもりNews
「兵庫県第3期ツキノワグマ保護管理案」パブコメのお知らせ ④本日1月31日が最終締切日です
- 2012-01-31 (火)
- _クマ保全
本日1月31日が「兵庫県第3期ツキノワグマ保護管理案」パブリックコメント提出締切日です。まだの方はメール、FAXで本日中に届けましょう。この保護管理計画は、兵庫県独自のものではなく、国(環境省)の自然観・動物観に基づくものです。問題があれば、県よりも国に責任があります。これを機に、全国民に考えていただきたいパブリックコメントです。
「兵庫県第3期ツキノワグマ保護管理案」に対する熊森見解
1、この保護管理案は、クマ数しか見ていません。
→くまもり見解:生物学習は、その生物が生きている環境抜きには成り立ちません。今回の計画案は、クマ生息地の人工林や自然林の実態について、全くふれておらず、生物を論じる時の基本が抜けています。クマ生息地の人工林率や、残された自然林の植物相・動物相の記述を入れてください。また、兵庫県のクマの生活史や学術捕獲の実態などについても、全く記述がなされていないので、入れてください。多発しているイノシシ罠へのクマの誤捕獲についても詳細な実態と対策を入れてください。
2、目的を達成するための方法の記述が、抜けています。
→くまもり見解:前回までの保護管理計画に記載されていた、「人とツキノワグマとの棲み分けを復活させることによって共存をめざす・・・」という言葉を、必ず今回の計画案にも入れてください。奥山にもう一度クマたちのえさ場を復元するための綿密な実施計画を入れてください。これなくして、地元の被害問題は解決できないでしょう。
3、条件規制されていないものを比較しており、科学的とは言えません。科学データの処理法として、異常数は外して生息数を論じるべきです。
→くまもり見解:今回の計画案では、クマの目撃数の増加や、捕獲数の増加によって、クマが激増したことになっています。しかし、以前地元はクマを見かけても、ここらにはクマがいて当然として見守るだけで、行政に報告しない人が多く、クマ用捕獲罠、イノシシ用捕獲罠とも、ほとんどかけていませんでした。たとえば2010年は、山の実りが夏からなかったという異常年だった上に、クマを見かけたら報告することが徹底され、罠も各地に多数設置されました。その結果、目撃数の急激な増加や、捕獲数の急激な増加があったとしても、条件規制が出来ていないのですから、クマ生息数の比較には使えません。比較できないデータを使って、クマ生息数が激増したという結論を導くのには無理があります。2010年のような並外れた数値は、科学データの処理法としては省くべきです。
4、他人が検証不可能なものは、科学ではありません
→くまもり見解:数字化だけが科学ではありません。クマの生息推定数が本当に中間値650頭になるのかどうか、公表されているデータでは、検証不可能です。今回の計画案は、検証不可能な中間値650頭という数字によって、全編が貫かれ対応が策定されています。もしこの数字に誤りがあれば、今回の計画案は意味をなさなくなります。検証可能な生息数算出にしてください。
5、この保護管理案には、第3者によるチェック機関が全く用意されていません。
→くまもり見解:クマたちの命を奪うのですから、慎重のうえにも慎重にすべきで、当協会のようなな自然保護団体のチエックに耐える捕殺にすべきです。チェック機関を創設してください。
6、捕獲場所や捕殺後の状況など、ほとんどの情報が非公開とされている。
→くまもり見解:情報公開がなされないと、心ある県民の理解を得ることはむずかしいでしょう。
7、他生物の生命尊重思想が感じられない。
→くまもり見解:この保護管理案には、クマを有害駆除することや狩猟することなど、「殺す」を表す言葉が満載されています。一方、クマへの共感や理解、愛情を表す言葉が1か所もありません。子どもたちや生き物に愛情を感じる県民の理解を得ることはむずかしいでしょう。