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感謝 釧路湿原メガソーラー拡大に土地買収で対抗しているNPO法人・トラストサルン釧路

釧路湿原のメガソーラーラッシュについては、熊森も大変胸を痛めています。くまもり北海道支部は、今年の9月15日、現地視察のツアーを組みました。しかし、欧米の自然保護団体と比べるとまだまだ当協会の規模が小さすぎて、実践自然保護団体ではありますが、水源の森の保全・再生活動で手がいっぱい。残念ながら釧路湿原保全実践活動にまでとても手が回らないというのが現状です。
しかし、河野さんの文により、メガソーラーがこれ以上広がらないように釧路湿原を守ろうと土地買収(ナショナル・トラスト)運動を展開してくださっている地元団体NPO法人・トラストサルン釧路(サルンはアイヌ民族の言葉で湿原を表す)という団体があることを知りました。うれしいです。トラストサルン釧路に感謝でいっぱいです。
トラストサルン釧路は、土地を購入し管理する活動に取り組み、これまでに主に湿原の南部で59カ所、約607ヘクタールの土地を取得したとのことです。(釧路湿原の1/40)
釧路湿原は、北海道釧路市に広がる日本最大の湿原で、東西 25km、南北 36km、面積は約2万8000ヘクタール。東京ドーム約6000個分に相当する広大な湿原は、約1万年前の地形変化によって形成され、キタサンショウウオや湿原の象徴とも呼べるタンチョウといった希少な生物が生息する貴重な自然環境です。
湿原に依存する生物の保護や開発からの保護を目的として、1980年、釧路湿原は日本で初めて中心部の7863haがラムサール条約登録湿地としてラムサール条約に登録され、国際的に保護の重要性が認められた場所です。湿原の中央部やわずかな丘陵地が、1987年に国立公園に指定されましたが、行政に聞くと、国立公園内でも環境省の許可でメガソーラーが設置されているとのことです。
釧路湿原メガソーラー  毎日新聞より
熊森が調べると、夏のパネルの表面温度70度、積雪時の発電量はゼロ。設備利用率わずか15%でした。…役に立つ???雷が落ちたり火災になったりしたら、パネルの中から有毒物質が流れ出て水や大地を汚染するかもしれない。そうなれば、もう取り返しがつかない。

南部湿原一帯には、環境省のレッドリストで絶滅危惧種のキタサンショウウオ、タンチョウ、猛禽類のチュウヒの生息が確認されており、キタサンショウウオは釧路市指定、タンチョウは国指定の天然記念物。チュウヒは激減しており、全国で「135つがい」(日本野鳥の会による推定繁殖つがい数)しかいないとのことです。

 

 

南部湿原にあるメガソーラー。(撮影:河野博子)
発電所ができる前、この付近では、タンチョウの営巣やチュウヒの繁殖が確認された

 

熊森から

 

太陽光発電施設は現在、建築基準法上の建物にあてはまらないため、開発が抑制されている市街化調整区域でも設置できます。

釧路湿原に太陽光パネルが次々と設置されていくのに、止めることのできない国や自治体って何のためにあるのでしょうか。

 

かつて原野商法で釧路湿原に土地を買ったものの手放したい人々が多くいるそうですが、行政はそういう土地を受け取ると管理コストと管理責任が半永久的に続いていくから困るとして、受け取りを断っているそうです。

 

釧路市には、2023年7月に施行された「自然と共生する太陽光発電施設の設置に関するガイドライン」がありますが、2014年6月には96施設だった市内の太陽光発電施設が、2023年12月には631施設と6.6倍に増えているそうで、条例に格上げしないと太陽光発電施設の建設ラッシュが止まらないもようです。

 

市長さんと市議会議員のみなさん、条例化を急いでください。お願いします。条例には効果があります。利益追求しか考えていない外資や道外の事業者から、釧路湿原を守ってください。

国は、再エネ事業による自然破壊を止めるために、法規制を急いでください。(完)

 

【埼玉県飯能市】このまま、メガソーラーのために森林破壊を許していいの? 工事を止めるため、もう一度、声を上げませんか!

埼玉県飯能市が所有する加治丘陵の森林の伐採が始まっています。
●誰のためのメガソーラー開発?
この森は、飯能市が「自然公園」を目的に(すなわち、豊かな森林を守るために)20億円かけて買い戻している場所です。莫大な税金を投入した市民の財産を、飯能市は、年間たった120万円で、一般社団法人飯能インターナショナルスポーツアカデミー(https://hisa.world/index.html)に貸し出し、サッカー練習場とメガソーラー開発が行われます。
開発予定地は、17ヘクタールもあり、多様性豊かな雑木林や針広混交林で、絶滅危惧種も多く発見されています。
インターナショナルスポーツアカデミーから開発事業を請け負ったのは、大手住宅総合メーカーのダイワハウスの子会社ダイワリース株式会社(https://www.daiwalease.co.jp/)で、事業費は60億円を超えると言われています。
メガソーラーの売電収入は年間2億円と試算されています。
市民の税金で買い取った豊かな森林は、一部の人たちの利益のために、今消えようとしています。森の生きものたちはどうなるのでしょうか。
●10月14日、工事着工 伐採が進んでいます
 日本熊森協会は、加治丘陵のメガソーラー開発を知り、地元で工事中止を求めて活動する「加治丘陵の自然を考える会 飯能」のみなさんと、9月27日にシンポジウムを開催しました。
 スタッフも入れて170人を超える方が参加され、飯能市にお住いの方もたくさんご参加くださいました。「計画を詳しく知らなかった」「何とかして止めたい」という声もたくさんあり、もっと事実を知ってもらうことで、開発を止めてほしいと声をあげる市民の輪は広げて行けると感じました。
●一度、壊してしまった森は、二度と戻らない
 動物の棲める森復元に24年間取り組んできた日本熊森協会は、一度、壊してしまうと元に戻すにはたいへんな時間がかかることを身をもって知っています。
今、この森を壊すのは誰のためでしょうか。子どもたちや次世代のために、豊かな森を残してほしい、開発を中止してほしいと、もう一度、森林の所有者である飯能市、事業者である一般社団法人飯能インターナショナルスポーツアカデミー、開発業者である大和リース株式会社に訴えませんか。
 森林の伐採が始まり、開発地の隣の地区では、ニホンカモシカが2頭現れたそうです。工事により、追い出されたのかもしれません。
●10月25日13時~TBS「噂の東京マガジン」に出ます
 森林文化都市宣言をした飯能市の暴挙ともいえる、メガソーラー開発問題が、25日(日)13時~TBS「噂の東京マガジン」で取り上げられます。
たくさんの方に広めていただきたいです。

 

全国各地で投資目当ての外資メガソーラーが日本の山野を食い物に 奈良県平群町建設予定地視察

兵庫県の緊急事態宣言が解除された翌日の2020年5月22日。森山まり子名誉会長が出かけて行ったのは、「たたみごも平群の山」と『古事記』や『日本書紀』、『万葉集』にもうたわれた奈良県生駒市平群町です。

 

今、この町で、アメリカに本社がある投資会社によって、平群の起伏に富んだ山野を48ヘクタールも切り崩し、谷を埋め、一枚の巨大な斜面にして、太陽光発電パネル6万枚のメガソーラーを作る計画が持ち上がっています。

 

何とかこの計画を阻止しようと、今、地元熊森会員らが「平群メガソーラーを考える会」を結成して、反対運動を繰り広げています。少しでも力になれないかと森山名誉会長が出かけて行った次第です。

 

熊森は太陽光発電を否定しているわけではありません。しかし、山野を大がかりに切り崩しての太陽光発電は絶対に認められません。もう我が国は十二分に山野を破壊してしまいました。今残されている山野はいずれも大変貴重であり、そこは人間によって肥沃な平地から追い立てられた様々な生き物たちが、最後の命を輝かせている場所なのです。

しかも、山野の複雑な地形にはすべて自然界としての意味があるのです。それらを無視した造成では、野生生物だけではなく必ず人間にもしっぺ返しが来ます。山崩れなど、どれだけの人災が起きたら人間は目が覚めるのでしょうか。

 

 

赤い線で囲まれている山林部分が開発予定地です

 

近鉄生駒線終点の東山駅で落ち合い、まず最初に開発されるという森を、考える会の皆さんに案内していただきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

開発予定地の山林です

 

近くには万葉集に登場する竜田川が流れ、古墳時代、奈良時代など、いにしえの貴重な遺跡をあちこちに残す由緒ある土地です。人工林の率が極めて高い奈良県にあって、なぜか平群町は、人工林率20%程度。ほとんどが自然林なのです。生い茂るアベマキやコナラの巨木群がフラワーロードという大きな農道沿いから見えます。桐の花がきれいに咲いていました。シカがいないのでしょうか。下草もびっしり繁っています。鳥の声があちこちから聞こえてきます。

コンクリートジャングルの中で日々暮らしている都会の住民としては、平群の自然豊かな山林は全て歴史的景観として傷つけず保存しておきたくなります。

 

目先の金もうけにしか関心のないような外資系企業に、なぜ、私たちの国土を売り渡さなければならないのかと憤りを覚えます。残念ながら、今の所、規制する法律はありません。すでに平群の山野は、何カ所かが残土処理場にされており、農道には埋め立てなどのためトラックが行きかっていました。すべて、目先のお金目当てなのです。胸が痛みました。

 

この山野の谷を埋め立てるとどうなるのか。大雨で崩れてしまうことは小学生でもわかることです。しかし、開発業者は、小さな調整池を三つ作ることで安全性は確保されると主張しているそうです。木々や下草がしっかりと根を張り、山が水を吸収する健全な森以上に確かな防災はないのですが。

 

実際の開発にあたる東京の子会社を調べると、マンションの一室が事務所で、その部屋には他にも650社が名を連ねているそうで、実態が何かさっぱり見えないペーパーカンパニーのようです。これらの会社の資本金は1円とか10円とか多くても10万円だそうです。もし開発後、災害が起きたり何か不都合なことがあっても、弁償する能力があるのでしょうか。どうして国は、このような実態が不明確な会社に、貴重な自然を破壊し、地域に災害をもたらす恐れのある巨大開発を認めるのでしょうか。

 

「平群メガソーラーを考える会」のブログ

 

視察後、事務所で、考える会の5人の方々と長時間懇談しました。

 

最初に森山名誉会長が「本気の3人がいたらどんな運動も勝てる。日本の自然が守れないのは、大人がみんな弱虫だから」という恩師の言葉を紹介しました。その後、何らかを参考にしていただきたいとして、行政も裁判所も開発を止めることはできないなかで、どうやって住民運動で無茶な開発を止めたか、体験談を話しました。

考える会の皆さんからは、行政と協定書を交わしたはずの開発企業がいつの間にか消え、別の開発企業に変わっていく、住民説明会に参加したが、業者が質問に明確に答えないなど、様々な不安が出されました。

うかがった話の中で一つ、希望のある話が聞けました。

岩手県遠野市の条例です。遠野市はすでに山野を削ってメガソーラーが建設されてしまいましたが、その後、大雨で山から濁流が噴き出すなどの被害が出るに及んで、1ヘクタール以上のメガソーラーを作らないという市独自の条例を制定したのです。

この遠野市の条例を、日本全国に広めなければならないと思いました。

 

遠野市広報(濁水写真)

 

 

 

 

 

 

 

今回お会いした皆さんは、熊森の小冊子「クマともりとひと」を読んで「とても感動しました」「知り合いや子どもに読ませたい」とおっしゃってくれていました。

いろんな人生がありますが、次世代に責任を持ち誠実に生きようとする人間なら、最終的にはみんな同じところに集まってくるのではないかと思いました。

社会を動かし、世の中を変えるには会員数が必要です。ぜひ皆さんに、次々と生き物や森を守っていっているくまもりの会員になっていただきたいです。

(くまもりへの入会はこちらから)※年会費1000円から入会できます。

 

筆者は、新入職員として初めてこうした集まりに同行しました。

思ったことを以下に書きます。

①住民として、災害が起きた後の補償を企業に求めるのではなく、災害が起きると予測される開発を企業に絶対にさせないことが大切。濁流にのまれた家や命は、たとえ大金を積まれたところで、元に戻るものではありません。

②人間が手を入れ続けないと山林が荒れるという誤解を振り払う必要があります。考える会の人たちの中にも「自分たちも高齢になってきたので、山林を維持できなくなるのでは」という不安を持っておられる方がいました。人間が手を入れ続けなければ荒れるのは、人工林です。スギやヒノキの単相林や、昔の里山のように人間が作り上げたマツタケ山やクヌギ・コナラ・などの落葉広葉樹は、確かに人間が手を入れ続けなければ保てません。しかし、放っておけば一時期バランスを崩したとしても、その土地の気候風土にあった健全な森に移行していき安定します。

人間が手を入れて荒れる自然はあっても、人間が放っておいて荒れる自然などありません。

もう今は少なくなりましたが、未開の地を見ていただければ一目瞭然です。

 

平群のメガソーラーが、住民の力で白紙撤回されるよう心から祈ります。

これまで熊森は、尾根筋の風力発電問題に取り組んできましたが、今後は、自然保護団体として、山野を削るメガソーラー問題にも取り組んでいきます。

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