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2018-08-15
ピレネー山脈絶滅回避の「ヒグマ2頭放獣」方針 農家ら猛反発 フランス政府は「クマと共生を」
以下は、毎日新聞より 8/14(火) 19:06配信
◇「クマいなくなっても誰も困らない」に政府「クマと共生を」
【パリ賀有勇】
スペイン、アンドラとの国境に連なるフランス南部ピレネー山脈に生息するヒグマを絶滅から救うために、仏政府が国外から輸入したメスのヒグマ2頭を放獣する方針を打ち出し、クマによる家畜被害を恐れる農家との間で摩擦が生じている。
仏政府の計画では、今秋にスロベニアからメスのヒグマ2頭を譲り受け、3000メートル級の山々からなるピレネーに放す。フランス狩猟・野生動物事務局などによると、ピレネーのヒグマは乱獲の末、1940年ごろに150頭まで減少。密猟などにより95年には5頭にまでなった。
対策として96年から計8頭がスロベニアから輸入され放獣された。専門家は絶滅を回避する最低頭数を50頭と試算しているが、現在では43頭まで回復。だが、メスがいない地域があるために新たなメスのヒグマの放獣計画を打ち出した。
世論調査では7割の地元住民が計画を容認するものの、羊の放牧農家らの猛反発を招いている。ピレネーでは羊乳を用いたチーズが特産品だが、クマに捕食されるなどして年間200頭程度の羊が犠牲に。クマの犠牲になったケースでは政府が損失補填(ほてん)している。インターネット上には、羊飼いとみられる男性らが、覆面姿でライフルを持ち新たな放獣を警告する過激な動画も投稿されている。放牧農家のフェレイさん(65)は「クマがいなくなっても誰も困らない。被害があるのになぜ頭数を増やすのか」と語気を強める。
「絶滅による影響の有無ではなく、われわれに種を絶滅に追い込む権利があるのか。倫理的な問題として考えてほしい」。放獣推進派のNGO「熊の地」のアラン・レネス代表は、ピレネーのクマが25万年前から生息していたことを説明し、クマと共生する意義を説く。異国のクマとの交雑が進むことへの疑問の声もあるが、「同種のヨーロッパヒグマであり、遺伝的に大きな相違はなく、生息環境や生態の類似性などあらゆる調査結果が考慮された」と理解を求める。クマなどの生息は生態系や豊かな環境が保たれていることの証しと力説し、「生物多様性と人間生活の営みの両立は簡単ではないが不可能ではない」と訴える。
熊森から
いろいろな意見があると思います。
お互いに対話するのがいいと思います。
フランスのマクロン大統領は、環境問題こそ、フランスがトップに立たねばならない。フランスは地球の未来を最も心配している国のひとつだと言われています。このヒグマ問題にはどのようなお考えをお持ちか、聞いてみたいですね。
北海道島牧村出没中の若いヒグマ、殺す必要は全くないと門崎博士 北海道文化放送
連日話題になっている島牧村に出ている若いヒグマです。
人間社会の本当の恐ろしさを知らずに、連日夜間に出て来ています。(でもちょっと怖いから、夜ばかり)
島牧村では法律で禁止されている夜間発砲が検討され、猟友会はいつでも撃てる体制が整ったと言っています。
熊森顧問の門崎博士は、電気柵などの設置を進めよ。殺す必要は全くない。そのうち山に帰ると主張されています。
熊森は、この若いヒグマは好奇心が強いだけで、人間を襲う意思などゼロだと思います。
むしろ、人間に好意を持っているのでしょう。
なぜ殺さねばならないのでしょう。
電気柵や追い払いで脅かして、ここはイヤな所だなあと学習させ、山に返すべきだと思います。
以下はUHB北海道文化放送テレビのニュースの映像です。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180814-00000008-hokkaibunv-hok
8月13日、島牧村で開かれたクマ対策会議。連日のクマ出没に、島牧村の藤澤村長は駆除に向けて警察と協議を進めていく姿勢を示しました。
藤澤克村長:「捕獲駆除を行わなければ住民に対する危害は時間の問題。夜間における発砲ができる環境を作っていく」
一方で専門家は駆除の前にすべきことがあると指摘します。
北海道野生動物研究所 門崎允昭代表:「生ごみの出し方や保管の仕方を考慮、検討すべき。出てきて困るところには電気柵を設置する。クマが1度でも電気柵に触れると2000ボルトのショックがあるので絶対その場所にクマは寄り付かなくなる」
これは遠軽町丸瀬布のデントコーン畑で撮影された映像です。クマは畑に近寄りますが電気柵を乗り越えようとしない様子がわかります。
専門家は現時点での駆除には慎重です。
北海道野生動物研究所 門崎允昭代表:「殺すという対策は、全く必要ありません」
熊森栃木県支部提出 林野庁全国森林計画に対するパブリックコメント
栃木県の里山にある農村地帯に居住されている栃木県支部長は、以下のコメントを提出されました。
1. 放置人工林が多く、これを天然林に戻すことを前提とした計画にしてください。
私の住む場所は、個人所有の小規模山持ちが多く、高齢化も著しく手入れがされない、出来ない。地形の変化も多く搬出道整備も困難。伐採適期だが材木は
売れない。また、シイタケ栽培が盛んだったので、コナラ・クヌギの広葉樹林も多い。苦労して開墾のこんにゃく畑、売れずにシイタケ林に戻ったが、同様な状態
です。20年前後で伐採し萌芽更新させていたが、7年半前の福島原発事故で生産も厳しく原木需要もなく、(負)動産化している。家屋に近い針葉樹や広葉樹は、
倒木の不安を抱えながら生活している方も多い。伐採は多大な費用が必要です。イノシシが徘徊し、農作物は防護柵設置とセットでないと耕作も困難。長い年月
で作り上げてきた里山も、政策の失敗などで井十するのも困難。せめて、森林環境税などを投入し、官民が力を合わせて里山の健全な育成を図ってください。
2. 天然林は、生物多様性の生棲域・水源涵養など多くの機能があります。これ以上減らす計画はやめてください。
栃木県の北側は、クマ・シカ・サル・イノシシなどが増加して、生物多様性域のようにもイメージされますが、野生獣の被害も深刻です。彼らたちと可能な限り共生
の道を模索するためにも、奥山に広葉樹林帯を設け、里に下りない方法も検討ください。ジビエ料理への活用も体内への放射能濃度がが高めで、駆除しても活
用されず処分されます。天然林・人工林も多いのですが、荒廃している山が多く、山道散策は歩きにくいことはなはだしいのが実情です。観光客も多数訪れます
が、快適の森林整備が訪問者へのリピート率を向上させます。そのための施策の努力をお願いします。
熊森本部提出 林野庁全国森林計画に対するパブリックコメント
以下のコメントは、室谷悠子会長が日本熊森協会を代表して、林野庁に提出したものです。
林野庁森林整備部計画課全国森林計画班パブリックコメント担当 御中
全国森林計画に放置人工林の天然林化を組み込んでください
当会は、水源の豊かな森の保全・復元及び野生動物保全に取り組んでいる実践自然保護団体です。設立以来21年間、奥山の放置された人工林を天然林に戻していくことを提唱し、自身でも地元の方と協力し、天然林再生に取り組んできました。
拡大造林政策により、天然林を伐採し奥地の奥地まで造られた人工林は、外材の輸入や木材(特に建築用材)の需要減少のため約3分の2が放置され荒廃し、沢涸れ、豪雨の際の土砂崩れ、生物多様性の低下が各地で問題となっています。林業をするには採算が合わなかったり、水源保全や治山のためには天然林で置いておくべき場所まで人工林にしてしまったことが問題の根本原因であり、現在、1030万㏊ある人工林を減らし、林業に適した場所以外は天然林に戻していくことが必要です。
来年度、森林環境税が導入予定ですが、国民一人一人から徴収される税金は、水源の豊かな森を守るために今、一番必要な、放置人工林を天然林に戻していくことに使われるべきです。
平成31年度から平成46年度までの全国森林計画案についても、造りすぎてしまった放置人工林を、天然林へ戻していくことを前提とした計画にしてください。
1 水源保全、生物多様性保全、災害防止、花粉症低減のため奥山で放置されている人工林を天然林へ再生するための計画にしてください
(1)Ⅰ の1「森林の整備及び保全の基本的な考え方」に、放置人工林の天然林化を入れるべき
(2)Ⅰの1「第1表森林の有する機能ごとの森林整備及び保全の基本方針」の「水源涵養機能」、「山地災害防止機能/土壌保全機能」及び「生物多様性保全機能」の部分に、天然林がこれらの機能に優れていることに鑑み、放置人工林の天然林化を森林整備及び保全の基本方針として組み込むべきである。
(3)Ⅰの2「森林の整備及び保全の目標」の地域ごとの保全目標に、それぞれの地域で、放置人工林の天然林化を組み込むべきである。
(4)Ⅱの1(3)「造林」について、花粉症対策として花粉の出ないスギを植えることが掲げられているが、不自然なことをすべきではなく、放置人工林を天然林化し、スギ・ヒノキ等の減らすことにより、花粉症対策をすべきである。
2 天然林が大幅に減少する計画では豊かな森は守れません。天然林が増えていく計画に転換してください
(1)Ⅰの2の「第2表森林の整備及び保全の目標」では、計画最終年である平成46年には、天然林が57万㏊減少することになっており、水源保全、生物多様性、災害防止等の機能の強化する方針と矛盾するものであり、これ以上天然林を減らすべきではなく、増やす計画にするべきである。
(2)Ⅰの2の第2表森林の整備及び保全の目標では、育成複層林が52万㏊増えることになっているが、育成複層林化は将来的に天然林に戻していくことを見すえた施業がなされるべきである。
3 林業に向き、継続的な手入れが可能な場所でのみ、自立でき、持続可能な林業が育つような施策を
(1)Ⅱの4「森林施業の合理化に関する事項」について、拡大造林により、本来林業に向かない場所にまで人工林を造りすぎたことにより、広大な面積の森林が荒廃し、地域の環境に適した強い林業を育てられなかったことを反省し、継続的に手入れがしやすく林業に適した場所でのみ人工林施業が行われるようにし、そのような場所で、自立し、持続可能な林業が育つような施策を実施すべきである。
4 豪雨の際の流木対策は、治山ダムを奥地の奥地までつくるのではなく、緑のダムと言われる天然林の保水力、治山力を生かしたものにすること(これ以上自然に逆らって、奥山をコンクリートで固めるのはやめるべき)
(1)Ⅰ の1「第1表森林の有する機能ごとの森林整備及び保全の基本方針」の「山地災害防止機能/土壌保全機能」の中に、「谷止や土留等の施設の設置を推進」とあるが、山の奥の奥までコンクリートで固めるのは生態系の破壊であり、天然林化を図ることにより、天然林の保水力・治山力を生かして土砂崩れ等を防ぐべきである。
(2)Ⅲの2(3)「治山事業」について、豪雨の際、多くの放置人工林が崩壊し、各地で土砂崩れを発生させている現状は、放置人工林の天然林を進めていくことが一番の治山対策であることを示している。流木対策として、「流木捕捉式治山ダムの設置」の推進と記載されているが、奥地をコンクリートで固めるのは自然生態系の破壊であり、天然林の保水力・治山力を生かして土砂崩れ等を防ぐべきである。
以上