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2018-09-19
2018年兵庫県クマ生息地の山の実り 本部豊凶調査 ブナ凶作、ミズナラ並下、コナラ不作
●今年の調査結果
今年も9月10日から1週間、兵庫県北部のクマ生息地をまわって、恒例の山の実りの豊凶調査を行ってきました。豊凶は、場所によって、また同じ種類の木でも木によって違うのですが、全体的には、ブナ凶作、ミズナラ並下、コナラ不作、ミズキ並下でした。
全国的に偶数年は実りがよくないと言われており、今年はその偶数年に当たります。
しかし、これまでの偶数年に比べると少し良いかなと感じました。
●ブナ
ブナ林は兵庫県にはそんなにありませんが、14か所調査しています。今年はまったく実がついていない場所が多かったのですが、少しだけ実りがある場所も複数見受けられました。
不思議な場所が一か所だけあって、今年、豊作でした。ここのブナは全体として他の場所といつも正反対の結果になるのです。
もしかしたらここのブナはDNAが違うのかもしれません。
●ミズナラ
ミズナラは21か所で調査しました。今年は場所によって豊凶の差が大きかったです。、実のなりが悪いエリアはどれも悪く、実りが多いエリアはどの木も実りが多かったです。全体としては並下ですが、地域差があるので、実りがあるエリアにクマが移動してくれれば、餌はあると思います。
●コナラ
兵庫県の本来のクマ生息地は標高が高い所が多く、コナラはあまり生育していません。コナラは9か所で調査をしました。どこも、少し実りが悪かったです。
●ミズキ
ミズキは今が一番食べごろの液果植物です。同科同属の植物にクマノミズキがあります。両種は非常に似ていますが、分布している標高や花の時期、葉の形状などが少し違います。豊凶調査ではミズキとクマノミズキを分けずに調べています。ミズキも地域によってばらつきがありましたが、場所によっては豊作のエリアもありました。
●くまもり植樹地
●ホオノミ
普段見るのは落ちている黒い実ばかりですが、これは赤い状態のホウノミです。
●クマのフン
クマのフンも見つけました。豊凶調査でクマのフンを見つけることはまれですが、見事なフンでした。中にはたくさんの木の実が詰まっていました。
●サルナシ
結構たくさん実っているサルナシがあったので撮影しました。サルナシや山ブドウはクマをはじめとする山の動物たちの貴重な食料ですが、人も焼酎付けにするなどして利用するので、道から取りやすい実は結構人間に取られてしまっています。
豊凶調査では、思わぬ発見があったりして結構楽しいです。。
クマ生息地の豊凶情報をお持ちの方は、本部まで報告していただけるとうれしいです。
クマは冬ごもりに備えて、秋にはたくさんのドングリを食べます。ドングリは豊作の年と凶作の年があるので、秋の山の実りが少ないと、クマは十分な食い込みができず、食べ物を求めて集落にやって来る傾向があります。
そこで毎年どんぐりの豊凶調査をして、その年のクマの餌が山にあるかどうかを調査して回っています。
全体的に山の実りが凶作の年は、クマの目撃件数がとても多くなります。そうなると、クマが有害捕殺されないように、また、地元を支援するために、熊森がクマ生息地の集落へ被害防除を手伝いに行く回数が増えるのでした。
しかし、兵庫県は昨年から、クマの捕殺体制を問答無用で強化したので、状況はかなり変わってきています。
こんなことでいいのか、10月13日の「兵庫県クマ狩猟3年目と大量捕殺を考える会」に、ぜひ、みなさん、お集まりください。
14:00 ~16:00(13:30開場)
尼崎商工会議所 701号2号線沿い
兵庫県尼崎市昭和通3-96(阪神尼崎駅より北へ徒歩5分)