ホーム > アーカイブ > 2018-10-27
2018-10-27
速報 残り1頭の子イノシシ、山中放獣に成功 福岡県北九州市門司区
5日間現地に通い続けてくださった熊森福岡県南里支部長から、「本日、北九州市が残り1頭の子イノシシも放獣してくれました」という電話が本部に入り、写真や動画も届きました。支部長の声は弾んでおり、本当にうれしそうでした。
残り1頭の子イノシシが山に帰っていく瞬間(南里支部長が撮影した動画の切り取り)
動画を見ると、たくさんの門司区職員の皆さんが休日返上で放獣作業に参加してくださっています。
心からこの子イノシシを助けてやろうと、みなさんが一生懸命になっておられるのが、画面から伝わってきます。
最初から職員のみなさんは、この兄弟イノシシをなんとか助けてやりたいと思っていたということで、それでこそ人間、心が温かくなります。個体数調整(頭数調整)派の研究者は別として、ふつうの国民はみんなそう思うだろうと思います。
本当に、いいことをしてくださいました。心よりお礼申し上げます。
ところが実態としては、このあと山中に逃げ込んだ子イノシシを、無数の個体数調整(頭数調整)用のイノシシ・シカ捕殺罠が待ち構えているのです。時間の問題でこの兄弟イノシシもかかると思います。
この罠にかかると槍で突かれるなどして残忍な方法で、すぐに殺処分されてしまいます。
野生動物問題を野生動物を殺すことで対処しようとしている平成日本の狂った姿です。
こちらの方も、マスコミ陣にしっかりと取材していただき、全国民のみなさんに、可能な限り殺さない対応策に切り替えるよう、声を挙げていただきたいのですが、残念ながら、マスコミは報道してくれません。
以下、毎日新聞記事(10月27日)を追加
イノシシ、残る1頭も救出 箱わなで捕獲
北九州市門司区の砂防施設に今月12日からイノシシ2頭が転落して出られなくなり、市と福岡県によって27日までに捕獲された。高さ約6メートルの壁に囲まれた施設から2頭を出すため、市と県がわなを仕掛けるなどあの手この手で「救出作戦」を展開し、約2週間ぶりに山に返された。
市によると、迷い込んだイノシシは1歳半ほどの成獣2頭で、体重約40キロ。施設は、県が近くの山からの土石流などを防ぐために設置したもので、幅約15メートル、長さ最大約25メートルのコンクリート造り。2頭は山の斜面から滑り落ちたとみられる。
野生鳥獣は簡単に保護することができず、当初は市と県は静観していた。だが、イノシシが出られなくなっている様子がテレビで流され、市に「助けてあげて」といった電話やメールが400件を超えた。このため、市と県が協議し、救出に乗り出すことを決めた。
24日に脱出用の長さ約6メートルのスロープを設置し、25日にスロープに餌を置いて誘導したが失敗。このため、26日に施設内に箱型のわなを仕掛けたところ、26日午後3時半ごろに1頭目を捕獲し、もう1頭も27日午後1時ごろに捕獲した。
現場はJR鹿児島線・小森江駅から北東に約1キロにあり、付近には団地などがある。イノシシは畑を荒らしたり、人を襲ったりする害獣でもあるが、駆除を望む声はわずかだったという。県の担当者は「再発防止策を考えていきたい」と話した。
熊森から
環境省をはじめ、日本の野生動物関係の行政は、権威や肩書のある個体数調整派の研究者に動かされており、野生動物を殺して数を低減することで野生動物問題を解決しようとしており、残虐の一言です。
しかし、一般国民は当然ながら、地元も含め、野生動物を殺したくない人がほとんどなのです。
今回の件で、行政は民意を知ったと思います。
何とか、殺さない問題解決法に方向転換していっていただきたいものです。
福岡県北九州市門司区にある砂防ダムに転落した2頭のイノシシの子、10月26日まず1頭救出成功
福岡・北九州市門司区にある砂防ダムに迷い込んだ、2頭のイノシシ。
県はこれまで、脱出用のスロープを設置したものの、失敗。
そこで、餌でスロープに誘導しようとしたものの、またしても失敗。
そこで26日、捕獲放獣に向け、箱罠を設置しました。
10月26日、まず1頭救出を伝えるテレビ西日本ニュースです。
この事件を振り返ってみます。
10月18日、朝日新聞に、以下のような記事が出ました。(記者さんに感謝)
12日の朝から2頭のイノシシの子供が北九州市門司区の川に造られた砂防施設間に転落して、脱出できなくなっている。イノシシは駆け上がろう何度も試みるが、途中で力尽き、川底を所在なげにうろつくばかり。近所の住民が忍びないとして区役所に救出をお願いしたが、門司区役所や市鳥獣被害対策課の担当者によると、野生動物が自然界の中で今回のようなアクシデントに遭った場合、鳥獣保護法の考えでは「原則として手出しをせずに見守ることになっている」ため、手出しが出来ないとの答え。
さらにイノシシは農作物などに大きな被害をもたらしていることから、福岡県が罠や狩猟による捕殺も考えている。(以上、記事の要約)
この記事を読んで、東京の動物愛護団体JAVA がすぐに反論し、6メートルの砂防堤の底に落ちた2頭のイノシシを「山に帰してあげて!」と北九州市長に要望してくださいというメールを拡散されました。
JAVAの拡散メール
記事では、「野生動物が自然界の中で今回のようなアクシデントに遭った場合、鳥獣保護法の考えでは『原則として手出しをせずに見守ることになっている』という。」とまるで鳥獣保護法の決まりで手出しできないような市のコメントが出ていますが、鳥獣保護法で、アクシデントにあった野生動物を助けてはいけないという規定はありません。そもそも、人間が作った砂防施設のせいで転落し、山に戻れないのですから、これは自然界でのアクシデントではなく、人災です。
鳥獣保護法の規定により、理由はなんであれ、またすぐ放すとしても捕獲する場合、捕獲許可が必要になりますが、市長が許可を出せばいいわけです。
ご存知のようにイノシシは農作物を荒らす悪者とされてしまっていて、全国的に有害獣駆除の対象になっていますが、それと今回の落下事故は別問題です。「イノシシは駆除している動物だから」として、今回のイノシシたちをじりじりと衰弱させ、餓死させるのは動物虐待に他なりません。
熊森から
JAVAさん、その通りです。
福岡県には熊森の支部があります。クマが絶滅した福岡県で、熊森福岡は、イノシシの棲める森を再生しようとイノシシ森協会の活動を続けて来られました。(一番の大型動物に目を付けるのが、熊森のやり方です)
さっそく会員が現地に急行。連絡を受けて、支部長たちも連日現地にかけつけて行政交渉など続けてくださいました。
どんな経緯があったのか、本部はまだ詳細を把握しておりません。
しかし、どちらにしても、北九州市がこのイノシシたちを救出して山に逃がしてやろうと決め実行されたことは、すばらしいことです。
心から感謝します。
1999年に、野生動物の頭数計算や捕殺を教え子たちの仕事にしてやろうと考えた動物学を専攻する大学の教授たちが、当時の環境庁を動かして、「鳥獣保護法改正案」という、名前は美しいのですが、中身は恐ろしく残酷な「頭数調整捕殺法案」を国会に提出しました。
熊森をはじめ全国の自然保護団体が一致団結して、この法案に強力に反対しました。クマ・サル・シカ・イノシシなどの適正頭数を人間が決めて(実際は決められない)、多過ぎていたら(実際は数えられない)、山の中にいようが無被害であろうが殺害して良いという、弱者になったことがないエリート人間たちの身勝手で恐ろしい思想です。
いったん廃案直前まで追い込んだものの、政治的な力が働いて、一転して成立してしまいました。ここから、日本の野生動物たちは、受難の時代を迎えるのです。
最初、行政担当者の皆さんは、そんな無茶はできないと非協力的でしたが、やがて中央の強い圧力で、日本国中で問答無用殺害が始まるようになりました。野生動物を数字だけでしか見ない、完全に誤った自然観に基づくものです。
シカ・イノシシ・アライグマなど、見つけ次第どころか、罠で誘引までして、おびただしい数の野生動物が大量殺害されていきました。
あれから約20年。頭数調整は、研究者や業者をもうけさせただけで、完全に破たんしています。殺しても殺しても、食料がある限り、野生動物の数はすぐ元に戻ってしまうのです。私たちの税金は無用の殺生に使われているのです。頭数調整捕殺は、生き物に優しい気持ちを持っていた多くの一般国民の心を、どれだけ傷つけてきたかしれません。できる限り殺さない恒久的な対策を考えるべきだったのです。
<数字>と<殺害>の2つだけが渦巻く頭数調整一色の今の我が国において、今回のイノシシ救出は、教育上も、国民の精神衛生上も、とても良いものでした。
北九州市長や担当部署に、お礼の言葉を送りたいです。
<北九州市役所>
〒803-8501 北九州市小倉北区城内1番1号
市長: 北橋健治様
電話: 093-582-2525(広聴課)
FAX: 093-582-3117(広聴課)
市長へのメール: https://ssl.city.kitakyushu.lg.jp/cgi-bin/enquete/registEnquete.cgi?EID=5f8dd86f0a4b077d42620afab3db8ff7
担当部署: 産業経済局農林水産部鳥獣被害対策課
電話: 093-582-2269
FAX: 093-582-1202
鳥獣被害対策課へのメール: http://www.city.kitakyushu.lg.jp/san-kei/san-choujuhigai.html