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2020-03-02
秋田県庁自然保護課 クマが増えたのではない 算出法が変わっただけ クマ生息推定数4400頭
以下、秋田魁新報2月26日より抜粋
秋田のクマ、最多4400頭「駆除強化」へ苦慮の方針転換
秋田県内にツキノワグマが中間値4400頭(2800~6000頭)生息しているという推定値を県が26日、公表した。3年連続で急増し、1000頭前後で推移していた2016年までに比べると4倍余りという水準だ。
しかし、この間にクマの実際の数が急に増えたというわけではない。どういうことなのか。
県が毎年発表している推定生息数は最近5年、次のように推移した。
2016年 1015頭
2017年 1429頭
2018年 2300頭
2019年 3700頭
2020年 4400頭
2017年以降に生息数急増
2016年までは1000頭前後で推移してきたのに、2017年以降に推定生息数が急増したことになる。
県は毎年、県内での推定生息数を算出しており、ことしの数値は2月26日に秋田県庁で開かれた県環境審議会自然環境部会で報告された。
会議で配布した資料には「本県の推定生息数は、環境省のガイドラインで示されている安定存続個体群の水準を満たしており、また、4400頭は全国的にも高水準にある」「近年、住宅地周辺での人身被害や出没等が急激に増加しており、個体数も増加傾向にある」と記されている。
“半数捕殺”でも出没止まらず
大きな転機が2016年春にあった。県北部の山中でタケノコ採りの男女計4人がクマに襲われて亡くなるという凄惨な事故の続発だ。この年、人里周辺にまで現れるクマが急激に増え、目撃数と有害駆除数はともに過去最多を記録。数字の上では、その時点での推定生息数の半数近くを捕殺したことになった。
だが、それでもクマの出没はやまず、推定生息数が実態と大きくずれているのではないかという見方が広がった。苦慮した県行政は、生息数を算出する方法を大きく変えた。
それ以前の算出法は、猟友会員らが春に山へ入り、実際に目撃したクマの数や足跡やふんなどのデータを集め、それを頼りに推定するというものだった。一方、新たに取り入れた手法は、赤外線センサーつきカメラを山中のあちこちに仕掛けてクマを自動撮影し、得られた映像から胸の三日月模様などを頼りに個体を識別し、統計学的分析を加えてはじき出すというもの。
データが毎年積み上がるにつれ、それを基に算出される数字は急増していった。 動物保護と被害防止のはざまで 26日の会議では、人間の生活環境近くへの出没を繰り返すクマにどう対処するかについての新たな方針も示された。
「毎年、捕獲するクマの上限頭数を設定していたが、毎年の捕獲数は、推定繁殖数を下回っており、結果として個体数の増加に歯止めがかかっていない状況にある。そのため、今後の方針としては人身被害の防止を最優先に、当面の間、個体数が減少に転じるように繁殖数を上回る捕獲数を設定する」(担当者)。
人身被害を防ぐため生息数の減少を目指し、毎年新たに産まれると想定される数よりも多くのクマを駆除していこうというものだ。
野生動物の保護と人身被害の防止。両者のバランスの間をどう取っていくのか、模索が続く。
以下、2月27日朝日新聞から抜粋
秋田県はこれまで、環境省のガイドラインに基づき、生息数の12%(120頭)を捕獲頭数の上限に設定してきた。
一方で県内のクマの推定繁殖数は、毎年23%ずつ生息数が増える計算となっている。このため、ガイドライン通りの従来の捕獲ペースでは「個体数の増加に歯止めがかからない」と判断し、推定繁殖数を上回る捕獲に向けてかじを切る。
熊森から
こんなの本当に大の大人が考えることなのか。真に受けて報道する方も報道する方だ。こんなまやかし、小学生でもわかることだ。熊森としては、頭が変になりそうです。
秋田県はずっと長い間、ツキノワグマの生息推定数が1000頭でした。猟師が山に入ってみて、見かけるクマの数や痕跡に変化はありませんでした。
環境省の指導は、年12%以上は殺すなですから、秋田県としては、120頭以上は殺さないように気を付けていたと思います。
しかし、平成28年に、476頭も殺してしまいました。クマによる死者4名という特別な事件があったものの、行政としては捕殺に歯止めをかけられなかったわけで、批判されるべきだと思います。秋田県のクマは絶滅に向かうのかと思いきや、平成29年にはなんと793頭もまたまた駆除してしまったのです。
秋田県としては、もう環境省に申し開きができない事態です。しかし、この時、どうもおかしいぞ。1000頭以上いたのではないかということになってきたと思います。
そこで、たくさんの自動撮影カメラを山中に設置して、推定数の数え方を変えたのです。秋田県の担当者も、クマが増えたのではなく、数え方が変わっただけといっています。秋田のクマが1000頭でなくてラッキーでした。クマ数はこれまで猟師が数えてずっと増減がなかったのですから、もし今年度の推定数4400頭が正しいのなら、昔から4400頭だったのだと思います。その中で120頭以上殺さないように気を付けてきたら、ずっと安定していたのですから、毎年23%ずつ生息数が増えるなどあり得ないことです。
推定繁殖数を上回る捕獲に向けてかじを切るとはどういうことでしょうか。
4400頭×0.23=1012頭、今後は毎年1012頭ずつ殺していくと言うことなのでしょうか。あまりのばかばかしさに熊森はついていけません。
人身事故はあってはならないことです。クマが山からどんどん出て来るのも困ります。しかし、それとクマ数は関係ありません。環境省が、クマは800頭いたら安定個体群だと言ってるので、秋田はクマ数を800頭にしたらいいと思う人がいたらそれもまちがいです。
生息推定数は神のみが知る数ですが、もし秋田にクマが6000頭いたとしても、豊かな森を造ってくれているのですから、現状維持に務めるべきなのです。人身事故を減らすためには、山から出て来るクマ数が増えないようにしたり、クマとの対応法を啓蒙したりする必要があります。最近、山からクマが出て来るようになったのは、秋田の奥山でクマが棲めなくなるような異変が起きているのかもしれません。
秋田県庁に問い合わせると、秋田の奥山を調査している研究者は、秋田県には一人もいないのだそうです。早急に秋田大学などに依頼して調べてもらうべきだと思います。
最後にもう一度言いたい。生息推定数が4400頭になったことと、クマを大量捕殺していくように舵を切ることは、何の関係もない話です。小学生でもわかることです。4400頭がどこまで真実に近いのかということすら、誰にもわかりません。1000頭ではなかったようだとは、今となっては思いますが。
再度書いておきますが、秋田県庁担当者に電話をすると、クマが増えたのではなく、算出法が変わっただけですという回答でした。それならそれで、マスコミの駆除強化という言葉を訂正指導すべきだし、大量捕殺に走らないようしっかりとブレーキをかけていっていただきたいと思います。熊森は今後も秋田県を注視していきます。(完)