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2020-12

<祝>石川県小松市のクマ止め林づくりクラウド・ファンディング、早々と目標額500万円達成

石川県小松市×かが森林組合プロジェクト

ふるさと納税で応援(ガバメントクラウドファンディング)

・・
クマを森に帰そう!
豊かなドングリの森づくりで、
・・
人と野生動物の共生を
目標額、達成!
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<以下、中日新聞12月2日記事より>

森林再生のために植栽するかが森林組合の組合員=小松市内で(かが森林組合提供)

森林再生のために植栽するかが森林組合の組合員=小松市内で(かが森林組合提供)

 

食べ物を求めて人里に現れるクマの出没を減らそうと、小松市とかが森林組合(同市)は、豊かな餌場をつくる森林整備のため、ふるさと納税を活用したクラウドファンディングで寄付を募っている。クヌギやコナラなどドングリの実をつける広葉樹を植栽する。目標金額は500万円。

 市には今年、例年の約5倍の225件のクマの目撃情報が寄せられ、人身事故が2件起きている。冬眠前のクマの餌のドングリが凶作で、餌を求めて住宅密集地まで出没するクマが後を絶たない。森林の手入れが行き届かず、里山が荒廃し、人里との境目があいまいになったことも出没の要因とされる。
 寄付金は放置林の除去、森林の間伐や植栽、苗木の生産などに活用する。ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス ガバメントクラウドファンディング」で受け付けている。募集は来年2月24日まで。
 開会中の市議会一般質問で8日、岡山晃宏議員=会派自民=がクマの餌不足対策を質問した。市産業未来部の林活歩部長は「伐期を迎えた森林の再造林を進め、クマがすみやすい環境づくりに必要な森林を整備したい」と話した。
(問)市財政課ふるさと納税推進チーム0761(24)8068 (長屋文太)

 

小松市岡山晃宏市議の質問

1.有害鳥獣対策について

今年も集中豪雨により、球磨川の氾濫など天候による災害はありましたが、それ以外に新型コロナウィルス、感染症、クマの出没と、生き物が絡む災害ともいうべき被害で日本中が大混乱した年になりました。

本市においてもクマによる人身被害が出てしまったことは残念ではありますが、消防署や消防団、警察、市の職員や関係者の皆様には、昼夜を問わず、監視の強化や、薮払いなど今できる最大限の対策をとっていただいたことに、心より感謝申し上げます。

 

 ・緩衝帯の整備について

クマが人里に降りて来る原因もいろいろあるようですが、長い目で見るとクマ対策、有害鳥獣対策は、野生獣と人との棲み分けをめざす里山の整備が必要だと考えます。一昔前は里山では、畑で多くの人が仕事をし、薪炭材として木が伐採され、移動しやすいように道が造られることにより、自然と緩衝帯ができ、里山には実のなる広葉樹が多くあり、野生獣との棲み分け・共生が成り立っていたこと、それが、過疎化や林業の後継者不足などで管理ができず、耕作放棄地や里山が荒れて行ったことを聞いたことがあります。これまで野生獣の出没抑制の緩衝帯整備は、県の石川森林環境税を使って整備され、昨年から交付が始まった国の森林環境譲与税は、本市では県の事業と重複しないよう、森林管理者や境界の調査、森林管理に必要な人材育成、木材利用の普及の促進、森林状況調査などに使われてきました。根本的な鳥獣対策は、里山の再生につながります。そのような意味で里山の再生をめざす国の森林環境譲与税の使途を、人工林の伐採や緩衝帯整備に迄広げることはできないでしょうか。本市の見解をお聞かせください。

 

・エサ不足への対応について

次に餌の確保についてでございます。熊が人里に降りて来る原因の一つが山林のえさ不足と言われています。えさとなる木の実の豊作凶作だけでなく、気候変動や酸性雨により木が枯れていることも懸念されています。今年捕獲されたクマは、胃の中が空っぽでやせ細っていたとお聞きしました。クマは本来、落ちた木の実は食べないと言われていますが、ドングリを集めて獣道に置いたら、夜食べに来たり、糞の中に普段は絶対に食べないギンナンが確認されたりと、クマも生きるために必死で食料を探していたと思われます。そのような意味で実のなる木を里山に植樹することが必要と考えます。樹種としてクヌギ、アベマキ、ナラガシワ、クリ、サルナシ、コバノガマズミや春から初夏にかけて実がなるサクラなどがよいと聞きました。これらの実のなる木は広葉樹であり、人工林を広葉樹林化することは森林環境譲与税の目的のひとつでもあります。森林環境譲与税で植樹を行うようにすることはできないのでしょうか。本市の見解をお聞かせください。

<以下、石川県かほく市塚本佐和子市議のブログより>

 

小松市でのクマの出没 人身事故は深刻

今年は例年の5倍を超えるクマの出没

人身事故も多発

市民の方は 不安を抱える日々を送られてこられたと思う

・・

クマは本来

人目を避けて暮らす動物でありますが

主食であるドングリの実が不作で

食べ物を求めて人里に下りてきたものと考えられておりますが

 

この度 小松市では

長いスパンを見て(おそらく持続可能にするために)

豊かな森の生活者クマが棲みやすい

環境づくりと循環型の森林づくりを進めるため

人の野生動物の共存をテーマにしたプロジェクトとして

ふるさと納税で応援していただこうと募集を開始しました

 

プロジェクトは

ドングリの実を付ける広葉樹(クヌギ、コナラなど)を植栽し

クマの餌場と豊かな森をつくることで

クマが人里に降りてこなくても冬を越せるよう取り組みです

 

小松市!すばらしい

 

本市としては

今年はクマの出没はございましたが

人身事故はございません

 

しかしながら

森林が荒れていることや

人と野生動物のすみわけがわかる境界線がなくなっている現状もあり

今後のことも踏まえ

クマ対策についてお考えいただく必要はございます

(ということで 12月8日の一般質問ではクマ対策について質問いたします)

 

自然

森林の復興まで長い時間がかかりますが

何もしないよりまし

時間をかけて 森を取り戻そうとする動き

参考にさせていただきます

 

熊森より
・・
人間活動によって昆虫、サケ科渓流魚、木々の実り、山中の全ての食べ物が消え、冬ごもり前の食い込みができず、生きられなくなり、おなかをすかせて山から出てきたクマたちを、全部撃ち殺してしまう。今、日本中でしていることは、恥ずべきことで、人が狂ってしまっています。人間のすることではないと思います。
小松市が、今年もクマが山から続々と出てきたのは、山の実りが消えて、クマが餌不足に陥っているからと、原因を正しく特定してくださったことに、心から拍手を送りたいです。
・・
では、どうしたらいいのか。
・・
えさ場復元しか、共存への道はありません。
・・
このクラファン、もし集まらなかったら、熊森が補填しなければならないだろうと考えていましたが、それにしても500万円は大きなお金です。
どうしたものかと思っていたところ、うれしいことに早々と目標達成がなされたもよう。やれやれ。
2月24日締切の予定が、現在すでに、624万円になっています。
熊森は、日本初、小松市の英断に拍手です。
森林環境譲与税を使うという手もあります。
他の都道府県市町村も、小松市に続いてください。

何度でも訴えたい 石川の山からクマたちの命の糧、ミズナラの木が消えてしまっているのです

2005年時の石川県白山のミズナラ巨木の総枯れ写真です。当時、車で2時間ほど白山の周りを走りましたが、延々と山が真っ赤でした。この世の終わりを感じました。

 

北国新聞2005年8月トップ面

 

次は、石川県白山の2年後の写真です。

枯れたミズナラ巨木群が白骨死体のように見えます。主原憲司先生提供

 

現在の白山の写真

ミズナラの巨木が倒れた空間は、何事もなかったように、他の広葉樹が枝を伸ばして埋めています。

 

白山の山は今も、一見、素晴らしい自然林です。

しかし、何度でも言いたい。クマが冬ごもり前の命の糧にしてきた大きなドングリの実を大量にもたらすミズナラ、野生動物たちの命を支えてきたミズナラの木が消えているのです。

 

環境省も地方自治体も、担当者は3年ごとに新しい人に変わるため、新しい担当者は15年前にほとんどミズナラの木が消滅したことを知らないことが多いのです。

 

これでブナまで大凶作のゼロとなると、クマはもう生きていけません。この歴史を知らないと、クマがえさを求めてどんどん山から出て来るという現象を見て、クマが増えて山からあふれ出してきたという見解になってしまうのです。

 

ナラ枯れの原因は解明されていませんが、200年も300年も生きてきたであろうミズナラの巨木が一気に枯れてしまったことを思うと、ナラ枯れは、昨今の人間活動の結果である地球温暖化や大気汚染が原因であると思われます。

 

国は、ナラ枯れの原因を5ミリほどのカシノナガキクイムシのせいにしていますが、責任転嫁している間は、問題は解決しないと思います。

 

かつて大量の実りをもたらしていた、大きな実が大量に付くミズナラの木

 

1本のミズナラの巨木が100キロのドングリを落とすとすると、4本あるだけで、秋のクマ1頭の食料を賄えるのではないかと思われます。(以前15年生のクヌギを調査した時、1本の木で、10キロのドングリを落とすことが分かりました)祖先が残してきた奥山は、人間の予想以上に、数多くのクマたちを養っていたのではないかと推察されます。

それが、今や、ああ・・・絶望的です。

 

ナラ枯れの跡地にミズナラの稚樹を見かけた場所もありますが、まだまだ実をもたらすまでには至っていません。

会報105号まもなくお届けします!

もう2020年もあとわずかとなってまいりました。皆様お忙しい毎日をお送りのことかと思います。

新型コロナウィルスの新規感染者が再び増加、イギリスでは変異種が出てきたとのことで心配は絶えませんね。しかし、コロナに負けてはいられません!来年こそはコロナ禍であっても自然保護活動を前進させていきます!

 

今年はクマが大量に里、市街地に降りてくるという異常な年でした。ナラ枯れの影響は大きいです。そんな中で熊森がやってきた活動、成果をぎゅっと詰め込んだ『くまもり通信105号』完成いたしました。

 

コロナの感染再拡大の中だったため、ボランティアさんを広く募るのは今回はやめにしました。普段から事務所に来てくださっているボランティアさんや、お声掛けくださったボランティアさんと本部スタッフで発送作業を行いました。

まもなく、皆さんのお手元に届きます!

 

皆さんにご協力いただいた署名の提出をはじめ、各支部でも活発な動きが始まっています。

専門家からの提言では、山の中で本当は何が起きているのか、長年にわたり現場主義で森を見続けてこられている専門家のお二人のお話をまとめています。

 

是非多くの皆さんに読んでいただきたい内容となっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<くまもり通信105号目次>

・グラビア

奥山自然林実り調査    岐阜県本巣市

国会にクマ罠規制を求める署名提出 26798筆

・巻頭言

共存する文明への転換を急げ  会長 室谷 悠子

・特集 クマにドングリプレゼント 石川県支部

来春くま舎完成予定  石川の子ぐま

・専門家による提言

棲み分け環境を取り戻す 主原憲司氏

森の生産力の回復を   金井塚務氏

・本部国会活動

署名を提出し、政務官(環境大臣・農水大臣)に、クマとの共存政策を要望

・支部 祝徳島県支部設立記念シンポジウム

・森再生

四国トラスト地で実のなる木初植樹  徳島県支部

麻生林「平出の森」の整備始まる   滋賀県支部

東栄町で初のフィールド活動     愛知県支部

・会員 山と子育て・新規法人会員紹介

・太郎と花子のファンクラブ

・とよファンクラブ

会報発送風景

 

 

 

 

 

とよ君、今年は早々と冬ごもり

12月15日、大阪府豊能町高代寺山の山頂に初雪が降りました。(すぐにとけてしまったようです)

15日のお世話日誌(ラインで毎日本部に送られてくる)によると、この日は飲み水に氷が張っていたということです。

とよは、寝室にこもったままで、入れてもらった藁を、好みの形に整えていたそうです。

冬ごもりに入るんじゃないかなと、思わせました。

本部は、2020年のとよの冬ごもり開始は12月15日と記録しました。(やはり、とよは初雪が降ったら寝る)

 

12月20日に、藁を足しに行ったところ、とよはなかなか寝室から出ようとしなかったため、ブドウなどでおびきだしました。ゆっくりした動作で運動場に出てきて、食べ終わるとすぐに寝室に戻ろうとしました。(冬ごもり中を起こした感じ)

冬ごもりを確認するために、寝室から運動場に出る引き戸を10センチだけ開けて帰りました。

 

12月22日最終確認に行きました。

引き戸は10センチ開いたままです。

運動場に出た形跡はありません。(出たければ、とよは自分で引き戸を開けて出ます。閉めることはできません。)

運動場に置いていたリンゴもブドウも食べていません。(ドングリしか食べない時期は、もう終わっている)

引き戸10センチ開いたまま、運動場のリンゴもブドウも手付かず。

 

寝室の餌箱に入れたボールの水を飲んでいるかどうか調べました。

餌箱に、少しだけ糞がしてありました。

今年最後の糞です。間違いなく冬ごもりに入っていることがわかりました。

触ってみましたが、無臭で、いつもの糞と変わった点はありません。

水入りボールの水替えをして、餌箱に戻しました。

 

とよが冬ごもりに入ったことを示すポスターを張りました。

とよ、来年3月にまた会いましょう。

私たち人間は、今年もとよにどれだけ癒されたことか。

とよ、ありがとう。

今頃は、野山を駆け巡る夢でも見ているかな。

ゆっくり冬ごもりしてね。

お世話隊を見つめるとよ

 

副住職さんがやって来られて、コロナのため、今年の除夜の鐘はお寺関係者だけでつくことにしましたと言われ、そのことを伝えるチラシを張られました。

 

殺処分されそうになっていたとよを助けてくださった、優しい住職さんのお寺です。

お寺の御朱印が、とよになっていて、びっくりしました。

住職さんがデザインされたそうです。

この御朱印にはご利益があるかもしれないと思いました。

今、参拝記念に御朱印を集めるのがブームだそうです。

高代寺の御朱印はいかがですか。

 

 

来年は、獣舎のペンキを塗りなおした方がいいな。

とよのとなりの部屋が空いたままなので、冬ごもりが明けたらとよに両方の部屋を使わせてあげるといいな。

いろいろ思いながら、帰途につきました。

今後は、近くに住む会員たちが、時々そっと冬ごもり中のとよの安否確認に行ってくださいます。

この1年、とよのお世話をしてくださった皆さん、とよに会いに来てくださったみなさん、遠くからとよに声援を送ってくださっていたみなさん、ありがとうございました。

とよは、まだ完全回復とまでは言えませんが、昨年の原因不明の両後肢マヒから見事に立ち直って、夏からは、また再びプールにも入れるようになっています。来年もあたたかく見守ってやってください。

 

 

熊森と新潟県村上市の猟友会員の意見が一致

ネット情報からです。

 

以下は、新潟県村上市三面地区 最後のクマ猟師、須貝時栄さん(82歳、三面川鮭産漁業協同組合)の発言です。

 

ー 昔、猟師をやっていた頃、クマが人里に下りてくることは? 「考えられなかった。出てこなかった。それは、山にたくさんえさがあったから」 須貝さんがかつてクマを追っていた山の様子も、やはり変化していました。

 

「こんなのしかない。本来であれば大きいドングリがあるけど、これしかない。今年で2年目だ。(山の木の実が)全部が駄目なんて年はない」 須貝さんは「新世代クマ」という言葉は使いません。クマは本来、人間を怖がる臆病な動物。その性質の根本は変わらない、と信じています。

 

「自然が壊れているから、クマがやっぱり里に下りてくる。一言で言えばそういうことだと思う。自然が壊れている。誰を恨むことはないけど、私たちの生活様式が変わって、人が一番問題なんじゃないでしょうかね。人間が一番問題。クマじゃなくて」

 

熊森から

昔の山を知っている方は、正しい自然認識がなされていると思いました。

山から出て来るクマの緊急避難対策 どんぐりを運ぶと、クマが山の中にとどまります その2 

去年に引き続き、今年もまた日本は、5000頭以上のツキノワグマを大量殺処分しました。熊森は、兵庫県本部から上京して環境省を訪れ、殺さない対応策をとるよう都道府県を指導してほしいと頼みに行ったのですが、クマ対応はもう都道府県におろしてあるとして、全く取り合ってもらえませんでした。

 

これまでも環境省鳥獣保護管理室のクマ担当者たちに、かつてクマが生息してきた山がどうなっているのか、一度でいいから案内させてほしいとお願いしてきましたが、現地を見に行くのは自分たちの仕事ではないとして、応じていただけていません。現場を見ないと、山で何が起きているのか、絶対にわからないと思うのですが。

 

クマの殺処分を伝える今年のテレビニュースは、「これで安心ですね」という言葉で終わります。

 

こうして多くの国民が、子供たちに至るまで、これで安心なんだとクマ殺処分を肯定的にとらえるようになっていきます。

 

なぜ、次々とクマが山から出て来るようになったんだろうか、なぜ、市街地にまで出て来るようになったんだろうかと、以前の私たちのように疑問に思って調べてみる人はいないんでしょうか。

 

2020年は、私たち日本人がツキノワグマ絶滅の引き金を引いた年として、この国の歴史に残る年になることでしょう。

 

市街地にまで出て来たクマ(石川テレビより)

 

 

 

以下は、支部からの報告です。

 

今年も、山の実りが大凶作でした。

クマが連日山から出てくるようになり、人身事故が多発しました。

クマは見つかり次第、県の方針で殺されていきました。

人身事故が起きないように、また、クマが山から出てきて殺されないように、私たちは、山にドングリを運びました。

山に重いドングリをトンレベルで運び上げるのは過酷な重労働で、女性陣の中には腰を痛める人も出ました。

しかし、ドングリを一生懸命集めて送料まで負担して送ってくださった人たちのことも思い、支部員一同、確実にクマに届けるという使命感に燃えて、猟期が始まる11月15日まで続行しました。

ドングリを集めて送ってくださったみなさん、本当にありがとうございました。

 

実際のドングリ運びについて書きます。

まず、クマの目撃情報や現地の地理情報などを多く集め、分析して、クマが間違いなくいるあたりの山を慎重に探し出します。

ドングリを運ぶ山は、人間によって完全に自然生態系が破壊された人工林内か、すでに人間によって自然生態系の撹乱が終わった二次林です。自然生態系が残された原生林に運ぶことは絶対にしませんので、ご安心ください。

 

 

山に入ると案の定、クマの糞でいっぱいでした。

どれも、ギンナンを食べた糞ばかりでした。

口の中がかぶれないのだろうか。

肝心のおいしい種の中は、全く消化されていないが、少しでも養分は吸収できたのだろうか。

本部が以前、山の実りなしという大凶作年、兵庫県でもギンナンの糞がいっぱい見られたといっていたので、この糞も、空腹で苦し紛れに食べたのだろうか。

 

ギンナンの黄色い糞

 

 

人間の与えたドングリなんて、人間のにおいがついているから、絶対にクマは食べないと、実験もせずに言う方がおられますが、きれいに食べて殻だけになっていきます。

ドングリを運び続けているうち、あたり一面にあったクマのギンナン糞がドングリの糞に次々と置き換わっていくようになりました。

 

ドングリを食べたクマの糞

 

本部によると、飼育中の元野生グマ10歳オスは、秋の食い込み期になると、一日中ドングリを食べ続ける王になり、大きな塊の糞を一日約10個するそうです。

 

何カ所かに自動撮影カメラをかけて、チェックしてみました。映っていたクマたちに、次々と名前を付けていきました。

焼け石に水かもしれませんが、この近辺ではクマが山から出て来なくなりました。こうして、捕殺されるクマも、人身事故も、減らすことができました。

 

 

元版は動画です。(ドングリを食べに来たクマ)

みんなとても素直な顔をしています。

 

 

熊森本部から

 

どんぐり運びは餌付けだからやめろという人がいます。

餌付けって何だろう?

辞書で調べてみました。

餌付け=野生動物をならして、人の与えるえさを食べるようにすること。

 

熊森が大々的にどんぐり運びをしたのは、山の実り全てゼロというありえない異変が起き、冬ごもり前の食い込み用木の実を求めて山から出て来たクマたちに前代未聞の大量殺処分がなされた2004年です。

ところが、次の年は、なぜか山の実りは大豊作でした。

すると、クマは一斉に山から出てこなくなり、目撃数も激減しました。

熊森のどんぐり運びが、餌付けになどならないことが確認されました。

第一、クマにドングリを与えて、クマがドングリを食べるようになることに、問題があるとは思えません。

 

大量捕殺年にドングリを運ぶ一方で、熊森は本来の仕事であるクマ止め林づくりや奥山広葉樹林化に励んでいます。

ツキノワグマ海外事情 ~台湾の場合~

日本のクマが次々と捕殺されることに胸を痛めた台湾出身の熊森会員さんから、以下、台湾のクマ情報をご提供いただきました。

 

台湾出身会員から

ツキノワグマを取り巻く環境は、台湾も日本と似たようなもので、かなり厳しいです。ただ、台湾の人々、メディア、政府含めて、まだ台湾の方が『普通の感覚』を持っていて、現状に心を痛め、問題を感じる人が多いような気がします。日本にも、より多くの人々に現状を知ってもらい、声をあげてもらわないといけないと思います。

 

記事紹介日本語訳① けがをしたツキノワグマ、台湾はこうする

https://e-info.org.tw/node/227399 (10月15日の記事)

 

 

 

 

 

 

 

 

10月1日 一頭のツキノワグマが台中の果樹園畑でイノシシ罠に誤捕獲されました。農家はすぐ役所に通報し、その後、固有種野生動物保護センター(政府関連機構)の専門家及び獣医5名が現場に駆け付けました。

現場では、ツキノワグマの左の前足が罠に引っ掛かり、けがをしたことが確認できました。
ツキノワグマを救出した後、早速固有種野生動物保護センターに搬送し、傷口に対し、骨の切断や薬塗りなど緊急処置を施しました。

獣医によりますと、傷口が順調に回復しつつあるが、完全回復するまであと 2~3週間かかる見込みです。その後、ツキノワグマを放獣する予定です。

 

記事紹介日本語訳② けがをするツキノワグマを減らすために、台湾が検討していること

https://e-info.org.tw/node/228045 (11月16日の記事)

 

 

 

 

 

 

 

 

11月15日 行政院長 蘇貞昌氏(日本でいう総理大臣)は固有種野生動物保護センターを訪問し、けがをしたツキノワグマ(あだ名:七ちゃん)を見舞いました。

 

蘇貞昌氏は専門家や固有種野生動物保護センターのスタッフに対し、今まで野生動物保護の尽力に対し、感謝の意を表します。

 

また、政府は野生動物保護をより力強く推進すべきと述べ、具体的にくくり罠の禁止、違法罠設置の取り締まり強化や罰則の引き上げなどを検討するとのことです。

 

また、野生動物による農家の被害に関して、政府は電気柵の設置に補助金を出すなどの施策を検討し、地形の制限で電気柵を設置できない場合、クマがかからないくくり罠を農家に普及させます。

 

台湾出身会員から

日本は、ツキノワグマを殺すのが当たり前の異常な国

海外では、ツキノワグマのような絶滅危惧種動物を守るのは当たり前で、しかも、政府が先頭に立って対策立案、実行するのは普通です。
世論も政府がそうするように、プレッシャーをかけています。

一方、日本では逆にツキノワグマを殺すのが当たり前になっていて、熊森のように、一生懸命ツキノワグマを救出する事例がどちらかというとレア ケース。

そろそろこの異常さに気づいてほしいです。

今年、高速道路沿いでけがをしたクマが殺処分された話や、北海道で電車と接触したヒグマが弱って亡くなってしまった話がありましたが、いずれも救出してやろうという日本人の動きはありませんでした。

 

熊森から

会員からの海外の情報、本当にありがたいです。日本が遅れている部分を知り、国民に訴えていけます!

徳島県支部設立記念シンポジウム、会場50人、ウェブ参加35人、盛大に開催

11月14日、熊森徳島県支部は、「くまともりとひと~わたしたちのこれから」をテーマに、設立記念シンポジウムを徳島市の市立図書館に併設されたシビックセンターで開きました。

 

シンポジウムには、四国4県から熊森会員だけでなく新聞報道などで開催を知った非会員を含め計約50人が会場で参加したほか、会場の様子はインターネット中継され、約30人がウェブ参加、入場時の体温チェックや着席の間隔を確保する新型コロナウイルス感染防止対策を取り入れながら、盛大に開催することができました。

 

大西さちえ支部長は開会のあいさつで、今年6月には人工林の皮むき間伐のため、今回のシンポジウム直前の11月12日には初の実のなる木の植樹のため、急峻な山道を2時間かけて、絶滅寸前といわれる四国のツキノワグマの生息地でもある徳島・高知県境の熊森四国石立山トラスト地に登り切って作業したことを報告。「会場には徳島、高知、愛媛会員の他、香川県で熊森の支部をつくりたいという人も来られています。四国のみんなで力を合わせて、くまもりの輪を大きくしていきましょう」と笑顔で呼びかけました。

 

続いて、滋賀県知事を2期8年務められ現在は参議員議員の嘉田由紀子熊森顧問と、徳島県旧木頭村の元村長の藤田恵熊森顧問が記念講演をしてくださいました。

 

記念講演要旨

 

●嘉田由紀子顧問

「奥山からの総合的な流域治水こそが多くの命を守る」

 伐採寸前の滋賀県のトチノキ巨木群を裁判までして守ってくださったのが熊森協会です。弁護士の室谷会長です。本当にありがたい。
今年7月の九州豪雨で熊本県球磨川が氾濫し、死者50名。これによってダム必要論が再浮上、中止された川辺川ダム計画の復活の動きも出てきました。ダムに頼らない治水を訴えてきた私としては、ダムがあれば50名の死が防げていたかを現場を訪れ徹底的に調査しました。結論として、川辺川ダムがあれば救えていた命は3名です。

吉野川の河口堰もいつ復活するかわからない。水を流すための河川掘削や浸水する恐れのある地域に建物を建てないなど、奥山からの総合的な流域治水こそが多くの命を守ります。

 

●藤田恵顧問

「日本は森再生に取り組むべき」

 全国各地で連日クマが山から出てきました。あれは山に餌がないからですよ。昔は木頭村でも奥山に行けば、大きなブナの木があり、クマは大木の洞などに寝て暮らしていました。森にはいろんな種類の木がありましたが、今は全くありません。国は拡大造林政策で1950年代から広葉樹を次々と伐り、スギなど針葉樹を密植したまま放置してきました。山の保水力は失われ、近年、豪雨時、山崩れなどの災害が頻発するようになりました。学者は御用学者ばっかりで、拡大造林の「カ」の字も言わない。マスコミも忖度して一切書かない。そんな中、拡大造林政策の弊害を熊森協会は一貫して指摘してきた。本当にすごい団体だ。
(森が豊かだった頃の徳島の森のイメージ写真を何枚も映し出しながら)今の徳島の山を自然だと錯覚しないでほしい。昔の豊かだった時の山の姿を知ってほしい。今後は、スギと広葉樹を交互に植えて針広混交林を造ったり、広葉樹林を再生したりしていかねばならない。砂漠緑化に成功したすごい人がいる。砂漠緑化に比べたら、日本の森再生はもっと容易なはず。熊森が進めようとしている森再生は、きっと日本で成功する。日本熊森協会の実践活動に大いに期待しています。

 

後半プログラム

 

●本部クマ保全担当、水見竜哉研究員

「自然保護団体として、今回初めて四国のツキノワグマのために実のなる木を植えた」

 水見竜哉研究員が、四国のツキノワグマをめぐる現状や四国の山々で放置人工林が広範囲に及んでいる様子をスライドを使って基調報告。「自然保護団体として、今回初めて四国のツキノワグマのために実際に実のなる木を植えることができました」と喜び一杯に報告。今後も、50メートル四方の群状間伐と広葉樹の植樹を継続していきたいと意欲を語りました。

 

●森山まり子名誉会長

「自然保護団体を大きくして、地球環境破壊に歯止めを」

最後に森山まり子名誉会長が、戦後の林野庁の「拡大造林政策」と、1999年に導入された環境省の「ワイルドライフ・マネジメント政策」、この2つの誤った政策により、日本の森や動物、地元の人たちが、悲鳴を上げています。

今年も、何の罪もないどころか人間活動の被害者であるクマが害獣のレッテルを貼られ、連日、大量に捕殺されていきました。私たちは毎日胸のつぶれる思いでした。クマが山から出て来るのは、生息地であった奥山の自然環境が破壊されたからで、この問題を解決しなければ、私たち人間もやがて生きられなくなります。

他生物や次世代に責任を持つ大人として、熊森がもっと大きくならなければならない。会員をもっともっと増やして、私たちが声を上げていかなければならないと、熱っぽく語ると、会場は大きな拍手に包まれました。

みなさん、ありがとうございました。

森の劣化によるクマ個体群の衰退 ー捕殺より 森の生産力の回復をー 金井塚務氏に聞く

メディアは「クマが出て騒動になっている」という事象しか伝えません。今森の中で何が起こっていて、今後どうしていかなければならないのか。宮島や西中国山地で野生生物の研究を進める環境NGO広島フィールドミュージアム代表 金井塚務氏にお話しいただきました。

金井塚先生にズームでインタビュー

生息地を移す「ドーナツ化」
広島県では1975年に初めてクマの有害鳥獣駆除の事例がでて、それ以降年々有害鳥獣駆除が増えています。西中国山地ではクマが絶滅の恐れがあるという指定を環境省より受けています。1994年に狩猟禁止の措置がとられたが、そこから急に有害鳥獣駆除が増えました。2000年以降は隔年ごとに大量出没が見られ、広島県では2002年、2004年と大量捕殺されました。隔年で出てくる傾向が3回くらい続いた後、それが3年、5年と間遠になってきて、それもクマが集落にそれほど多く出てこなくなっています。個体群が縮んできているという恐れがあります。

1994年度以降狩猟による呼格禁止措置がとられるが、有害鳥獣による捕獲数が激増している。1975年以降に有害鳥獣による捕獲が顕著に増えていることに注意。

西中国山地では、5年毎に再捕獲調査という形で個体群推定の調査をしています。信頼度としては疑わしく絶対数が推定できるわけではありませんが、繰り返して調査をすると、一定の傾向は見て取れます。中核地域の生息数に一定の係数を掛けて、ランク分けされ地域の面積を掛けて、全体の頭数を推定します。ところが目撃された外周を生息域と呼んでいるので、生息域というのは年々広がっています。面積が広がると、広がった分だけ数が増え、過大に見積もってしまう可能性があります。しかし、中核地域、本来の生息域では、生息密度が低下している可能性が高い。例えば細見谷地域でビデオカメラを設置して調査を続けていますが、クマの痕跡やビデオカメラに写る頻度が年々低下しています。クマが本来の生息地で生活しきれなくなり、生息場所を移す「ドーナツ化」が起こっている可能性があります。「生息域が広がる」というのは、クマの数が増え人口爆発が起こって広がっているのではなくて、クマが生産力の落ちた奥山から分散して人間の生産物に依存する生活に適応しながら、里へ広がってきているということなんです。

細見谷渓畔林。群を抜く生物多様性と西中国山地の原生的自然を保持し、絶滅の恐れのあるツキノワグマ個体群の中核的生息地ではあるが、近年ここですらクマの痕跡の低下がみられる。

 

深刻な森の劣化
一方で森はというと、1960年代に広葉樹林帯を大面積皆伐し、そこにスギ・ヒノキの造林地を増やしていきました。川にはダムがどんどんできて、支流には砂防ダムができて、「森の生産物が川を伝って海へ流れて、干潟を養ってまた戻ってくる」という循環が切られていきました。川を遡上してくるサケ科の魚などが森に帰っていけなくなる。私たちは調査をして、クマはサケ科の魚、渓流魚を冬眠前の秋にかなり集中的に食べていたのではないかと考えています。それが断ち切られてしまったのが、1970年前後。サケ科の魚が豊かな地域の人に聞くと、「今でもクマは魚を捕っているよ」と。環境があれば食べるんです。そういう環境が失われてしまったことが問題なんです。魚は毎年上がってくるので、安定的に捕れ、栄養価が非常に高い上に消化率も高い。ドングリが重要でないとは言わないが、栄養的にも消化の面でも動物質に比べてあまり優秀ではありません。さらに、クマは春から夏にかけてのハチ、アリ、アブを食べ、昆虫など動物質のものに頼ります。今山では、集中豪雨などで表土層が流され、そうした昆虫類が減少してしまってあまりいません。そのことがクマをはじめとする野生動物にかなり深刻な状況を生んでいます。

サケ科魚類のゴギ(左)とアマゴ(右) サケ科の渓流魚は水温上昇に弱い。人工林化による保水力の低下や渓畔林の衰退は、水温上昇をもたらす要因となる。

西中国山地の裾野はずっとクリ林が広がっていました。1950~1960年代、戦後復興の枕木としてどんどん切り出され、クリがなくなる。さらにはクリタマバチでクリがやられる。ミズナラ、コナラくらいしかなくなって、ごくごく限られたものに頼らざるを得なくなったクマたちが、高密度に生活できるわけがない。一方で人は二次林の利用をやめて、都会へ出て行き、過疎化していきます。残るのは利用されない二次林。そこにコナラ、クリが残る。そこがクマや野生動物の利用の場になるのは当たり前のことです。森は冷温帯落葉林が外観としてはあるが、その内容はかなり劣化していて、大型野生動物を養うだけの生産力がなくなっている、それが原因なんです。クマが増えているというが、集落周辺が増えているだけで、奥山には全く増えている傾向はありません。

 

対処療法ではなく、根本解決を
【熊森】現象だけ見ていると「激増」となって、有害捕獲を前提として生息推定数を出して、大量に捕殺しています。それを繰り返してしまうと、新潟、石川のような生息数が安定していただろうという地域においてすら、絶滅の危険が出てくるのではないでしょうか。
なります。むしろその方が危険。実際にはドーナツ化が起こっているのに、事故を起こす率が高まって、それを全部除去してしまうと、個体群が衰退してしまいます。歴史的に森林の状況や河川の状況を見て、生物層がどれだけ劣化しているのかを考えると、増える要素がない。東北にしても中部山岳地帯にしても森林の生産力、樹木だけでなくて川の生産力が劣化しています。これは自然の問題というよりは人間の社会政策の失敗です。

ツキノワグマ分布の経年変化。「生息地の拡大」と言われるが、実際には「ドーナツ化」

里に出たクマは何度でも奥へ持って行って放獣するということを繰り返す必要があります。行政は「住民の反対がある」と放獣をしようとしないが、こういう危機的な状況だからと対策をとらねばならなりません。
環境省はガイドを出し800頭を超えたら、超えた分は捕殺してよいと言っているが、その根拠はありません。有害鳥獣駆除をベースにした個体数推定をすると簡単に800頭を超えてしまいます。それは捕殺するための数字であって、本来の個体群維持になっていません。目撃数や、有害鳥獣の捕獲数をベースにして調査をする個体数推定数というのは無理がある。もっと条件を厳しく吟味しなければなりません。環境省にしても林野庁にしてもシカやイノシシの個体数が増える政策ばかりしています。うっそうとした森林にしていけばそんなにシカやカモシカは増えません。だいたいクマが増えるとシカの個体数を抑えることができます。林道を通したり、斜面を切って風力発電やメガソーラーを設置すると森林を傷つける、それでイノシシやシカが爆発的に増えて被害が出る。解決策としてジビエなどが出てくる。そんなマッチポンプ的な政策ではなくて、本来の森林の生産力を復活させる予算を組むべきです。

【熊森】捕殺抑制をしながら、生息地を回復すべきと自然保護団体としては訴えていて、クマの研究をしている人こそ言ってほしいのですが。
大学に籍を置くと、政策に反するようなことはなかなか言えない。例えば県立だと県の方針を下支えする役割を負わされたりするので、そういう立場でしかものを言えないのではないでしょうか。

 

森林・河川の生産力の復活
【熊森】私たちも奥山の生産力を高める活動はしていますが、森林の劣化の方が勢いが強く、転換をしていくことは容易ではありません。その間、絶滅に至る地域が出てきてしまいます。奥山の回復をしながら、どのように中山間地域の人は、そして私たち自然保護団体はクマと付き合っていけばいいでしょうか。
今はある意味で「耐える時期」です。奥山の生産力を回復するには時間がかかります。人間の生産物でクマの命をつなぐのは最低限にしておかないと、野生本来のところでの生活が難しくなるので、兼ね合いは難しいですが、10~20年は人間がエサを媒介して接触しないようにしつつ、なんとか奥へ戻ってもらう。戻ってもらう先も、例えば河川上流の一定の地域での釣りを禁止にして、あまり勧められたことではないが養殖的な工夫をなどしてそこにいた在来魚を増やす努力をする、沢沿いの森を優先的に復活させるといったことを続けていれば20~30年でかなり回復すると思います。しかし、行政は手を打つことをなかなかしません。西中国山地の保護計画のなかでも「クマが生活できる自然を回復させる」という項目を入れたが、予算措置がとられていません。本来はそこに予算を投下して、生息地の環境を整備視することを通じて事故防止のための予算執行へと変えていく努力をしないといけません。今林野庁が目指している皆伐政策は間違いです。間伐でも複層林化を目指す間伐で、まず沢筋を復活させれば、部分的でも復活の兆しが見えていくだろうと思います。

自動撮影カメラ(左)と沢を利用するクマ(右) かつては川面が盛り上がるほど渓流魚がいたという。川の生産力が衰退しており、沢沿いの森を復活させるのは急務。

 

【熊森】使っていない林道は閉じたらいいのではないか。森を回復させる提案としてはあり得るのかなと思うのですが。
あり得ます。林道を潰すと森が復活する。それと同時にいらない砂防ダムを撤去すべきです。ほとんど土石流は皆伐後の人工林や林道の路肩から起こっている。林道の開発と皆伐が原因です。それを止めれば砂防ダムも撤去できる。物質循環の「血管」の役割をしている河川を復活させる努力をしないといけません。それが日本全体の生産力を高めることにもなります。河川の三面張り護岸工事で伏流水が遮断されたりしているが、流水が海を養うということ、自然があらゆる面で我々の生活維持のベースになっているということを政治や社会政策に携わる人が持たなければなりません。また、森林についても、今までは材としてしか見なかったが、森林の持つ生産力が我々の暮らしにどういう意味を持っているか、評価に入れなければなりません

 

人身事故を防ぐには
基本的にはクマがパニックに陥らないように心掛ける。住宅街などクマにとってあまり馴染みのないところだと、どうしても緊張状態になるので、そうしたところでは事故が起こりがちです。不安でいる動物の前に突然人が出てきたりするとパニックになってしまいます。そこで正面突破を図るクマに小突かれたり噛まれたりして事故が起こります。逆に人里離れたところでは、人もクマもある程度慣れているので、穏やかな接触で、避けることができます。要するに人も動物も「落ち着いた出会い」をすれば、まず事故は起こりません。犬をけしかけるとか、大騒ぎするとか、クラクションをならすとか、追い立てる、追い詰めるというのは効果としてはマイナス。茂みのなかで近距離でばったり出くわす、子グマが好奇心でなんだろうと人間に寄ってくるといった避けようがない事故はいくつかありますが、避けることができるのは、ばったり出くわすことを止める、緊張を強いるような行動を避けるということです。例えば夕方散歩をするときも一人では行かず、複数で話しながら行くと、相手にも気付いてもらえます。
クマも不安になると暗いところや狭いところに逃げ込もうとする、それが家の中だったりします。そしてわーっと追い立てるとますますパニックになって大暴れする。それをしばらく放っておくと、クマもあきらめて寝てしまったり、ゆっくり休んだりするので、それから処置すればそんなにひどいことにはならないわけで、もう少し寛容になる必要があります。それからメディアの責任は大きいと思います。追いかけ回して、大したことはなくても、リポーターも大声を上げてわめきながらリポートしている。

 

寛容さの必要性
【熊森】この山の状況だと、オニグルミやクリとか食べているのであればそっと見守って山に戻るのを待つくらいの寛容さが必要ではないでしょうか。
食べたら帰るんです。帰れる状況を作ってやるのが重要です。それから集落周辺の柿もぎをやっているのもあるが、これもケースバイケースだと思うのは、柿を目当てにやってきたクマがそこに柿がないとなるとさらに里に来てしまう。飢えているということには変わりないので、さらにエスカレートしていきます。だから一番は出てこないようにするのが大事だが、それができなければ、当面柿の数を減らしつつ、ある程度はそこで柿を食べてしまってもいいくらいの余裕はあっていいと思います。それと家には入られない工夫は必要です。
【熊森】うちの会はこういった山の状況なのでカキを食べに来るのは許してほしい。ただそうは言っても人身事故が起こる可能性があるところには、カキをもいでクマの通り道におくということをしている。
何でもクマにエサをやればいいという発想ではいけないが、緊急避難的にはそれも必要だろうと思います。ただ出口戦略をよく考えて対応しないといけません。
【熊森】あくまでも奥山の回復をする間の、絶滅回避の緊急対策として、検証しながらしています。

 

熊森と行政担当者でカキもぎを行いました【兵庫県豊岡市】

約150㎏ほどのカキの実を回収。豊岡市の職員と熊森本部を入れて総員7名で作業を行いました。

 

大量の捕獲罠を常設している兵庫県

兵庫県でも、今年は山の実りが昨年に増して悪く、「大凶作」と言える年でした。しかし、クマの目撃数や捕殺数は昨年よりはるかに少なかったです。兵庫県は、平成29年の途中からクマの捕殺を強化し、推定生息数800頭前後と推計されるクマに対し、2000を超える罠を常設し、かかったクマは0歳や1歳の子グマであっても原則殺処分の体制をとっており、過去3年でクマの210頭を超えるクマを捕殺しています。捕り過ぎて数を減らしてしまっていることを心配しています。

 

11月になり、兵庫県でもクマが里へ下りだした

しかし、さすがに11月には、兵庫県でも、冬眠前のクマが里へ出てきたという目撃情報が増えだしました。

クマの捕殺が繰り返されている自治体へは、熊森としては何度も「捕殺ではなく共存・棲み分けを!」と訴えに行き、捕殺が必要なほどクマの被害が深刻な場合はぜひ、熊森本部が被害対策をしますので呼んでくださいと、お願いしてきました。

 

地元行政から応援要請を受け、現場へ急行。カキもぎを実施

11月17日、兵庫県のクマ生息地である豊岡市で「クマが柿の木に来ている場所がある。クマが来ないように柿をもぐのを手伝ってほしい」と、市の担当者から熊森本部へ連絡がありました。このように、行政の方から応援要請をいただけるのは、大変うれしいことです。

 

早速、熊森本部は、翌日18日、スタッフ2名、ボランティア4名で現場へ急行しました。

 

現地へ着くと、実が付いた柿木がおよそ8本目につきました。現場は駐車場裏手の山裾になります。すでに地元の方が何人かで取りやすい部分の実は取り終えられたようで、残っている実は道具がないと取れない高い部分にありました。

早速かきもぎを開始です。この日は天候にも恵まれ、温かい一日でしたが、高い木の上の柿をもぐのは一苦労です。それぞれのスタッフが、役割分担をしながら安全かつ効率よく作業を進めていきます。

林業用のはしごに登りながら高枝バサミで柿の実をもぐスタッフと、下ではしごを支えるスタッフ。木から実が落ちてくることもあり、ヘルメットを着用は必須。

竹の先に切り込みを入れて、枝ごと実をとるスタッフ。昔ながらの柿の実の収穫方法。

 

落ちたカキが潰れて、周囲を汚さないようにブルーシートで保護をしてから作業を進める。

 

現場には、クマが柿を食べたフンが数か所に落ちていました。まだ新しいものです。クマが柿を食べたフンは、柿をペースト状に混ぜたようなきれいなオレンジ色をしています。しかし、時間がたつと、フンの中の柿の成分が酸化して黒くなっていきます。他にも、クマの爪痕が新旧幾つかがありました。

新しいカキの糞 2020年11月18日

 

時間がたつと黒くなる、クマが柿を食べたフン 2020年11月20日 クマが来て約3-4日後

クマの新しい爪痕(赤枠内、今年)。新しい爪痕は、傷跡が白い。

古いクマの爪痕(赤枠内、昨年以前)。古い爪痕は、傷跡が黒くなる。以前もクマが来ていたことがわかる。

 

カキもぎをした木は大きく、木々の間にはササの繁みもありなかなか大変な作業で、応援要請があった理由がわかりました。豊岡市からも職員の方が1名応援に駆けつけてくださり、手伝っていただきました。

 

人身事故防止のため、草刈りもお手伝い

カキをもいだだけでは、人身事故防止対策としては不十分です。クマの人身事故が起きる原因は、見通しの悪い場所で、お互いに相手に気がつかないうちに、人とクマがばったり遭遇してしまうことです。集落に草が茂り、見通しが悪くなっている場所があったので、草刈りを行い、20m先まで見通せるように環境整備をしました。

草刈り前(駐車場側から撮影、2020年11月20日)

草刈り後(同地点 2020年11月20日)

地元の方々にも大変喜んでくださり、私たち作業スタッフ一人ずつに、差し入れをしてくださいました。地域の皆さんも心優しい方で、嬉しくなりました。

豊岡市のシンボル「コウノトリ」をモチーフにした、夢クッキー。コウノトリのような白黒の模様がなされたクッキーで、味もおいしかったです。

このような機会を下さった豊岡市と、地元の皆さんに感謝申し上げます。豊岡市からは、今も、別の場所でクマ被害対策としてカキもぎの要請を頂いております。

 

【クマ出没でお困りの自治体はぜひご連絡ください】

~ボランティアも募集中です~

日本熊森協会は、クマとの共存のために、人身事故を防ぎたいと強く願っており、人身事故防止やクマを寄せ付けない環境づくりの支援に積極的に取り組んでいます。

冬場はクマの活動は弱まりますが、クマが集落近くに来て困っているけれど、どう対策をしたらいいかわからない、手が回らないという方は、自治体でも、個人の方でも、ぜひ熊森本部にお問い合わせください。

 

熊森のクマ被害対策活動に、一緒に活動してくれるボランティアの仲間も募集しています。

一般財団法人  日本熊森協会

TEL:0798-22-4190

mail:contact@kumamori.org

 

熊森から

今秋も熊森本部は日々非常に目まぐるしく、11月に掲載予定の上記ブログが遅くなってしまいました。

ボランティアとして熊森活動を手伝ってくださる方、職員として人生をかけて熊森活動に取り組んでくださる職員、熊森は本気で自然を守りたいと願う多くの活動家を求めています。

 

 

 

 

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