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2022-01

祝 北海道にくまもり27番目の支部が誕生!

みなさん、いつもくまもりを応援していただき、ありがとうございます。

昨年秋から、北海道にもくまもりの支部が必要だという声が高まってきました。

 

昨年12月、札幌で開催された支部結成準備会には、45名の方がお集まりくださいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

会場風景

 

当別在住会員が風力発電計画を危惧する訴え

 

この後、本部と支部役員を申し出てくださった方々との打ち合わせが続いていましたが、この度、めでたく、北海道に27番目となるくまもりの支部が誕生しました。

 

支部長になってくださった方は、以前、仕事で全国を回っておられた方です。北海道に帰ってくるたびに、北海道に残された自然のすばらしさや貴重さを思い知り、何とか北海道の自然を守り抜く活動をしたいと思うようになっていかれたそうです。

北海道に残されている原野と平地に延々と続く森

 

近年、北海道でもヒグマと人との軋轢が増えてきて、捕殺強化の動きが出て来ています。くま森は、捕殺に頼らず、クマと人が棲 み分けて共存できる社会をめざして活動を広げていきたいと思っています。

 

また、最近は、北海道でも、メガソーラーや、陸上・洋上の大規模風力発電などによる再エネ名目の自然大破壊の危機が 迫っています。くまもりは、あらゆる生命を育む豊かな自然を、地域のみなさんと協 力して守っていかねばなりません。

 

北海道新支部長は、道民のみなさんに、自然の中で楽しみ、自然の素晴らしさを感じていただくことから、守りたいという気持ちになってもらえたらと願っておられます。

北海道には再エネ開発も含め、いろいろな問題がありますが、ダメだけではなく、どうしたらいいのかまで考えていくとの決意も述べられています。

 

まずは、「北海道の自然を守りたいと願うくまもり北海道会員をもっと増やしたい!」、1年間で北海道会員を1万人にしたいと精力的に次々と人に会われています。

 

4月3日(日)午後1時から、札幌で、「くまもり北海道支部結成祝賀会」も企画中です。

 

みなさん、大きな目標に向かって歩み出したくまもり北海道支部の活動をぜひ、応援してあげてください。

本日の札幌でのくまもりイベントで、早速、新聞記者さんからの取材があったようです。

楽しみですね。

山口環境大臣が萩生田経産大臣に、太陽光発電、初の抜本見直し要求

 山口壮環境相は25日、埼玉県小川町で計画されている大規模太陽光発電所(メガソーラー)の環境影響評価(アセスメント)で、計画の抜本的な見直しを求める意見を萩生田光一経済産業相に提出した。盛り土の大量使用による土砂災害の恐れなどを重くみた。2020年4月にアセス対象に加わった太陽光発電で環境相が抜本的見直しを求めるのは初めて
注:赤字大文字は熊森による。
政府は「50年脱炭素社会の実現」に向け、太陽光をはじめとする再生可能エネルギーの普及を目指す。ただ生態系への悪影響や土砂崩れなどの問題が各地で浮上し、反対運動も広がる。アセスの厳格な運用で野放図な整備に歯止めをかける狙いもありそうだ。
山口壮環境相© KYODONEWS 山口壮環境相
熊森から
山口大臣、ありがとうございました!感謝の気持ちでいっぱいです。
巨大風力発電についてもぜひご検討いただきますよう何卒よろしくお願いいたします。
豊かな自然が残る過疎地が、目先のわずかなお金や雇用に惑わされて、国土大破壊という取り返しのつかないことを許してしまう前に、山口環境大臣、萩生田経産大臣、どうか野生生物たちの生息地でもある豊かな森の伐採を止めさせてください。そうでないと、大量の野生の命と水源の森が失われることになります。
天羽隆林野庁長官、奥羽山脈の国有林である緑の回廊を巨大風力発電に提供することなど、絶対にやめてください。生物多様性批准国として条約違反になると思います。
そもそも再エネを過疎地の産業にしようとした国策が間違っていたと思います。
再エネは、自然を破壊し終わった都市を中心に実施すべきであると考えます。(電気の地産地消)
電気と地球環境
電気と人や生き物の命
電気と水源の森
どちらが大事なのか。人類がこれ以上の便利さを追求しようと自然破壊を続けるなら、もう破滅するしかありません。昔に戻せるところは戻す。これもまた人類の進歩であり発展です。
全国民が今を生きる大人の責任として、本気で巨大再エネ事業による自然破壊問題を考える時です。

1月24日衆議院予算委員会で高市早苗氏が再エネ問題について質問

残された自然を取り返しがつかないまでに破壊していく巨大風力発電や森林伐採型のメガソーラーなど、再エネ事業計画が全国各地で目白押しになっている中、自民党政調会長の高市早苗議員が、2022年1月24日の衆議院予算委員会で、再エネ問題について質問され、萩生田経済産業大臣、山口環境大臣、岸田総理大臣が答えられました。

 

早速、熊森が事務局を担当している再エネ問題連絡会のメンバーが文字起こしをしてくださいました。その方の了解を得て、当会が、以下に独自に質疑応答を要約させていただきました。

 

 

 

 

 

 

 

高市議員

昨今、各地で太陽光や陸上風力の発電設備設置への反対運動が起きている。

昨年末、北海道当別町の町長と町議会議長が政調会長室までお越しになり、民間事業者によって高さ156メートル以上、ローター直径117メートルの巨大な陸上風力発電設備が12基も設置される計画が進んでいるが、町民は納得せず、当別町議会も昨年11月の臨時会と昨年12月の定例会で2回にわたって風力発電事業に反対する請願陳情を全会一致で採択した。

 

しかし、すでに経済産業省の売電認可が終わっており、事業者は再来年令和6年の着工を目指している。この土地のとりまとめを行っている事業者は他県でもソーラー発電事業を行っており、その発電所は70パーセントの株式を上海電力が保有しているが、リスクはないのか。

 

奈良県でも現在太陽光発電設備の設置計画への反対運動が複数の自治体で起きている。
森林を切り開いてメガソーラーを設置することについて、議会や住民の皆様は環境破壊、水道水源の汚濁、土砂災害などを心配しておられる。

 

菅内閣時代に再生可能エネルギー推進の必要性を最も強く主張してこられたのは環境省(小泉大臣)だが、メガソーラー設置のために、豊かな森林の伐採が進むことによって、返って地球温暖化が進んでしまうのではないかという疑問の声も伺っている。

 

山口環境大臣

太陽光発電のために、みだりに森林伐採が進めばこの自然環境あるいは景観への影響、先ほどもありました土砂流出による濁水の発生、あるいはCO2吸収源としての機能を含めた森林の多面的機能への影響が懸念される。こういう懸念が生じないように環境影響評価法では大規模な再エネ事業について、(事業者に)環境アセスメントを義務付けており、環境保全の見地から、環境省としても必要な意見を述べていく。

 

高市議員

今後、デジタル化の推進により消費電力は急増してくる。安全が確認された原子力発電所の再稼働やSMR小型モジュール炉の地下立地について、総理の考えを伺いたい。

 

岸田総理

安全性の確保を大前提に、地元の理解を得ながら再稼働を進めていく。

 

熊森から

再エネ問題を国会の俎上にあげてくださった高市議員に、まず心から感謝申し上げます。

 

与野党の議員の皆さんが国民の声に向き合うと言われるのなら、ただ純粋にふるさとを守ろうとする、お金や時間の余裕や法知識もない一般国民と、大もうけを狙う海千山千のプロである国内外の事業者の間で各地で紛争が起きている再エネ問題に心を寄せていただき、弱者である一般国民を救うべく、高市議員に続いて国会でぜひ質問していただきたいです。

 

なお、日本の環境影響評価法では、環境アセスメントは第3者ではなく、開発業者に義務付けられているため、環境アワスメントと揶揄されるごとく、業者に都合のいい調査結果しか出てきません。残念ながら、自然を守ることにつながらないのです。

 

たとえば、渡り鳥のルートであっても、毎日鳥が渡っているわけではないので、業者側が調査した日に鳥が飛んでいないと、渡り鳥に影響なしと報告されてしまいます。

 

環境省に電話すると、昨年成立した「改正温対法」の今春からの施行にあたってのパブリックコメントを募集中のため、意見があればそちらに出してほしいとのことでした。提出期限は2月12日です。

  • 意見募集要領   PDF
  • 【別紙】意見提出様式
    上の2つを読んで確認ボタンにチェックを入れると、投稿紙面が出てくる仕組みになっています。

奥羽山脈青森県八甲田山にも山を大破壊する国内最大級150基の風力発電計画:ユーラスエナジー

2020年10月26日、当時の菅内閣総理大臣の所信表明演説において、日本が2050年までにカーボンニュートラルを目指す、温室効果ガスは2030年度に2013年度から46%削減することを目指すと宣言しました。岸田内閣もこれを踏襲しています。

 

カーボンニュートラル:「排出を全体としてゼロ」というのは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」 から、植林、森林管理などによる「吸収量」 を差し引いて、合計を実質的にゼロにすること。

 

以来、経産省や内閣府、環境省をはじめ、各省庁は国を挙げて自然エネルギー事業を急ピッチで推進せざるを得なくなりました。そのために規制緩和が次々となされています。

再生可能エネルギー開発は儲かるため、国内外の投資家たちが再エネ推進の流れに乗って莫大な利益を得ようと、メガソーラーや巨大風力発電事業計画しています。

 

ただし、事業実施期間はFIT法で確実に利益が保証される20年間だけです。それ以降は原状回復して事業撤退する予定とされています。

(熊森注:森林破壊の場合、いったん破壊し、切土盛土をした森は、1000年単位の期間を経ないと元に戻らないため、原状回復は不可能といえます)

 

このような中で、多額の負債を背負う林野庁が、借地料欲しさに、自然エネルギー事業に国民の財産である国有林を差し出しています!保安林も緑の回廊までもが事業計画地に入っています!

 

国有林と緑の回廊

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

熊森は今、クマたちが棲む奥羽山脈尾根筋の緑の回廊を含む国有林で計画されている(株)グリーンパワーインベストメントによる(仮称)宮城山形北部風力発電事業

300,000kW 事業実施区域 約 2,808ha

(尾花沢市、最上郡最上町、宮城県大崎市、加美郡加美町)

風車の羽の直径108m~136m

令和元(2019)年6月4日公表

の中止を求めています。林野庁は国有林の貸出手続は着々と進んでいます。

 

一方で、(株)ユーラスエナジーホールディングス社による、(仮称)みちのく風力発電事業が、日本では例を見ない国内最大規模の陸上風力発電事業を、青森県で計画していることがわかってきました。

  • 総出力:約600,000kw(単機出力4,000〜5,000kw×120~150基)
  • 風力発電機:高さ150~200m・風車の羽の直径130~160m
  • 事業実施想定区域:約17,300ha 十和田八幡平国立公園を含む青森市、十和田市、平内町、野辺地町、七戸町、東北町の6市町村にまたがる八甲田山周辺
    (2021)令和3年9月16日公表

事業計画区域には十和田八幡平国立公園も含まれており、ほぼ全てが森林区域で保安林にあたります。尾根筋はもちろん、尾根筋に至るまでの工事用道路を造るため、広大な森が伐採されます。

下は完成想像図。Protect Hakkoda~八甲田の自然を後世に~change.orgより

(ネット署名実施中)

 

 

 

 

 

 

 

熊森より

日本の繁栄は、農業も漁業も、工業も都市も、祖先が残してくれた奥山の豊かな森から湧き出すミネラルいっぱいの水によって支えられてきました。日本は資源のない国と言われますが、豊かな水資源を持つ国です。

 

いくら自然エネルギー推進のためだと言っても、今のような奥山の広大な森林伐採を続けていたら、水資源を失います。官僚の皆さんも、地元行政の皆さんも、本当にこんなことを続けていていいのか真剣に考えていただきたいです。これでは日本国が滅びてしまいます。

 

しかも、山にはもうひとつの国民である無数の動植物が棲んでいます。森林破壊は彼らの生息地破壊であり、彼らを死に追いやるものです。これまで豊かな森を無償で造り守ってきてくれた彼らを見殺しにするのは、人としてあまりにもひどすぎます。

 

国は、電気代の一環として私たち国民から多額の再エネ賦課金を有無を言わせず毎月取り立てており、そのお金が国内外の投資家のふところに行くFIT法。このような法律を作った政治家の皆さんは、今の現状をどう見ておられるのでしょうか。

 

自然エネルギーが皮肉にも自然を大破壊しています。二酸化炭素の排出を減らすためと言いながら、二酸化炭素の吸収源である森林を伐採するなど、本末転倒です。メガソーラーや風力発電の機材を造るために、どれだけの石油やエネルギーを使っていることか。メガソーラーや風力発電の推進が、かえって二酸化炭素の排出量を増やしているという説もあります。

 

いったん破壊した森は元には戻りません。尾根筋に風車を立てるために掘った20mの深さの穴に流し込んだコンクリート。固まってしまえば、そのコンクリートは二度と除去できません。聖なる森に異物残すことになります。たった20年間の果たして二酸化炭素削減になるのかならないのかよくわからない電気エネルギーのために。

 

石狩市で1月18日、風力発電の羽が落下しているのが見つかりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人間の作ったものは必ずいつか壊れます。直径3mの風車の羽が落下しただけでも危険ですが、奥羽山脈に作ろうとしている風車の羽は、直径が100m~160mです。こんな巨大人工物を山に上に造っていいものでしょうか。皆さんはどう思われますか。

 

このような問題をご理解いただける政治家の方々、他生物のために、次世代のために、再エネ名目の森林破壊を止めてもらえるよう訴えませんか。わたしたち大人の責任を子や孫に示そうじゃありませんか。再生可能エネルギーは、大量の電力を消費する都市でこそ実施すべきです。

 

奥山水源の森をいっしょに守ろうと思ってくださる皆さんは、どうか会員になってください。会員が増えると、私たちはもっと多くの政治家に訴え、動いていただくことができるようになります。

 

年会費1000円から、会員登録できます。
会員登録はこちら↓

 

 

くまもり本部がオンラインでクマガイドライン(環境省)の勉強会 パブコメ締め切り1月26日

パブリック・コメントより

特定計画作成のためのガイドライン(クマ類編)の改定に関する意見の募集(パブリックコメント)について

 

 

マスコミが実態を報道しないので、ほとんどの国民は、現在、日本の野生動物たちが毎年大量に捕殺されている事実を知りません。日本の野生動物対応が捕殺一辺倒であることを知った方の中には、他生物の生命も尊重する以前のやさしい日本社会に戻せないのだろうかと、胸を痛めておられる方も多いと思われます。

 

そのような方は、ぜひ、環境省のパブリックコメントにご応募いただいて、国民としてのご意見をお伝えください。

環境省の資料を見ても、難しすぎてよくわからないという方々のために、1月21日、熊森本部では夜8時から夜9時半まで、オンラインで勉強会を持ちました。43名の方がご参加くださいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(1)室谷悠子会長

まず最初に、室谷悠子会長から、我が国の野生動物対応の移り変わりや問題点について30分間レクチャーがありました。

以前、わが国では、野生動物は狩猟(11月15日から1月15日までの3ケ月間期間限定、スポーツ、レジャー)か、有害駆除(人間の農作物などに被害を与えたために行政から許可を得て捕殺する。期間限定なし)のどちらかで殺処分することができました。

しかし、1999年に法改正があり、狩猟と有害駆除に加えて、生息推定数が、人が考えた適正頭数よりも多くなっていたら、個体数調整という名目で、被害がなくても捕殺できることになりました。

ツキノワグマの場合、大量に捕殺し続けているのに、クマと人との人身事故は減らず、クマが市街地などに出て来る人とクマとの軋轢も深刻化しています。これは、野生動物の個体数だけに注目して、個体数を減らしておけばうまくいくと考えてきた1999年以降の野生動物対応である「特定鳥獣・保護管理計画」の背景にある考えに根本的な問題があります。

日本では野生動物の捕殺のために毎年莫大な予算をかけていますが、野生動物は捕殺して数を低減しても、すぐ、元の数に戻ってしまいます。

 

どうしたらいいのか

人と大型野生動物はどうあるべきか。一番大切なのは棲み分けです。棲み分けるためには、まず第一に、野生動物たちに生息地を保障する必要があります。現在、ここが全くできていません。西日本中心に、クマたちのかつて奥山生息地は大荒廃したまま放置されています。メガソーラーや風力発電によって、さらに生息地は破壊され続けています。第2に必要なのは、被害防除対策ですが、これも有効な対策はほとんどなされていません。生動物対応政策は個体数管理(個体数低減)ではなく、棲み分けをめざして、①生息地保障、②被害防除の順に重点を置くよう根本的に政策転換することを環境省にお願いしたいです。

日本熊森協会は、大量捕殺を続けても人身事故は減らないし、野生動物の被害はなくならない。大事なことは生息地保障と被害防除。根本解決にこそ予算をかけるべきだと訴え続けてきました。

今回のガイドラインには一部、このような考え方も取り上げられており、引続き、いろいろな地域に広めていきたいです。

日本熊森協会のパブリックコメント

 

(2)水見竜哉主任研究員

次に、クマ最前線の現場を調査し、現地対応を続けてきた水見竜也主任研究員から、特定鳥獣保護・管理計画の最大の問題点は野生動物の生命軽視であり、このような政策を続けていけば、人間社会も悲しいものになるという指摘を伴うレクチャーが30分間ありました。

 

 

問題点

自然界のある特定の野生動物の個体数だけを減らしてやろうという特定鳥獣保護・管理計画は、もともと実現不可能な計画です。その証拠に、おびただしい数の野生動物たちが、シカ・イノシシ用のくくり罠に錯誤捕獲されています。くくり罠による錯誤捕獲の悲惨な実態は、長野県の小諸市が詳細に調査報告しており、もうこれ以上新たな実態調査は必要ありません。

くくり罠にかかったほぼすべての野生動物たちが、足を失うなどの残酷な障害を負ったり命を落としたりしています。クマがシカやイノシシを捕獲するためのくくり罠に錯誤捕獲された場合は放獣している地域も例外的にはありますが、3本足や2本足になって山に放されたところで、その後の生きる苦しみを思うと、胸のつぶれる思いです。

シカが奥山に入り込むと下層植生が消えてしまうので、シカが悪者になっていますが、もともとシカは林縁の草原に棲む動物です。シカの棲む草原を人間が住宅や農地としてシカから奪い尽くした結果、シカは行き場を失ってしまいました。

 

②ゾーニングは、西日本のような奥地にまで人が入り込んでいる地域では効果がありません。ゾーンの線引き場所は、考案した人間が知っているだけで、地域住民にもクマにもわからないため、ゾーニングしても棲み分けられません。

 

どうしたらいいのか

①残虐この上ないくくり罠を即刻廃止する。シカ・イノシシの捕獲には、箱罠や錯誤捕獲の起きない新たな罠を考案する。より野生動物にやさしい対策としては、使われなくなったスキー場やゴルフ場などの草原を、シカに開放してやり、シカ・イノシシを殺すのではなく、(現代版シシ垣で被害防除することが考えられます。殺さない獣害対策のエキスパートである井上雅央氏によると、クマ、サル、シカ、イノシシなどの被害防止は、女性がやればずんずん進むということですが)、過疎化高齢化した地元だけでは大変なので、くまもりがしているような都市からの惜しみない支援体制も考えていくべきだと思います。

 

②ゾーンの線引き場所に沿って電気柵や有刺鉄線を張り、クマに入ってはいけないゾーンを知らせるか、効果のないゾーニングはやめる。

 

熊森から

ガイドラインを読んで、こまごました気づきはいろいろとありますが、野生動物対応の方向性が根本的に間違っていることをまず正さなければならないと思います。環境省は、ガイドライン作成に当たって、熊森のような新しい考えを持つ者を委員に入れるべきだと思います。(完)

 

ヒグマ保護管理計画に対するパブリックコメント 2例紹介

北海道庁が募集していたヒグマ管理計画に対するパブリックコメントに応募された北海道の2名の方のコメントを、本人の了承を得て紹介させていただきます。(コメントの締め切りは2022年1月11日でした)

 

注:北海道にはまだ豊かな森がそれなりに残されており、ナラ枯れもまだ入っていません。ヒグマが人里に出てくる理由は、ツキノワグマとかなり違うようです。

 

 

解説:

・昭和 41 年(1966 年)からは、ヒグマの駆除を積極的に進めるため、捕獲の容易な残雪期の許可捕獲による駆除事業いわゆる「春グマ駆除」(=個体数管理=被害の有無にかかわらず、個体数を低減させるために、山にいるヒグマを撃つ)を開始した。

 

・平成元年(1989年)個体数の顕著な減少が懸念されたことから、春グマ駆除を廃止した。

 

・令和4年(2022年)案 (近年、ヒグマを箱罠で捕獲するようになってきたため)銃器による捕獲圧を緩めたことが一因と考えられる人への警戒心が希薄なヒグマが、札幌市などの都市部やその周辺地域など、ここ数年の間に道内各地で頻繁に人の生活域へ出現するようになってきている。道庁は、ヒグマの個体数は増加傾向にあると考え、問題個体の推定や検証手法について確立し、問題個体の排除に向けた管理を進めていくこととするようです。今後は、最新の生息状況などの科学的データを集めて精査し、個体数調整の可能性やあり方などについての検討を早期に開始するということで、今すぐ、個体数調整捕殺を開始しようとしているわけではないとのことです。

 

参考 北海道ヒグマ管理計画

 

Aさん

北海道ヒグマ管理計画(第2期)(素案)に対する意見

計画のタイトル・目的を見直すこと

・タイトル「ヒグマ管理計画」とありますが、ヒグマ対策の目的はヒグマと人との共存であり、そのための棲み分けではないでしょうか。そのためには、「ヒグマの管理」ではなく「ヒグマによる被害を防ぐこと」こそ目指すべきです。「ヒグマ被害防止計画」などとするよう提案します。

また、(道案の)「地域個体群の存続」は、被害の防止とは無関係であるうえ、「地域個体群さえ存続すればいくら駆除してもよい」とも考えられ、共存という理念と相いれません。1-1-(1)の「目的」から除外し、2-3-(2)は削除すべきと考えます。

・とりわけ、1-1-(2)にあるICT技術の活用やヘアトラップ調査は、被害防止につながるとは言えず、そのことに莫大な予算をかけることは無意味だと考えます。

 

電気柵・有刺鉄線の設置を道の責任で抜本的に強化すること

・ヒグマによる被害を防止するための方策は、何より市街地、農地、牧草地等への出没を防止することを基本に据えるべきです。頭数の多少にかかわらず出没があれば被害が発生しうるので、頭数の調査は被害防止には直接関係がなく、不要です。

・ヒグマは頭脳明晰で、経験による学習能力にたけていることが知られています。出没情報があれば、その経路を特定して電気柵で封鎖すれば、そこから先に行かないことを学習します。出没を防ぐために「一時的な電気柵」「恒久的な有刺鉄線」による経路封鎖が有効であることは周知の事実です。このことを土台とした計画に抜本的に作り変えるべきです。2-3-(1)の電気柵導入の促進は、道の責任で抜本的に予算を組み実施すべきです。

・2021年の標茶町、厚岸町での牛の被害については、「経路封鎖」のための電気柵や有刺鉄線が、事故前はおろか事故後もなんら設けられていません。これでは、被害を与えたヒグマを駆除したところで別の個体が次の被害を招くことは明白です。被害を防ぐには、2-2にある「問題個体の排除」ではなく、出没そのものを防止することこそ必要であり、個体数調整の検討は論外です。経路封鎖の柵の設置へ抜本的な予算を組み推進すべきです。

・1-6-(1)にある2021年の札幌市東区での人身被害については、被害を与える前に出没が確認されたヒグマの位置を特定し、生息地に戻すための電気柵のよる誘導が必要だったと専門家からの指摘がされています。今計画にそうした防止策が組み込むべきです。

 

「有害性判断」を削除すること

・被害が発生するのは、電気柵などによるヒグマの出没抑止が図られていないからであり、2-3-(1)にあるような保護を重視して捕殺圧を緩めたことのせいにすべきではありません。「有害性」を判断するために徘徊を認めれば、ヒグマが誤って「安全性」を学習して出没を繰り返し、被害を及ぼしかねません。2-1-(2)、2-3-(1)の「指標」「有害性の段階判断」は削除すべきです。また、2-3-(1)にある出没を防ぐための下草刈りは効果が不明であり、削除すべきです。もし有効であるならば、牧草地にヒグマが出没する理由を説明できません。

出没防止のための経路特定・封鎖を専門とする組織を創設すること

・3-(4)については、経路特定と経路封鎖が専門の組織が必要です。道の責任で創設すべきです。

検討会のメンバーを公募すること

・3-(2)「北海道ヒグマ保護管理検討会」は、メンバーを従前どおりにせず、幅広く公募すべきです。

 

Bさん

素案に対する意見。

まず、北海道ヒグマ保護管理検討会は公募性にしてください。

1.素案の「第2章管理の推進3(1)」のうち「②出没個体の有害制に応じた対応」及び「③問題個体数の動向把握」は不要だから、削除、廃止する。

ヒグマ出没抑止対策に出没ヒグマの有害性の判別は不要なので削除する。

低有害性ヒグマを放置すれば、ヒグマに学習の機会を与えるので、「人を見ても逃げない」、「人里に現れるヒグマ」になり、被害を助長するからです。有害性の有無に関わらず、ヒグマの出没情報を得たら、出没経路を電気柵で封鎖して出没を抑止することを繰り返す対策をすればよいのです。有害性の判別は必要無いのです。

 

2.素案の「第3章計画の実施に向けて」の「2モニタリング等の調査研究」は不要なので、削除、廃止する。

別の調査研究機関がやるべきことで、北海道の行政が税金を使用して取り組む必要性はありません。別の調査研究機関のデータを活用し、行政に反映させればよいことです。R2年度、R3年度と、各1,600万円もの調査研究費がヒグマ対策費として計上され、ヒグマを芳香剤で誘引してのビデオ撮影費やDNA取得目的に餌で誘引しての体毛採取(ヘア・トラップ)分析費が全部を占め、ヒグマ出没抑止対策費はゼロ円なのはおかしい。生息頭数も誤差幅が膨大で、無意味な調査は廃止するべきです。

 

3.素案の「第3章計画の実施に向けて」の「3計画の実施体制」の項目に、ヒグマ出没情報を得た時点で迅速に現場へ出向き、出没経路を特定して出没経路を電気柵で封鎖するヒグマ出没抑止対策専従の対策チームを各振興局に創設する提案をしますので、項目を創ってください。

ヒグマ出没抑止対策専従の対策チームは、捕殺を目的とせず、ヒグマの出没抑止を専らとし、山林原野の状況を読め、ヒグマの行動を熟知したハンターを核に据え、各振興局の職員と各市町村の人材で構成し、ヒグマの出没情報を得たら、いち早く現場に駆けつけ、出没経路を特定して、迅速に電気柵で出没経路を封鎖することを専らとする対策チームの創設を提案します。学習能力や判断力のあるヒグマは初期対応が要なので、迅速に出没抑止対策を繰り返すことが必要で、ヒグマにそこから先には行けないことを学習させ、”しつけ”することが効果的な出没抑止対策となるからです。

 

 

熊森本部から

熊森本部は、ヒグマとの共存問題の解決に向けて、これまで3人の専門家の方々に付いていただき、何度か北海道各地のヒグマ調査に入りました。北海道は自然環境も人々の暮らしも、本州とかなり違っており、もちろんクマの種類も違います。本部もヒグマとの共存に向けて頑張りますが、北海道に住んでおられる皆さんに取り組んでもらう必要があることを痛感してきました。この度、念願の北海道支部が発足しましたので、今後は、熊森北海道支部の皆さんを中心に取り組んでいただこうと思います。

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