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2024-03

3月12日 篠原孝議員、衆議院環境委員会でクマの指定管理鳥獣化について質問

3月12日、令和6年衆議院第2回環境委員会で篠原孝衆議院議員(比例北陸信越ブロック、立憲)がクマ指定管理鳥獣化に関する質問をされました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

質問中の篠原 孝議員

 

(要旨)文責熊森

 

篠原委員 次に、熊問題です。 環境省は中央環境審議会の下に東京農業大学の山崎晃司先生を座長に検討会を三回開いて、それを受けて検討して、四月中にはクマを指定管理鳥獣にしていくという方針だそうですが、その後どのように扱っていかれるおつもりか。

 

伊藤信太郎環境大臣 環境省では、昨年の熊類による深刻な被害状況を受けて、専門家による科学的な検討を経て、①ゾーニング管理、広域的な管理、順応的な管理の三つの管理を推進しながら、熊類の地域個体群の維持を前提としつつ、人の生活圏への出没防止によって、人と熊類の空間的なすみ分けを図ることとしました。

環境省では、クマ指定管理鳥獣化に対するパブリックコメントを二月十三日から開始しておりまして、国民の皆様の御意見を伺った上で、絶滅のおそれのある四国の個体群を除き熊類を指定管理鳥獣に指定する手続を完了したいと考えております。

熊類を指定管理鳥獣にすることで、②熊類の生態等の調査やモニタリング、人の生活圏への出没防止のための環境管理や必要な捕獲、人材育成等、都道府県の状況に応じた効果的な対策を講じることが可能となります。

他方で、熊類は、今御指摘がありましたが、既に指定管理鳥獣に指定されているニホンジカ、イノシシとは繁殖力、個体数の水準、被害の状況が異なることから、③捕獲に偏らない総合的な対策が必要とも指摘されているところでございます。

 

篠原委員 熊は、生態系上も非常に大事な動物です。長野県の山は、だんだんだんだん栄養分がなくなってきています。シベリアの森林が何であんなに豊かかというと、アムール川にダムが一つもないからです。サケやマスや、百種類ぐらいの魚が(海から川へ産卵のために)上っていく。それをまず熊が食べる。(産卵を終えたサケやマスは)死んでいく。(山の中は)サケの死体だらけなんですが、あっという間に鳥や獣に食べられてなくなる。④この海の養分が森に戻る循環がなくなっているんですよ。だから、熊はやたらに殺しちゃいけないんですよ。生態系の循環を担っているんですよ。ちゃんといてもらわなくちゃいけない。
このところの兼ね合いが難しいんです。何が大事かというと、私は人材が圧倒的に不足していると思うんです。田舎の市町村はお金がないですから、県が、⑤県庁にきちんとした熊の専門家を置くべきです。環境省も、都道府県に出向して熊の専門家を養成してください。

 

伊藤環境大臣 委員御指摘のとおり、専門的な知見を有する人材の確保、育成が不可欠でございます。

 

篠原委員 環境省だけでは無理だと思います。全省庁を挙げてやらなくちゃいけないです。

 

朝日健太郎環境大臣政務官 令和二年(2020年)十月にクマ被害対策等に関する関係省庁連絡会議(農林水産省、林野庁、警察庁及び環境省)を設置しております。

 

篠原委員 農林水産省は、生産ばかりになるからいけない。環境保全というのを、今度、食料・農業・農村基本法の中にも入れ込んでいくべきだ。みどりの食料システム戦略とか。熊も緑を守っている、大事な役割を担っているんですよ。ネイチャーポジティブとか、⑥片仮名の名前をいっぱい使って環境行政をやるのは僕は反対だ。聞く人は分からないですよ、何のことか。「鳥獣保護法」の獣という言葉は「野生動物保護法」という名に変えていただきたい。獣だと、けだもの、駆除すべきものとなる。テディーベアがあるし、熊は愛きょうがあるので、世界中で愛されている。熊だって愛護しなくちゃいけませんよ。 熊を敵対視しているから熊森協会から批判されるわけですよ。(名前は大切で)、我が長野県は、恥ずかしながら、林務部森林づくり推進課⑦鳥獣対策室です。(こういう行政の部署名がいけない)

 

熊森の見解

①環境省のゾーニング管理で被害を出していないクマを守れるかもしれないと熊森も最初期待したのですが、実態は集落ゾーンに誘引物が入った箱罠を大量に仕掛け、山にいるクマをおびき出して無実のクマを大量に捕殺しています。ゾーニング管理というなら誘引物入り罠を仕掛けないことが前提でなければなりません。

②山から出てきた目の前のクマばかり見ていてはダメ。根本原因は山。根本対策は餌のある山を再生させること。

③根本的に対応が違うのなら、別の名前にすべきでしょう。クマを指定管理鳥獣に入れてしまったら、そのうち初心が忘れられてニホンジカ、イノシシと同じく捕殺強化だけになってしまう恐れがあります。

④この指摘はとても重要です。サケが産卵時に川をさかのぼってくるのは自然そのもので、海の養分を山に戻すという大切な役割を果たしていました。本州にもサケがのぼってくる川をもう一度取り戻して、森の動物たちがサケを食べられるようにしてやりたいです。直接にはクマの為ではありますが、森が豊かになり、人間の為にもなるのです。

⑤専門家と呼ばれる人なら誰でもいいのではなく、クマの心が読み取れて、捕殺に頼らない対応ができる専門家でなければなりません。

⑥まったくもって同感です。文章に英語を多用するのは本当にやめていただきたい。ここは日本国なのです。

⑦鳥獣対策などというものは、人間至上主義そのもの。人もクマも大切です。

 

篠原議員、伊藤環境大臣は永らく環境部会に属してこられた方で、これまでの日本の環境行政にお詳しく、大いに期待したいところです。
ただし、議員や環境大臣と言っても皆さんお忙しく、現場を自力で調査し続ける時間などありません。野生動物問題を考えるにあたって、現状では肩書きのある研究者や彼らの見解をそのまま流すメディアに情報を依存するしかないかもしれません。
熊森のような利権やしがらみゼロの自然保護団体の声にも大いに耳を傾けていただきたいです。

串田誠一議員、参議院予算委員会でクマ指定管理鳥獣化について質問

3月6日、参議院予算委員会で串田誠一参議院議員(比例関東ブロック、動物愛護議連、維新)が、クマを指定管理鳥獣とする環境省案について質問されました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

質問中の串田誠一議員

 

串田誠一議員の質問:

次にクマについてお聞きをしたいと思います。

(クマを)指定管理鳥獣に4月にするという報道がございます。被害が連日昨年は報道をされたということでありましたが、昨年のクマの捕殺数は、ついこの前発表されました9030頭が昨年捕殺された。その前は3000頭だったのが、いきなりすごい数が捕殺されたわけでございます。

九州は絶滅している、四国ももう数十頭しかいない。そして繁殖力が大変弱いというのがクマの特徴でございます。

日本オオカミも同じような経路を辿って1905年に絶滅をしてしまいました。

(略)今年見なくなったなあというようなときに、実は絶滅していたというようなことが起こりうる可能性もあります。環境委員会でこの問題があったときに、環境大臣、大変その慎重な対応されていて私も色々熟慮されているのだろうなあと思っているんですけど、クマを捕殺をするのではなくて、里(人)に入らないよう強化していく必要があるんじゃないかと思うんですけど、環境大臣のご意見をお聞きしたいと思います。

 

伊藤信太郎環境大臣(宮城県、衆議院議員)の答弁:

環境省では昨年秋のクマ類による深刻な被害状況を受けて、専門家による検討委員会を設置いたしました。そしてまた科学的観点からの検討を経て本年の2月8日に被害防止に向けた総合的な対策の方針のとりまとめをしていただきました。

この方針の中ではゾーニング管理、広域的な管理、順応的な管理の3つの管理、これを推進しながら、クマ類の地域個体群の維持、これを前提としつつ、人の生活圏への出没防止によって、人とクマの空間的な棲み分けを図ることとしました。

また絶滅の恐れのある四国の個体群を除いたうえでクマ類を指定管理鳥獣に指定するとの方向性を整理いただいたとこでございます。

環境省ではこの方針を受けて必要な関係省令の改正を行うために4月中に指定の手続きを完了させる予定でございます。

クマ類を指定管理鳥獣にして、またこの関係省庁や都道府県等と連携しながら捕獲に偏らない総合的な対策を講じてまいります。

具体的にはクマ類の生態等の調査やモニタリング、人の生活圏への出没防止のための環境管理、また人材育成等の各地域の状況に応じた効果的な対策を講じてまいりたいと思います。

 

串田議員:

エサがなくなる原因としては、太陽光パネルが森に、高速道路などを走っていると山肌にずっと太陽光パネルがあったりとか、あとは人工林とか、下が真っ暗になってしまっていて、木の実が育たないとか、そういうような人間がクマが食べられないような状況になって、そして出没したら捕殺をしていくというのは、これは反省しなければいけない面もたくさんあると思うんです。私が心配しているのは、太陽光パネルや人工林は、たとえば農水だとか、太陽光パネルは経産だとか、そういう他省庁にまたがった意味で総合的に検討をしていかなくてはならないと思うんですけども、環境大臣としてこうだというだけではなかなかできないと思うんですが、これについての連携は十分になされるんでしょうか。

 

伊藤環境大臣:

お答え申し上げます。ご指摘のように、太陽光パネル、あるいは木の種類の偏在、そういったことが今回の人的被害の原因の1つになっているとも考えられます。

したがって先ほど申し上げたように捕獲に偏らない総合的な対策を講じることが重要だという風に考えております。

環境省が設置した見解でもクマ類の地域個体群の維持、これを前提としつつ、人の生活圏への出没防止によってクマ類と人の空間的な棲み分けを図るという方向を示しているところでございます。

捕獲以外の対策としては、クマ類の個体数等の適切なモニタリング、これをやっぱりエビデンスとしてしっかり押さえる必要があります。それから人の生活圏への出没を防止するために、また例えば果樹ですね、放任果樹にクマが寄って来る、誘因物の管理の徹底、それから農地への進入を防止するための電気柵の設置、それから専門的な知見を有する人材育成など、それぞれ地域によって多少事情が違いますので、その地域の実情に応じて、都道府県等によって実施していただくことが重要だと思っております。

環境省としては関係省庁、農林水産省も含めてですね、関係省庁や都道府県等とも連携して、人の生活圏の出没を防止をはじめとした被害防止策を推進し、国民の皆様の安全・安心の確保をしっかり守っていくという支援を進めてまいりたいと思います。

 

熊森から

人の生活圏へのクマ出没防止のためにまず一番に必要なのは、クマ類の個体数等の適切なモニタリングではなく、実り豊かな山の再生であり、農水省と組んで、まずこの根本問題の解決から手掛けていただくことを、熊森は環境省にお願いします。

 

串田議員の質問によって、伊藤環境大臣から「関係省庁や都道府県等と連携しながら捕獲に偏らない総合的な対策を講じてまいります。」という答弁を引き出せたことは、良かったです。

しかし、現実には、ほとんどの地域で捕殺一辺倒の対応となっているわけで、今後、環境省の強力な指導が望まれます。

 

2023年度 東北・北海道クマ捕殺数

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※クマの正確な生息数推定が不可能なため、北海道ヒグマの場合も、95%限界の生息推定数は6600~19300頭と幅が大きく、中央値は11700頭となっている。この数字がどこまで正確か不明。他県の中央値についても同様。

 

クマを指定管理鳥獣に指定などしなくても、東北地方では現行の管理計画だけでも、推定生息数の50%ものクマ捕殺ができている県が2県あり、そのうちの1県では今年度になってからも、保護対策をとらず、雪の中をさまよっている子グマを次々と駆除しています。

 

令和6年2月 16 日に 北海道東北地方知事会が環境省に提出した要望書を見ても、クマをシカ・イノシシのように指定管理鳥獣にして、捕獲報奨金の引き上げなどを要求されていますが、昨年度の捕殺一辺倒となったクマ対応や、生息数を激減させてしまったことに対する反省など全くみられません。

 

やはり、環境省が専門家による検討委員会を設置するおり、自分たちの主張に沿った有識者だけを集めるのではなく、28年の歴史を持つ日本熊森協会のような民間団体を委員に入れる必要があると思います。(完)

 

みなさんへ 国民の力で熊森をもっともっと大きくしていただき、熊森が環境省の検討委員会に入れるように後押ししてください。野生動物たちとの真の共存をめざしたい方は、どうかご入会願います。

クマ問題の解決にクマ生息推定数の精査追究事業は不要

クマは以前、奥山から出て来ることがなく、会いたくても会えない動物でした。
しかし、最近は、里や、時には市街地にまで出て来るようになり、農作物被害を出したり、時には人身事故も起こします。
被害にあわれた方、被害にあう恐れがある方にとっては、耐え難い事態だと思います。

 

この問題を解決するために、環境省はクマ指定管理鳥獣化を検討する会を3回実施。
この会の委員に任命された研究者たちが、クマ指定管理鳥獣化で国から交付金が出るようになれば、まずすることとして、毎年のクマの個体数推定事業を実施し、クマが各都道府県に何頭生息しているのか、これまで以上により正確性を高めたいと言われていました。
すばらしい肩書を持つ研究者のみなさんがそう言うと、国会議員も含め、一般の国民は、クマ問題の解決のためには、まずクマが何頭いるのかより正確な生息数確定が必要なんだと思ってしまうでしょう。

 

しかし、クマ問題に取り組んで32年の私たちに言わせると、四国のようにあと十数頭などと絶滅を迎えた場合は別ですが、一般的に、そのような事業は研究者の仕事づくりや論文発表のために必要なだけで、クマ問題の解決のためには、全く不要です。そんなことに私たちの税金を使わないでいただきたいのです。

 

理由1 今問題なのはクマの数ではなく、クマがどこにいるかなのです。

食料が豊富な奥山にのみクマが暮らしているとします。このような以前の状態に戻せば、クマが何頭いても誰も困る人はいません。クマも人も、我が国では長い間、棲み分けを守っていました。戦後、棲み分けラインを超えてどっと奥山に入り、皆伐や開発を行い、うまくいっていた棲み分けを壊したのは私たち人間です。
図①参照。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クマ数は多いが、クマ被害は起きない。

 

クマがハチミツに目がないことを利用して、現在日本では、ハチミツを入れた罠でクマを誘引し、捕殺し続けています。しかし、クマ数を極限まで減らしたとしても、クマが集落のそばにいる限り、被害はなくなりません。

図2参照

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クマ数は少ないが、被害が起きる。

 

問題は、クマの数ではなく、クマがどこにいるかなのです。

熊森の説明を聞けば、小学生でもわかってくれると思います。
環境省やマスコミさん、熊森にも発言の機会を与えてください!

 

理由2 クマ数を正確に数える方法がない

専門外の人には意外でしょうが、実は、クマの生息数を正確に数える方法がないのです。
アフリカの草原の動物なら、上から写真を撮れば何頭いるかすぐ数えられるのですが、クマは普段深い森の中にいて木々に隠れているし、人が山に入ると人を察知してそっと逃げてしまう。木々の葉が落ちる冬には冬ごもりしています。何頭いるのか数えようがないのです。

 

そこで多くのクマの研究者たちがクマの生息数を推定しようとして、悪戦苦闘。膨大な予算を獲得し、クマに不自然なことを次々として、論文発表をしてきました。発信機装着、ヘア-トラップ、カメラトラップなどなど。いずれもクマの生活をかき乱すものばかりです。

 

下の写真は、捕獲されて首に発信機をつけられていたヒグマです。首が締め付けられ、首の周りの毛が擦り切れています。この写真を撮られた北海道のカメラマンによると、山で偶然出会ったヒグマを見ていたら、頭を下にも上にも動かしづらくしていて、クマは耐え難い苦しみを味わっているようだったとのことです。
本来、研究というのは、対象動物に負担をかけずにするのが生物倫理というものです。ダーウィンは、木の陰に隠れてそっと野生動物の生態を研究していたと言われています。

 

 

 

発信機を付けられたヒグマ 稗田一俊氏撮影

 

このヒグマには、両耳にもタグが付けられていたそうです。
兵庫県では、子グマに発信機を付けた研究者がいて、大きくなる時に首が絞められて山で死んでいました。猟師が研究者に向かって、「かわいそうなことをするな!」と、目をむいて怒っていたのを覚えています。

 

ちなみに、現在、クマの生息数推定はどこまで進んでいるのでしょうか。最新発表となる2020年度分が以下です。

 

●北海道のヒグマの場合

95%信頼区間:6,600頭~19,300頭。中央値:11,700頭。

 

●秋田県のツキノワグマの場合
95%信頼区間 :2,800~6,000 頭。中央値 :4,400 頭。

他府県も同様につき、省略。

 

 

95%信頼区間の幅が大きすぎますね。最先端の科学技術をもってしても、クマの生息数の推定がどんなに難しいかお判りいただけたかと思います。

 

秋田県は昨年度、生息数中央値の50%以上にあたる2,300頭のクマを捕殺しました。捕殺数の方は、正確に近いと思われます。秋田県は、さらに捕殺を進めるそうです。みなさんはどう思われますか。環境省指導では、クマが多くいる県でも、絶滅させないように15%以上は捕殺しないこととなっています。

 

私たちは、より正確な生息推定数の把握やさらなる捕殺に税金を使うのではなく、食料豊富な山を再生したり、当面の被害を防ぐために電気柵を張ったりして被害防除に励む方が、クマ問題の解決に効果があると思います。

水源の森を造り守ってきてくれたクマたちに、畏敬の念を失ってはならないと思います。(完)

以前の山を知らない若い人たちに、今のクマ問題の根本原因は山にあることを知ってもらいたい

以下は、2024年3月2日の河北新報投書欄です。

投稿されたのは、奥羽山脈のふもとで自然農をされている船形山のブナを守る会の創設者である小関俊夫さんです。
長期に亘り奥羽山脈の山を見続けてきた小関さんは、人間活動によって、現在の山が、クマにとってどれだけ生きづらい環境に変えられてしまったのかをよく知っておられます。

今のクマ問題を正しく解決するには、過去数十年間にわたる山の変化がわかっていなければなりません。

クマ問題に取り組む若い人たちには、歴史的なこともぜひ勉強していただきたいです。

 

■クマとの共生 方策考えて 小関 俊夫 75歳(大崎市・農業)

 

クマによる人的被害防止のため、捕獲に国の支援が受けられる鳥獣保護法上の指定管理鳥獣にクマが追加されます。山の神だったクマが邪魔者にされました。

 

クマが里に出没するようになったのは、昭和50年代に始まった林野庁による拡大造林施業でブナ林が伐採され、クマのすみかを奪ってからです。それにリゾート開発が拍車をかけました。クマは安住の地・ブナ林を追われたのです。

 

登山仲間によると、最近、山でクマに出合うことが少なくなってきた、クマの生態に異変が起きているのではないかということです。人とクマのすみ分けを図るゾーニング管理が言われていますが、人がクマの領域を侵していることを念頭に議論してほしいです。

 

ブナの伐採は止まりましたが、自然再生エネルギーの名の下に、宮城、山形両県にまたがる船形連峰にも風力発電事業が計画され、森や山が破壊される恐れがあります。また、低周波音や騒音によるクマの健康被害も懸念されます。開発事業の前に、クマへの畏敬の念が大切なのではないでしょうか。

 

昨年はクマの大好きなブナの実が大凶作でした。クマは妊娠しても食物不足だと冬眠中に流産するそうです。今年はクマの個体数は減少するでしょう。クマの指定管理鳥獣追加の前に、人とクマが共生できる方策が必要だと思います。

 

母を探して走り回るくくり罠で左前足切断の子グマ、みなし子グマたちを作らず保護する社会に

今年1月9日のTVニュースによると、ある町のショッピングセンター入り口付近に、子グマが猛ダッシュで走り込んできました。本来なら、母グマと一緒に冬眠しているはずの時期にです。

なんだか走り方が変です。前足の左手首がないのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ショッピングセンター入り口付近に、3本足で猛ダッシュで走り込んできた子グマ

 

入り口を通り過ぎて、ショッピングセンター前の隅っこに行ったので、人々がその辺にあったいすなどを使って包囲し、逃げないようにしました。2時間後、警察と猟友会がやってきて鉄製の箱罠に移し、山に返したということです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

箱罠に捕獲された子グマ。左前足手首がちぎれている

 

 

この子グマに関するマスコミの報道論調には驚かされました。

報道文中の太字は、とんでもないと思われる言葉です。

 

 

<以下、報道文>

1月9日、昼下がりのショッピングセンターに体長およそ50センチの子グマ1頭が出没し、店内が一時騒然としました。

この後始まる大捕物、その一部始終をカメラが捉えていました。

冬眠しないこの子グマは、来店客が行き交う入り口に2時間居座りました。

子グマはその後捕獲され、客などにけが人はいませんでした。

市では子グマは山に返す方針ということです。

 

 

熊森から

 

地元の方の話では、クマが出た!というと、記者のみなさんは大喜びで飛んでくるとのことです。怖いもの見たさ故か、クマニュースは視聴率アップ間違いなしになるからだそうです。

その辺の犬と同じくらいの大きさのやせてガリガリの小さな子グマに人身事故を起こす危険性など全くないことを、熊森は多くの人に伝えたいです。

冬眠しないのではなく、こんなガリガリでは、冬眠できません。(食い込みができていないと冬眠中に死ぬ)
第一、母グマがいないので、大地が雪で覆われる前に、どこでどうやって冬眠しておけばいいのか、この子グマにはわからないでしょう。

 

居座ったのではなく、周りを囲われて動けなくされていたのです。

けがをした人はいませんでしたと言うけれど、けがというなら、子グマの前足首切断という大けがにはなぜふれないのでしょうか。

 

山に返すと言われても、何の餌もない真冬の山で、この子グマは100%生きていけません。

 

この子グマ、どこにいるのか。

熊森は、緊急保護の必要性があると判断し、警察と行政に次々と電話しました。

警察:県に聞いてください。

県庁:市に任せているので市に聞いてください。

市:保健所が対応したので、保健所に聞いてください。

保健所:猟友会に任せているので猟友会に聞いてください。人混みがすごかったので、子グマの前足首がないかどうかは、見ませんでした。

 

行政と違って、電話番号が公開されていない猟友会の方には連絡のしようがありません。個人情報だからと行政も教えてくれません。

 

私たちが保護することを申し出ましたが、飼育許可は降ろせないと言われました。

私たちは胸がつぶれそうになり、どこに放されたかわからないこの子グマのことを思って、何日間も苦しみました。

 

後日、地元の方に聞くと、この子グマは、河川敷を母グマともう一頭の兄弟と3頭で歩いている時に、河川敷に設置されていたくくり罠に左前足がかかってしまったんだそうです。なんとか、罠を外そうとこの子は必死にもがいていたが、何をしてもワイヤーは外れません。早くこの場を立ち去らないと、人間に見つかったら皆殺されると判断したのでしょう。母グマは子グマを助けようと必死でしたが、やがて不可能と悟ったのか、もう1頭の子グマを連れて去っていったようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地元では、シカやイノシシ無制限捕獲用の無差別くくり罠が、至る所に仕掛けられている。
強力バネでワイヤーが足を締め付けるため、様々な野生動物たちが足を失っていく。
日本は先進国です。こんな残酷な罠は、使用禁止にすべきです。

 

残された子グマは、自分の前足の手首を引きちぎり、狂ったように母を探し求めて走り回わっていたということです。ショッピングセンターに何かの物を狙って来たわけではなく、自分を置いていかないでほしいと必死で母を探していたんだろうということでした。

 

昨年、人身事故が相次いだこともあって(過去最多年の1.3倍)、食料を求めて山から出て来て有害獣のレッテルが張られた大量のクマたちは、ハチミツ入り罠に次々と誘導されて駆除されました。(2023年度のクマ捕殺総数は前代未聞の9028頭)その結果、冬が来てもどうしていいかわからず、各地で孤児グマたちが雪の中をさまよっていました。いずれ死ぬだけですが、誰も助けようとしない日本社会です。こんな人間社会でいいのでしょうか。

 

我が国がクマに無慈悲でクマを憎む社会に変化したのは、権威のある人たちやマスコミが、臨界距離内(一般的に12m)で人間に出会ってしまったクマが、人間が怖くて人間から逃げたいあまりに起こす人身事故を、クマが人を襲ったと一斉表現して、まるで一方的にクマが意図して人間に傷害事件を起こすかのような誤情報を出し続けているからだと思います。クマは本来、大変平和的な動物です。

 

日本は水道の蛇口をひねるといつでも水が出て来ます。しかも飲める水です。こんなめぐまれた国は、世界にまたとありません。
これは祖先が奥山水源の森を、森づくりの名人クマたち以下全ての森の生き物たちの聖域として、手つかずで残していたからです。平成になるまで、クマが奥山から出て来ることなどまずなかったのです。

この奥山生態系の仕組みを、熊森は全ての国民に伝えたいです。

 

その奥山を、わたしたち人間が、拡大造林、さらに今、地球温暖化、再生可能エネルギーなどで破壊し続けたから、クマたちは山から出てこざるを得なくなったのです。

人間活動の被害者であるクマたちをさらに殺し尽くそうとしている私たち人間、どうかしています。
人間の倫理観や道徳観はどうなってしまったのでしょうか。

 

野生動物対応の権限は都道府県にありますから、軌道修正するには、各都道府県庁に一般都道府県民が改善を求めて声を上げていくしかありません。

 

私たちは、この県の地元の皆さんのためにも、クマ問題の真の解決に向けて声を上げ行動しようという熱い方々が現れるのを心待ちにしています。(完)

春到来!とよくん、目覚めました🐾

たくさんの方からいただいたドングリや栗を食べ、昨年12月20日過ぎには冬ごもりに入ったとよくん。 例年目覚める日はお彼岸前後でしたが、 昨年、今年と少し早くなってきています。

3月3日(日)暖かな日差しの中、運動場でまどろんでいたとよくんお世話スタッフが目撃しました。スタッフを見るとご飯をおねだりし、クルミとどんぐりをもらい満足そうにしていたそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まだ寝起きでぼんやりしているとよくんではありますが、これから少しずつ活動的な様子を見せてくれるでしょう。

ぜひとよくんに会いにきてください!

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