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2024-03-30
3月12日 篠原孝議員、衆議院環境委員会でクマの指定管理鳥獣化について質問
- 2024-03-30 (土)
- くまもりNEWS
3月12日、令和6年衆議院第2回環境委員会で篠原孝衆議院議員(比例北陸信越ブロック、立憲)がクマ指定管理鳥獣化に関する質問をされました。
質問中の篠原 孝議員
(要旨)文責熊森
篠原委員 次に、熊問題です。 環境省は中央環境審議会の下に東京農業大学の山崎晃司先生を座長に検討会を三回開いて、それを受けて検討して、四月中にはクマを指定管理鳥獣にしていくという方針だそうですが、その後どのように扱っていかれるおつもりか。
伊藤信太郎環境大臣 環境省では、昨年の熊類による深刻な被害状況を受けて、専門家による科学的な検討を経て、①ゾーニング管理、広域的な管理、順応的な管理の三つの管理を推進しながら、熊類の地域個体群の維持を前提としつつ、人の生活圏への出没防止によって、人と熊類の空間的なすみ分けを図ることとしました。
環境省では、クマ指定管理鳥獣化に対するパブリックコメントを二月十三日から開始しておりまして、国民の皆様の御意見を伺った上で、絶滅のおそれのある四国の個体群を除き熊類を指定管理鳥獣に指定する手続を完了したいと考えております。
熊類を指定管理鳥獣にすることで、②熊類の生態等の調査やモニタリング、人の生活圏への出没防止のための環境管理や必要な捕獲、人材育成等、都道府県の状況に応じた効果的な対策を講じることが可能となります。
他方で、熊類は、今御指摘がありましたが、既に指定管理鳥獣に指定されているニホンジカ、イノシシとは繁殖力、個体数の水準、被害の状況が異なることから、③捕獲に偏らない総合的な対策が必要とも指摘されているところでございます。
篠原委員 熊は、生態系上も非常に大事な動物です。長野県の山は、だんだんだんだん栄養分がなくなってきています。シベリアの森林が何であんなに豊かかというと、アムール川にダムが一つもないからです。サケやマスや、百種類ぐらいの魚が(海から川へ産卵のために)上っていく。それをまず熊が食べる。(産卵を終えたサケやマスは)死んでいく。(山の中は)サケの死体だらけなんですが、あっという間に鳥や獣に食べられてなくなる。④この海の養分が森に戻る循環がなくなっているんですよ。だから、熊はやたらに殺しちゃいけないんですよ。生態系の循環を担っているんですよ。ちゃんといてもらわなくちゃいけない。
このところの兼ね合いが難しいんです。何が大事かというと、私は人材が圧倒的に不足していると思うんです。田舎の市町村はお金がないですから、県が、⑤県庁にきちんとした熊の専門家を置くべきです。環境省も、都道府県に出向して熊の専門家を養成してください。
伊藤環境大臣 委員御指摘のとおり、専門的な知見を有する人材の確保、育成が不可欠でございます。
篠原委員 環境省だけでは無理だと思います。全省庁を挙げてやらなくちゃいけないです。
朝日健太郎環境大臣政務官 令和二年(2020年)十月にクマ被害対策等に関する関係省庁連絡会議(農林水産省、林野庁、警察庁及び環境省)を設置しております。
篠原委員 農林水産省は、生産ばかりになるからいけない。環境保全というのを、今度、食料・農業・農村基本法の中にも入れ込んでいくべきだ。みどりの食料システム戦略とか。熊も緑を守っている、大事な役割を担っているんですよ。ネイチャーポジティブとか、⑥片仮名の名前をいっぱい使って環境行政をやるのは僕は反対だ。聞く人は分からないですよ、何のことか。「鳥獣保護法」の獣という言葉は「野生動物保護法」という名に変えていただきたい。獣だと、けだもの、駆除すべきものとなる。テディーベアがあるし、熊は愛きょうがあるので、世界中で愛されている。熊だって愛護しなくちゃいけませんよ。 熊を敵対視しているから熊森協会から批判されるわけですよ。(名前は大切で)、我が長野県は、恥ずかしながら、林務部森林づくり推進課⑦鳥獣対策室です。(こういう行政の部署名がいけない)
熊森の見解
①環境省のゾーニング管理で被害を出していないクマを守れるかもしれないと熊森も最初期待したのですが、実態は集落ゾーンに誘引物が入った箱罠を大量に仕掛け、山にいるクマをおびき出して無実のクマを大量に捕殺しています。ゾーニング管理というなら誘引物入り罠を仕掛けないことが前提でなければなりません。
②山から出てきた目の前のクマばかり見ていてはダメ。根本原因は山。根本対策は餌のある山を再生させること。
③根本的に対応が違うのなら、別の名前にすべきでしょう。クマを指定管理鳥獣に入れてしまったら、そのうち初心が忘れられてニホンジカ、イノシシと同じく捕殺強化だけになってしまう恐れがあります。
④この指摘はとても重要です。サケが産卵時に川をさかのぼってくるのは自然そのもので、海の養分を山に戻すという大切な役割を果たしていました。本州にもサケがのぼってくる川をもう一度取り戻して、森の動物たちがサケを食べられるようにしてやりたいです。直接にはクマの為ではありますが、森が豊かになり、人間の為にもなるのです。
⑤専門家と呼ばれる人なら誰でもいいのではなく、クマの心が読み取れて、捕殺に頼らない対応ができる専門家でなければなりません。
⑥まったくもって同感です。文章に英語を多用するのは本当にやめていただきたい。ここは日本国なのです。
⑦鳥獣対策などというものは、人間至上主義そのもの。人もクマも大切です。
篠原議員、伊藤環境大臣は永らく環境部会に属してこられた方で、これまでの日本の環境行政にお詳しく、大いに期待したいところです。
ただし、議員や環境大臣と言っても皆さんお忙しく、現場を自力で調査し続ける時間などありません。野生動物問題を考えるにあたって、現状では肩書きのある研究者や彼らの見解をそのまま流すメディアに情報を依存するしかないかもしれません。
熊森のような利権やしがらみゼロの自然保護団体の声にも大いに耳を傾けていただきたいです。