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2025-02-13

祝 福島市の再エネ森林破壊事業に歯止めがかかり始めた その1

 

福島市の木幡浩市長は、市北部などの国有林で計画されている風力発電事業について、住民の理解が図られていないとして反対を表明しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

福島市の木幡浩市長

 

福島市は、地元住民の反対をきっかけに、大規模太陽光発電施設=メガソーラーを規制する条例の制定も目指していて、エネルギー開発をめぐる市の動きが続いています。

福島市北部の茂庭地区から桑折町西部にまたがるおよそ354ヘクタールの国有林では、茨城県の事業者が11基の風力発電施設を設置する事業を計画していて、周辺環境に与える影響をまとめた「評価書」が今月8日に確定しました。

この「評価書」を閲覧できる「縦覧」が今月24日から始まるのを前に、福島市の木幡市長は21日、開かれた定例会見で、住民の理解が図られておらず、同意しないとしてこの風力発電事業への反対を表明しました。

理由について、

建設予定地の周辺住民に聞き取りを行ったところ、反対意見が多く理解が図られていないと判断したほか、

建設によって土砂災害などのリスクが高まること、それに、

景観が損なわれる

ことなどを挙げています。

 

熊森から

福島市の木幡浩市長が、住民の声に耳を傾けられたことを高く評価します。ぜひ建設現場を見ていただきたいです。

わが国では、大規模な再エネ事業で自然や森林を開発する場合、事業者に法律に基づく環境影響評価(環境アセスメント)が義務付けられています。太陽光の場合は出力4万kW以上(土地面積にして約80ha)、風力発電の場合は出力5万kW 以上(土地面積は広大)が該当します。

アセスには、4段階があり、①配慮書→②方法書→③準備書→④評価書です。
自然や森林を破壊する再エネ事業に関しては、できるだけ早い段階で事業計画を察知して止める方が止めやすいのは言うまでもありません。
福島市の木幡浩市長が今回、「評価書」縦覧直前まで進んだ風力発電事業について反対表明をされたのは、大変勇気のいることだったと思います。木幡浩市長、よく言ってくださいました。

再エネ事業者に国有林を貸す際、林野庁は地元の市町村長の同意を前提としますから、今回の福島市市長が貸し出し不同意を明らかにしたことで、この事業は進めにくくなります。

熊森本部は、福島県内で次々と進んでいく再エネ事業による水源の森破壊に危機感を持ってきました。先日、福島県会員の皆さんがこの問題に取り組もうと、支部を立ち上げてくださいました。支部会員のみなさんも、今回の福島市木幡市長の反対表明や規制条例づくりを知って、希望の光が見えてきたと思います。福島県も、不適切な山林の開発を抑制するため、違反したメガソーラー事業所を今年4月から公表するなど、規制を強化すると発表しています。
(完)

 

今冬雪の中、クマの目撃相次ぐ 山形県新庄市は2月3日、仙台市は2月7日、いずれも麻酔後山に放獣

今冬雪の中、東北などの市街地に於けるクマの目撃件数が例年になく多く、わが国のクマ保護史上に残しておくべき特別事態だと思います。報道映像の顔や体つきから、若いクマだと感じることが多いです。

一昨年の東北山の実り大凶作年時に於けるクマの異常ともいえる大量出没で、母グマに連れられ餌を求めて市街地に出て来たものの、母グマを人間に殺され、山に戻って冬眠することを知らないまま市街地近くでなんとか冬を生き抜いた子グマが、春以降も市街地の裏山でこっそり生き続け、今冬も山で冬眠することを知らずにさまよっているのではないかと推察されます。

餌があるから冬眠しないのだろうという説もありますが、当協会で保護飼育している元野生グマ「とよ」を見ていますと、冬眠中飲まず食わずでも生きられるだけの脂肪層が体に蓄えられると、大量に積まれた餌があっても食べなくなり、自ら寝室に入り込んで春まで出てきませんから、違うのではないかと思います。

ある動物園の飼育者に聞くと、動物園ではクマに冬眠されるとお客に見てもらえなくなるので困る。わざと不十分な量の餌しか与えないようにしているので、冬中起きているとのことでした。

 

山形県新庄市の場合

マスコミ報道によると、2月1日午後1時半、新庄市内を車で走っていた女性が1頭のクマを目撃。このクマは猟友会などの追い払いを受け、新庄中学校の軒下や市内中心部を逃げ回り、最上公園の中に居座りました。(熊森訂正→逃げ込みました。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大勢の人間に追われて逃げ惑うクマ

 

地元猟友会の皆さんが公園内に箱罠を設置しましたが入らず、2日朝7時に公園から逃げ出しました。

現行法(鳥獣保護管理法38条)では、人や建物に被害が出るのを恐れて、市街地では原則、銃の使用が禁止されています。

そこで、山形県は獣医による麻酔銃使用を市に指示したようで、獣医さんが公園から200m離れた集落の通路でじっとしているクマを見つけ、建物の3階から2回にわたり背中めがけて麻酔銃を発射。しばらくして動かなくなったところを猟友会のみなさんが網で捕獲して箱罠に移し、離れた山中にこのクマを放獣したとのことです。けが人なし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

麻酔銃が命中して動かなくなったクマ

 

猟友会の方によると、3歳から4歳ぐらいの若いメスの成獣で、やせていたとのことです。

 

宮城県仙台市の場合
2月7日午前5時40分ごろ、仙台市泉区高森2丁目の高森自然公園に1頭のクマが入っていくところを住民が目撃し、泉署に通報。
行政提供写真:高森自然公園内の茂みにいるクマ。2月7日午前8時39分(朝日新聞より)
以下、マスコミ報道。
その後、周辺でクマを目撃したという通報が相次ぐ。クマは体長約1メートル。その後も公園内にとどまっていたため、市の委託業者が麻酔銃を使って眠らせ、正午過ぎに捕獲。午後1時半ごろに山林に放した。
公園に隣接する明泉高森幼稚園は、警察からの連絡を受け休園。周辺の高森小学校と高森中学校は、一斉メールで保護者へ周知し、職員による巡回を行った。けが人なし。
熊森から
危険性のないクマは殺さずに山に返してやるというのは、人として当然のことです。
しかし、そのためには今回のように多くの皆さんの大変な労力が必要です。
殺さずに山にクマを返してくださった新庄市と仙台市の担当者の皆さん、猟友会のみなさん、本当にありがとうございました。
環境省は今国会で、市街地でも銃が撃てるようにと、鳥獣保護管理法38条を変えようとしています。

 

市街地でも発砲できるようにすることで、出没したクマを素早く射殺し、短時間で解決することを狙っているのでしょう。
やむおえない状況が発生することもあることは認めますが、しかし、そのような法改正が行われると、今回の新庄市や仙台市で行われたような、山に放獣しましたという動物福祉に基づくやさしい事例がこの国からなくなってしまうのではないかと心配です。
クマによる人身事故が起きないようにということは誰しも願うことですが、そのためにはとにかくクマを刺激しないようにして、市街地から追い出すことです。
現行法が住居集合地域等で銃を撃つことを禁止しているのは、建物や人間に被害が及ぶ恐れがあることを危惧しているからで、それなりの意味があります。猟友会や元自衛官の方にお聞きすると、住宅地での発砲というのはとても慎重にしなければ事故が起こる可能性があることなのだそうです。

 

国会議員のみなさんが今後、環境委員会でどのような論戦を闘わせるのか知りませんが、里に出てきたクマはさっさと殺しておけばいいんだという昨今の【他生物の生命軽視論調】に偏らず、どうすれば済み分けて共存できるのかをしっかり議論いただけるよう願っています。

 

クマを初めとする多くの野生動物たちは日本列島の先住民であり、今も保水力抜群の豊かな水源の森を無報酬で造ってくれているありがたい存在です。

今回の法改正案について、環境省の考えを詳しくお知りになりたい方は、以下の環境省の資料をご覧になってください。
人間さえよければいいという今の社会風潮の中で、唯一環境省だけは自然や野生生物の立場に立っていただきたいです。
環境省までもが人間最優先になってしまうと、人間活動がここまで大きくなったこの国で、大型野生動物たちはもう生き残れません。(完)
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