くまもりNews
クヌギが花盛り 雌花と雄花がわかりますか
4月17日、庭のクヌギが花盛りなのに気づきました。
あまりにもきれいなので、見に来ませんかと熊森スタッフに声をかけた次第です。
ところが、2日後の19日に見ると、もう花期が終わってしまったようです。
自然界の移ろいのあまりのはやさに驚きつつ、あわてて写真に撮りました。
クヌギは風媒花だからいいものの、虫媒花だったら、こんな花期の短い花は困りますね。
ちょっと昆虫の訪花の日がずれたら、もう受粉できなくなってしまいます。
4月19日のクヌギの雄花
無数に垂れ下がっている紐のようなものに雄花がびっしりついています。
クヌギは、花と言っても、めしべとおしべがあるだけで花びらはありません。
手前の茶色っぽい雄花はもう花粉を出し終わった感じです。
2日前には写真奥の雄花のようにきれいな黄緑色でした。
雄花をアップで撮影しました。
一つの雄花に、おしべが4本付いています。
びっしり咲いた?雄花
雌花は小さすぎて撮れないので、ネットから写真を探し出しました。
新枝の葉の根元についている2ミリのものが雌花です。
雌花と言っても3つに裂けた柱頭があるだけです。
今年の雌花
クヌギは2年成のドングリなので、今春受粉した雌花がドングリになるのは、来年の秋です。
去年受粉した雌花は、この時期3ミリぐらいになっています。
下の写真が去年受粉した雌花です。
今年の秋には大きなドングリに成長していますよ。
去年の雌花
このクヌギは、熊森協会ができる前の年の秋、山に行った時、あまりにも大きなドングリを見つけて一つ持ち帰り、庭に植えたものです。
数年後には実をつけ始めました。
17年後、胸高直径18センチにまで育ちました。
2013年撮影17年目のクヌギ
この年、このクヌギの木から落ちたドングリの2分の一量の重さを図ってみました。
スーパーのビニール袋がいっぱいになりました。
重さは5キログラムありました。
1本のクヌギから合計10キログラムのドングリが落ちたことになります。
クヌギのドングリ
現在保護飼育中のツキノワグマ「とよ」も、クヌギのドングリは大好きです。
秋の食い込み期には、「とよ」は1日に10キロのドングリを平らげますから、このクヌギの木1本で1日分の食料を得ることができます。
冬ごもりに備えてのツキノワグマの食い込みは、7月末から始まります。
もし、この大きさのクヌギのドングリだけで、1頭のクマが冬ごもりしようと思ったら、このような木が山の中に150本点在していることが必要です。
クマが生息するために、どれだけ広い山が必要か想像すると、気が遠くなりそうです。
クマが生息する自然が残されているということは本当はすごいことで、自慢すべきものなのですが・・・
クヌギの樹液はカブトムシやクワガタ、オオスズメバチなど、葉はウラナミアカシジミ(チョウの一種)の幼虫など、ドングリにはゾウムシなど、もう数えきれないほどのいろいろな動物が、クヌギの木で命をつないでいます。
狭い庭に、クヌギの大木は無理なので、2015年に植木屋さんに伐ってもらいました。
しかし、10日後には切り株から青々とした新芽が出てきて、今また元の大きな木に戻ってしまいました。
切り株から新芽(伐採後50日目に撮影)
クヌギは、青森を除く本州と九州、四国に分布しています。
クヌギは昔から、炭やシイタケのほだ木などに広く利用されています。
古文書を読まれた先生によると、祖先が摂津などから苗木を取り寄せて各地にクヌギを植えて回ったことがわかるそうです。
よって、分布は全国に連続しており、クヌギに地域固有の遺伝子はありません。
皆さんの所では、ドングリの花は終わりましたか?
それともこれからですか?
日本にドングリの種類は21種あります。
クヌギ以外のドングリも春に花が付きます。
ドングリの雌花や雄花をまだ見たことがない人は、ルーペでいつか見てください。
命の不思議さを感じますよ。(完)