くまもりNews
九州北部甚大災害の原因は林野庁の拡大造林政策㊗福岡RKBテレビが平野虎丸氏の解説を報道
豪雨のたびに甚大災害が次々と起きる本当の原因を国民に伝えようと、熊森本部は去る7月24日福岡県庁に出向き、熊森福岡県支部と共に必死の思いで1時間の記者会見を行いました。
記者会見の初めに森山会長が、
「これまで国や行政が責任逃れのために隠し続けてきた本当の災害原因を、地元の人たちのために、初めて前面に押し出す報道が生まれる歴史的な記者会見にしたい」
と、あいさつしました。
そして最後には、これまでいくら私たちが真実を発表してもマスコミが取り上げてくれないので、国民に伝わらず、悲惨な甚大災害が起き続けているとして、
「福岡の記者さんたちは、勇気を出してこの記者会見の内容を報道してほしい」とお願いしました。
しかし、残念ながら、一社も取り上げてくれませんでした。
そんな中、福岡県のRKBテレビが、熊森顧問でもある平野虎丸氏を現地取材し、ニュース特集の中で、甚大災害が起きる仕組みについて平野氏が話したことを放映されました!(ヤッター)
この8分間のテレビニュースをユーチューブに上げて全国民に見ていただきたいです。しかし、法違反になるのでできません。このニュース特集に関しては、視聴者からの良い反応がいくつも局に届いたようで、近々再放送の予定だそうです。しかし、福岡県の人にしか見れないテレビです。残念です。
RKBニュース特集
<なぜ流木被害が拡大、植林政策の課題とは> 以下概要
(ナレーター)今回の豪雨では大量の流木により、被害が拡大しました。なぜこれほどの流木が生じたのでしょうか。
背景を探ると国が進めてきた植林政策のもろさが見えてきました。
朝倉では、大量の流木と土砂が集落の姿を一変させました。
(朝倉住民)
ここから800メートル下までに50世帯の集落があったのです。
かなり大きな流木が根元から根こそぎ何本も流れてきました。
(ナ)
集落の上流に向かって進んでいくと、スギ山の斜面が大きく崩れ落ちていました。
雨による倒木と土砂が下流に向かって流れ込んだ様子がうかがえます。
福岡県によると朝倉市と東峰村で発生した流木は20万トン以上。
その多くが山に植林されたスギです。
(平野虎丸さん)
みんなスギだ。もう凶器ですよ。このスギは。こんなでかい石をいっぱい運んでくる。
わたしは20年前から、流木被害について警鐘を鳴らし続けてきました。
(ナ)
植林されたスギは自生のスギに比べ根が浅いため土砂崩れを起こしやすいといいます。
(平野虎丸さん)
はっきり言って、自然災害ではなく人災です。自然にはこういうスギはないんです。しかもこれらが所狭しとびっしり植えてある。これが甚大災害の原因です。
年齢を重ねたスギの木は、それなりに体重が重くなり、急斜面では自分の体を支えられなくなっている。50年60年のスギから早く伐るべきです。
(ナ)
国は、戦後、復興や高度経済成長で急増した木材需要を背景に全国の山でスギやヒノキなどの植林政策を進めました。現在日本の山の40%がスギなどの人工林です。
その根は自生のスギとどう違うのでしょうか。
実生スギと挿し木スギの違い図示。
左が自生スギ、右が挿し木スギ(挿し木スギには、主根が生えない)
(ナ)
自生スギは、体を支えるための主根が地面下にどんどん伸びていきます。挿し木スギは、種から育てたスギに比べ、根が浅く横に広がっていくだけです。主根は生えませんから、木が成長して大きくなりすぎると不安定になり、雨や風で簡単に倒れるのです。
一方種から育つスギは災害には強いものの、真っ直ぐ育ちにくく、木材利用には適しません。
災害に弱い挿し木が植林に使われてきたのは、まっすぐに育ち成長も早いことから、効率的に木材を生産できると考えられたからでした。
(平野虎丸さん)
スギの木が悪いんじゃないんです。人間が植えるところを間違ったのです。急斜面や沢沿いがいけないですね。家の近くや集落の裏山の急斜面などもだめです。
(ナ)
スギの伐採は40年が目安ですが、木材需要の低迷や林業従事者の減少などで、今、山には伐採されないままの大木が多く残っています。
熊本県高森での、平野さんたちの植えない森づくり現場が紹介される。
人工林のもろさを訴える平野さんは、今、植林をせずに自然本来の山に戻す活動を行っています。放置して育てた山は簡単には崩れません。
穏やかな暮らしを奪った大量の流木、今後同じ被害を繰り返さないために何をすべきなのか、森林整備の在り方を考え直す時期に来ています。(完)
(熊森から)
みなさんに、平野氏のブログを読んでいただき、傍観者となるのではなく、どんどんコメントを入れていただきたいです。
ブログには、「スギの木が土砂崩れに巻き込まれたのではなく、根の浅いスギの木が倒れるときに、てこの原理で土砂を持ち上げ土砂災害を起こす。この順序を間違うと根本的な対策ができない。砂防ダムなどで、人工林の崩れは止められない。丈夫と言われるコンクリートが、現地ではいとも簡単に壊れている」など、山崩れの現場を横で見てきた林業者でなければ語れない真実がいっぱいです。
また、人が住んでいない奥山や国有林内では毎年のように大きな土砂崩れが発生して林道も崩壊している。人が死なないのでニュースにならないだけだなどという告発も、重要です。
熊森が、人工林がいとも簡単に崩れることを知ったのは、1998年に宮崎テレビが熊森を取材に来た時です。宮崎テレビ制作「熊森が消える」という1時間番組に、宮崎県の奥山人工林がずたずたに崩れている飛行機からの映像が映し出されました。
あれから熊森もいろいろと調べ、人工林が災害を多発させていることを訴え続けてきたのです。林業が大事とよく言い返されますが、命や財産を失うよりも林業の方が大事なんでしょうか。クレージーです。しかも、補助金がなければ成り立たない今の林業は、産業とは呼べません。自然林から択伐するなど、新しい林業の在り方を、根本から考え直すべきです。
今回の九州北部の災害に対して、林野庁が現地を視察し報告書を作りました。その中には、人工林の「じ」の字も出てきません。林野庁の内部に詳しいある閣僚に聞くと、人工林が原因だと林野庁の全員が知っている。もし自由に発言できるなら、林野庁の職員たちは先頭切って、「原因は人工林です」と、言うでしょうということでした。
誰がこの国と国民を救うのか?