くまもりNews
福島市の再エネ森林破壊事業に新たな歯止めか その2 吾妻山メガソーラー 大学教授が注視団体
福島市の吾妻山山麓にある先達山に建設中のメガソーラー事業があります。熊森はこのメガソ―ラー事業に反対する「吾妻山の景観と自然環境を守る会」という地元市民団体の署名集めに協力しています。
建設反対の署名用紙
2月4日の河北新報によると、同市出身で現場近くに住む大学教授の松谷基和氏(ハーバード大学, Ph.D)が、開発で山肌がむき出しになった現状を憤り、奮起。
「先達山を注視する会」という市民団体を立ち上げ、一住民一研究者として検証を始められるそうです。まず情報を開示請求し、先達山問題の背景や構造を理解するうえで参考となる情報や文書を集積。住民はじめこの問題に関心を寄せる人々に広く提供していきますとのことです。ぜひ「先達山を注視する会」のwebサイト https://sendatsu-chushi.com/をご覧ください。
熊森から
福島先達山太陽光発電所について
事業者はAC7合同会社(東京)。2021年に福島県の林地開発許可を受け着工。約60ヘクタールの山肌を開発し、4万kWの発電をめざす。2025年夏、完成予定。
森林伐採が進むにつれ景観悪化などを懸念する市民の声が高まり、福島市が2023年に「ノーモア、メガソーラー宣言」を発表するきっかけとなった。
昨年6月にはむき出しの山肌から泥水が県道に流れ出る問題を引き起こした。
昨年8月、市民団体が建設の中止などを求める要望書を市民ら4000人の署名簿を添えて県に提出したが、工事は止まらない。
現在、積雪のため工事は休止しているが、雪解けとともに太陽光パネル張りが進む予定。
合同会社とは:2006年5月施行の会社法によって新設された法人形態で、資本金10万円から設立可能。株式会社と違い、出資者が経営を行う。1事業に特化した特別目的会社(SPC)の会社形態として、再エネ開発の事業用にたくさん設立されています。ひとたび事故でも起これば、地元補償されない可能性が高いです。合同会社に膨大な金額を出資をして利益を得るお金持ちは、責任を取らなくていいシステムになっています。
松谷教授の専門分野は韓国近現代史ですが、研究者が吾妻山麓メガソーラー問題に乗り出してきてくださったのは本当に心強いです。
そもそもこのような住民たちの生活に関わる大変な問題は、本来、行政が住民を守るために真剣に事業者と対峙すべきです。しかし、日本の行政は、私たちは中立ですから、開発業者の皆さんと住民の方で話し合ってくださいと逃げています。
仕方がないので何の知識もない一市民が、本業のかたわら、手弁当で自費で、慣れない法律文を読みながら、本当に涙ぐましい努力をして睡眠時間まで削って業者と対峙することになるのです。日本全国この有様です。
見かねて熊森のような小さな自然保護団体が、無償でどころか、交通費や宿泊費も自前で、自然を守ろうとする地元みなさんを応援して回っているというのが、我が国の現状です。そのため、熊森の財政はどんどん苦しくなっていきます。
再エネ推進は国策ですが、たとえ国策であっても、ダメなものはダメと言える完全民間の熊森のような団体がもっともっと大きくならないと、日本の自然は守れません。
ぜひ多くの国民の皆さんに、熊森協会の会員になっていただいて、熊森を支えていただきたいです。
再エネ自然破壊問題・森林破壊問題は、国民を守るために、本来は、国、都道府県、市町村が、取り組むべきだ問題だと熊森は思います。(完)
参考記事 政経東北2023年8月号【福島市】メガソーラー事業者の素顔