くまもりNews
かつてのクマ生息地にクマの生息痕跡はなく、悲しい6月のブナ林
- 2011-06-15 (水)
- _現地訪問・調査 | _野生動物保全 | 公益財団法人奥山保全トラスト
奥山のクマ生息地を本部調査研究部が調査しました。去年からGPSを持って山に入るようになったので、歩いたルートを地図上に正確にプロットでき、調査記録がかなり正確になってきました。
そこは、ブナ、ミズナラの巨木の森で、感動でした。しかし、ブナの幹に付いている多くのクマの爪痕は、昔の古いものばかり。大好物のスズコ(日本海側の積雪地帯に生えるチシマザサのタケノコ)にも、クマが食べたあとが全くありませんでした。シカやイノシシのフンや生息痕跡も、ほとんどありませんでした。
兵庫県森林動物研究センターの大学の先生たちは、1990年に生息推定数60頭だったクマが、今や増えて増えて、600頭~700頭になっていると今年の2月に発表されています。現地を見てみると、何かの間違いではないかと感じます。地元の方に、「クマは増えていますか」とたずねると、「もうほとんどいなくなったね」と言われました。
人間の背丈以上のチシマザサ群が一斉に枯れていたり、ミズナラのナラ枯れもありました。何が原因で自然林まで荒廃していくのでしょうか。いったい日本の山はこれからどうなっていくのでしょうか。
動物の棲める森を残さなければ、人間も生き残れない。熊森は、人間目線だけでなく、動物目線でも山を見続けていきます。