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人間は、生態系の頂点に位置する動物ではない  イエボア博士(ガーナ)

以下は、公益財団法人イオン環境財団の「生物多様性みどり賞」を受賞されたアルフレッド・オテング=イエボア博士の言葉です。

 

人類はもっと自然に対する理解を深めなければなりません。

それなのに、人類はこれまで自分たちの欲求のまま自然を利用してきました。

地球上のあらゆる場所で野生生物の採集や乱獲を行ってきたのです。

では、自然に対して何か配慮をしてきたでしょうか。

答えはノーです。

 

これまで地球上では、実に多くの破壊活動が経済開発という口実のもと行われ、環境と人間の調和がその代償となってきたのです。

このような収拾のつかない状態を解決するには、問題の多くを生み出した私たち人間が行動を起こすしかありません。

環境に対する最良のアプローチは、人間が生態系ピラミッドの頂点に立つ “Me,Me 主義”ではなく、人間も生態系の一部になること。

人間の活動が自然と調和するように、人間自身が心がけていかなければなりません。(同財団のHPより)

 

熊森から

海外にも私たちと同じことを感じておられる方がいることを知って、とても勇気が湧きました。

 

1月12日 本部から高知県へ 高知県支部長と人工林の共同伐採

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1月12日。高知県支部長が奥山の人工林を購入して伐採しているということなので、本部も協力しようと高知県に行ってきました。高知県の人工林率は66%にも達しています。

なんと、この日の高知県の奥山は、かなりの雪でした。

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雪のために、高知県支部長の自宅からは車を出せないと言われました。仕方なく、近くの宿泊施設に車を置き、あとは10分ほど歩いて、支部長の家に到着しました。最初、林業に従事してこられた徳島県の会員といっしょに来ようと思ったのですが、残念ながらひとりで来ることになりました。

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家のまわりは白銀の世界でした。

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猫さんも寒そうです

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鶏もいます

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ヤギもいます

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そして、なんと羊も飼っておられました。

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作業中、支部長の愛犬がまわりを走り回っていて楽しいのですが、危ないので慎重に伐採を進めました。

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この日、伐採した木は33本。これでしばらくは薪が足りると、支部長が喜んでいました。

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この道の奥に支部長が購入した杉山が10haほどあります。これからどんどん伐採して、自然林に戻していくそうです。

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愛犬のモコも一緒に撮影

 

また、本部から伐採を手伝いに行きたいと思います。四国の会員で伐採に参加できる方はお知らせください。

お寺の裏山の人工林を、くまもり本部が無料伐採① 兵庫県三田市 1月8日

昨年、三田市にあるお寺から、「お寺のすぐ裏山が放置人工林で、いつ崩れるかわからない。伐採していただけるのですか」という問い合わせがありました。このお寺の方はくまもり岐阜県支部にご友人がいるようで、その方から熊森本部のチェンソー隊の話を聞いたということです。

 

昨年11月にそのお寺を視察

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お寺は有馬富士の近くでのどかな田園風景が広がっていました。

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この裏山が現場になります。50年生くらいのヒノキの放置人工林が広がっていました。

 

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今年、1月8日、いよいよ伐採開始です。

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伐採初日は雪が少しちらついていました。

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みんなでチェンソーの扱いを再確認

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地元の方と伐採方法の確認

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真ん中の赤い服の人が持っているのがチルホール

チルホールという牽引機を使って、伐採木がお寺の方に倒れないように気をつけながら伐採。

 

お昼は地元の方がお釜で炊いてくださったおいしいご飯をいただきました。この方は家中のお風呂、炊事、ストーブなど燃料のほとんどを薪で生活しておられるそうです。

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地元のお米、三田米

 

伐採後はみんなで玉切り枝打ちなどの林床整備。

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この日は12本伐採して処理。

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伐採前

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伐採後

見上げると、少し空間ができてきました。

 

ここは、奥山ではありませんが、昨年、この近くでも、ツキノワグマの目撃が数件あったそうです。

里にたくさん仕掛けられたイノシシやシカ用の捕獲罠には、ヌカなどのおいしい餌が入っています。

何キロ先からでも察知できると言われるほど嗅覚がずば抜けてすごいと言われるクマを、人間が大量罠設置によって里に呼び寄せていると指摘する人もいます。

 

くまもりは、クマだけを守ろうとしているわけではないので、野生動物が棲める山を少しでも増やしていくために、今後もこのような里にある放置人工林でも、機会があれば、伐採していきます。

お寺の裏山の人工林を、くまもり本部が無料伐採その2 兵庫県三田市 1月19日

1月19日、この日は三田市のお寺の裏山の伐採第2回目です。

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前回の伐採で少し空が明るくなったと感じましたが、外から見るとあまり変わっていません。

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この日はまず、建物に一番近くて、危険な立木に印をつけていきました。

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前回同様、チルホールを使いますが、今回は枝打ち用のはしごを持ってきたので簡単に滑車を掛けることができました。

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枝打ち梯子に昇って作業風景を撮影するとこんな感じです。玉切りした丸太が斜面を転げ落ちないように伐根(伐採した後の株)に引っかけるようにして置いていきます。

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この日初めてボランティアに参加された方ですが、普段からチェンソーを使って公園整備などをしているので、慣れた手つきでどんどん玉切りしていきます。

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一人でこんな丸太も持ち上げます。あまり無理しないで!(笑)

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この日は16本切りました。だいぶ林内が明るくなってきたと感じます。

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ヒノキで40cmは結構太い方だと思います。樹高は24m程でした。

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柿を食べに来たヤマガラ

お寺にある柿の木にはたくさんの実がついており、いろんな小鳥が柿を食べにやってきます。

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太陽光パネルで外灯がつきます

この日は、前回窯でごはんを炊いてきてくださった地元の方の自宅にお邪魔しました。

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玄関にも太陽光パネル。これは携帯の充電用だそうです。

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ロケットストーブ

 

ここでお釜のごはんを炊いたそうです

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室内に設置された薪ストーブ

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お風呂も薪で沸かしています

ここまで徹底して薪を利用し、自然環境に優しい生活をされており、とても勉強になりました。

このお寺の伐採はあと数回で終わってしまうと思いますが、ここでできた地元の方々との人間関係を今後も大切にしていきたいと思います。

 

 

1月15日 尼崎市の小学校で環境教育

1月15日に、兵庫県尼崎市内の小学校で、

3学年を対象に、環境教育をさせていただきました。

今回は、8人で授業に臨みました。

 

5年生『森と人間』

前半は、私たち現代人にとって森が必要かどうか、

昔と今の生活を比較しながら考えていくプログラムです。

さすが上級生、少し難しいお話でも、みんな真剣に耳を傾けてくれました。

後半は、森の現状とこれからについて。

8000年前から今に至る、世界の森の面積の減少を図示したところ、

子どもたちからは驚きの声があがりました。

5年生

社会の授業で習っているのか、歴史的な知識を持つ子も

 

1年生『もりとどうぶつ』

クマの食べ物クイズや紙芝居を通して、森が動物にとって

なくてはならない存在であることを伝えるプログラムです。

食べ物クイズでは、みんな元気いっぱいに手を挙げてくれました。

一方、紙芝居が始まると、子供たちは、とたんに真剣なまなざしに。

子どもたちが集中して参加してくれている様子に、私たちもやりがいを感じました。

1年生

「クマは蜂蜜を食べると思う人ー?」「はーい!」

 

3年生『森の力と動物』

自然の森と人工林を、「動物」「土」「水」「建材」の4つの観点で比較しながら見ていきます。

各観点をクイズ形式で見ていくのですが、みんな活発に発言してくれました。

木の根っこ比べでは、「おお~」とみんなどよめきの声。

視覚的な授業の大切さを実感します。

3年生②

みんな独自の考えを持っていて、対話が楽しい

3年生

実物のクヌギの葉に、興味津々の子供

 

環境教育を終えて

今年も、子どもたちから大きな元気をもらい、楽しい一日となりました。

そして、授業者として、今回もたくさんのことを学ばせていただきました。

 

森や自然とかかわる機会の少ない都会の子どもに、

どうやったら自然の事を伝えられるのか、時々悩むことがあります。

しかし、実物を見せたときの、子どもたちのきらきらとした表情に、

子どもたちの心の中には、もっと自然を知りたいという意思があるように感じました。

私たちの環境教育が、子どもたちの自然への興味関心を引き出す

きっかけになれればと願い、これからもがんばっていこうと思います。

 

この学校で授業させていただくのは、今年で連続13年目。

毎年、環境教育の機会をいただけていることに、心から感謝です。

関係者の皆様、本当にありがとうございました。

 

 

<くまもり本部環境教育チーム定例会のお知らせ>

環境教育部は、毎月第2金曜日午後13時から、

西宮市の本部事務所にて定例会を開いております。

次回は、2月13日(金)13:00~です。

現在は‘水’をテーマにした新プログラムを考案中。

初めての方でも大歓迎ですので、どうぞ、お気軽にご参加ください。(SY)

 

 

1月5日 謹賀新年 クマ(大型野生動物)とも共存すべき

同じ国土に住むもう一つの国民<野生動物>を殺さない国に

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狭い移送檻に閉じ込められて6か月の大阪府豊能町誤捕獲グマ  2014年12月撮影

 

平成は、野生動物大量補殺国家

野生動物による農作物被害等が増加していますが、人間が彼らの生息地を大破壊したことが原因です。

国も行政も研究者もマスコミも、このことを隠して、ハンター養成やジビエ料理推奨に躍起です。

その上、今春からは、環境省の方針で野生動物捕殺株式会社が各地で認可され、更なる野生動物大量補殺が展開されます。

 

 

野生動物を殺すと、国からお金がもらえるのです。(私たちの税金です)

今春から、殺したシカは、野山に放置していいことになります。(今も、県によっては100%近く放置されていますが)

放置されたシカの死体に、クマを初めいろいろな動物が群がっています。

バランスが取れていた生態系は、こうして人間が手を入れ回るのでもう無茶苦茶になっていっています。

 

鳥獣被害問題の解決は、人間が動物の棲める森を復元して、棲み分けを復活するしかありません。

これ以外の解決法は全て失敗します。

1月5日  森・・・造り過ぎた人工林の3分の2を、自然林に

くまもりは、今年も、森と動物を守る活動を、地元の人達と協力して推進していきます。

ひとりで胸を痛めているだけでは、世の中は変わりません。

賛同して下さる方は、どうぞご入会下さい。みんなで力を合わせましょう。

 

・全生物(人間も含む)のため、造り過ぎた全国人工林の3分の2を、自然林に戻す。

・酸性雨で弱っている自然林を、炭撒きなどで元気にする。

 

 

スギの間伐&除去

2013年度皮むき間伐した山が、ずいぶん明るくなってきました。(京都府支部からの活動報告2014.12.22より)

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NPO法人奥山保全トラスト所有の京都府京北トラスト地渡辺保護区 2014,12,21撮影

皮むきされたスギが枯れて、日光が地面を射すようになり、見事に林内が明るくなってきています。

この写真を見たら、皮むき間伐に自分も参加してみようという人が、増えるのではないでしょうか。皮むき間伐は、小学生でもできます。

訪れる人もなく、チェンソーを担いで歩くのも大変な奥山での自然林復元には、短時間に大量に間伐できる皮むき間伐が最適です。

 

チェンソーによる皆伐や間伐が向いている場所では、今年もチェンソー使用します。

 

 

12月7日  やってよかった、第7回くまもり東京シンポジウム

大変遅くなってしまいましたが、第7回東京シンポジウムの報告です。

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会場となったお茶の水女子大学の正門からの風景

 

東京都支部新スタッフのみなさんが、ほとんど自分たちで第7回東京シンポジウムを企画運営して下さいました。本当にありがとうございました。ご苦労様でした。

最近、集会の参加者が減っています。東京都支部のみなさんが一生懸命呼びかけてくださいましたが、なかなか人が集まらず、本部としても気が気ではありませんでした。直前になってやっと参加者が増え始め、最終的には110人の参加者を得ることができました。年末の忙しい時期に、又寒い中、ご参加くださったみなさん、本当にありがとうございました。

東京都支部スタッフのみなさんや東京都の会員のみなさんを元気づけたい一心で、本部からは会長と青年スタッフ3名が参加させていただきました。会員のみなさん、どうしたのですか。無力感を感じているのですか。もっと元気を出しましょうよという感じでの参加です。

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(会長講演要旨)

「森や動物の惨状を見て、何とも思わない人もいるが、それはそれでいいではないか。わたしたちは胸が痛む。国のあちこちで弱い者いじめが横行している。知って知らんぷりできない。福島、辺野古、リニア大鹿村・・・。力を合わせて、声を上げよう。孤立していてはダメ。一致団結。くまもりの旗のもとに集結せよ。メディアは最高の国家権力と言った人がいるがその通りだ。今や日本の大手メディアは国家権力とぴったりくっついて、国民世論を誘導をしている。何が真実かわからなくなってきた。国民はメディアに振り回されている。

今年、10月末までに3414頭のクマが有害駆除された。大変な数なのに、国民が以前のように騒がなくなった。理由は簡単。報道されなくなったから。みんな知らない。声を上げられない。テレビや新聞にだけに情報を頼っていたら、真実が見えなくなる。洗脳されるだけ。いろんな集会に積極的に参加して真実を見極め、大人の国民としての責任を果たそう。逃げない人生を、誇り高く歩もう」

 

 

講師の先生方のお話はとてもよく準備されており、参加者に大変好評でした。先生方、本当にありがとうございました。

「野生動物と悪化する生息環境」  金井塚務氏

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(参加者の感想)一口に水環境と言っても、滴り落ちる水、たまり水、湧水、勢いよく流れている水・・・水の状態によって、生息することのできる生き物たちがみんな変わってくるというお話は、目から鱗。今まで気づかされていなかった野生動物にとっての生息環境の大切さが、改めて見えてきた。これは、現地を歩いてしっかり調査している人の話だと納得した。もっともっとお話をお聞きしたい。

 

「日本の水とリニア新幹線」 橋本淳司氏

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(参加者の感想)リニア新幹線にこんなに問題が多々あったのか。初めて聞いた。いかにマスコミが、大事な情報を国民に伝えていないか気づかされた。橋本先生のお話はとても分かりやすく、時のたつのを忘れて引き込まれてしまった。

 

第7回東京シンポジウムを成功させた、東京都支部川崎支部長とスタッフのみなさん

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最後、スタッフのみなさんのお顔が輝いていましたよ。

 

結果的には、これまでの東京シンポジウムと比べると参加者は少なかったのですが、スタッフのみなさんは自信を付けてさらにやる気になってくださっていたし、参加者のみなさんも非常に熱心に集中して参加して下さり、満足度の高いシンポジウムになりました。本部としては、この日の講演内容や質疑応答については、機会を見て何らかの方法で全会員のみなさんに伝えたいと思っています。

 

 

 

 

クマたちが殺処分された理由のほとんどは、「集落の柿の実を食べに来たから」 ああ

今年、兵庫県の山の実りは良くありませんが、2004年2006年2010年のように、ゼロではありません。

しかし、熊森本部がある兵庫県で、29頭ものクマが殺処分されていました。

10月時点で、もうあまりクマの目撃がないと聞いて安心してしまっていたのが、本部としては失敗でした。

何と11月に、12頭も殺処分されていたのです。知らなかった。こんなことになっているという情報があれば、柿の実を取って山に持って行くなど、殺処分されるクマを減らせる活動ができたのに、残念です。

もっともっと多くの集落とつながっていかねばならないと思いました。

 

以前は、クマが捕殺される度に、大きな新聞記事になっていました。私たちはそのたびに気づいて胸を傷め、ついに熊森協会を立ち上げるまでになっていったのです。しかし、最近は、1年中、全くクマの捕殺記事が載らなくなりました。

 

環境省が進めている、「みんなでシカ肉を食べよう」とか、「ハンターになろう」という記事は、参加者12人という小さなイベントでも、何度も何度も写真入りの大きな新聞記事になります。その一方、クマたちがこんなに殺されているのに、全く新聞に載らなくなったのはなぜでしょうか。どこかに載せるなと止められているのでしょうか。

新聞社の責任者に、電話できいてみました。

 

新聞社責任者の答え:記事にするかしないかは、その内容が県民に役立つかどうかで決めます。クマが殺されたことを報道しても、県民に役立たないと考えるので、報道しないことにしています。

 

熊森の感想:なぜ、クマが集落のカキを食べに出て来るようになったのか、本来のクマの生息地だった山はどうなっているのか、地元の人達も含めて考えねばならない重大な問題なのに、この責任者の方は全然わかっておられないと思いました。しかも、強圧的で、熊森の話を聞く耳も全く持ち合せておられなかったので、残念ながら電話を切りました。

 

大量に殺されているクマ、シカ、サル、イノシシ・・・死刑判決の罪状は、みんな、かれらが何かを食べたことです。

殺処分されたクマはやせていなかったということですが、やせていなくても、動物ですから、おなかがすいたら何かを食べなければ生きていけません。もし自分が動物だったら、何かを食べたからという理由で撃ち殺されるのは、本当に悲しいです。

しかも、動物たちの生息地だった森を壊し、今もなお壊し続けているのは、わたしたち人間なのです。

 

もう一度昔のように人と動物の棲み分けを復活させるには、人間が壊した森を人間が責任を持って元に戻してやるべきです。ここをやらずに、動物たちを殺すだけは、まちがっています。兵庫県で、夜こっそり集落の柿の実をクマが食べに来るところはたくさんあります。もちろん殺せという声の大きい人もいますが、クマとは共存できるから殺さなくても良いという人が圧倒的多数だと思います。

 

今後どうやってこの国を、大型野生動物と共存する国に戻していくか、まだまだ熊森がやらねばならないことが山積みです。

 

 動物が棲める広葉樹の森=豊かな水源の森=大雨でも崩れにくい森

 

<会員のみなさんへ>

この1年、日本の森と動物を守るための尊いボランティア活動や熱いご支援、本当にありがとうございました。

来年も、がんばりましょう。どうぞよいお年を!

12月26日 豊能グマお世話 熊森としては、年内最終 

この日は年内最後のお世話日でした。
 
今回、お世話に初参加された会員さんが、クマさんの魅力に出会
ってとても感動されていました。想像していたよりも体が大きく
て毛並みがきれい、つぶらな瞳がなんとも言えないなどと目を輝
かせておられました。  

 若グマの姿形の美しさもさることながら、賢く愛嬌のある仕草
にすっかり魅了されたようです。

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 クマさんはもしかしたら冬籠りに入(りかか)っていたの
 かもしれません。
 わたしたちが檻の置かれた室内に入って行っても
 うつらうつらしていました。

 檻の横のシャッターをがらがらと開けはじめると
 クマさんは顔を上げ
 ようやくむっくり起き出して
 光の射しこむほうへ移動しました。

 先週食べなかった柿は
 熟れて甘くなったものを食べました。
 会員さんからいろいろと送られてきたものを与えてみまし
 た。
 食べるものと食べないものがありました。
 これまでと、嗜好が違っていました。

 クマさんはワラの交換作業に慣れたようです。
 作業中も落ち着いていました。
 お腹が空いていないのか
 ご飯の催促もしません。

 といっても、殻なしのクルミにだけは目がありません。
 柵に並べたクルミを
 立ち上がったまま舌でなめとり、ぱくぱく食べました。
 舌が届かないものは手の爪で器用にすくいとりました。
 その仕草にみんなから笑顔がこぼれました。
 (立ちながら食べる姿は初めて見ました!)
 
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この時とばかり、ツキノワの模様を観察する会員たち


 そろそろ作業もおしまいというころになると
 クマさんにエンジンがかかってきます。

 この日は水切りモップをつぎつぎにキャッチ、
 ぼりぼりとかじってしまいました。
 クマさんにかかれば
 アルミの柄などぽきりと折れてしまいます。
 水切りモップのゴムもプラスチックも
 あれよあれよというまにボロボロです。

 興味深かったのは、
 クマさんがモップの柄を口でくわえて檻のなかに引きずり
 込むと両手で体のしたに隠すような仕草をすることです。
 2本目のモップの柄もやはり体のしたに抱え込み、
 それらに覆いかぶさった状態で
 ゴムやプラスチックのパーツをかじりました。

 モップを取り戻すのはなかなかたいへんです。

 この行動は獲物を取り上げられないようにする工夫でしょ
 うか。

 もうひとつ思い浮かぶのは「熊棚」を作る習性です。
 (クマさんが木に登って実を食べるとき、
 実のついた枝を折って口でしごき
 食べ終わると枝をお尻の下に敷いていくので
 木の上に棚のようなものができます。)

 野生のクマさんの習性をちょっぴり垣間見たようで
 わくわくする気持ちが抑えられませんでした。


 スギ材の輪切りは残っていた3個を与えて
 在庫がなくなりました。

 


 クマさんのお世話で
 毎回気になるのは飲み水です。

 飲み水用の容器(バット)は小さく軽量で
 クマさんがちょっと手をかければ
 ひっくり返ってしまいます。

 バットは柵の5cmの檻の鉄格子の隙間から取り出して
 洗い、檻のなかにもどしてホースで水を張ります。
 そのため、いつも檻の隅に置かれています。

 クマさんは檻の隅をトイレに利用します。
 今回は3つのバットのうちひとつが
 うんちでいっぱいになっていました。
 ほかの2つのバットには水があまり残っていませんでし
 た。

 クマさんはもう冬籠りに入りかけていて
 ほとんど水を飲まないかもしれませんが、
 それでも、新鮮な水の常設は必要です。
 
 この日、クマさんがいちど嘔吐しました。
 こぶしひとつくらいの量を
 げろっと吐き出して
 あとはけろりとしていました。

 吐き出したものは
 すりおろした自然薯みたいでした。

 わたしたちはこれからも
 このクマさんとは長いお付き合いになると思います。
 大阪地区、阪神地区、近隣府県の会員のみなさまのご
 協力をいただきながら、力を合わせてお世話していき
 たいと願っております。

 とりあえず、春に広い新獣舎が完成するまでは、クマ
 さんを元気づけながら、本当に狭いのですが、この檻
 の中で元気に生き抜いてもらうしかありません。
 みなさん、応援してやってください。

 このクマさんを生かしてくださっている役場の担当者
 の方に、心からお礼申し上げます。年末年始の間も、
 毎日お世話に行ってくださるということで、本当にあり
 がとうございます。
 来春までお世話になりますが、どうか来年もよろしくお
 願いします。
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