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くまもりNews

尼崎市の小学校1・2・3年生に、今年もくまもり環境教育を実施

 

1月15日に、兵庫県尼崎市内の小学校で、くまもりの環境教育をさせていただきました。

この小学校は、毎年くまもり環境教育部を呼んでくださっています。今年で12年目!となります。

今回の授業は、1年生・2年生『もりとどうぶつ』、3年生『森と人間』です。

くまもり環境教育部の10人で授業に臨みました。

 

まず2年生

この学年は、去年もくまもりの環境教育を受けてくださっています。去年のプログラムを踏まえて、さらにステップアップした内容の授業を企画させていただきました。

テーマは<森と動物の支えあい>

去年は、動物たちが森の恵みを受けて暮らしていることを学んでもらったので、今年は反対に、動物たちが森にしている「お返し」について学んでもらいました。行き過ぎた人工林化によって、動物たちが日本の山で生きづらくなっている問題について、子供たちは、「動物と人間が住み分ける」「山に動物の食べ物を植える」「自然の森を取り戻す」等、たくさんの解決策を考えてくれました。

次は1年生

クマの食べ物クイズや紙芝居「どんぐりのもりをまもって」を通して、動物は森から食べ物をもらって生きているということを伝える内容です。食べ物クイズでは、みんな元気いっぱい、笑顔いっぱいに手を挙げてくれました。

一方、紙芝居が始まると、子供たちは、とたんに真剣なまなざしに。子どもたちが集中して参加してくれている様子に、私たちもやりがいを感じました。

最後は3年生

自然の森と人工林とを比較しながら、森のもつ力を「生き物」「土」「水」「木材」の4つの観点で見ていきます。

自然や環境に興味を持っている子も多く、自分で勉強したことを一生懸命伝えてくれました。さすが中学年。大人びた意見には驚かされました。

木の根っこ比べでは、「おお~」とどよめきの声。視覚的な授業の大切さを実感します。

環境教育を終えて

今回、環境教育部の新メンバーもたくさん行かせていただきました。今年も、子どもたちから大きな元気をもらい、楽しい一日となりました。そして、たくさんのことを学ばせていただきました。

森や自然と直接かかわる機会の少ない現代っ子に、日本の森や動物たちの現状や人間とのつながりをもっともっと伝えていかねばならないと、改めて思いました。

今回の環境教育では、子どもたちの中に‘知ることの楽しさ’が見えたように感じます。

子どもたちの「もっと知りたい」を生み出し、「もっと知りたい」に答えられるような授業を目指します。

この小学校は『伝える力』の向上に努めているとのことで、子どもたちが活発に発言してくれ、すばらしい学校だと思いました。

毎年、環境教育の機会をいただけていることに、心から感謝です。関係者の皆様、ありがとうございました

 

<くまもり本部環境教育チーム定例会のお知らせ>

環境教育部は、毎月第1土曜日午後13時半から、西宮市の本部事務所にて定例会を開いております。

次回は、2月1日(土)13:30~です。

現在は‘水’をテーマにした新プログラムを考案中。初めての方でも大歓迎ですので、どうぞ、お気軽にご参加ください。

 

環境教育部の練習風景

 

 

祝  最後のヒグマ、ビッグ無事、阿仁クマ牧場新施設へ 八幡平ヒグマ全頭無事故で移送完了 1月8日

●<秋田県八幡平クマ牧場ヒグマの、阿仁移送に関する報告>

 

最後まで移送用檻に入ってくれず、八幡平クマ牧場の関係者の皆さんをてこずらせていたビッグですが、おかげさまで1月8日、無事、移送できたということです。

 

昨年12月下旬、食べ物を入れた檻を獣舎にドッキングさせて、八幡平クマ牧場最後の1頭となったビッグが檻の中に入ってくれるよう、スタッフの皆さんは何度も試みてくださいました。

しかし、賢いビッグは用心して、後ろ足を獣舎の餌箱固定金棒に引っかけて、全身と腕を思い切り伸ばして檻内の食べ物を取って食べ、全身が檻に入らないようにします。

そこで、年末の12月30日に、ビッグが足を引っかけられないように、県庁職員さんが獣舎の横金棒を切り取ったところ、ビッグは、檻にすっぽり入ってくれました。フーッ。

 

さて、そこからがまた大変です。次回移送予定日は、お正月明けの1月8日なのです。それまで八幡平クマ牧場の移送檻内で元気に生きていてもらわねばなりません。

関係者の皆さんで、檻の周りに風が入らないようにべニア板を張り、ブルーシートもかけて、藁も入れました。

元八幡平クマ牧場経営者の長崎さんや県庁職員さんら関係者の皆さんは、大変な積雪の中、冬休み中も毎日、吹雪にもめげず、入れ代わり立ち代わり、遠くて不便な八幡平まで、ビッグのために水と餌やりに通ってくださいました。移送檻内に藁を入れてやったためか、檻の中はビッグの体温で温かくなっていたそうです。

 

1月8日当日、ビッグは、阿仁クマ牧場に着くと、今度は自らさっさと歩いて出て、あきれ返る人たちをしり目に、自分の新築冬籠り室にスポッと入ったということです。かくして、全頭移送、無事終了。

 

年末までに移動を終えていたヒグマ先発隊18頭は、みんな元気で、うとうとし始めているとのことです。初の冬ごもりとなるかどうか、今後の報告を待ちたいと思います。

 

それにしても、大変な積雪の中、19頭のヒグマ全頭を、阿仁クマ牧場新施設まで、完全無事故で移送し終えた、長崎さんや秋田県庁職員及び関係者の皆さんの技術の高さには感服させられました。

 

全員が心を一つにして、雪の中、無事故を決意し、真剣勝負の移送を遂行されたということです。

 

1年8か月の長きにわたって、壊れそうな老朽獣舎の中で27頭のクマたちの命を預かり、無事、新施設に送り届けるまでお世話してくださった皆さんのご苦労はどれほどのものだったろうかと思うと、頭が下がると同時に感謝でいっぱいです。

関係者の皆さん、本当にありがとうございました。

 

また、クマたちがこのような幸せな結末を迎えられたのは、「八幡平クマ牧場クマ基金」を始め、全国の団体や個人からの支援があったからで、これらがなければ、全頭の命を救うことなど不可能だったと、長崎さんの弁です。

ご協力くださった皆さん、本当にありがとうございました。やりましたね。

これで、「八幡平クマ牧場クマ基金」の会計報告は、近いうちに出せます。今、しばらくお待ちください。

 

<メディアの皆さんへ>

1年8か月前、死者2名射殺熊6頭の痛ましい事件と、残されたクマたちがどうなるのかという報道が当時、全国ネットで大々的になされました。

多くの人たちが胸を痛めたままになっていますから、ぜひ、秋田県知事をはじめ秋田のみなさんのやさしい対応によるハッピーエンドを、国民の皆さんに、報道してあげてください。

 

 

 

 

 

1月6日締切 経産省資源エネルギー庁が新しい「エネルギー基本計画」に関するパブリックコメントを求めています。

新しい「エネルギー基本計画」策定に向けた御意見の募集について

 

 

素案のなかみ)

福島の事故を真摯に反省し、原発依存度は限りなく少なくすると書いてはいるものの、2大柱は以下。

①原発は「重要なベース電源」とし、輸出を推進。新増設の比率は明記しないが、将来に含みを残している。

 安全性が確認された原子力発電所については、再稼動を進める。

②使用済み燃料を再処理する核燃料サイクル計画も引き続き推進する。

 プルサーマルやもんじゅは、原発先進国の欧米でも放棄された技術です。

 

国民の声を、簡単でいいので、経産省に届けましょう。書くのは、名前と意見だけでいいそうです。

 

疑問

名前と意見だけだと、そういう人物が実在するのか、本当に本人が書いたのかという確認ができないのではないか。経産省担当課に問い合わせると、そういうことは確認するつもりはないという答えでした。これでは、民意を正しく把握できません。そもそも、民意を聞いてどうこうしようと思われていないのか、自分たちで組織票を投じて民意を作り上げようとされているのか、どちらかではないかと疑ってしまいました。

 

平成25年12月6日(金)~平成26年1月6日(月)【必着】

意見提出方法等日本語で書くこと。

 

①e-Govからの御提出
「パブリックコメント:意見募集中案件詳細」画面の下にある「意見提出フォームへ」のボタンをクリックし、「パブリックコメント:意見提出フォーム」の入力様式に従い提出して下さい。

 

②FAX での御提出
意見提出様式(別添)に、お名前と御意見を御記入の上、03-3501-2305 宛に送付してください。

 

③書面での御提出
意見提出様式(別添)に、お名前
と御意見を御記入の上、下記宛先に送付してください。
<宛先>
〒100-8931
東京都千代田区霞が関1-3-1
資源エネルギー庁長官官房総合政策課
パブリックコメント受付担当宛

北海道庁、初のヒグマ保護管理計画案にパブリックコメント募集中  締め切り1月6日

 

パブリックコメントの締め切りは16日です。パブリックコメントをがんばって書いても、権威のある方々が作られた案ですから、基本的に案が変更されることはありません。国民の皆さんは、期待しないで応募してください。

http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/yasei/yasei/bear_plan_boshyuu.htm

 

(熊森から)

●保護管理計画案は、初めに殺すありき

ちなみに、行政言葉で管理というのは、殺すという意味です。しかも、保護で殺すというのは、殺すことなのです。(注:一般国民には、行政言葉が理解できないと思います。さすがに環境省は、今後は保護という言葉を削って、管理という表現にするそうです。昔、環境省は、野生動物を守るところだったのではないかと思いますが、今は、180度転換しており、野生動物を遊びやスポーツとして殺すように指導しているところです)

人間は、殺さない対応策を考えるべきです。保護管理計画というのは、野生動物を殺し続けないと、人間は野生動物たちと共存できないという間違った考えにとりつかれている人たちが、作った案です。(とりつかれているのではなく、そういうことにしておこうと思っている人たちかも知れません。)

ちなみに、ヒグマの方は、決まりを守るし、人間を殺そうなどとは思っていません。一方、人間は初めから、ヒグマを殺そうとしています。これは、共存ではなく、いじめではないでしょうか。

 

この素案によると、過去のヒグマによる人身事故例は、以下のように記されています。

 

<人身被害>

—記録が残る昭和30年から平成25年10月末までの58年間に、132人がヒグマによる人身被害を受けており、うち50人が死亡している。昭和37年以降の人身被害について被害者別に分けると、最も多いのがヒグマの狩猟や有害駆除の際に逆襲に遭ったもので、全体の42%を占める。狩猟者以外の一般人の被害で最も多いのは、山菜取りやキノコ狩りの際に発生したもので、全体の23%を占める。—

 

(再び熊森から)

●ヒグマによる年平均死者は、0.85人で、ヒグマによる人身事故のトップはハンターに対するもの

ヒグマは人を殺すという怖いイメージが広められていますが、ヒグマによる年間死者は意外と少なくて、0.85人、年に1人あるかないかです。しかも、その約4割が、ヒグマの狩猟や有害駆除の際にハンターが逆襲に遭ったものということで、人間がヒグマを殺そうとして先に手を出したのですから、これをヒグマ被害と呼ぶのは間違っていると思います。ヒグマにすれば正当防衛です。せいぜい言っても、ヒグマによる人身事故まででしょう。

こういう言葉使いの不正確さを、北海道庁に訂正していただきたいです。

物言えぬ弱者が一方的に不利になるような書き方は、フェアではないし、人間として恥ずべきものです。

 

●1999年から始まった、[特定鳥獣保護管理計画]

そもそも自然界の生き物は、増えたり減ったりするもので、増えても減ってもいいのです。

ところが、1999年に、[特定鳥獣保護管理計画]というわけのわからないものを、環境庁が研究者たちに押されて、鳥獣保護法に導入しました。

当時、環境庁の法改正案提出責任者と長時間面談しましたが、彼は、「日本の野生動物をこの法改正で、限りなくゼロに一直線にする」と言われました。(この方は、自然や生態系を全くご存じない方でしたから、実際に法案を作ったのは官僚ではない別の人達だと感じました。この法律は、国会議員のみなさんによって、廃案になりかけたのですが、その時、この法案を通さないとだめだとして、国会議員たちにFAX攻勢をかけたのが、北海道から沖縄までの何十人かの国立大学の教授たちでした。ただし、文面がみんな同じでしたから、原案を作ったのは、官僚だと思われます)こうして廃案になりかけていた、自然生態系を無視した悪法が、国家権力によって成立してしまったのです。

 

自然生態系は、網の目のようにつながっているのに、その中のクマ・サル・シカ・イノシシだけを特定し、その生息数だけを人間がコントロールしていくことなど、不可能です。この法案提出のバックには、ワイルドライフマネジメントと称して、野生鳥獣を使って仕事を得たい研究者たちがうごめいていました。大学で野生動物を勉強しても、当時、彼らには就く仕事がなかったのです。

 

●生息推定数計算と適正生息数計算の仕事を得た研究者たち

野生動物なんて、棲み分けられれば何頭いたっていいのです。しかるに、頭のいい彼らは、「科学的計画的頭数管理」という、一般国民が批判しにくいような言葉を付けて、(当時、科学と名付けば絶対に正しいと多くの国民が思っていた)生息数を推定する事業が必要と主張し、行政から仕事をもらおうとしたのです。

以降、研究者たちは、毎年、様々な推定方法を次々と打ち出して、その度に生息数推定の事業に多額の予算がつくようにしむけ、行政から仕事を得ることができるようになりました。

いくら調査しても、相手は森の中を動き回る動物です。人を恐れて人間のいる所では昼はほとんど出てこず、夜、そっと動いています。正確な推定数などわかりっこありません。あくまで推定生息数であり、その数にどこまでの信頼度があるのかも疑問です。

 

●すべて、お金がらみ、仕事がらみ

次に、適正生息数を計算するのですが、自然界の状態は様々で、何頭いたら適正かなど、人間に計算できるわけがありません。ここでも嘘があります。

そして、人間が決めた適正数より多いと判断されると、有害駆除、個体数調整、許可捕獲…いろんな名前を次々と作り出して、要するにお金をもらって、ハンターや捕獲業者がクマを殺すのです。

殺したクマの体は、漢方薬として金より高く売れる熊の胆は、北海道だって一番に取って売りますし、残った大きな体はペットフード会社などに卸します。農業被害や人身被害を持ち出して、殺さなくてのいいクマを殺してもうけるのです。

 

●ヒグマは植物質中心の雑食性で、柔らかい草や果実が減少する夏に、農業被害を出す

北海道というヒグマの生息地に人間が入って行って田畑を作ったのですから、農業被害が出るのは当然です。

素案によると、最も被害が多いのは、デントコーンの42%で、2番目はビートの21%、3番目はスイートコーンの7%、4番目は小麦の9%だそうです。

ヒグマは肉食動物のように誤解されていますが、素案にもあるように、平地や低山にすむ植物食中心の動物です。人間も生きたいですから、田畑作りをある程度は認めてほしいのですが、同時に、ヒグマたちにも生息地を残しておいてやらないと、田畑に被害が出ます。当たり前のことです。

ありがたいことに、クマは電気柵で防除できますから、初めに殺すありきでなく、

①ヒグマの生息地を保障しているか。

②ヒグマ被害防止の努力を人間がしているか。

この二つの問題から取り組むべきでしょう。

 

●殺しても殺してもシカが減らない・・・特定鳥獣保護管理は破綻

最近、行政の方々から、殺しても殺してもシカが減らない。シカがどんどんと子を産むようになったという嘆きを聞きます。

シカがなぜ突然増えだしたのか、なぜ、どんどん子を産み始めたのか、大きな謎ですが、驚くような仮説として、1999年から、人間が特定鳥獣保護管理を導入し、シカを間引きだしたからというのがあります。人間がやみくもにシカを殺しだしたので、シカの方としては、種の保全をかけて、体を極限まで改造し、どんどん子供を産むようになっていったというのです。

明治に滅びたオオカミが原因という説よりは、ずっと、年代的には合います。

環境省は今後10年かけて、シカとイノシシの約半数を殺す計画を立てていますが、初めに殺すありきの特定鳥獣保護管理計画が破たんしているのではないでしょうか。

地球上で全生物と人間が共存するというのは、人間が全生物の個体数を多額の税金を使って殺し続けることではないはずです。わたしたちの祖先の棲み分け共存から学ぶべきものが多いはずです。

 

●行政担当者は自然が何たるかわからない狭い範囲の専門家に頼らず、昔ながらの祖先の棲み分け共存をめざすべき

自然との共存に、科学技術研究など原則として必要ありません。なぜなら、相手は自然だからです。

科学技術や研究者などなくても、自然と共存してきた文化が世界各地にたくさんあります。

行政の皆さんは、ふつう、野生動物殺害現場に行かないし、殺害に手を出しませんが、生きたいのに殺されていく無念の動物、親や子、家族を人間に殺されて嘆き悲しむ人間にとても近い動物たち、これらを日々見続けることは、多くの人間にとって、精神衛生にいいものではありません。

もういい加減に、<保護管理=保護して殺す=初めに殺すありき>の呪縛から脱して、生息地復元・被害防除に重点を置いた優しい対応策に切り替えて欲しいものです。

他生物に優しい文明だけが、自然を守り、持続可能な文明となります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2015.1.1謹賀新年

兵庫県丹波県民局判断で設置されていたクマ捕獲わなは、期限切れで12月27日に撤去

12月13日から兵庫県丹波市の集落に、クマ捕獲わなが設置されていました(既報)が、この度、撤去されました。この件は、今後のクマ行政に、大きな問題を提示したと、私たちは考えます。

 

これまでクマなど出たことがないという集落で、クマのフンが初めて見つかったのは11月20日だそうです。無人になっている神社の社にニホンミツバチが巣を作っていたため、12月1日には、大人の上半身ほどの大きさの社の板が壊され、中の蜂の巣がクマに食べられるという被害が発生しました。クマを目撃した人はいないのですが、その後も、集落の柿の実が、クマに相次いで食べ続けられます。クマに慣れていない集落の皆さんが、不安に陥られたのはわかります。集落のリーダーが、集落の皆さんに、クマを誘因していると思われる木々に残された柿の実の除去をお願いすると共に、クマを捕獲して欲しいと丹波市にお願いされたのもわかります。丹波市の担当者が、柿の実の除去が終わっていないのに、12月13日に市所有のクマ捕獲わなを設置されたのもわかります。丹波県民局は、捕獲された場合、このクマは殺処分と決めておられました。私たちは、この決定には、まったく納得がいきません。

 

絶滅危惧種のツキノワグマに対する保護が大きく後退してしまった現在の「兵庫県のクマ出没対応基準」でさえ、このクマの場合、殺処分とはなりえません。今回の場合、県の出没状況区分は、3の、「繰り返し出没し、精神被害を含めた被害を発生させた場合」にあてはまります。県が決めた対応は、兵庫県のクマは生息推定数が400頭を越えていると考えられるため、「原則殺処分だが、ただし、適切な被害対策を行っていない場合で、過去に学習放獣されていない個体は、学習放獣」です。この集落の場合、適切な被害対策をまだ行っていなかったので、どう考えても、このクマが捕獲された場合は、学習放獣が妥当です。しかるに、丹波市担当者が、捕獲された場合、殺処分すると主張されたため、私たちは地元のリーダーに電話して、急遽翌日の12月14日、柿もぎ支援のため、この集落に駆けつけました。柿をもいで山に持って行ってしまえば、クマは出てこなくなり、殺処分される恐れはなくなります。集落も、クマ不安から解放されます。

 

しかし、集落のリーダーから、知らない人たちに集落に入ってもらいたくないと断られました。そう言われてみれば、そうだろうとも思います。しかし、こんなことで殺処分を認めていたら、絶滅危惧種は守れません。クマの棲む保水力抜群の豊かな森をこの国に残そうと運動している私たちにとっては、もし、捕獲されたら山に放獣すると、丹波県民局に方針転換してもらうしかありません。地元のリーダーも、「殺処分されるとは知らなかったし、行政からも聞いていない。奥山に放獣してやればいい」と言ってくださいました。

 

12月19日、私たちは、丹波県民局に行きましたが、かたくなに殺処分を主張されました。丹波市担当者は、丹波県民局の決定に従うの一点張りです。もし、このクマが罠にかかっていたら、殺処分されるところでした。しかし、有害捕獲わな設置許可期限の2週間を過ぎても、クマは罠にかからなかったばかりか、冬籠りに入ったのか、出てこなくなり、12月27日に罠は撤去され、1件落着しました。

 

しかし、私たちは、大きな問題が残されたと感じます。クマをどうするかの決定権は、県民局にあるのだそうです。丹波県民局担当者はこの部署2年目で、クマの生態に無理もありませんが、それほど詳しい知識は持っておられません。県のクマ出没対応基準と違う決定を下し、外部から指摘されても、かたくなに訂正しようとされませんでした。地元の人たちに説明もせず、地元の声も聞いていません。私たちのように長年クマに関わってきた市民団体の声も、まったく受け入れません。たまたま今回は、捕獲わな設置の段階でマスコミ報道があって、私たちが気づいたため、私たちもそれなりに調査し動きましたが、今回のようなことは例外です。最近のマスコミは、行政発表を書くだけというのがほとんどで、行政は捕獲や殺処分を発表しませんから、兵庫県ではクマは殺されていないと信じ込んでいる県民がほとんどです。

 

ちなみに、今年の兵庫県のクマ統計(11月30日現在)は、以下です。

目撃数は485件(同じクマを何度かカウントしている場合あり)、有害として捕殺11頭、イノシシ罠などに誤捕獲29頭(うち28頭は放獣)

 

それぞれの対応について、県民局が決定権を持っているのはいいとしても、決定や遂行にあたっては、地元住民に説明し、県民に情報公開していただきたいと思います。兵庫県では、クマに長年携わっておられる森林動物研究センターの職員もおられるのですから、相談してみるなど、謙虚で柔軟な対応を望みます。今回の丹波県民局の対応は、誠に残念で問題でした。

 

 

 

 

 

 

(速報8)12月27日阿仁熊牧場へ18頭目のヒグマを移送、残り1頭に

とりあえず、ウメコは阿仁へ

 

(以下、2013年12月28日  読売新聞より)

 

移送用のおりに入って、新しい飼育舎に到着した18頭目のヒグマ(27日、北秋田市の阿仁熊牧場で)

北秋田市の「阿仁熊牧場」に27日、廃業した鹿角市の「秋田八幡平クマ牧場」から雌のヒグマ1頭が移送され、これで計18頭が新しい飼育舎に収容された。

移送は16~25日の予定だったが、警戒心が強く、搬送用のおりに入らない雄が1頭まだ残っており、県などは引き続き移送を試みている。

秋田八幡平クマ牧場では昨年4月、ヒグマ6頭が脱走し、女性従業員2人が襲われて死亡した。ヒグマの処分が検討され、県が阿仁熊牧場に約3億3000万円を補助して運動場や飼育舎などを新設し、雌12頭、雄7頭の移送が決まった。

両牧場間は約120キロあり、トラックで片道約3時間。ヒグマのおりはクレーンで飼育舎に運ばれた。

県などによると、ヒグマは1頭ずつ、基本的に縦2・4メートル、横3・0メートルのコンクリートの部屋に入れて環境に慣れさせている。落ち着いた様子で、食欲なども大きな変化はないという。

神戸市の深い3面張り川のえん堤内に閉じ込められて1年たつ1頭のイノシシのこと

12月25日の新聞報道によると、今年4月、神戸市中央区の宇治川のえん堤に、ウリ坊(イノシシの子供)が1頭迷い込み(流れ込み?)、高さ6メートルのコンクリート塀に囲まれたまま、約1年近くも抜け出せないでいるということです。50キログラムぐらいにまで、成長している感じでした。

イノシシ

見かねた住民たちが、餌をやるなどして、このイノシシの命をどうにかつないでいるものの、山に返してあげたいなどの市民の相談に対して、行政側が全く動いていないという記事でした。何のための行政なのか、信じられません。

 

近隣の他の市では、同様のことが起こると、住民の通報を受けた行政がすぐに駆けつけて、イノシシを山に逃がしてやっています。つい先日も、行政が、高い岸から川に落ちて這い上がれなくなっているイノシシを救出して、住民から拍手をもらっていました。

川を、動物が落ちたら最後、二度と這い上がれないような何メートルもの高さのある垂直3面張りの排水路に変えてしまい、町中に張り巡らせた人間の責任は、本当に重いと思います。(子供や動物など、弱者への配慮が全くない)

 

このイノシシを助けてやってほしいという声が、さっそく、12月25日夜から、くま森に入り始めました。行政にとって、このイノシシを救出し、山に逃がすことなど簡単なことです。1年近くもなるのに、なぜ動いてやらないのか、理解に苦しむくま森は、26日、行政に電話で、すぐに救出して山に逃がしてあげてほしいとお願いしました。その時の答えは、人間として、本当に理解に苦しむものでした。

 

くま森が救出しよう。クレーン車やユニック、捕獲檻、軽トラック・・・準備物が次々と浮かびます。しかし、高さ6メートルのコンクリート塀と言われても、実物を見ないと、救出計画が立てられません。インターネットのグーグルストリートビューで確認してみましたが、やはり現地に行かないと、はっきりとした河川敷の構造がわかりません。明日の朝、現地に取りあえず行ってみることにしました。

 

元イノシシの生息地であった神戸市の裏山は、宅地開発の歯止めがかからなくなっており、現在、人間の住宅地が山の半分くらい上まで上がっています。生息地を奪われたイノシシは住宅地内を徘徊し、あちこちに掛けられたイノシシ捕獲用くくり罠や箱罠にかかって、毎年大量に殺されています。銃猟禁止地域なので、罠にかかったイノシシは、たたき殺すか刺し殺すかされています。以前、猟友会の方が詳しく教えてくださったことを思い出しました。

 

この1歳の迷いイノシシにとって、山に逃がしてあげることが幸せにつながるのかどうか・・・逃がしてあげた次の日に、罠にかかってたたき殺されることも十分予測されます。どちらがこのイノシシのためになるのか。大切なのは人間の命だけではなく、全ての命だと考えている私たちにとっては、悩ましい限りです。

 

12月27日、朝、行政に、昨年度神戸市で捕殺されたイノシシの数を聞いてみました。640頭!でした。

 

現地に到着し、入念に構造を調べ、付近の人たちの聞き取りを行いました。遊水地の底から地上の道路まで、コンクリートの広い坂道がついており、坂道を上りつめたところの鉄の扉さえ開けてもらえれば、クレーンやユニックなど不要で、救出は簡単にできます。

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近隣の方たちが、集まってこられました。多くの市民が、このイノシシを不憫に思い、温かく見守っておられることがわかりました。

私たちは、きれいな水は?、餌は?、嵐の日の逃げ場は?もし川が増水したら生き残れるか?危害を加える人間はいないか?いろんな観点から、生息地を調べていきました。

イノシシが迷い込んでいるところは、大雨の時、川の水が市街地にあふれださないように作られた遊水地でした。外からでは遊水地の構造がわかりにくいため、施設管理部署を訪れ、図面を見せてもらって、遊水地の構造を確認しました。

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写真右の坂道が、地上への道で、イノシシはこの先端までよく来ているそうです。坂を登りつめたところにある鉄の扉を開けると、すぐに地上に出られます。

<わたしたちの出した結論>

豊かな自然の中で、親子で生きているイノシシのことを思うと、確かに哀れなイノシシではあります。しかし、予想に反して、命を永らえることができる最低限の生息環境チェックは、全て合格点でした。

人間のことしか考えなくなった環境省は、今、今後10年で、シカ生息推定数の半分である160万頭、イノシシ生息推定数の約半分である39万頭の大量捕殺を行うと宣言しています。

捕獲罠でいっぱいの山に逃がされて罠にかかりたたき殺されるより、ここで、多くの市民に愛されて生を全うした方が、このイノシシにとっては幸せではないかと思われました。

行政関係者のみなさんに、遊水地からイノシシを救出して山に逃がしてやってほしいという、昨日の申し出を取り下げることを伝えました。

近隣の神戸市民の皆さん、哀れな1頭のイノシシを、今後とも愛し育ててやってください。よろしくお願いします。このイノシシを大事に見守ることによって、人間社会にもきっとすばらしい幸せがもたらされます。ただ、このイノシシは、春からここにいるということで、今の状況で、厳しい冬の寒さが乗り切れるのかどうかの証明ができません。皆さんに見守っていただくしかないと思います。

行政にもいろんな方がおられます。親身になって私たちの思いを受け止めてくださった、人間性を失っておられないみなさんに、心から感謝申し上げます。

(完)

(速報7)阿仁熊牧場へのヒグマ移送、あと1頭、どうしても檻に入ってくれない

現在、元八幡平(はちまんたい)熊牧場に残された19頭のヒグマのうち、17頭が、阿仁(あに)に無事引っ越しを終え、全頭阿仁の新施設で元気に暮らしているということです。

 

八幡平に残されたヒグマはあと2頭。ウメコは12月26日、無事、檻に入ってくれたのですが、あと1頭、ゴロウがどうしても檻に入ってくれません。餌につられて檻の近くには来るのですが、檻に全身は入らないようにして、おしりをつきだしたまま手を大きく伸ばして餌だけ取って食べています。ゴロウが一番慎重で警戒心の強い、自己の意思をしっかりと持ったヒグマであったことが、これで証明されました。しかし、関係者の皆さんは、疲労困憊を超えておられます。もう、檻に入ってあげてほしいものですね。

 

八幡平から阿仁への移送には、万一に備えて、警察のパトカーや、銃を持った猟友会の方々が付き添ってくださってきました。しかし、ついに、本日でタイムリミット。警察のみなさんは、年末の特別警戒の仕事があり、もうこれ以上は年内は付き合えないということになりました。麻酔を!という声も出たそうですが、とにかくそういう化学物質は使わないようにして、自然な形で、食べ物だけでつって移送しようと決めていたため、却下されました。(素晴らしい判断だと思います)

 

かくして、檻に入ったウメコと、檻に入ってくれないゴロウの阿仁への移送作業は、いったん本日で休止。

新年1月8日から再開されることになりました。フゥーッ。

よって、移送速報ニュースの続きは、1月8日以降になります。

その間、八幡平に残された、2頭のヒグマたちは、関係者の皆さんの手で、飢えないよう、凍え死なないよう、手厚く配慮し続けてもらえるとのことです。吹雪と氷点下の秋田八幡平です。1月8日まで、長崎さん、県庁職員の皆さん、臨時職員の皆さん、どうか残り2頭をよろしくお願いします。

本部事務所 会報78号発送中

今年も、あとわずかとなりました。本部では、今、会報78号の発送作業で、てんやわんやです。26日は、近隣会員のみなさんを初め、愛知県や奈良県など遠くからも会員の皆さんが、手伝いに駆け付けてくださいました。ほんとうにありがたいです。本部スタッフ一同、感激です。

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仕上がった会報入り封筒の数を数えるスタッフ。(くま森ビル2階)

明日も発送作業が続きます。人海作戦でやっていますので、ご都合のつく方は、部分的参加だけでもいいので、お手伝いに来てください。

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