くまもりNews
日本の山からなぜウサギが消えたのかーーやと病
かつて、あんなにたくさんいた野ウサギですが、今は、本当に見かけなくなりました。野ウサギがいないと、猛禽類たちが生きていけません。わたしたちは、ウサギが消えた原因を、ずっと知りたいと思っていました。
先日、高齢の猟友会員たちと懇談した際、この件をたずねてみたところ、すぐに答えを教えてくださいました。
「やと病だよ。拡大造林を始めたころ、苗木をすぐにウサギが食べてしまうので、困ってしまった国が、やと病(野兎病)菌を山にまいたのさ。この菌はすごい感染力で、みるみるうちに山からウサギが消えていったよ。当時は、ウサギを捕まえて、腹を裂くと、みんなこの病気にかかっており、白いぶつぶつがいっぱいついていたものさ」
これが本当なら、国は、拡大造林を進めるために、ウサギに対して、生物兵器を使ったことになります。
この件について確実な情報をお持ちの方は、もう時効ですから、当協会にお知らせくださいませんか。
沢沿いの人工林伐採事業に大分県行政が本腰・・・熊森大拍手→全国に広まれ
大分県は昨年7月の豪雨で大量の流木(熊森注:人工林のスギ)が発生したことを踏まえ、災害に強い森林づくりを推進するため、地域森林計画の見直し作業を進め ている。下流部にある住宅地などへの被害を抑え、漁業への影響といった二次災害を防ぐ観点から、河川沿いの人工林については流出の恐れのある木の伐採を急 ぐ必要があるとし、本年度中に計画を策定し、新年度から早速、伐採事業などに着手したい考えだ。
昨年の豪雨災害では、河川の増水に伴い、木が土砂と一緒に押し流されたり、斜面が崩れるなどした。県は数万本の流木が発生したと推定。流木は下流部の橋桁や橋 脚に引っ掛かって河川の氾濫を引き起こし、住宅地などへの被害を拡大させたとの指摘もある。別府湾や豊前海に流れ出した流木は、漁業関係者にも大きな影響 を与えた。
土砂と一緒に流出の恐れがある木については切り倒す方針。
土砂崩壊の危険性がある急傾斜地では河川から5~10メートルの幅で間伐して、広葉樹を交ぜて 植えたり、自然植生を回復する案を検討している。事業は各市町村が担う。
県は伐採費を全額補助する方針で、「これまで流木被害に特化した対策はなかった。 事業効果が大きければ、県内全域に広めたい」(森林整備室)としている。
竹田市は、県の方針を受け、土砂の浸食被害が大きかった玉来川をはじめ玉来川水系の吐合川、滝水川の各上流部3地域、約30ヘクタールを事業対象の候補 地として挙げている。事業を推進するには、所有者の同意を得た上で、市の森林整備計画を改正する必要があり、担当者は「所有者の数が多く、遠方に住んでい たりする人もいて、作業は難航している」と言う。
市は「6月の梅雨時季前までには順次、事業着手をできるようにしたい。被害を最小限に抑えるため、多くの人の協力をお願いしたい」と話している。
<ポイント>地域森林計画
知事が全国森林計画に基づき、民有林について10年を1期として立てる計画。森林関連政策の方向性や地域的な特性に応じた森林整備、保全の目標などを示す。市町村森林整備計画の指針ともなる。
以上
<熊森から>
熊森は、以下5か所の人工林を広葉樹の自然林に至急戻すべきだとして、国会議員や林野庁、都道府県庁にお願いし続けてきました。今回の大分県の取り組みは、そのうちの一つ、沢沿いです。
日本の森林面積は2500万ha(うち40%にあたる約1000万haは、スギ、ヒノキ、カラマツ等の人工林)で、大部分は十分な管理がなされず、大荒廃しています。
現在、多額の補助金(=私たちの税金)をつぎ込んで、日本全 国で森林整備という名の事業が実施されていますが、残念ながら、その実態は、木材生産のための2割~3割程度の弱間伐を施す事業がほとんどで、5年もすれば、残された木が成長し、元の木阿弥。整備した割に、成果を上げていないのが現状です。
沢沿いの針葉樹一辺倒の人工林は、沢沿いの広葉樹の花に集まる虫を山から消して、谷川の魚からえさを奪い、生態系を破壊し、土壌や流木を流出させ、人災と呼べる大災害を招いているので、早急に広葉樹へと樹種転換することが必要です。
今後は木材生産に特化しただけの今の補助金制度ではなく、治山・治水に結びつく適度な皆伐や間伐、生態系まで見つめての落葉広葉樹の導入に力を入れ、昔の自然の沢沿いの森に早急に戻していくべきでしょう。
年末から持ち越した納得のいかないクマ殺処分2件
クマ殺処分は、どれも納得のいかないものだらけですが、昨年末に起きたクマ殺処分2件も、私たちには納得のいかないものでした。新聞記事を読んで、胸がつぶれそうになりました。
その① 東京都あきる野市で、12月25日のクリスマスに、箱罠にかかった10キロの子グマを射殺。
その② 兵庫県養父市(旧関宮町)12月30日、スキー場にうずくまっていた雌グマ1.2メートルを射殺。
いずれも、ツキノワグマが絶滅危惧種に指定されている地域での殺処分です。
いずれも、新聞記事になったからわかったもので、記事を書いてくださった記者さんに、まず感謝です。
また、いずれも、すでに殺されてしまった後で知ったため、当協会としては救出に向かえず、残念でした。
一日も早く、クマが殺される前に、当協会のようなクマの立場からもクマ問題が見れる団体に、相談や情報が持ち込まれる時代になってほしいです。
当協会は、新年、まずこの2件の徹底検証を行うことにしました。
「生態文明の建設」を大きく推進することを表明ーー中国
2013年最初のくまもりブログは、地球・人間環境フォーラム発行の月刊誌「グローバル ネット」12月号から頂いた情報(以下、一部引用)でスタートしたいと思います。
・・・2012年11月、北京の人民大会堂で、中国共産党第18回全国代表大会が開催され、10年間国家のトップの座についていた胡錦濤総書記が、総括と今後の国家の方向と目標を示した。その中で、「生態文明の建設を大きく推進する」が強調された。また、この時、中国共産党の党規約を改正し、生態文明の建設を、党規約に盛り込んだ。
生態文明というのは、自然を尊重し、自然に順応し、自然を保護するということのようで、胡錦濤総書記は、
「最後に、われわれはぜひとも一層の自覚を持って自然を大切にし、より積極的に生態系を保護し、全力を挙げて社会主義生態文明の新しい時代に向かって邁進しなければならない」
と、報告を結んだ。・・・
熊森から
国家の指導者が、このような指針を打ち出したのは、すばらしいことだと思います。
経済成長を追う余り、公害垂れ流しの環境破壊国家となった隣国中国には、私たちも自然保護団体として眉をひそめてきました。数年前、揚子江イルカの最後の一頭が、揚子江の汚染が進んだため死亡し、ついに絶滅した時、わたしたちはため息をついたものです。
しかし、当協会顧問の前兵庫県知事貝原俊民氏が、「中国のトップリーダーたちに会ってきたら、このままではいけないという危機感がものすごくあった」と私たちに教えて下さったので、隣国の全員がお金に狂ってしまっているわけではないと知り、一縷の希望を持ちました。
そして、今回の、胡錦濤氏の報告を読んで、(行き着くところまで環境破壊が進んだ結果でしょうが)、国を挙げて、文明の方向転換が始まることを知り、大いに期待したいと思うようになりました。ここまできっぱりと宣言された胡錦濤氏に、大拍手です。後をついで、今後10年間、中国のトップリーダーとなる習近平新総書記が、この路線を深く理解し、大いに進めてくださるよう祈ります。これからの隣国中国の変化が楽しみです。
熊森新年のことば
「自然保護大国でなければ、21世紀は生き残れない」
年末にあたって
- 2012-12-31 (月)
- くまもりNEWS | 東北大震災・福島原発 | 熊森の見解
年末にあたって、人類初、4基もの原発が同時事故を起こしたという福島原発大事故で被災し、いまだに救われていない人々、ペット、家畜、野生動植物、自然界に思いを馳せています。
「原発を稼働させないと、日本経済は持たなーい」
「福島より、もっと安全な最新式原発を造るので、原発新設を認めてくださーい」
新聞やテレビなどの大手メディアが、いまだ福島原発事故処理のめども立っていないのに、連日、原発の必要性を説く人たちの声を無批判で報道し続けています。すると、どうでしょう。善良な、日本国民は、
「そうなのかな。やむを得ないのかな。新式だと安全度も高いだろうから、いいかもしれない」
と、一部の人たちが、もう、ゆらぎはじめてきたように見えます。
ちょっと待ってください。3・11から約2年。この間、どこまで深くどんな方法で原発問題を自分のこととして勉強してきたか。それによって、脱原発派であっても、各自、ゆらぎ方に違いが出て来ると思われます。
わたしたち熊森は、日本の森や野生動物を守る自然保護団体として、原発事故で大打撃を受け、必死で勉強して来ました。現在、関東以北は、山の線量が高くて、わたしたちは山に入れません。しかも、山の線量は横ばいで、減る兆しがありません。線量を下げる方法は全くないということです。
この度、74号会報で、お知らせさせていただきましたが、熊森は、福島県国見町のみなさんと、動物の棲める森復元広葉樹植樹会を、2009年2010年と、宮城県で行ってきましたが、現在、現地の山は線量が高くて、一般人立ち入り禁止となっています。広葉樹植樹会再開のめどは全く立っていません。野生動物たちの被曝量も高くて、妊娠中の動物もいます。どんな影響がでるのか、不安でいっぱいですが、予測もつきません。これでは、わたしたちは自然保護活動が出来ません。
事故が起きない原発ならいいでしょうと言われても、人間のすることには、必ずミスがあります。しかも、万々一、事故が起きなくても、原発を動かすたびに出て来る膨大な放射性廃棄物の処理方法が全くないのです。10万年~100万年間も保管しなければならない危険な核のゴミですでにいっぱいで、捨てる所が無くて困っているのが日本の現状です。あらゆる処理法を検討した結果、地中に埋めるしかないそうですが、地殻変動が起きることを考えると、あまりにも未来に対して無責任です。
熊森は自然保護団体であるゆえに、最大の自然破壊となる戦争という紛争の解決方法と、処理法のない放射性廃棄物を次々と生み出す核エネルギーの使用を認めないことを再確認して、2012年度のブログを終えたいと思います。
年間1ミリシーベルトでも高リスクという科学的根拠
- 2012-12-31 (月)
- くまもりNEWS | 東北大震災・福島原発
「地球の子ども新聞」からの情報です。
なぜ日本の法律は、国民は年間1ミリシーベルト以上被曝してはならないと決めたのか
このポスターの大要を以下にまとめます。
アリス・スチュワート博士(イギリス・上ポスター写真)は、戦後、イギリスで白血病児童が50%も増えたことに気づき、原因究明に立ち上がりました。そして、1956年、妊娠中の女性の腹部レントゲン検査が原因であることを突き止めます。
以来、胎児への影響を考え、この検査は世界中で禁止されるようになりました。日本の法律が、年間1ミリシーベルト以上被曝してはならないと決めたのは、博士の、「低線量被曝と病気との関係」を示す研究から来ています。
しかし、博士は、チェルノブイリ原発事故後、年間1ミリシーベルトでも高リスクと考え、世界の科学者1000人と共に、年間0.2ミリシーベルト以下を安全値とするよう、訴えを起こしました。
熊森から
全国民に知っておいてもらいたい情報です。
今年のトピックス 世界人口70億人を超える
国連は、2011年10月に、アメリカ国勢調査局は、2012年3月に、それぞれ、地球人口が70億人を超えたと発表した。以降も、人口爆発はとどまるところを知らない。
これまで地球は、専門家たちの試算によって、100億人以上の人口を支えきれないと予測されてきた。しかし、毎年4万種の生物を絶滅させ、飢餓人口を年々増大させている人間を見ていると、70億人でも、すでにもう、地球が支えることのできる人口を越えてしまっていると感じる。
人間は、ゾウ、トラ、クマなどの棲む豊かな自然を破壊し続け、これらの野生動物たちを害獣と決めつけて、殺し続け、絶滅に追いやっている。この事実からも、すでにもう人類は、地球が支えきれないだけの人口を持ってしまっていると言えるだろう。
森を残し、全生物と共存しなければ、人間も生き残れない。
人類を破滅から救うリーダーが、今、各地に誕生しなければならない。そのリーダーたちは、森を残し、全生物と共存する思想や哲学を、人々に示さねばならない。そのために16年前、日本熊森協会を結成したのである。
<以下、国連資料より>
地球人口の変遷
- 2011年 70億人
- 1998年 60億人
- 1987年 50億人
- 1971年 40億人
- 1961年 30億人
- 1927年 20億人
日本人口の変遷
総務省統計局より
<スマトラゾウ>受難…ヤシ畑荒らす「害獣」毒殺増加 30年以内に絶滅か
![]() |
拡大写真 |
今年11月10日、インドネシア・スマトラ島リアウ州のアブラヤシ畑近くで発見された、毒殺されたメスのスマトラゾウ=WWFリアウ事務所提供 |
【ジャカルタ佐藤賢二郎】インドネシア・スマトラ島で絶滅危惧種のスマトラゾウが毒殺される事件が増加している。象牙目当てに加え、パーム油の原料であ るアブラヤシ畑を荒らす「害獣」として駆除対象になっているとみられ、自然保護団体はインドネシア政府に対策強化を求めている。
世界自然保護基金(WWF)リアウ事務所によると、スマトラ島中部のリアウ州で今年11月、メスのスマトラゾウ3頭の死骸が発見された。同州では今年、 他に12頭が殺害されており、昨年の計5頭から3倍に増加。同島北部アチェ州でも今月、1頭が白骨化した状態で見つかったほか、3月から6月にかけて、少 なくとも計7頭が殺害された。方法はいずれも毒物を混ぜた果物を使用した毒殺とみられる。死骸の多くはアブラヤシ畑の近くで発見された。
スマトラ島では1980年代から製紙・パルプ用の植林やアブラヤシ農園の開発が本格化し、スマトラゾウの本来の生息地である低地林の3分の2が失われた。現在の生息数は2600頭前後とみられ、85年の推定数からほぼ半減している。
WWFリアウ事務所広報担当のシャムシダルさんは、「ゾウ殺しは毎月のように起きているが、容疑者は一人も検挙されず、地元では『普通の出来事』。当局 は厳正に対処すべきだ」と訴える。WWFは、有効な対策がとられなければスマトラゾウは30年以内に絶滅すると予測している。
兵庫県 クマ目撃数・捕獲数の月別変化に、今年、異変
今年の山の実りは、まずまずでした。それにもかかわらず、今年全国で有害捕殺されたクマの頭数は10月末現在2799頭。大凶作年だった平成22年度の約3分の2を10月末で既に超えています。
今年の異変 秋より夏に大量捕獲
兵庫県では、今年の特徴としてクマの目撃、捕獲、捕殺が春から夏にかけて多く、秋以降は、いずれも激減しました。冬眠前の食い込み用ドングリを求めてクマが里に出て来て撃ち殺されるという従来パターンとは違う、新しいパターンでした。(下グラフ参照)
目撃のピークが8月
夏のクマ大量出没の原因として、クマの夏の食料であるハチをはじめとする昆虫が、山から激減したことが、考えられます。
ハチが激減したのは、カメムシを殺すための農薬ネオニコチノイド使用が原因だという情報が、何人もの会員から届いています。
もし、そうなら、ネオニコチノイド使用の農作物を買わない運動を、国民が起こせばいいと思います。もっとメディアが取り上げて騒いでくれないと、一般国民には伝わりません。
クマが人里に多く出て来たときのこれまでのパターン
目撃のピークが10月
目撃のピークが10月
目撃のピークが10月
くまもり通信74号の発送が無事に終わりました。
- 2012-12-27 (木)
- くまもりNEWS
年末みなさんご多忙な中、今回もたくさんのがボランティアでお手伝いくださったおかげで、くまもり通信74号の発送が無事終了しました。今回の会報も力作です。会員の皆様には、ぜひご意見ご感想をお寄せいただければ嬉しいです。
お手伝いくださった皆様、本当にありがとうございました。心よりお礼申し上げます。
本部スタッフ一同