番組名:石川和男の危機のカナリア
放送局:BSテレ東
放送日:2022年4月23日、30日(各日7:00〜7:30)
放送内容
2022年4月23日は「再生エネ バブル崩壊」のテーマで太陽光発電の問題点を議論します。
翌週30日は風力発電の問題を取り上げます。
いずれも山口共同代表が全国の実例や豊富な知識を基に的確なコメントをしました。
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どういうわけか、宮城県の森は、再エネ事業で儲けようとする国内外の投資家たちの草刈り場になっており、業者が殺到しています。
中でも㈱グリーンパワーインベストメント(アメリカ系資本)によって、60階建てのビルに相当する高さ200mもの巨大風車を、奥羽山脈の山の尾根筋に数十基建てられようとしている加美町は大変なことになりそうです。
業者はすでに経産省からFIT認定を受けており、只今環境アセスの最中です。
日本では、環境アセスは業者がすることになっているので、業者寄りの結論しか出ないことは目に見えています。
森林伐採や道路造り、工事着工の日が着々と近づいています。
林野庁は奥羽山脈の尾根筋国有林を差し出す予定です。
町は風力発電業者からの固定資産税が入ることを期待して、反対しようとしていないようです。
風力発電の事故例、人や山の生き物たちへの被害などをいろいろ調べてみた地元の人たちは、危機感でいっぱいです。
何としても、尾根への風車建設を止めたいと言われています。
巨大建造物を山の尾根に建てることは大変危険です。
・地震や台風で倒れた時、大事故になる。
2020年10月1日長崎県風車倒壊(デイリー新潮より)
地震、台風もなしに、高さ20mの中国製小型風車、ボルトが折れ、根元から倒壊。
この中国製風車は日本に400基導入されているとのことです。
その他にも、日本で風車の倒壊例や羽が落ちた例などがいくつかあります。
部品はいつか必ず劣化するし、人間のすることには必ずミスがあります。
倒れたのが200mの巨大風車だったら大惨事になっていたでしょう。
・雷が落ちるなどして発電部分が火を噴きだし、山火事になる恐れがある。
(尾根での火事の消火は不可能)
2017年8月21日佐賀県唐津 高さ60mの風車が燃えた(朝日新聞より)
佐賀県で原因不明の発火。羽が落ちる恐れがあるため、放水できなかったとのこと。他にも火災発生例いくつかあり。
冬の山に燃える風車の火が落ちたら、山火事になるでしょう。
・宮城県加美町は豪雪地帯なので、風車に雪が積もり固まることがあります。凍った巨大な氷塊が落下してくると、大事故になります。(他地域で事故例あり)
<結論>
尾根に巨大建造物は絶対にやめるべきです。
人間のすることにいつか事故はつきもの。
野生動物も人間も、危険でめぐみの山に入れなくなります。
風車の様々な事故が相次いでいるのに、なぜかマスコミ報道は小さくてすぐ消えてしまいます。
尾根に風車が国策であっても、国民が尾根に巨大建造物を造ってはならないとわかるよう、真実を報道すべきでしょう。
阪神大震災の後、貝原俊民兵庫県知事が、「これからは巨大建造物を造ってはならない。地震があった時、巨大建造物だと助けられない」と、しみじみ言われたことを思い出しました。
阪神大震災の教訓を、もう国民は忘れてしまったのでしょうか。
しかも、風力発電は二酸化炭素削減に役立っているのかどうか、製造、運搬、廃棄過程などで使う大量の化石燃料を考えるとあやしい限りです。
20年後廃棄物となった時の処理法がありません。トイレのない原発と同様、トイレのない風力発電なのです。
廃棄物は地中に埋めるしかないのですが、日本にはこんな巨大物を大量に埋めておく場所などありません。
山に放置しておくのも危険。
撤去費用は1基につき億単位です。
どちらにしても、次世代に負の遺産を残すだけです。
5月22日に宮城県加美町大集会の参加してくださる熊森会員のために、クマの痕跡でいっぱいの宮城のクマ生息地を視察し、地元のクマ研究者や自然保護団体のお話を聞く勉強会を企画しました。チラシ参照。
5月21日(土)
午前11時 東北新幹線 古川駅 集合
船形山荒沢湿原視察
夜 「宮城のクマと森」講演
5月22日(日)
午前 船形山のブナを守る会 講演
午後 500人集会参加
16時40分 新幹線古川駅解散
クマたちが棲む豊かな森を失ってしまった西日本の会員には、ため息が出るほど豊かな森を見ることができます。この機会にぜひクマたちが棲む本当の森を見ておいてください。
交通費や宿泊費は各自負担ですが、新幹線古川駅からの現地往復バスは、熊森が用意させていただくことになりました。ふるってご参加ください。参加申し込み0798-22-4190 先着20名まで
5月22日の会場には大きな駐車場がありますので、自車参加も可能です。
尚、コロナ感染の様子見で、若干の計画変更もあり得ます。
クラウドファンディング(クラファン)とは、インターネット上で不特定多数の人「群衆(Crowd)」に呼びかけ、賛同した人から資金を集める「資金調達(Funding)」方法です。
5月22日の宮城県大集会開催経費を得るため、実行委員会がクラウドファンディングを立ち上げました。
目標額 50万円 締め切り6月30日(木)午後11時まで
東北の山々の豊かな自然と地元の人々の安全安心な暮らしを守りたい
クラウドファンディング
クリックください。
ご協力のほどよろしくお願いします。
5/22「東北の山の今と未来を考える」集会 午後1時~4時
~再エネ森破壊にNO表明~
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★STOP再エネ森林破壊。止めるのは私たちの声!
5/22「東北の山の今と未来を考える」集会(宮城県加美郡加美町)にご参加ください!
東北の山々を削り、木々を切り払って、メガソーラーや巨大風車が多数建設されようとしています。
クマをはじめ野生動物たちの棲家が失われてしまいます。
水源の森を失うことは、地域の人々の安全安心な生活も脅かします。
現在、このような森林破壊を止める法律はなく、このままでは本当に開発がどんどん進んで行きます。
たくさんの人が今声をあげないと東北の豊かな森は失われてしまいます。木を切られ、山を削られてからでは取り返しがつきません。
今まさに瀬戸際の状況にある宮城、青森や東北の人たちを一人でも多くの方に知っていただき、応援してほしいです。
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国民1人1人の動きに東北の森の未来がかかっています。
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5/22の集会には、宮城県、青森県で活動する団体が結集。
熊森からも東北の山々を守るため、全国から多数ご参加をお願いします。(詳細は↓チラシをご覧ください)
30年前、森を壊されて生きてけなくなったクマたちが山から出てきて有害獣のレッテルを張られ、片っ端から人間に撃ち殺されて絶滅しようとしているのに、どうして大人たちは何もしないのかと思った、まさにTell Me Whyの中学2年生は、今や日本を代表する実践自然保護団体の会長です。
「声を上げなきゃ誰にもわからん、行動しなくちゃ何にも変わらん」当時、クマの絶滅阻止に向けて動きに動いた中学生たちの合言葉のまま、彼女は25年前に日本熊森協会を立ち上げて、声を上げ続け行動し続けてきました。4年前から会長に就任し、熊森会員19600名を率いて弁護士業のかたわら、全国を飛び回ってこの国土でみんなが生き残るための奥山保全を訴えています。
室谷会長が、これまでの25年間を振り返って、また、次の25年間を見据えて、奥山保全や再エネによる森林伐採に法規制を求めるなど基調報告で語ったことは、次の会報111号で詳しく会員の皆さんに報告させていただきます。会長の力強い決意表明に、出席した会員たちも大拍手でした。
基調報告する室谷会長
次の25年間を推進する熊森本部スタッフたちですと、会長から紹介された平均年齢30代の9名。
熊森本部スタッフの最年少は今年新卒職員となった22歳!右から4人目
特別報告は、再エネ事業からいかにして奥山の森林を守るかの中間報告です。
舞台のようす
5月国会に提出される盛土法案や、4月21日から始まった4省庁(経産産業省、国土交通省、環境省、林野庁)合同検討会が、再エネ名目の森林伐採をどこまで止められるか、まだ未知数です。
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人間や、もう一つの国民である野生鳥獣がこの国で生き残るために、奥山水源の森を伐採してはならないという国民の声を大声にして、国会議員の皆さんに届けねばなりません。政治は、国民の大声があってこそ動くのです。
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「熊森は本当にすごいことをしているんですね。特別報告に目が釘付けになりました」と、参加者から感嘆の声をいただきました。
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参加者の皆さん
国会議員の皆さんのご出席が少しずつ増えてきています。
参議院議員 ; 片山大介議員 嘉田由紀子議員
衆議院議員 : 和田有一朗議員 中野洋昌議員
務台俊介議員(環境省副大臣)ビデオレターで参加です。
務台俊介環境副大臣
他にも、高橋光男参議院議員と赤羽一嘉衆議院議員の秘書さんが参加してくださいました。
将来的には、各会派の国会議員さんが何十人も参加してくださる会にしたいです。
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デルタ航空の大隅ヴィクター日本支社長も、来賓としてご出席くださいました。
ご挨拶されるデルタ航空大隅日本支社長
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第2部の最後まで残ってくださった方々と、最後に記念撮影をしました。
撮影時だけ一斉にマスクを外しました
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ご出席くださった皆さんとオンラインで見てくださった皆さんで、合計200名強のご参加でした。
皆さん、お忙しい中ありがとうございました。
来年も、熊森すごいな、本気だなと言ってもらえるような活動報告ができるよう、今年も熱く燃えに燃えて活動していきます。
新潟県企業会員であるマルソー株式会社から、今年も豪華なお花をいただきました。(完)
p.s 日本の自然を守りたいと心から願う、正義感、情熱、行動力にあふれる青年の皆さん、くまもりで先頭に立って活動されませんか。ご入会をお待ちしています。
無我夢中で走り続け、気が付いたら、くまもりは四半世紀の歴史を持つまでなっていました。
設立以来、本当にいろいろな困難が何度も生じましたが、すべて乗り越えての堂々の25年です。
内外の誹謗中傷にもめげず、この25年間全くぶれることなく、ますます大きく発展しようとしています。
最初からかかわってきた私たちにとっては、感無量です。
第25回くまもり全国大会、例年通り、くまもり発祥の地、兵庫県尼崎市のJR尼崎駅前ホテルでの開催です。
まだコロナが落ち着かず、定員200名会場は100名に人数制限、テーブルは一人ずつアクリル板で仕切られています。
会場準備風景
午後1時丁度に開始しました。
この1年間に亡くなられた会員など関係者26名を追悼するために全員起立で黙祷。
その後、オープニング。
10歳のデクラン・ガルブレイス君(イギリス)が全身全霊で歌いあげた ♪ Tell Me Why ♪の再登場です。
6年前にも用いましたが、ウクライナでの戦争が続いている今、世界中の大人たちにこの歌を聞いてもらいたいと思います。この戦争を見ていると、地球上で一番愚かで罪深い動物は人間ですと言われても、しかたがないです。
大人は何をやっているんだ?!もう恥ずかしくて子供たちに合わせる顔がありません。そんな気持ちです。
戦争は最大の自然破壊、人間破壊です。
まず、ミサイルで破壊されたウクライナのアパートの写真から。
デクラン君が歌います。
まだ見られていない方は、以下をコピーして、ぜひユーチューブでご覧になってください。
Declan Galbraiith – Tell Me Why 日本語訳
以下、日経4月19日記事
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政府は太陽光発電のさらなる導入拡大を狙い、省庁横断の検討会を近く立ち上げる。山林を切り開く乱開発を是正し、平地や建物の屋根に誘導する。環境破壊や土砂災害の懸念を払拭し、住民の理解を促す。2030年度までに温暖化ガスの排出を13年度比で46%減らす政府目標の達成に向け、省庁間の連携を強化する。
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経済産業省と環境省、農林水産省、国土交通省の4省が共同で事務局を務める。21日に初会合を開き、今年夏ごろに太陽光発電の特性に合った用地を確保するための基本的な考え方を取りまとめる。
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固定価格買い取り制度(FIT)の開始以降、山林を切り開く太陽光発電の開発や豪雨などによる崩落事故などが発生している。例えば、貯水機能が不十分となり、国交省や都道府県が法令違反と判断しても、経産省が把握できなければ売電収入を継続して得られる。関係省庁が協力し、早期に対応できる体制を整える。自治体との連携も課題になる。
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政府は30年度に、発電量の36~38%を再生可能エネルギーでまかなう目標をかかげる。太陽光や風力などは景観の悪化や土砂災害の懸念、不法投棄などで地域住民らとトラブルになるケースもある。条例で設置に規制をかける自治体も増えてきた。太陽光パネルなどの設置に適した用地が限られるなかでの導入加速が課題となっている。
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熊森から
こんなに政治を心強く思ったことは初めてです。
わたしたち全国再エネ問題連絡会のメンバーは、あらゆる政党、関係省庁に、
「再エネ事業でふるさとの山が壊される。
助けてほしい。
業者は合法だとして住民の声など全く聞かない。
法規制をかけてほしい」
と訴え続けましたが、なかなか国の動きは見えませんでした。
早く法規制をかけてくれないと、森林伐採が始まってしまう。
山が切土、盛土されてしまう。
私たちは、焦りました。
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そんな中、国土保全のために、政権与党の責任で、法規制をかけようと決意してくださった国会議員が現れました。
どんな活動も、どんな行動も、最初は一人から始まる。やっぱり大事なのは最初の一人の一歩踏み出す勇気です。
与党議員が決意するとこんなに早くことが進むのかと、今回、思い知らされました。
夏に規制がかかるまで、地元の皆さんはどんなことをしてでも、森林伐採型・自然破壊型の再エネ工事を阻止し続けてくださいとのことです。
次世代のために、全生物のために、大人住民は責任をもって水源の森保全のため、自然環境保全のための行動を!
今だけ・金だけ・自分だけの業者に、泣き寝入りする必要なし!
再エネ問題で困っている地元の皆さん、全国再エネ問題連絡会の旗のもとにお集まりください。
検討委員の皆さん、森林伐採型風力発電の法規制もよろしく。
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番組名:石川和男の危機のカナリア
放送局:BSテレ東
放送日:2022年4月23日、30日(各日7:00〜7:30)
放送内容
2022年4月23日は「再生エネ バブル崩壊」のテーマで太陽光発電の問題点を議論します。
翌週30日は風力発電の問題を取り上げます。
いずれも山口共同代表が全国の実例や豊富な知識を基に的確なコメントをしました。
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熊森から
国土保全のために再エネによる自然破壊問題と人生をかけて闘っている静岡県函南町の山口共同代表の話は、人の胸を打ちます。
裏付けとなる膨大な資料もお持ちで、すごい知識量です。
早朝ですが、BSテレ東は、全国どこでも視聴可能ですから、ぜひご覧になってください。
録画しておいて後で視聴でもいいです。
国内外の投資家による投資目的だけの森林伐採型・自然破壊型再エネ事業が、住民の声を無視して全国各地で推進されています。
これらの事業は法違反ではないため、住民が阻止することは大変難しい現状です。
「くまもり通信110号」でもお知らせさせていただいた通り、熊森は無謀な再エネ事業に対して勇気いっぱいに闘っている他団体と組んで、昨年、全国再エネ問題連絡会を結成し、共同代表と事務局を受け持っています。クマの棲む森をこの国に残そうとしている熊森にとって、奥山の森林が再エネ事業によって次々と伐採されていくのを黙って見過ごすわけにはいきませんから、全力で声を挙げています。
これまで、国会議員、各省庁を次々と何度も回って、「国の存亡がかかっている、水源の森を伐採し続ける再エネ事業に規制をかける法律を至急作ってほしい、各省庁がばらばらの縦割りでは規制がかけられないので、各省庁に横串を指す形で法規制を急いでほしい」と、必死で訴え続けてきました。
以下は、農水省の4月19日のプレスリリースです。
詳細はわかりませんが、ついに政府が動いてくださるのだろうと期待しています。
オンラインで公開とのことですので、可能な方は是非視聴なさってください。
再生可能エネルギー発電設備の適正な導入及び管理の在り方に関する検討会(第1回)を開催します。
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農林水産省、経済産業省、国土交通省及び環境省は、4月21日(木曜日)に「再生可能エネルギー発電設備の適正な導入及び管理の在り方に関する検討会」(第1回)を開催します。
本検討会は公開で、オンライン中継を行います。
2050年カーボンニュートラル及びエネルギー基本計画で掲げた、2030年度に再生可能エネルギー36~38%導入という野心的な目標の実現に向けて、再生可能エネルギーの主力電力化を進めていくに当たっては、地域の信頼を獲得しながら、地域と共生した再生可能エネルギー導入拡大を進めていくことが重要です。
一方で、再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、一部の地域では、災害や環境への影響、再生可能エネルギー設備の廃棄などへの懸念が指摘されています。
そのため、太陽光発電設備などの再生可能エネルギー発電設備の適正な導入及び管理に向けた施策の方向性を関係者に幅広く議論いただくことを目的とし、農林水産省・経済産業省・国土交通省・環境省が共同事務局となり、有識者や実務者等から構成される検討会を開催します。
令和4年4月21日(木曜日)9時30分~12時00分
オンライン会議
本検討会は公開で、オンライン中継を行います。資料及びオンライン中継のURLは、検討会当日までに、以下のページに掲載いたします。
https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/saisei_kano_energy/index.html(外部リンク)
(4月21日公開予定)
日本には7種のシカが存在します。鹿児島県西之表市馬毛島の固有種であるマゲシカは、馬毛島にしか生存せず、今、防衛省が計画している馬毛島の基地化が実施されれば、間違いなく絶滅します。
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以前の馬毛島
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基地化が進む馬毛島
4月15日金曜日、マゲシカが生き残れるような基地計画に変更していただけるよう、森山名誉会長、室谷会長、熊森顧問の赤松先生と職員羽田が要望書をもって博多市にある九州防衛局の伊藤哲也局長を訪問しました。
森山名誉会長は、島の真ん中に真水がこんこんと湧き出しているところがあるので、その場所を残さないとマゲシカをはじめとする動物たちはは生き残れない。絶滅は取り返しがつかないことなので、何とか考えてほしいと強く訴えておられました。
伊藤局長は、
「環境影響評価は防衛省主体で始まっていて、今は準備書の段階に入っている。防衛省としてはマゲシカを絶滅させることなく、保護区を設けて守っていく考えである。」
と話してくださいました。
赤松顧問はいきなり、マゲシカを長年研究されてきた研究者に電話して、何か話しておられ、その後、電話を伊藤局長に回されていました。その場ですぐに事が運んでいくことにびっくりしました。
今回、九州防衛局行きに同行させていただくことになって、北大の立澤史郎先生の論文や、これまでの新聞記事など手当たり次第に読み込んで行きました。最後に、名誉会長が私、羽田に、発言を求められたので、
「国の調査では、マゲシカの生息推定数は700~1000頭とされているが根拠が薄く、保護区案も十分とは言えないないと思います。マゲシカはオスが草地、メスと子供が森林に棲み分けているということなので、生態学的に考えると、ただ土地を残すだけでは保全できません。馬毛島の前の持ち主が入島を禁止したため、もう22年間も生態調査がなされていません。今回、研究者の方を島に入れて、まず、詳細な現状調査をしてもらうべきだと思います。」と、発言させて頂きました。
ロシアのウクライナ侵攻を見てもわかるように、国の防衛は非常に重要なことです。だからといって種を絶滅させていい理由にはなりません。何事も人間だけの都合で動かず、野生動物と共存できるように最大限の配慮をしていくべきです。そのために声を上げ、行動していこうと思います。
赤松顧問から
赤松顧問がこの日のことをご自身のブログに書いてくださいました。以下にご紹介します。
鹿児島県の種子島や屋久島に隣接して浮かぶ馬毛島。長い歴史と経緯を持つものの、いまは無人島。そこを政府は、海空自衛隊の訓練基地及び米海軍の空母艦載機着陸訓練(FCLP)などに使用するべく、取り組みを進めてきています。国の防衛のためとはいえ基地施設移転には地元自治体も反対の声をあげ、マゲシカなど絶滅が危惧される野生動物保護の観点から環境保護団体も厳しい眼差しを向けてきています。そんな状況の中で、一般財団法人「日本熊森協会」の室谷悠子会長、森山まり子名誉会長らと共に、同会顧問を務める私は、去る15日の午後13時半に、九州防衛局に伊藤哲也局長を訪ね懇談、要望をしてきました◆要望の中身は、①かけがえのない馬毛島の自然を残すことは、生物多様性条約を批准している日本としての国際的な信用、評価に関わる。マゲシマをアンブレラ種とする馬毛島の生物相、生態系を必ず守って欲しい②1987年いらい馬毛島の生態研究を続けてこられた立澤史郎北海道大助教授らに、早急に入島許可を与えて調査研究を再開してもらい、防衛局の今後の基地づくりに助言して貰ってほしいーというものです。要望懇談では、マゲシカの絶滅を防ぐには、島の半分の面積が必要とされること、とくに、中央部の森林環境と水を飲める場の保全確保が大事だと訴えました。更に、工事に当たって、外来種が島に入らないように細心の注意をすべきことも強調しました◆馬毛島の自然は、他のシカの生存する地域に見られるような天敵もいず、大雪も降らないため、マゲシカの生態系がどのように保持されてきたかを研究できる重要なフィールドです。ところが2000年以降、入島が禁止されたため、研究者による生態研究は途絶えてしまっているのです。これまで中心的に研究を進めてきた立澤氏にその場で連絡をし、電話で直接伊藤局長に本人からも要請をして貰いました。伊藤局長は、現在のところ環境影響評価を実施しているところで結論が出るまで今しばらく時間がかかるとした上で、調査のための同島上陸については、本省に相談し、前向きに結論を得たいと答えました。同局長の終始一貫した誠実な対応に、我々は感謝の意を表明しつつ、強く実現を要望したしだいです◆同島の地形を写真資料などで概観すると、あたかも航空母艦の甲板のような平面部分が多いように見えます。基地として使われるべく整地されていくならば、同島のマゲシカの生存は極めて困難になっていくことは否めません。「基地をとるか、マゲシカをとるか」といった二者択一になると、どうしても不毛の論争になり、「自然破壊、軍事優先」になりがちです。ウクライナ戦争が連日報道される中で、我々の眼も心も大きく揺さぶられています。今こそ、生きとし生けるものへの慈しみを持つことが大事です。人間だけではない、全ての生物生命尊重の観点に立ち、安全保障と自然保護の両立を図る知恵を絞らねばならないでしょう。今後も事態の推移をしっかり見守り、成り行き任せにならないことを決意して、防衛局を後にしました。(2022-4-18)