くまもりNews
都市部に配分された森林環境譲与税の使い道提案(1)奥地市町村の奥山天然林化を共同で行う
今や、自主的なものも含めて報道規制が強まっており、ほとんどの国民は国策の失敗など知りません。
結果として失敗した国策の一つが、林野庁の拡大造林政策です。山奥に大量に放置された人工林が引き起こしている問題は、もはや、はんぱなものではありません。
待ったなし 延々と続く放置人工林の内部 撮影:和歌山県
税の創設理由と本心の違い
森林環境税及び森林環境譲与税は、「パリ協定の枠組みの下におけるわが国の温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止等を図るため、森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から、創設する。」となっています。
しかし、放置人工林の崩れによる近年の死者の増加を見るにつけ、林野庁の本心としては、パリ協定などどうでもよくて、一刻も早くこの国から放置人工林を消し去りたいという思いに駆られているのではないかと推察します。
(林野庁は、表向きには今もなお、山が崩れるのは豪雨のせいであり、放置人工林とは無関係という見解ですが・・・。責任問題に発展する恐れがあるので、口が裂けても、放置人工林と山崩れの関連を認めないのだろうと思われます。)
都市市民への気遣いなど不要なのに・・・
森林環境税及び森林環境譲与税は、都市市民にも一律に負担を強いるため、都市市民の賛同を得なければなりません。
その為の気遣いからか、総務省は 市町村に配分する森林環境譲与税の50%を「私有林人工林面積」、20%をが「林業就業者数」、30%を「 人口」の比率によって配分することにしました。
熊森としては、30%も「 人口」比で配分しなくても良いと思います。
そんなところにお金を回す余裕など、ないはずです。
国として、放置人工林を消し去ること、天然林に戻すことに全力投球しなければならない緊急事態なのです。
人口比など3%で十分です。放置人工林の窮状を説明すれば、都市市民は納得すると思います。
たかだか30%と言っても、大都市になると、人口が多いのでかなりの額になります。
税の使い道が思いつかない都市
いくつかの都市に電話をして使い道を尋ねてみたところ、何に使えばいいのかわからないのでとりあえず積み立てるというところがいくつかありました。(うーん、熊森としては、その町の水源の森がある郡部に税を回してあげてほしいなあと思います)
尼崎市に対し、環境教育に使って欲しいと熊森本部が陳情
兵庫県尼崎市は、町全てが都会であり、山はゼロです。
しかし、人口が46万人のため、2019年度は1700万円が配分されます。
(2025年度からは3600万円が配分されます。)
尼崎市では、国産材の利用促進を使途の中心にすれば森林整備につながるのではないかと考え、とりあえず本年度は、シロアリにやられている田能遺跡の高床式倉庫を、この税で新しく国産材を使って造り替えることにするそうです。
熊森本部としては、尼崎市に対し、森林環境譲与税を、子どもや市民が奥山天然林を保全・再生する大切さを学べるような環境教育に使って欲しいという陳情書を提出しました。
議会委員会を傍聴
2月26日に、尼崎市議会経済産業建設委員会でこの陳情に対する第1回の審議が行われました。
会議の最後に、経済管理課の方が、森林環境譲与税は、経済の中で考えたいと言われ、継続審議となりました。
4月23日に尼崎市議会経済環境企業委員会で、この陳情が審議されるということを聞いて傍聴に出かけました。
4月から職員が新しく入れ替わっており、今年からこの部署に来ましたという人でいっぱいでした。
森林環境譲与税の使い道を決めるのは、財務部財政課で、公共物の木質化の予算の中で考えていくことが確認されました。
その後、議員と担当課職員の間で、森林環境譲与税の使い道についての質疑が約20分間ほどありました。
熊森が尼崎市のある小学校で、奥山水源の森保全の大切さを伝える環境教育を17年間続けていることを知っている議員が、1校だけではなく、このような森林環境教育を全市に広めたらどうかと提案されました。
また別の議員は、個々の自治体を越えて広域的に使うことを考えてみてはどうかと提案されました。(担当部署が、即否定)
民間のアイディアを募ってみたらどうかという提案もありました。
この税を何に使ったかは、毎年、全市町村がインターネットで公開することになっています。1年後、どのような使い道がなされたか全てわかります。
熊森は、東京都や横浜市が100年先1000年先まで見据えて、山梨県の奥地で広大な天然林を水源林として購入していることを、高く評価しています。
将来を見据えられてこそ政治だと思います。
全国的に奥山開発や奥山人工林化で山からの湧水がどんどん減ってきている今、使い道が考えられない都市部の森林環境譲与税は、水源の森となる奥地の市町村の奥山天然林化に使ってもらうことも考えるべきではないでしょうか。
山からの湧水が消えて一番に滅びるのは都市です
参考文 林野庁が出している月刊誌「林野」2018年2月号
特集 森林環境税(仮称)と森林環境譲与税(仮称)の創設より
(税の使い方の例)
都市部の市町村においても、森林整備を支える木材利用等の取組を進めていただくとともに、例えば山間部の市町村における水源の森づくりを共同で行ったり、都市部の住民が参加しての植林 ・ 育林活動を実施したりといった新たな都市・山村連携の取組も各地で生まれることを期待しています。
都市は、この税をまず何に使うべきか
市議会の委員会を傍聴してみて、都市部がこの税を使うべき最初の用途は、放置人工林の弊害がわかりやすく説明されている熊森小冊子を担当職員全員に購入していただくことだと確信しました。
都市に住んでいて、奥山荒廃の実態を知らない、見たこともない職員に、森林環境譲与税の有効な使い道など思いつくはずがありません。
読後は、現地を視察する予算を組んで下さい。熊森がご案内します。まずはここからでしょう。
宮崎県は44の伐採業者を選定 伐採面積の8割を再造林の方針 拡大造林の反省はあり?なし?
- 2019-05-06 (月)
- くまもりNEWS
宮崎県延岡の夕刊デイリー4月10日記事によると、森林管理経営法の施行にあたって、宮崎県は山主に代わって放置人工林を伐採し材を販売する「意欲と能力のある林業経営者」を、第一弾として44業者選定し、登録証交付式を行ったそうです。
宮崎県の森林面積は58万ヘクタールですが、うち33万ヘクタールがスギやヒノキの針葉樹だけの人工林です。(人工林率は、57%の高率です)
33万ヘクタールの人工林のうち、約10ヘクタールはすでに森林経営計画が策定されており、林業用に利用されています。
残り23万ヘクタールの人工林が森林管理経営法によってどうなるのか、熊森は注目しています。
新聞報道によると、宮崎県は、放置人工林を伐採した後、8割の面積を再造林する方針だそうです。
これでは、スギやヒノキを植え過ぎたことによる生物の多様性の喪失や、将来の水源確保の不安などへの反省がなさすぎるのではないかと思い、宮崎県庁担当者に問い合わせてみました。
宮崎県は、スギ素材生産量が27年間日本一という林業県です。
国内の木材需要が落ち込み、長年、低迷が続いてきた日本の林業ですが、最近は韓国や中国の木材需要が急増しています。
九州材は地理的に近いということもあって、輸出に舵を切ったところ、輸出材がこの10年で30倍にも急成長しているそうです。
しかし、売れるから、もうかるからで、山を林業や経済の視点でしか見ないと、後で取り返しのつかないしっぺ返しが来ます。
2019年度は、森林環境譲与税として、宮崎県に1.1億円、県内市町村に、4.6億円が配分される予定だそうです。
(2023年からは、県に1.7億円、市町村には15.6億円)
8割も再造林するのではなく、森林環境譲与税を使って天然林を再生してほしいとお願いしたところ、業者は伐採搬出してもうかる場所の放置人工林しか伐採しないので、現在未利用の放置人工林23万ヘクタールの8割が再造林されるという意味ではないということでした。森林管理経営法の施行によって、いったい、何万ヘクタールの放置人工林が伐採されることになるのか予測がつかない上、今後どのように進めていくか未定部分が多いということでした。
宮崎県森林環境税(県民一人500円)も調べてみましたが、どちらの森造りにも、野生動物の棲める森を復元するという観点がありません。
人間至上主義は人間を滅ぼします。
宮崎県には、林業や人間のことばかりではなく、他生物のことも考えた森造りにもがんばっていただきたいです。
森林経営管理法、森林環境税法・森林環境譲与税法、どちらも始まったばかりなので、どうなっていくのか、熊森は、地球環境保全や自然保護の立場から目を光らせていきます。
以下は、2018年11月に林野庁の外郭団体である森林総研四国支所が開催した講演会の概要です。
四国や宮崎県のことが発表されています。
4月から「森林経営管理法」スタート 放置された私有人工林は市町村が管理、企業が伐採の流れに
生物の多様性や水源を失うとして、私たちが27年前から訴え続けてきた放置人工林問題。
最近は豪雨による崩れが激しくなり、野生動物だけではなく、人間も命を失ったり財産を失ったりすることが増加。もう待ったなしです。
事ここに及んで、国は、やっと重い腰を上げ、2018年に森林経営管理法、2019年に森林環境税・森林環境譲与税法を、国会で矢継ぎ早に成立させました。
突然の法案提出→成立だったため、放置人工林を抱える山主さんにどれくらい新法が周知徹底されているのかわからなかったのですが、和歌山県有田市と海南市で配布されているフリーペーパー「アリカイナ」の本年3月号に、興味深い記事が掲載されていました。
「アリカイナ」によると、今年2月9日に、和歌山県有田川町・旧清水町地区で開催された山林所有者説明会に、約200人が詰めかけたということです。やはり、具体的にどういうことになるのか、みなさんよくわからず、心配になられたのだと思います。
森林経営管理法によると、市町村は、放置人工林の所有者を調べ、森林管理の委託希望をたずねたり管理委託のお願いをしたりして、管理権を得ます。所有者不明の場合はホームページや掲示板で広告し、半年たっても連絡がなかった場合は、その森林を市町村の管理下におきます。
一方、都道府県は、意欲と能力のある林業経営者(企業)をリストアップします。市町村は、管理下に置いた森林のうち、もうかりそうな山は、リストアップされた企業に伐採や収益の権利を与えます。
「アリカイナ」によると、無断で人の山の木を伐って販売してもうけるのは、盗伐に匹敵するほどの財産権の侵害である(憲法29条に抵触)と森林経営管理法に反対している専門家もおられるそうで、山主にも結構反対者がいるということです。有田川町では、山林所有者への意向調査は、10年かけて行う予定だそうです。
熊森としては、放置人工林は余りにも弊害が多く、亡国につながるため、国としては一刻も早く手を打たなければならないと思います。しかし、どんないいことでも、強制は許されません。市町村山林担当者は、何とか山主さんとよく話し合っていただいて納得されたところから、管理方法、供給過多による材価低下を防ぐための計画的な伐採、伐採後の跡地の処置、販売利益の分配など、スムーズに事が運ぶように、がんばっていただきたいです。現在、全国市町村の3分の2には、山林担当職員がいないということです。放置人工林をかかえる市町村に、優秀な山林担当者を付けることが、森林環境譲与税を使って第一になされるべきことでしょう。
ただ、放置人工林は、材の搬出が不可能、または、無理して搬出しても搬出経費が掛かり過ぎて赤字となるため放置されてきた山林であることが多く、民間企業が無理に材を搬出しようとして、大型機械を入れて無茶な林道造りを実施し、どうせ他人の山、後は野となれ山となれで、山をずたずたにしてしまわないか心配です。市町村の強力な監視が必要です。
市町村は、企業に、山神様や野生動物たちの存在を忘れないようにすることを指導していただきたいし、放置人工林を天然林に戻すことで、林業者(山仕事)に森林環境譲与税から多額のお金が支払われるようにしていただかなくてはなりません。また、人口減、空き家増加、和風建築の需要減を考慮していただき、拡大造林政策の失敗を深く反省して、50年後の放置人工林を造るようなスギ・ヒノキの再造林だけはやめていただきたいです。
今後、あちこちの市町村で、森林経営管理法の実施に当たり、山主への説明会が持たれると思います。林森経営管理法がどのように進んでいくのか、私たちにはわからないことが多くあります。情報をお持ちの方は、熊森本部まで情報提供いただけたらありがたいです。
【速報】赤松顧問の投稿が毎日新聞全国版に!!
森林環境税で「放置人工林の天然林化を」
日本熊森協会の発足間もない頃から支援し続けてくださっている赤松正雄顧問(元衆議院議員)の森林環境税についての投書が、本日、毎日新聞の「オピニオン」欄に大きく掲載されました!
「私が顧問を務める一般財団法人「 日本熊森協会 」はクマなどの大型 野生動物がすむ奥山の再生に全国規模で取り組んできた自然保護団体である。森林環境税法の制定に当たっ ては、放堕人工林の天然林化を盛り込むよう強く主張した。
残念ながら法律に明記はされなかったが、衆参両院総務委貴会での可決に際する付帯決議に「 地域の自然条件等に応じて放置人工林の広葉樹林化を進めること」が盛り込まれた。決議は政府に対し、自治体に具体的な指針を示し、必要な支援を行うよう求めている。これが有名無実にならないことを切に望む」(記事より抜粋、全文はこちらでお読みください)
と、熊森の国会でロビー活動とその成果として、広葉樹林化の付帯決議がついたことも書いてくださっています。
ここからがスタートです。付帯決議を有名無実化させず、天然林化を進めるため、熊森は既に動き出しています。赤松顧問の投書がたくさんの方に読まれ、天然林化へ向けた共感の輪が広がるよう、この記事をみなさんに広めていただきたいです。
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第22回くまもり全国大会 盛会でした!
- 2019-05-02 (木)
- くまもりNEWS
生命にあふれる豊かな森再生へ、決意を新たにしました
4月27日(土)第22回全国大会、10連休の初日でしたが、全国からたくさんのみなさんにお集まりいただきました。
今年の全国大会の目玉は、森林環境税法のロビー活動の成果として、「広葉樹林化」を求める附帯決議がついたこと。特別報告のコーナーで報告しました。
室谷会長が、「広葉樹林化とその体制整備を進めることを求めた附帯決議を、たくさんの方と協力し、私たちの力で実現させましょう!」と呼びかけました。
ロビー活動にご協力いただいた赤松正雄顧問(元衆議院議員)、「放置人工林の天然林化を」と国会で質問し、附帯決議がつくようご尽力いただいた高井崇志衆議院議員、片山大介参議院議員(くまもり顧問)も駆け付け、ごあいさついただきました。
![]() 赤松正雄顧問 |
ご参加いただいたみなさん、お手伝いをいただいたみなさん、本当にありがとうございました。
この1年も、次世代のため、他生物のため、豊かな森再生をめざして、全国で活動をしていきます。
みなさんも、ぜひ、私たちの活動にご参加ください!
第23回全国大会は、2020年5月2日(土) 於:ホテル ヴィスキオ(尼崎市)です。ご予定ください。
【くまもり本部】春の森林整備活動中
- 2019-04-19 (金)
- くまもりNEWS
日本熊森協会です。
(1)兵庫県三田市の里山保全 4月1日
以前、大学生のみなさんや家族連れなど、多くの方々に皮むき間伐をしてもらった場所です。
ヒノキの人工林ですが、かなり内部が明るくなってきており、場所によっては、アラカシ等の常緑広葉樹の下層植生が多く育ってきていました。
自然は正直ですネ。
アラカシなどの下層植生
去年の台風で倒れた木で、まだ片づけられていない木がどれくらいあるか調べてみました。
あと少しですが、チェンソーがないと作業できません。
倒れかけの木
この日は、ノコギリしか持って行っていなかったので、ノコギリでできる範囲の片づけをしました。
ノコギリで倒木の枝伐り整備
4月に入ったというのに、突然雪が降ってきました。暖冬なのか、寒春なのか、訳が分からなくなりました。
人間の力では、計り知れない世界です。
この山の横に、新しく砂防ダムが出来ていました。こういう風景は、私たちには悲しいです。
この水路の中では、生き物たちは一切棲めません。
税金をこのようなことに使っていいのかどうか、もっともっと国民みんなが考えて議論する国になって欲しいです。
新しく出来ていた砂防ダム
(2)兵庫県三田市の里山保全 4月13日
この日は、チェンソーが登場したので、みるみる林内の片付けが進みました。
チェンソーの威力はすごいです。
チェンソーで林内整備
きれいになりました。
山主さんにも喜んでいただきました。
お疲れ様でした。
(3)兵庫県豊岡市の奥山植樹地(但東町大河内2)4月7日
植樹地は、和紙にするミツマタの黄色い花が満開でした。
今年は雪が少なかったため、防鹿柵が倒れていたのは3か所だけでした。
しかし、柵が倒れていないのに、苗木の多くが枯死したり、シカの食害を受けたりしていました。
頂芽にシカの食害
ここの植樹地は、苗木を1本もしくは2本ずつ、小さな防鹿柵で囲っています。
どうも、外からシカが柵内に首を突っ込んで、苗木を食べているようです。
苗木が大きくなってきたら、小さなパッチディフェンスではダメなことがわかりました。
そこで、この日は、小さな囲いを外して、シカの首が苗木に届かないよう、大きな囲いに造り直しました。
↓
この地域は、アベマキが多い地域なのですが、会員が育ててくださったクヌギの苗木が何本かあったので補植しました。
クヌギはかつて祖先が日本各地に苗木を植えて回ったため、地域固有の遺伝子がありません。
自然植生というより、人為活動の結果、どこのクヌギをどこに移動させても今更不問ということです。
日本熊森協会は遺伝子を調べたわけではないですが、江戸時代の苗木流通の記録とクヌギに付く虫を調べてみた結果、地域固有の遺伝子がないことを前から知っていました。
ここ人工林の皆伐跡地にも、「ツクシ」がたくさん出ていました。但馬にも春がやってきました!
大自然の中での森林整備活動は、心身がリフレッシュされて本当に気持ちがいいです。
2019年 琵琶湖の北湖、観測史上初めて全層循環が起きずじまいに終わる
日本熊森協会です。
全層循環は「琵琶湖の深呼吸」とも呼ばれ、酸素を多く含む表層の水が冬場の冷え込みで比重を増して沈み込み、底層の水と混ざり合う現象です。
全層循環には、春から秋にかけて酸素濃度が低下する湖底に、1年分の酸素を供給する役割があります。
自然界では、大気も水も物質も、すべてのものが循環して元通りになるようになっています。
地球の自然は、ほんとうにうまくできています。
琵琶湖グランドホテルから見た琵琶湖
しかし、今年は、暖冬の影響で全層循環の時期がずれ込み、これまでで最も遅かった2007年の3月19日を過ぎても、全層循環の兆しがありませんでした。
そして、とうとう、全層循環が起こることなく、春になってしまったのです。
1979年の調査開始以降、初めてのことだそうです。
以前、全層循環があったにもかかわらず、夏場に湖底生物が大量に酸欠死した年があったようですが、大丈夫なのでしょうか。
近畿の水がめ琵琶湖で命を繋いでいる近畿2府4県の私たちにとっては、何とも不安な春となりました。私たちの琵琶湖はどうなっていくのでしょうか。(ふだん琵琶湖への感謝を忘れているのに、異変が起きたと聞くと、突然不安になります。)
滋賀県琵琶湖環境科学研究センターの研究員に電話をして聞いてみました。
「今年は、高島市今津沖(北湖)の水深90メートルの湖底(琵琶湖の20分の1面積に相当)に達するまでの全層循環は起きませんでしたが、水深70~80メートルまでの水は循環しました。」
(ホッ)
この結果、湖底の水中に溶存する酸素量DO( Dissolved Oxygen)は、現在8ml/水lリットル中とのことです。(例年は、10ml/l)
湖底の生き物たちが死滅する溶存酸素量DOは、2ml/lと言われているので、夏にそこまで落ち込むかどうかです。今のところは予測がつかないそうです。
今すぐ、湖底生物が死に絶えるという状況ではないということでした。
滋賀県琵琶湖環境科学研究センターの研究員さん、いろいろと、ていねいに教えて下さってありがとうございました。
今年1~2月の表層の水温は過去10年の平均と比べて1度ほど高かったのだそうです。たった1℃高かっただけで、全層循環が起きなくなってしまうなんて、何と自然界はデリケートなのでしょうか。まさに、手塚治虫さんが言われるように、ガラスの地球だなと思いました。
この地球を、ますます強大化していく科学技術の力とあくなき利益の追及で、毎日毎日破壊し続けているのが、人類という動物です。いつ、自らの愚かさ、罪深さに気づくのでしょうか。気づいたときはもう手遅れ・・・このような地球の将来が見えてきた方は、破滅の日を少しでも遅らせようと22年間闘い続けている日本熊森協会の旗の元に、どうぞ、お集まりください。
少しでも長く生き延びられるよう、全力で自然を守り再生していきましょう。
他生物のために、次世代のために。
ウミガメの来る自然海岸を守れ 第2弾速報!
- 2019-04-17 (水)
- くまもりNEWS
護岸工事を止めるための住民訴訟の期日が決まりました
先日提訴をお伝えした、奄美の嘉徳(かとく)浜の自然海岸の護岸工事の差止めを求める住民訴訟の第1回期日が決定したと室谷会長の所属するあすなろ法律事務所の奄美支所、奄美あすなろ法律事務所より連絡がありました。
日程:2019年6月11日午後1時10分
場所:鹿児島地方裁判所
護岸工事の着工が近づいているため,奄美の森と川と海を守る会と弁護団は、工事を行う鹿児島県に対し、護岸工事を止めるための直接の申し入れも行いました。
自然海岸を守りながら災害対策をすることはできるはずです。ウミガメの来る砂浜を未来の子どもたちへ!
皆様引き続きご協力をよろしくお願いいたします。
①クラウドファンディングに引き続きご協力ください。
第1次目標は、みなさまのご支援で達成しました。ご協力くださった方本当にありがとうございます。運動をさらに広めるためにネクストゴールを定めてご協力をお願いしています。
こちらにアクセス → https://readyfor.jp/projects/save-amami-katoku-beach
②この記事を拡散ください。
友人への転送,Facebook,Instagram,ツイッターなどで。
4月27日(土)第22回全国大会にぜひご参加を!
- 2019-04-17 (水)
- くまもりNEWS
みなさまとお会いできるのを心より楽しみにしています
いよいよ、4月27日のくまもり全国大会が近づいてきました。
今年のテーマは「みんなでつくる自然保護」。
みんなが力を合わせれば、大きな力になります。
豊かな森を守り、野生動物と共存できる社会をつくるため、今年も一緒に、楽しく、自然保護活動に取り組みましょう!
たくさんのみなさまと次の一歩につながる楽しいひとときを過ごせるよう、スタッフ一同準備に奔走しています。
一人でも多くのみなさまとお会いしたいです。お誘いあわせの上、ご参加ください。
詳細はこちらから Facebookのイベントページも立ち上げました。 第22回くまもり全国大会 ~みんなで作ろう自然保護の流れ~
日時: 2019年4月27日(土)13:00-16:00
場所: ホテルヴィスキオ尼崎 (JR尼崎駅より徒歩1分)
参加費: 1000円(2018年1月以降にご入会された方は無料)
※会員及びそのご家族、ご友人のみ参加可能です。 ご入会がまだの方は入会をお願いいたします。入会申し込みはこちら
※座席に限りがあるため参加申し込みをお願いいたします。
お申込先:(一財)日本熊森協会 TEL 0798-22-4190 FAX 0798-22-4196
Email contact@kumamori.org
秋田県鳥海マタギのドキュメンタリー 「熊を崇めクマを撃つ」
日本熊森協会です。
2019年4月6日・4月11日に放映されたNHK Eテレ「クマを崇めクマを撃つ」を見られましたか。
日本熊森協会としては、多くの方々に見ていただきたいと願って、再放送直前でしたが、ブログに番組の予告を書かせていただきました。
秋田県由利本荘市、鳥海山のふもとに今も残るマタギ集落があります。
番組に登場した鳥海マタギの末裔の方の、ひとつひとつの言葉に、非常に重みや真実みがあると感じました。
山は一歩入れば、そこは神様のものだと言われていました。
昔のようなブナの原生林を取り戻したいとして、ブナを植林されていました。ブナの原生林があれば、クマは山から出てこないとも言われていました。
すばらしい自然の映像をバックに、事実を淡々と伝える優れた番組であったと思います。
山のこと
クマは人工林率が40%を超えると絶滅に向かうと言われています。
秋田県の県平均人工林率は57%と大変高率です。
これでは、山の実りが悪い年は、クマたちが冬眠前の食い込み用の食料を求めて、山から出て来ざるを得ません。
そんな秋田県ですが、番組のバックとなった鳥海山のふもとの山には、落葉広葉樹を中心とした峰々が延々と続いていました。
人工林率が高いと言っても、さすが秋田県です。
こんな深い奥山天然林がまだ残っているのだなあと感激しました。
西日本ではもう見られない光景です。
あのような広大な天然林を再生しないと、クマは野生で生き残れないことを多くの国民に知ってもらいたいと思いました。
マタギのこと
明治になるまで1200年間殺生禁止令が出続けていたわが国で、特例として狩猟を許されていた山の民が、東北のマタギです。
彼らは、年貢の代わりに、熊の胆を将軍に献上するなどしていたそうです。
世間では今、<マタギ=クマを撃つ人>に、されてしまっていますが、元々は、カモシカ、サル、キツネ、ウサギなど、マタギは生きるために何でも狩っていたそうです。
彼らは先祖代々、山に精通し、山の神を信じ、山から得られるものは全て神様からの授かりものとして、手を合わせて感謝し、命を頂くことの重みを体で感じて残さず食べ、自らの命を繋いできた人たちです。マタギとハンターを一緒にしないでほしいと強く訴えておられました。
しかし、今はスーパーに行けば、いくらでも食料が手に入る時代です。鳥海マタギの末裔の方は、マタギはこの国からなくなる。時代の流れだ。マタギとは深い深いもので、自分も自分のことをマタギと思っていないと言われていました。
これからのこと
狩猟するために山を知り尽くして来たマタギの、山への畏敬の念や野生動植物に関する知識は本当に貴重です。
クマについても、良く知るからこそ、「クマはすごい、クマは偉大だ、クマはかしこい、クマは勉強になることをいっぱい教えてくれる、クマは山の神様の使い」と崇めることができるのだと思います。
今後は、ガイドやレンジャーの仕事として、その思いや知識が受けつがれることを願わざるを得ません。
「すごいアウトドア」と称して、スポーツハンターやレジャーハンターの養成に軽々しく旗を振り続けている環境省のみなさんに、ぜひ、見ていただきたい内容でした。