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哀れ、秋田県のクマ、前代未聞の大量捕殺697頭 (10月末現在)

秋田県における去年からのクマ大量捕殺が、今年、ますますエスカレートしました。

秋田県のクマはこれまで、生息推定数がずっと1000頭で一定していると発表されてきました。

そんな秋田県で、昨年度、476頭のクマが有害捕殺されるという驚くべき事態が発生しました。

生態系保全上、1割以上の野生動物を獲ってはならないとされていますから、約50%のクマを捕殺したということは、熊森にとってはショッキングな出来事でした。

昨年度、ネマガリダケの採集中に、同じ場所で4名がクマによる人身事故で相次いで亡くなるという、いまだかってなかった痛ましい事件が発生し、クマは怖い、出てきたら駆除しておくべきだという県民感情が芽生えたのだろうと予測されます。

 

今年の秋田県の山の実りは、ブナ皆無、ミズナラ凶作、コナラ凶作という悲惨な状況です。

2016年度も、秋田県のブナは皆無でしたが、ミズナラ・コナラは豊作でした。よって、それなりに子が生まれたもようです。

誕生した若グマたちは、今年2017年度、冬籠り前の食い込みができずに、里に次々と出てきたもようです。

行政のみなさんに問い合わせると、去年もクマが次々と人里に出て来たが、今年はその比ではなく、信じられないようなすごい数でしたということです。

連日、地元住民からの「クマを駆除してほしい」という依頼が、殺到し続けた年だったということです。

 

熊森として何かできないか、いろいろと考えてきたのですが、支部もないし、地元とのつながりも薄く、残念ながら前代未聞のこの大変な事態に対して、手も足も出せませんでした。以前秋田で講演させていただいたとき、高齢者の方々がたくさん聞きに来てくださいました。終わってから、「あんたより、わたしらのほうがずっとクマに深い愛情を持っているよ。昔から一緒に暮らしてきたんだ」と言われ、感動しました。あの方々は、今年、声を挙げられなかったのでしょうか。

 

本日、11月16日は、秋田は、初雪になる模様です。午後5時の気温はマイナス1度です。

まだまだリンゴやお米を狙って、人里をうろついているクマが居るそうです。

これから、食料を求め、雪の中をさ迷い歩いて次々と死んでいくのでしょうか。

これは、どうしようもない自然現象なのでしょうか。

人間には一切責任がないのでしょうか。

 

秋田の人工林率は50%という高率です。多くが間伐もされず放置されたままです。

林業用や観光用として、奥山に縦横に道路が敷設され、人間がクマたちの棲息地に入り込んでいます。

今年のような凶作年、川魚が食べられたら、何とかクマもしのげるのではないかと思いますが、人間活動により渓流魚は全国的にどこも激減です。

 

山の実りの凶作年、多くのクマたちが餓死するのは、自然かもしれません。

しかし、10月末までの捕殺数が697頭とは・・・もう少し、駆除を減らすことはできなかったのでしょうか。

秋田県のいろいろな方に電話をして聞いてみました。

秋田のみなさんは、どなたも非常に誠実にお答えくださったと感じます。

結論として、まだ、人間にはクマのことなどほとんど何もわかっていないということです。

 

マタギの方:秋田県には1000頭どころか、もっと多くのクマがいる。猟師が減ったので増えすぎているんだ。もうすぐクマ狩猟が始まるが、今年のような山の実りの凶作年、クマは諦めてさっさと冬籠りに入ってしまう。秋田の雪はまだだが、多くのクマはもう冬眠したと思うので、狩猟してもあまり獲れないと思う。クマが人間の所に出て来るようになった大きな理由は、中山間地から人が消えたこと。クマにとっては生息地が2倍なったと思うな。

 

地元の人:昔は里山が緩衝帯になっていて、野生動物は出てこなかった。今はスギを植えて放置しているから、集落の裏が、クマの格好のひそみ場になっている。

 

 

今年の兵庫県クマ生息地の集落は、静かな秋です

兵庫県の今年7月末までのクマ目撃数は、過去最高の308件(ダブルカウントされたクマも多いと考えられる)でした。

どんな年になるのかと心配していましたが、8月からは目撃数がぐんと減り始めました。

11月になってクマ生息地の集落を回ったところ、秋になってクマを見かけなくなったとみなさんが言われていました。

 

今年は山の実りが良いからです。

 

兵庫県森林動物研究センター調査

・・・ ブナ並上、ミズナラ豊作、コナラ豊作

熊森調査(クマ生息地のみ)

・・・ ブナ並下、ミズナラ並、コナラ並上

 

10月下旬に、クマ生息地を回った時の写真です。

ミズナラの木の下にたくさん落ちていたドングリ

 

拡大写真です。

 

ミズナラはナラ枯れで、近年、大量に木が消失しました。

しかし、残されたミズナラの実りが良いと、もうクマは里に出てきません。

クマは人間をなめて出て来るとか、里の味をしめて出て来るとかいう説は、どうなるのでしょうか。

 

これまで熊森は兵庫県に対して、里でのクマ目撃数やクマ捕獲数ばかりカウントしていないで、奥山にクマがいるかどうかも調べるべきだと訴えてきました。

兵庫県は、調べてみますと約束してくれました。

 

11月、地元集落のお祭りに呼んでいただいたおり、少し早めに行って近くの山を歩いてみました。

山の中に、兵庫県森林動物研究センターが仕掛けたドラム缶型クマ捕獲罠がありました。

いわゆる、学術捕獲です。

以前、クマ捕獲用ドラム缶檻は緑色と決まっていましたが、今回のは下草が消えた兵庫県の自然林の林床の色に合わせたのか、茶色基調でした。

ふたが落ちていたので、あわてて兵庫県森林動物研究センターに連絡しました。すでに調査済みで、誤作動でふたが落ちたと言われたので、ほっとしました。

最近は何でもどんどんハイテクになっていき、ふたが落ちるとセンター内にいてもすぐにわかるようになっているそうです。

 

奥山のクマを調べてくれるのはありがたいのですが、痕跡や自動撮影カメラなど、熊森がしているようにクマに負担を掛けない調査をお願いしたいです。

罠にかかったクマは、全身麻酔をかけられ、歯を1本抜かれ、発信機を付けられて調査放獣されると思います。

クマからすれば、どんなに怖いことか、クマがかわいそうになりました。

みなさんはどう思われますか。

 

集落のお祭りでは、地元のリーダーの方から、「うちは、これからも熊森さんと協力してやっていきたい」と、紹介していただきました。うれしかったです。

クマが出てきたら追い払うとか、草刈りを手伝うとか、地元の皆さんに喜んでいただけることを、今後もしていきたいと思いました。

 

11月10日  色んな秋、みーつけた!秋のお山で園児に本部環境教育

自然を知るのに、早すぎることはありません。

むしろ、子どもたちの観察眼や感性の豊かさには、いつも驚かされます。

 

くまもり本部環境教育部は、保育園から依頼を受け、3~5歳児さん約40名と、神戸市東灘区にある保久良山に出かけました。

こちらの園では、年に何度も園児たちを保久良山に連れて行きます。

季節の移ろいを感じることができる、素敵な取り組みだと思います。

熊森は、今年春にも、園児たちの散策に同行させていただきました。

 

この日は雲一つない快晴。

優しい日差しが心地良い、絶好のピクニック日和でした。

 

木々がところどころ紅葉していて、

足元は、落ち葉でできたカラフルなふかふか絨毯。

秋ならではの色に溢れた山です。

園児たちには「秋の色さがし」に挑戦してもらいました。

ちょっとずつ違う色だね

一枚の葉っぱの中に、色んな色があるよ!

中には、お気に入りの葉っぱを集める子も。

まるで、宝探しのようです。

見つけては、楽しそうに教えてくれました。

「この木だけとっても赤いね」「黄色いところもあるよ!」「緑色も見つけた!」

咲いている花の違いや木の実の有無など、

春との違いを発見する子もいました。

 

途中、葉書きの語源となったタラヨウの木があり、下には大きな葉がたくさん落ちていました。

落ち葉を拾って、みんなでお手紙を書いてみました。

鉛筆は、周りに落ちている石や枝です。

頂上でお昼ご飯を食べていると、ヒヨドリたちも実をついばみにやってきました。

野生の鳥たちと一緒にお食事できるのは、フィールド学習の特権ですね。

ぽかぽか日向で、お弁当♪

 

昼食の後は、自由時間。鳴く虫を探してみたり、木に登ってみたり。

落ち葉を集めて、トランポリンをする子も。

みんな、全身をフルに使って、秋の自然を楽しんでいました。

草の葉も、色が変わるんだね

最後は恒例のダンス!

 

園児たちは、様々な自然の姿に興味津々で、

色とりどりの葉、大小様々な木の実、

変わったにおいの草、にぎやかな鳥の声。

自然の面白さを全身で感じている様子が伝わってきました。

 

いろいろな生きものたちがいるのが自然であり、

みんな命があって、みんなつながって生きている

 

これからも、目で、耳で、鼻で、全身の感覚で、

自然の素晴らしさや愛しさを知ってもらえたらと願っています。(SY)

リニア、南アルプスに穴をあけて大丈夫か 講師:服部 隆 氏 ~10月14日 第11回リニア市民ネット大阪勉強会~

今回講師にお招きしたのは、9月8日、第6回のストップ・リニア訴訟口頭弁論(於:東京地裁)で力強い陳述をされた静岡県在住の登山愛好家である服部隆さんです。

服部さんは、学生の頃より南アルプスを中心に沢登りを続けられ、アメリカなど国内外の岩山にも登られてきました。山に関するその豊富な知識には、圧倒されました。

熊森が南アルプスを調査するときは、服部さんに案内をお願いすると決めました。

講演中の服部隆さん

 

<服部さんのお話の要約>

南アルプスは、3つの山域に分かれており、リニアが通る「南アルプス南部」は、赤石岳などからなります。

砂岩、泥岩など様々な成分からできている上に、100万年前に圧縮されて出来た地形で、今でも年間3-4ミリ隆起が起き、土砂が押し出されている造山帯です。

その為、色々な所に崩壊地があり、大変脆い地形です。

そこにトンネルを掘って、大丈夫でしょうか。

トンネルを掘れたとしても、何年もつのでしょうか。

 

南アルプスでは、大量の水の流れによってV字谷が造られました。

この豊かな水が多様な植生をつくり、多様な野生動物の生活を支えてきました。

 

静岡では、10.7キロものトンネルを掘るのですから、大量の残土が発生します。

JR東海がリニアの残土を置く予定にしている燕沢(ツバクロサワ)付近は平坦地になっていますが、ここは、洪水の調整池のような役割をしています。

計画では、ここに高さ65mの残土置き場ができるのです。

上流には千枚崩れという絶えず崩れている場所があり、そこから流れ出た土砂がこの平坦地でスピードを落とす場所です。

JR東海は大丈夫と言っていますが、静岡県が設置している、リニア影響評価協議会の専門家は、JR東海は想定が甘いという意見を述べています。

 

10年にわたって工事が進められるのですから、数百台のトラックが、大量の排気ガスをまきながら走ります。

南アルプスの二軒小屋(登山基地)辺りを2015年に調査した結果、二酸化窒素の値が0.001ppmでした。

JR東海の調査によると、リニア工事によってこの値が最大予測値0.018ppm増えるが、この増加は、環境基準の0.06ppm以下だから問題がないとされているようです。

しかし、ここの主役は人間じゃなく、クマやカモシカなどの野生動植物。人間の環境基準に合わせるのではなく、もともとの値0.001ppmを基準にするべきです。

彼ら野生動植物は口をきけません。

山を知っているわれらが代弁者になりたいと思ったので、第6回ストップ・リニア訴訟で、被告席と裁判長に対して訴えました。

 

会場の様子

 

参加者の感想

  • リニア、原発、、、いらないものを作る愚かな人間。知らないことが知らない所で進んでいる。自分だけ良ければ良いという情けない考えとしか思えない。
  • 最近、自然災害が多発し、復興もままならないのに、必要のないリニアに莫大なお金と労力をかけるのはなぜなのか不思議です。
  • 大へん勉強になりました。ますます、リニアは不要、というより罪悪と感じます。

 

熊森から

静岡県知事に拍手です。

静岡県の川勝平太知事は10月10日の定例記者会見で、大井川の流量減少が懸念されるリニア中央新幹線のトンネル掘削工事を巡るJR東海の対応について「県民に誠意を示す姿勢がない。猛省をうながしたい。県民や県にとって工事はデメリットしかなく、流量を全て戻すと約束しない限り断固反対する」と抗議しました。

くまもり本部2017年11月度> 自然保護ボランティア募集(初参加、非会員も歓迎)

※拡散希望

熊森協会本部では、各分野のボランティアを募集しています。

会員・非会員に関わらず、多くの方々にご参加していただきたいです。

学生さんや若い方も、みなさん誘い合ってご参加ください。

ご参加いただける方は、活動日の3日前までに電話、FAX、メールにて熊森協会本部事務局までご連絡ください。

本部電話番号 0798-22-4190

本部FAX番号 0798-22-4196

メール contact@kumamori.org

 

2017年11月の活動予定

<いきものの森活動>

11月19日(日)(予定)高代寺の竹の伐採(大阪府豊能郡豊能町)

午前8:00に阪急夙川駅南口ロータリーに集合してください。

  • いきものの森活動は人工林の間伐や実のなる木の植樹、クマの潜み場の草刈りや柿もぎなど、兵庫県北部を中心に実施しているフィールド活動です。参加者のペースに合わせて活動を進めていきますので、誰でもご参加いただけます。

現地までは本部が用意した車にご乗車いただけます。

天候不順で中止になることがあります。

竹野伐採風景(高台寺)

<環境教育例会(於:本部事務所)>

11月の例会は未定 環境教育にご興味のある方は本部までご連絡ください。

  • 小学校や保育施設などで、森や動物の大切さを伝える環境教育を実施しています。環境教育例会では、授業に向けての練習や打ち合わせ、プログラムの作製を行います。絵本の読み聞かせや紙芝居にご興味のある方、子どもがお好きな方、ぜひご参加ください。

環境教育風景

<とよ君ファンクラブ(大阪府豊能町高代寺)>

11月2日、9日、16日、23日、30日(毎週木曜日)

  • 大阪府豊能町で保護飼育しているツキノワグマのとよ君のお世話です。

現地までの交通手段は本部にご相談ください。

庇の上でご機嫌なとよ

<太郎と花子のファンクラブ(和歌山県生石町)>

11月26日(日)(毎月第4日曜)

参加費:1000円(交通費)

  • 和歌山県生石高原で保護飼育しているツキノワグマの太郎と花子のお世話です。

午前8:30に阪急夙川駅南口ロータリーに集合してください。

現地までは本部が用意した車にご乗車いただけます。

くつろいでいる太郎

環境教育以外は兵庫県ボランティア保険(4/1~3/31の年間500円)への加入が必要です。

太郎と花子のファンクラブ以外は本部の車に乗車される場合、集合場所から現地までの交通費は不要です。

自車参加も可能です。

たくさんの方のご応募をお待ちしております。よろしくお願いします。

10月9日 「天然記念物奈良のシカ駆除問題」について、くまもり本部が午前中にJR奈良駅前で初のシールアンケート・午後に集会

この日の午後、くまもり本部は、奈良県文化会館で、一般市民向けに「奈良市D地区シカ駆除開始問題」を考える集会をもつことになっていました。

事前参加申し込みがあまりにも少なかったので、いったいこの問題について奈良市民がどう考えているのか、午前11時~12  時までの間、JR奈良駅前に立って奈良市民かどうかを確認してからシールアンケートを行い、インタビューしてみました。

 

午前のシールアンケート

JR奈良駅にて、シールアンケートを行う熊森本部スタッフたち(緑色のジャンパー着用)

何の話か聞く前に、みなさん余裕がないのか、知らない人とかかわり合いたくないのか、多くの方が忙しそうに避けて通り過ぎて行かれます。

それでもなんとか38人の方にお答えしていただくことができました。

「奈良のシカ」駆除に関するシールアンケート結果。中央は、どちらとも言えない。(クリックで拡大)

 

アンケートの結果、多くの人がこの問題を知らなかったり、知っていても全く関心がないことがわかりました。

悲しいけれど現実です。これでは集会に人が集まらないはずだと、納得しました。

私たちは、奈良県が今年120頭を上限に、奈良市内の山間部にある2つの地区(田原・東里)で天然記念物「奈良のシカ」の駆除を開始したことをひとりひとりに伝えていきました。

アンケートの結果は、以下です。

駆除に反対という方の方が少し多く、ホッとしました。

 

・駆除に賛成の意見…12人

・シカの数が増えすぎたので減らすべき。

・農作物被害が深刻で、農家が困っておられる。

 

・駆除に反対の意見…18人

・「奈良のシカ」は神様の使いだから。(少数、高齢者)

・殺すなんてかわいそう。

・柵を強化すればよい。

 

アンケートを取ってみて、奈良市民から神鹿文化が消え去りつつあるのを感じ、さびしくなりました。伝統文化を、学校で教えないのでしょうか。

初めてのシールアンケート。短時間に人々の動向をつかむのに、最適です。支部でもぜひご活用ください。お勧めです。

 

午後からの集会 15名参加

まず初めに、奈良奉行の知恵で、シカによる農作物被害や人身事故等の問題を乗り越え、「奈良のシカ」が今日まで神の使いとして人々に護られてきた長い歴史を、映像で見ていただきました。

映像視聴中

 

その後、くまもり本部の野生動物保全担当の水見竜哉が、今年7月に行った現地調査の報告を行いました。

参照:7月13日くまもりNEWS:殺しても鹿害は減らない、予算は防除柵強化に!奈良市D地区訪問

 

続いて、シカよけ柵の設置補助実態について、奈良市と兵庫県豊岡市を比較してみました。

 

 

奈良県は天然記念物のシカを殺す前に、兵庫県など近隣府県のように国からの補助金(「鳥獣被害防止特措法」)を取って、地元の方々のために、金網の強固なシカ防除柵を現地に設置してあげてほしいです。

 

<参加者の意見交換会>

Aさん:私は長年ネコの保護活動をしてます。動物を殺すのは一切嫌です。近所の90歳くらいのおばあちゃんに「奈良市D地区のシカ、殺されるみたいやで」って話したら「そんなんあかん。神様の使いやで。」と言われました。でも若い人にこの話をしてみたら、反応ない。難しいんです。この問題、ネットに流したら、意外と海外の方が反応があるかもしれません。

 

Bさん:初めて知ることが多く、参考になりました。もっと多くの人達にこの問題を知らせていかなければならないと思いました。税金は、シカを殺すことではなく、柵に使って欲しいです。

 

Cさん:新実南吉の「ごんぎつね」を思い出しました。もっと、人間は動物の声に耳を傾けてあげなくてはなりません。シカの存在を否定するのではなく、草が生えて困っている場所にシカを連れて行って除草してもらうとか、活用できないのでしょうか?

 

Dさん:私、人権擁護委員している関係で人間にも人権があるように、動物にも植物にも生きる権利があるとおもうんです。特に日本人は昔から自然を大切にする民族だったはずです。

 

Eさん:小さいころから奈良のシカとふれあってきました。動物が大好きです。奈良のシカに関する科学的なデータの収集が進んでいません。今回の奈良県の調査費1800万が、しかるべき調査に使われるといいのですが。

私は、奈良公園のシカが本当に健康なのか、幸せなのか気になります。今の奈良公園のシカは健康でないと思います。あの狭いエリアで本当に暮らせる頭数は何頭なんでしょうか。奈良公園のシカは毎年子供を産む数が減っており、高齢化してきている。

公園外に出て農作物に被害を与えると捕獲されて公園に連れ戻され、狭い檻の中に収容されて終身刑状態になります。もう、一生外には出してもらえない。見に行ったら、本当に悲惨でした。

奈良のシカと一言に言っても、田原地区と大台ケ原、京都東山は山が続いているのでシカは移動しています。奈良公園にいるシカと山にいる野生のシカは暮らし方が違う。

もっと情報集めをしなければ、多くのことは指摘できないと思います。

 

(森山会長の終わりのあいさつ)

今日JR奈良駅で奈良市民にシールアンケートを実施しました。シカ問題になど関心ないという人が、ものすごく多かったです。

全生物と共存してきた祖先の文化が、今、人間のことしか考えない文化に急速に変化していっています。私たち自然保護団体は、これがとても怖いのです。

なぜなら、いろいろな生き物たちの命の尊厳がわかって初めて自然破壊にブレーキがかかり、自然を守っていこうということになるからです。

人間のことしか考えなくなった文明は、自然を破壊して滅びます。

世界で唯一ここだけの奈良の神鹿文化は、本当にすばらしい。貴重です。人類の宝です。人とシカとの共存は奈良がお手本にならなければならない。

奈良の人たちに今一度神鹿文化の歴史を学んでいただき、全国に世界に、行政に声を挙げていってもらいたいです。

誰も声を挙げる人がいないというので、今日は兵庫県からやってまいりましたが、この後は奈良市民が継いでいただきたいです。

 

熊森から

人々の関心がなくても、大事な問題は、気づいた者が粘り強く取り上げていかなければなりません。

どうしたら、人々に関心を持ってもらえるか、知恵を絞っていきましょう。

ひとりで考えていたらしんどくなります。

みなさん、日本熊森協会に、ご入会下さい!

一緒に考えていきましょう!

 

10月7日 兵庫県クマ狩猟問題を考える 講師 金井塚 務 氏(広島フィールドミュージアム代表) 於:芦屋市民会館 参加者63名

この日、西中国山地のクマ生息地を長年調査されてきた金井塚務先生(西中国山地ツキノワグマ保護対策協議会科学部会委員)を広島からお招きして、現場第一で研究されてきた研究者として、中国山地の西で起きていることを話していただき、その後、参加者全員で改めて、中国山地の東端にある兵庫県のクマ狩猟を考えてみる会を持ちました。

 

(1)子供たちの未来のために

まず初めに、森山まり子会長が、

「子供たちに豊かな自然が残せるのかどうか、今、大人たちの子供たちに対する愛が問われています。

クマとの共存をめざすならば、クマの生態観察や、生息地である奥山の現地調査が欠かせないはずなのに、クマ狩猟再開に至るまでの兵庫県行政のプロセスではこの部分が抜け落ちており、狩猟実施の根拠となった数字の科学性にも大きな疑問があります。

兵庫県はクマ生息数の低減に躍起で、今年9月末までに32頭ものクマを有害獣として捕殺していますが、本来、有害な動物などいません。人間が有害にしたのです。

クマたちにも、喜びや悲しみなど、人間と同じ感情があります。兵庫県行政を動かしている捕殺推進派の研究者たちは、このことがわかっていないのではないでしょうか。

利権のある有識者たちの判断に任せるのではなく、利権のない一般国民の澄んだ目で、環境省や地方行政が物言えぬ自然や生き物たちにしていることの善悪を判断し、声を挙げて改善していく必要があります」

と、あいさつしました。

森山会長

 

(2)「生息域分布にドーナツ化現象が確かめられたため、西中国3県のクマは今期も保護計画の対象であり、狩猟は導入しません」

 

次に、金井塚先生が、「フィールド調査から見た西中国山地のツキノワグマの現況」という題で、1時間の講演をしてくださいました。

以下、要旨を平易にまとめました。多くの図表やグラフは、ここでは割愛させていただきました。すばらしい内容だったので、いずれきちんとまとめてみたいです。

会場風景

西中国山地でも、1979念の1.5倍にまでクマの生息域が年々拡大しています。

ツキノワグマの分布の経年的変化1998年~2015年(ダブルクリックで拡大します)

 

考えられる原因は3つです。

①個体数増加

②個体数は同じだが、生息地の生活資源量が減ったため、分散して生息密度が低下

③個体数が増えたのではなく、本来の生息地の環境が悪化したため、新天地を求めて周辺地域に分散するドーナツ化現象が起きている

金井塚先生

 

東中国山地行政と違って、西中国山地行政のいいところは、3県の科学部会に属する研究者たちが集まって、喧々諤々と議論しているところです。

上地図の赤塗りしている部分が、西中国山地のクマの中核的生息域で、5年おきにクマを捕獲し、再捕獲法でこの25年間、生息個体数を推定してきました。(再捕獲法がどこまで科学的かというと、多くの仮定の上に成り立っているため、科学ではありません。正確な数値など出ません。しかし、何回かやっているうち、ある程度のトレンドは出ると考えられます。他にクマの生息数を推定する良い方法がない現在、再捕獲法を使うしかありません。)

私たちの出した結論は、上記③です。

西中国山地のクマは山奥に棲めなくなり、人間の生活圏内に近い所まで降りてきており、生息域分布のドーナツ化現象がどんどん進んでいます。

実際、私の調査している広島県のクマの中核的生息地である細見谷でも、5・6年前までは一つの沢に少なくとも10頭のクマが出入りをしていたのですが、今年はどうも4頭ぐらいしかいません。このままいけば、クマは生きるために人間の生活圏に入り込んで来て軋轢を引き起こし、駆除され続けて滅びていきます。なぜ、クマたちの本来の生息地が、クマたちが棲めないまでに劣化したか。原因はみんな人間です。原生林の徹底的な伐採、人工造林、林道、ダムや砂防堰堤・・・人間活動によって、山も川も海も循環を絶たれてしまい、悲惨なことになっています。

以上のことから、西中国3県のクマは今期も保護計画の対象で、狩猟は導入しません。

 

(3)兵庫県はクマ狩猟を中止すべき

1、「推定数字だけにとらわれず、生息地の実態調査を」(要旨) 

日本熊森協会本部 クマ保全担当 水見竜哉

 

兵庫県のクマ狩猟は、環境省の中央審議会が決めた成獣の推定生息数800頭が安定個体群という根拠不明の全国一律基準に基づいて実施されます。

しかし、日本のクマが生息する森は、東北地方のように山が深く豊かな広葉樹林が残っている県もあれば、兵庫県のように山が浅く人工林だらけで、わずかに残された自然林まで近年一気に大劣化してクマが山で生きられなくなっている県もあるのです。

計算した推定生息数の数字ばかりを見て生息地の実態を見ず、全国一律基準に基づいてクマ政策を決めるのはまちがっています。

兵庫県は山中でクマ狩猟を行うことによって人里近くにいるクマを山奥へ追い戻す効果があると言っていますが、かえって山中から人里にクマが出て来てしまう恐れがあります。このような取り組みでは、クマと人は共存できないし、地元の人たちの安全も守れません。山中で踏ん張っているクマは、そっとしておくべきです。

水見発表 兵庫県発表では、クマが爆発増加したことになっている

 

2、「被害防除の徹底と、森の再生を」(要旨)

日本熊森協会本部 森保全担当 家田俊平

 

私たち日本熊森協会は民間の自然保護団体として、実のなる木を奥山に植えてクマに餌場を提供したり、広大な人工林を伐採して水源の森となる広葉樹林を復元したりしてきました。被害防除の徹底と共に、このような森再生に税金を使って実行していただければ、クマが集落に現れることもなくなっていくはずです。被害防除と森の再生につきます。私たちは今後も「動物たちに帰れる森を、地元の人たちに安心を」という言葉をスローガンに、クマと人間の棲み分け共存ができる森造りを進めていきます。

家田発表 植樹クリに今年もクマ棚

 

質疑応答 左から、金井塚先生、家田、水見

 

◎参加された方の感想から

・西宮で暮らしているとクマという動物は身近かではありません。だから、人が襲われたというニュースで、日頃からクマはイメージの悪い動物になっていますが、クマのすむ山が人間活動によって荒廃してしまっているという現状があって人里に出てくるんだということを、みんなで世に伝えていく必要があると思いました。

 

 

◎熊森から

今夏、金井塚先生に兵庫県のクマ生息地を見ていただきました。山に液果の実りがほとんど見られず、谷川は両岸の土砂が崩れて浅くかつ狭くなり、水量も激減で魚影も見られず・・・、ここのクマたちは、夏食べるものが何もないと驚いておられました。せめて、魚がいれば、生き延びられるのだがということでした。先生が、「このまま、奥山にクマが棲めず、人里近くにしかクマの餌がない状態が続けば、最後の1頭が有害捕殺されるまで人間とクマの軋轢が起こり続けるでしょう。」と言われました。衝撃でした。

形だけの審議会で、議論することもなく安易にクマ捕殺が進む中で、西中国3県の科学部会は本当に大きな存在意義を持っていると思いました。

もし、東中国3県に、西中国3県の科学部会のような行政に物が言える存在があれば、兵庫県や岡山県のクマ狩猟再開はありえなかったでしょう。

 

 

 

10月8日 地元で兵庫県クマ狩猟問題を考える 於:豊岡市民プラザ 参加者12名

地元の人達にも、ぜひクマ狩猟問題を考えていただこうと、JR豊岡駅前に会場を取りました。しかし、前日までの参加申し込みがあまりにも少なかったため、予定していた金井塚先生の講演は取りやめにして、先生には広島に帰っていただき、参加者の皆さんには録画ビデオで先生の講演を見てもらうことにしました。

ところが、うれしいことに、会場には、12名の方が来てくださいました。予定通り、金井塚先生に来ていただいたら良かったと、後悔しました。

 

会場風景

昨日と同じように、会長挨拶、金井塚先生の講演ビデオ、熊森研究員からの発表を済ませ、後半はご出席くださったみなさんとの意見交換会としました。

 

 

<出された主な意見>

シカを何とかしてほしい

・クマを獲りたい猟師は、但馬にはおらん。いても一人くらいや。自分たちが困っているのはシカだ。シカは昔はおらんかった。南から来た。シカが増えたのは、戦後メスジカを保護して獲らないようにしたからだ。人間が獲らないと野生鳥獣は増えていく。

・十数年前までは、さっき見せてもらった東北の山の写真のように、但馬の山も豊かだった。それが今では、爆発増加したシカが下層植生を食べ尽くしてしまった。ゼンマイ、フキ、イタドリ・・・山菜も何もかも山から消えた。

・シカが林道を通って、妙見山から香住、浜坂と移動していく。移動原因の一つは林道だ。今、香住でシカがすごく増えている。クマもかわいそうや。山の中に食べるものがない。トチノミが落ちても、クマが来る前にシカが全部食べてしまう。クマを守りたいのなら、なぜシカを獲る話を出さないのか!山をシカから守る話が先だろう。

 

広葉樹林の再生運動に疑問

・広葉樹林を再生すると言っても、シカが苗木を食べてしまう。シカよけチューブをかぶしても、雪解け時に倒れてしまう。植樹などしても無理だ。シカがいる限り、豊かな森など戻らん。植樹地を網で囲っても、1か所破ってみんな入ってくる。集落は網だらけ柵だらけ。こんなところに若い人は帰って来てくれない。

・広葉樹林に戻して問題が解決するのか。クマやシカが増えるだけだ。クマよりまず人間を守って欲しい。

 

一方向からの話はダメ

・一方的にクマの側からの偏った物言いをされるのは、がまんならん。いろいろな動物や虫、植物、総合的に話すべき。

・山の専門家、シカの専門家、農家、林業家、猟友会…みんなが集まって討議してみてほしい。

 

納得した

・この前、近くの町中で、早朝、クマの親子が歩いていた。集落の柿にも出て来るようになった。どうしてクマが山から出て来るようになったのか、金井塚先生の話を聞いて納得した。クマの目撃は増えているが、県が言っている爆発増加というのは信じられない。

今日、三重県や静岡県では、山主の持ち出しゼロで、県が人工林を自然林に戻してくれるという話を聞いた。兵庫県も早く奥山を補助金で自然林に戻してほしいと思った。県民みどり税で花作りをするようにと言われたが、山の方を先にすべきだ。

 

 

(くまもりから)

・シカ駆除のために罠猟師になられた方も数名参加されていたようで、私たちに厳しい発言も出ました。

・貴重な声を聞かせていただいたと感謝しています。ご参加くださったみなさまに、心よりお礼申し上げます。

・戦後の諸政策や文明の発展方向が、どれもこれも結果的には人々が郡部に住みづらくなるものとなったようです。

・シカ問題は大変難しくて、今のところ私たちの手に負えませんが、ネットで読んだブータンの集落犬のように、シカを殺さずに解決できればと思います。

・専門家が一堂に会してシカ問題のシンポジウムをというご提案をいただきましたが、被害防除の専門家と、いかに効率よくシカを大量捕殺するかという専門家は誕生していますが、それ以外の事はわからないことだらけで、専門家など育っていないと思われます。

・人間が役割を知らないだけで、シカも日本の国土にとって欠かすことのできない貴重な生き物のはずです。

・シカに、草原や湿地という本来の生息地をある程度は返してやり、人とシカが共存できる道を探っていきたいです。

・クマの狩猟問題について考えていただこうと思って企画した会でしたが、地元はそれどころではなく、関心のない問題であることがわかりました。

 

許せない暴挙、今年、秋田県は過去最大533頭のクマを大量駆除(9月末現在)した上に、3ケ月間の狩猟も計画 全国のクマ保護体制を壊す恐れ

今春、米田一彦氏(まいたかずひこ 日本ツキノワグマ研究所所長)が、

 警戒せよ!秋田の「人食いグマ」は3頭生き残っている

と、例によって誰も検証できないことを発表し、新聞などに大きく取り上げられました。そして、またまたセンセーショナル記事がお望みのマスコミの寵児となりました。

まともに信じた秋田の善良なみなさんは、震え上がられたと思われます。しかし、人食いグマなど誕生しているとは思えません。もしそんなクマが誕生していたら、被害者が続出するはずです。

それ以外にも、昨年の秋田県内に於けるクマによる死亡事故4件、今年の死亡事故1件もあって、これまでクマを見かけても、秋田にクマが居るのは当然として役場に届け出なかった人たちが、不安になって届け出るようになったり、クマを見かけたら殺してほしいと申し出るように変わっていったことが考えられます。

注:本文中のグラフは全て、ダブルクリックによって拡大され鮮明になります。

秋田から始まったこの流れが全国に広まって、クマは殺すべしというとんでもなく間違った国民感情が一気に発展していく恐れがあります。クマは、祖先がしていたように、棲み分けることによって人間とこの国で十分安全に共存できる素晴らしい動物です。戦後、奥山を破壊して、クマと人間の棲み分けを一方的に壊したのは人間の方です。

 

今年8月末に熊森本部が秋田県庁を訪問した時は、まだ捕殺数は340頭でした。去年、476頭も殺したあとなので、すでに多すぎるが、何とか今年は去年のような大量駆除にならないようにと強くお願いしてきたところでした。よって、10月15日(日)の秋田魁新報社の、秋田県内クマ駆除、最多533頭 目撃数更新、冬場の猟解禁

という記事を見た時、熊森本部スタッフ一同、2年連続のあまりにも度を越した秋田県のクマ大量駆除に対して、許せない思いでいっぱいになりました。

 

秋田県のクマ管理計画書によると、個体管理: 「各年度の総捕獲数上限は、事前調整捕獲数(春ぐま)+有害鳥獣捕獲数+狩猟数の合計が、推定生息数の12%までとなるようにする。」とあります。秋田県のクマ推定生息数は1013頭ですから、120頭数が捕獲限度のはずです。今年の9月末で、駆除数533頭は異常で、すでに上限を大きく逸脱した捕殺数です。

同計画書では、「捕獲数が上限に達した場合 狩猟自粛の要請をしなければならない。」とあります。

 

10月16日、熊森本部は、クマの担当部署である秋田県庁自然保護課に電話をしました。

 

熊森:どうしてこれほど多数のクマを殺したのですか。秋田県の有害駆除の許可基準が甘すぎるのではないですか?クマの目撃数は、岩手の方が多いですが、捕殺数は秋田の方が断然多いです。

 

県庁:出先の県振興局が、駆除の許可を降ろしていますが、きちんとやっていると思います。

熊森:2年間ですでに、1009頭駆除ですよ。これって無茶苦茶じゃありませんか!

県庁:県内クマ推定生息数1013頭が間違っていたようです。

熊森:クマが何頭いるかは、誰にもわかりません。1013頭という秋田県の推定数が間違っていたとしても、これまでこんなに大量に捕殺したことはなかったじゃないですか。秋田のクマを皆殺しにするおつもりですか。

県庁:今年は、去年以上にクマが人里にどんどん出て来たのです。

熊森:きっと山に餌がなく、生きるためにしかたなく出てきたのだと思います。同じ国土に生きる者同士、手を差し伸べてやらねばならないのではありませんか。去年はブナが大凶作でした。今年はどうなんですか。

県庁:ブナは凶作、ミズナラとコナラは豊作です。

熊森:どうして驚くほどの数のクマが山から出て来たと思われますか。

県庁:秋田は平地がミズナラ帯です。平地のミズナラやリンゴ園のリンゴ、養蜂業者の巣箱を狙って出て来ています。

熊森:クマが食用にしてきたブナ、ミズナラ、コナラ以外の植物にも、何か大異変が起きて、秋田の山でクマが生きられなくなったのではないでしょうか。クマが山の異変を訴えているのに、彼らの悲鳴に耳を傾けることなく、害獣のレッテルを張って殺してしまうのは間違っています。今年、秋田の奥山で何が起きていたのかは、支部もないのでわかりませんが、秋田県は奥山の餌状況を調べるべきです。

県庁:ドングリ以外のクマの餌も調べているという熊森のような団体は、秋田にはありませんから、よくわかりません。ナラ枯れはありますが、今年、急拡大したというようなことはありません。

熊森:熊は冬眠前の食い込みができないと、冬眠中に死んでしまうので、彼らも必死です。山から出て来て平地のミズナラを食べているのなら、見逃してやってほしいです。

県庁:人身事故が16件も起きているのです。私もクマを殺したくないのですが、県民のクマ殺せの声は、もう押さえられません。

 

熊森:秋田にもクマに優しい人はたくさんいます。人身事故には胸がいたみますが、すべてクマが悪かったわけではないはずです。人間を襲ってやろうなどと思っているクマは1頭もいませんよ。人間に臨界距離(12メートル)内で出会って恐怖でいっぱいになり、逃げたい一心で人間をはたいて逃げる。これがクマの習性ですから、クマに早めに人間の存在を知らせるなど、人間側の努力も必要です。

県庁:何回も地元のみなさんに講習会を開いてきました。ジョギング中の方がクマに後ろから襲われた例もあるんですよ。この場合、人間に落ち度はないでしょう。

熊森:それだけでは判断できません。人間にはわからない理由があったのかもしれません。まあ、殺してしまったのはもう仕方がないとして、なぜ、県がクマ狩猟を推進するのですか。秋田県の保護管理計画によると、捕獲上限を超えた時は、狩猟を自粛することになっていますが。

県庁:県議会の自然環境委員会でも、専門家の集まりである野生鳥獣保護管理対策検討委員会(会長:星 崎 和 彦 秋田県立大学)でも、私たちの狩猟再開案(これまでは狩猟自粛が続いていた)に反対する声はありませんでした。

熊森:女性や子供の声は聞かれましたか。殺さないでやって欲しいという声が多いと思われます。強者の声ばかり聞いていると、県民みんなが殺せと言っているように錯覚してしまうのではないでしょうか。地元の代表などは、だいたいが声が大きく、何かあった時、自分が責任を問われないように、クマを殺せという傾向があります。このような声だけを聞いていたら、クマを絶滅させてしまいます。第一、山に潜んでいる問題のないクマまで、なぜ狩猟で殺そうとされるのですか。

県庁:クマ狩猟は、奥山ではなく里山でしてもらおうと思っています。ハンターに隊を組んでもらい、里山から山奥に向けて散弾銃やライフル銃を撃ちながら上がって行ってもらうのです。追い上げです。

熊森:殺さないのですか?

県庁:いえ、狩猟ですから、クマが居たら撃ちます。

熊森:それはおかしい。奥山に餌がないからクマたちが出て来ているのに、奥山に追い返すというのは、クマたちに餓死せよということですね。まるで、人間が悪魔になってしまっているではありませんか。無茶な獲り方はしないというマタギの精神はどうなったのですか。人間の都合ばかり考えていては、野生動物との棲み分け共存などとてもできません。

もう、今年、クマを狩猟する案は正式に決定したのですか。

県庁:10月20日の環境審議会に私たちが作った原案を諮問して、座長から答申を得たら決定します。狩猟上限は58頭です。

熊森:58頭の根拠は?

県庁:秋田県は、春期捕獲(=春熊猟)をやっていて、その捕獲上限は推定繁殖数の3割と決めています。今年度の場合、推定繁殖数は273頭でその3割は82頭です。今年春期捕獲で24頭のクマを捕獲しました。よって、今回の狩猟の上限は、今年の春期捕獲上限の82頭から、24頭を差し引いた58頭となります。穴熊猟と親子熊猟は禁止にします。

秋田の山は、11月末から12月中旬にかけて雪が積もり始め、12月末にはクマは冬眠に入ってしまいます。実質クマ狩猟は、11月15日~12月上旬くらいの間になるでしょう。

 

熊森から

 

秋田県のこのような無茶苦茶な流れを見逃してしまうと、クマ絶滅につながる悪しき風潮が全国に広まってしまいます。

生き物に大変やさしいお気持ちを持っておられる 佐竹敬久 秋田県知事に、FAXやE-mailを使って、みんなで訴えませんか。

秋田の新聞社に投稿するなどもいいと思われます。

1、秋田県のクマ大量捕殺は、環境省のガイドラインや、自らが作った「秋田県クマ管理計画」にも大きく逸脱するもので、歯止めを失っており、認められない。

2、これだけの大量捕殺を2年連続続けてきたのであるから、今年のクマ狩猟は当然禁止すべきである。

3、秋田県は、去年と今年に、なぜ大量のクマが人里に出て来たのか、その原因を探り、殺すという対症療法ではなく、根本原因の解消に当たるべきである。

 

クマ保全を願うなら、今の秋田県のやり方は到底放置できるものではありません。

渦中におられる担当者のみなさんは、もう何がなんだかわけがわからなくなっておられるのだろうとお察しします。

今回の事は、日本の熊保護が今後どうなっていくかという大事な局面です。黙っていてはならない。本部も訴えます。

 

〒010-8570 秋田県秋田市山王四丁目1番1号 秋田県庁 

  総務部  秘書課  

 

注:環境省に訴えても、無駄ですから、お知り置きください。都道府県にお任せしていますの一点張りで、何の力にもなっていただけません。都道府県が暴走した時、指導する部署が日本国にはありません。民間が声を挙げるしかないのです。

 

以下は、ツキノワグマ管理に対して秋田県に寄せられた国民の意見に対する秋田県の回答です。秋田県の姿勢がわかります。

「第12次秋田県鳥獣保護管理事業計画(案)」及び「秋田県第二種特定鳥獣
管理計画(案)」についての意見募集結果について 2017年3月7日

 

10月12・13日 四国のクマ保全に貢献するため、本部+高知県支部長+愛媛県会員が現地調査

四国に生息するツキノワグマは残り十数頭、絶滅は時間の問題とされてから、長い年月がたちます。

その後、生息調査が精力的に進められてはいるものの、一向に生息数回復のきざしがみえません。

四国山地が頂上付近まで人工林で埋められたままになっているからだろうと思われます。

クマたちが棲める広葉樹林の森の再生・拡大が急がれます。

 

11月5日にくまもり愛媛県支部が立ち上がることもあって、今回、会長以下本部3名と高知県支部長、愛媛県会員2名の計6名で、四国のクマの保全に関係する中心人物たちを訪れてつながり、高知県のクマ生息地である剣山地の奥山調査にも入ることにしました。

剣山地は、標高1500m~1900m級の山々が連なり、最高峰は剣山1955mです。

クマの生息地は、標高1000m以上のブナ・ミズナラ林にあります。

 

下の地図は、今回の調査コースです。

広域地図 クリックすると拡大

詳細地図 1日目のコース京柱峠 2日目のコース西熊渓谷 クリックすると拡大

 

【10月12日】

熊森本部は、兵庫県西宮市から3時間30分車を走らせ続け、高知県大豊町で四国のくまもり会員の皆さんと落ち合いました。

その後みんなで、京柱峠から3km南の稜線上にあるブナ林(標高約1400m、大豊町内)をめざして進みました。

四国に初めて行ってみて驚いたのは、高い山の上まで集落が点在していることです。

あんな高い標高地でどうやって生活するのだろうかと思いましたが、昔は尾根筋が街道で、多くの人々が行き来していたということです。

標高800m以上まで集落が点在する剣山地(高知県大豊町)クリックすると拡大

 

人工林が標高1200mくらいまで広がっていました。

放置されたスギ人工林。標高約1200m

 

林道の終点で車を置いて、徒歩で進みます。ここから先は背丈を超えるススキが原が延々と続いていました。

ススキが原。標高約1250m地点

 

標高1300mを少し超えたところで、やっと広葉樹林が現れました。しかし、よく見てみると、ここの広葉樹林はほとんどがカエデ類でした。クマたちの餌となる物は皆無です。

カエデ類の広葉樹林

 

もう少し上るとブナ林があるということでしたが、時間が足りなくなってここで下山しました。うーん、ここまでの山にはクマなど棲めないでしょう。

 

下山後、四国のツキノワグマの調査に長年取り組んでおられる認定NPO法人「四国自然史科学研究センター」を表敬訪問し、センター長の谷地森秀二農学博士や主任研究員の山田孝樹氏らと長時間心を開いて懇談しました。


四国自然史科学研究センターがある公民館

 

【10月13日】

この日は、四国のクマの存続のカギを握っている林野庁の出先である高知森林管理局(高知市)を訪れました。大事な局面なので、副会長も朝一の飛行機で高知空港まで飛んで来ました。総勢7名で、午前9時から担当者2名と面会。

クマが生き残っている高標高地域は国有林が多く、3割が人工林になっています。この人工林を自然林に少しでも戻すことができたら、クマの絶滅が少し遅まります。

熊森は高知森林管理局を今日初めて訪れたのですが、テーブルには厚さ2センチくらいの日本熊森協会ファイルがすでに置かれていてびっくりしました。

国有林で自然林に戻せそうな場所がないかと随分ねばってたずねてみましたが、「1か所もない」というつれない回答のみでした。

 

昼からは気を取り直して、高知県香美市にある西熊渓谷と白髪山(1769m)周辺の調査に入りました(地図参照)。あいにくの雨模様でしたが、山を登っていくと天候が少し回復してきました。

標高約900mの地点で、車を降りて森の中へ入ってみました。怖いほど急な斜面です。クマ注意の看板が2か所にありました。いくら四足でも、この急斜面は怖いだろうと思いました。

クマ注意の看板

 

クマの痕跡がないか慎重に探しながら歩きました。爪痕のようなものがありました(赤丸内)。樹に登った形跡はありませんでした。

クマの爪跡

 

この渓谷の先には、西熊山保護林という480haの広葉樹林帯があります。そこへ行けばクマの食糧が豊富にあるのかもしれませんが、今回はそこまで行くことはできず、再び、林道へ戻り、さらに車で上へ向かいました。

標高約1350mまで登ると、ササに覆われたミズナラの巨木が現れてきました。人為的に見える花園があり、養蜂箱がいくつか置かれていました。

ミズナラの巨木とササ

 

みんなでクマの生息痕跡を探しましたが、全く見つかりませんでした。いくらミズナラやササがあっても、人間が車でどんどん入ってくるところに、臆病者のクマは暮らせないのだろうと思いました。

人間に見つからないようにそっと生き残ってきたクマの最後の火が消えようとしている今、日本熊森協会に何ができるか、後で後悔しないようにできることに精一杯取り組んでいきたいです。

四国山地は頂上のわずかな部分を除いて、ほとんどがスギやヒノキの人工林に変えられてしまっています。

四国の植生

 

四国にクマが生き残ったのは、奇跡です。

この貴重な命を守るために、今後、四国4県のみなさんに、クマのすばらしさやクマを残すことの意義を伝えていきたいです。(完)

 

 

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