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WWFJが紹介する可能な限り殺さない島根県のすばらしいクマ対応を参考に

以前、兵庫県は、自他ともに認める日本一のクマ保護県でしたが、残念ながら、今や、すっかり変わってしまいました。

名前だけは、平成28年度も、「兵庫県クマ保護計画」ですが、中身は、「140頭の殺害計画」です。

今からしようとしていることがわかるように、「兵庫県クマ大量殺害計画」という名にすべきです。

 

さて、WWFJがHPで紹介してくださっている島根県のすばらしい取り組みから、私たちは多くを学ぶことができます。

まだの方は、是非、読んでみてください。

あたりまえのことですが、山になら、クマ・サル・シカ・イノシシ、何頭いたっていいのです。

 

以下、WWFJのHPより

 

全国的に、クマの出没が懸念されている2014年の秋。クマを殺さずに対応できないのか? という意見が強くある一方で、クマのすむ山林に隣接した地域では、・・・

 

WWFジャパンと島根県では、ツキノワグマとの共存をめざしたプロジェクトを展開しています。島根県西部に位置する田橋町と横山町は、柿の栽培が盛んな地域です…

 

「島根県のクマ聖地」と呼ばれるほど、ツキノワグマの生息密度が高く、クマと人間との距離が近い匹見町。ここでは、2000年から「広域電気柵」の設置が始まり…

 

ツキノワグマ個体群の絶滅が心配される四国と、クマの生息数・生息域ともに回復傾向にあり、地域住民の方とのトラブルが問題となっている島根県。この2つの

 

他にもまだまだありますが、後はWWFJのHPからごらんになってください。

 

 

(熊森から)

兵庫県の井戸知事にも、島根県のこの取り組みを届けたいと思います。井戸知事は、頭が良くて優しい方ですから、こんな取り組みがあることを知られたら、こっちの取り組みの方がいいなとわかっていただけるのではないでしょうか。兵庫県でクマ狩猟を再開するかしないか、最終的に決めるのは知事さんだそうです。

 

それにしても、WWFJさんのまとめ方はすばらしいです。完全に脱帽です。

 

 

 

 

 


8月18日 兵庫県クマ狩猟再開を止める署名を開始

兵庫県のクマ狩猟再開を止めることは、他府県のクマ保護体制・野生動物保護体制・自然保護体制にも、良い影響を与えます。

やさしい文明が一番優れている。

 

そもそも自然界は超複雑な世界であり、どんなに科学技術が発達しようとも、人間が自然を管理したり思い通りの数に野生動物の頭数を調整したりできるような世界ではありません。人間が手を入れれば入れるほど、絶妙のバランスが崩れていくのです。

 

1999年に、熊森はもちろん、日本中の全自然保護団体が初めて一致団結して、猛烈に導入に反対したのに、鳥獣保護法が改悪され、ワイルドライフマネジメントが我が国に導入され(当時環境庁)ました。あの時から、この国は自然保護に関しては、狂気の道を歩み出したのです。このことは全国民に伝えておきたいことです。

 

自然や生き物たちと十分に触れ合うことなく大人になったエリートのみなさんが、自然が何なのか理解できず、肩書に物を言わせて、ワイルドライフマネジメント(個体数調整殺害)という自然界を冒涜する誤った恐ろしい思想を我が国に持ち込んだと私たち熊森は感じています。この方向で進むと、日本国が滅びます。

 

クマを初めとする野生動物たちが集落に出て来て、地元の人達は本当に困っておられますが、追い払い、被害防除、生息地復元による棲み分けの復活しか、正しい解決法はありません。

 

みなさん、ぜひ、兵庫県のクマ狩猟再開反対の署名にご協力ください!

【署名活動開始!】

 

 

ネット署名はChange.org

ネット署名リンク先 より署名できるようになっています。
(ネット署名をした方の、最新5人分だけお名前と都道府県名がホームページに表示されます。またコメントをするとずっとお名前が表示されます。)

 

また、紙の署名用紙で提出される方は、こちらからダウンロードしてください。
AdbeReaderが必要です。
お手数ですが署名後、本部事務局まで郵送でお送りください。

みなさんのご協力をお願いします。

 

 

兵庫県知事 井戸敏三様

兵庫県クマ狩猟再開の中止を求める緊急署名

日本熊森協会

 

●環境破壊により逃げ場のないクマを撃つべきではない

 

●クマ数爆発増加の算出法に重大疑惑あり

 

●狩猟をしなくても、追い払い、被害防除、有害駆除で解決できる

 


8月18日 兵庫県庁で記者会見 その1

14時から兵庫県庁記者クラブで、熊森本部が記者会見を行いました。

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兵庫県庁記者クラブ室にて

 

クマたちの逃げ場も隠れ場も奪っておいて、絶滅危惧種のクマ狩猟を再開とは?

 

最初に森山会長が挨拶しました。

全国民の問題です

「全国で起きている大型野生動物の人里出現は、戦後の奥山開発と拡大造林という国策の失敗によってもたらされたもので、◎根本解決は奥山復元・再生しかないのに、なぜか環境省の考えた解決法は、若者たちを狩猟者にして、弱者である×野生動物を大量殺害することです。(手つかずの自然が最も豊かであり、それを守るのが環境省の使命のはずですが)

 

ほとんどの国民は、まさか環境省が、<「すごいアウトドア」―若者よ、ハンターになれ―>として、若者にライフル銃を持たせるこんなキャンペーンを全国で展開しているなどとは、夢にも思っていないはずです。

 

バックに、日本への銃販路を広げたいと願う全米ライフル協会などの圧力があるという指摘もありますが、定かではありません。

すごいアウトドア

環境省指導 「若者よハンターになれ、日本人は狩猟民族になって野生肉を食べよ」

 

今回の兵庫県クマ狩猟再開問題は、県が、国の方針に従ったものと考えられますが、私たちは、こんな解決法を採用していいのでしょうか。

 

まず、人が自らが引き起こしたことに責任を取らないで、被害者である物言えぬ動物たちを殺して終わろうとしていますが、これでは人間がダメになってしまいます。(他の野生動物問題にも、同様のことが言えます)

 

次に、せっかくクマたち野生動物が、山から命がけでどんどん出て来て水源の森の荒廃を私たち人間に知らせてくれているのに、感謝もせず殺して終わらせてしまうなら、私たちは水源の森を失うまで気づかなくなるでしょう。

 

生き物たちの立場を思いやって自然と共存してきた祖先の生命尊重文明を捨て去り、人間のことしか考えない西洋近代型自然破壊文明に我が国が進んでいくのかどうかが問われています。

 

今回の兵庫県のクマ狩猟再開問題は、兵庫県だけの問題ではなく、明日はわが都府県、心ある国民のみなさんに、これでいいのかと考えていただきたいです。」


8月21日 第21回 本部:くまもり原生林ツアー

原因不明、年々劣化してゆく原生林に、スタッフ一同不安

 

今年は、29名の方が参加され、健脚コース2班、ゆっくりコース2班の計4班に分かれて山に入っていただきました。

今年も、地元高校の先生と生徒会長や生徒会役員ら計4人が来てくださり、各班に入ってガイド役として地元のお話などしてくれました。参加者のみなさんからも、大好評でした。地元高校には毎年、お世話になっており、感謝です。

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<高校生徒会役員がたたら製鉄の説明>

 

今年は子どもたちの参加が多かったので、親子班をつくり、ネイチャービンゴをしました。

沢の水温を測ったり、足跡クイズをしたりと、森の中でとても楽しい時間を過ごしていただけたと思います。

子どもたちはシカの足跡や虫など、子供目線で次々と発見してくれます。一緒に参加された保護者の皆さんは、子どもたちのおかげで、大人だけだと気づかなかったいろいろなものを見ることができ、とても楽しんでおられました。

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<沢の水温は何度でしょう?>

これまで沢の水は摂氏17度でしたが、今年はどこで何度測ってみても摂氏18度です。湧き水の温度が1度も上がるということは、大変なことで、一体地球に何が起きているのか、スタッフとしては、内心、恐ろしくなりました。

 

健脚コースでは、動植物や自然のお話をしながら、瑞々しい原生林の中を歩いていただきました。

「いろいろ教えてもらって勉強になった」

「森に入った途端、涼しさを感じた」

「沢の音を聞きながら歩けて気持ち良かった」など、参加されたみなさんは、原生林を満喫しておられました。

1998.7.26 第2回若杉原生林ツアーIMG_0294

木々の葉や下草でびっしり詰まっていた   現在の同じ場所 「野鳥説明看板」

豊かだったころの原生林1999年7月26日  2015年8月7日

 

くまもりは、ここ、岡山県若杉天然林で、20年間このようなツアーを毎年夏に実施してきましたが、20年前と比べると、森が激変しています。年々森が目に見えて劣化してくるのです。特別保護地区ではありますが、生き物がどんどん減ってきたと感じます。下層植生が減退し、動物の息吹も感じられなくなってきました。当初あったクマの生息痕跡は、もう大分前からゼロです。

 

何か冷温帯の森に大変な事が起きているのではないでしょうか。ブナの大木が3本そろって枯れていた場所もありました。こんな光景を見たのは初めてです。

 

とはいっても、若杉天然林の中は、ササの藪から頭を出して生えているたくさんの美しいブナの木々を見ることができます。コケに覆われた岩場が続いており、保水力豊かな原生林ならではの森を体感することができます。初めて参加してくださったみなさんは、感激されていました。

 

これからどうなって行くのかな?日本の森、世界の森・・・

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8月18日 兵庫県庁で記者会見 その2

次に、室谷副会長らが先程の要望書提出に引き続き、記者のみなさんに、

なぜ、兵庫はクマ狩猟を再開してはならないのか

説明しました。

 

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メディアの質問に答える熊森スタッフたち

 

生息地の自然環境がなんら改善されていない

くまもりが、クマ問題を解決するには奥山人工林を除去して自然林に戻すしかないと指摘してから22年たちますが、生息地問題は何一つ解決されていません。

 

(1)<兵庫県クマ生息地の人工林率>は、22年間、1%も低減されていません

一説に、人工林率が40%を超すとクマは絶滅に向かうそうです。どの町も、もう十分に絶滅に向かう人工林率です。絶滅してもおかしくない人工林率です。

 

宍粟市 73.2%

豊岡市 43.6%

香美町 48.6%

新温泉町45.0%

養父市 61.2%

朝来市 65.7%

2008.7.4伊由峠 (3)

昼でも林内が暗い人工林・生物は棲めない(朝来市)

 

兵庫県担当者は、兵庫県は森林整備に大いに力を入れてきましたと言われます。しかし、人工林を3割間伐して林業用の整備をしただけで、下草も生えず、5年もすれば残されたスギが成長して元の木阿弥。また真っ暗な人工林が再出現です。野生動物の餌場が回復した山など知りません。この24年間に、人工林率は減るどころか増えてさえいます。経済最優先であり、野生動物や自然保護の観点では、整備してこなかったと言われても仕方がない数字です。

 

(兵庫県内の人工林面積と県内人工林率)

1992年資料 21万5494ヘクタール 39.9%

2014年資料 23万3984ヘクタール 41.7%

      (+1万8490ヘクタール)

 

(2)<ナラ枯れやシカの食害などで、自然林にも棲めなくなっています>

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2010年ナラ枯れ(和田山) ドングリの大木が大量に枯れた

 

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シカの食害や地球温暖化で下層植生が消滅した自然林内(2014年宍粟市)

 

餌場、逃げ場、隠れ場を失った野生動物たちが人里に出て来るようになり、地元の人達が困っておられるのは本当です。すると、なんと、野生動物たちを守るためにあるはずの環境省は!野生動物を大量に捕殺することで、問題を解決しようと言い出したのです。

 

奥山の大規模人工林化とわずかに残された自然林の荒廃によって、本来のクマの生息地が失われてしまっています。相手を思いやるやさしい心が少しでもあれば、人間としてクマたちに申し訳ないと謝らねばなりません。

しかし、あろうことか、兵庫県は、クマの命をレジャーやスポーツとしての「狩猟」で殺してくださいとハンターたちに差し出そうというのです。

私たちは胸の痛みに耐えかねて、兵庫県井戸知事をはじめ、担当職員、兵庫県森林動物研究センター研究員たちに、生態系保全上、人道上、教育上、この様な殺し方を、やめて下さいとお願いしています。・・・県庁記者クラブで、一生懸命説明しました。

 

兵庫県には、東中国山地地域個体群(氷ノ山山系を中心とした、岡山・鳥取をまたぐ個体群、絶滅のおそれのある地域個体群)と、近畿北部地域個体群(豊岡市から京都府の丹後半島にまたぐ個体群)の2つのクマ個体群が存在しています。当会では、そのどちらの生息地も何度も歩いて調査しています。自動撮影カメラをあちこちに設置してクマの生態調査もしています。1か月に1分間、通過するクマが写ればいいとこです。体が丸見えのこんな山には臆病なクマは棲めません。

 

下層植生を失った山に追い上げ、クマを撃つ非人道性

ここで撃つのです

2014.10.17南尾根③

東中国山地地域個体群 (2015年10月)

ここで撃つのです

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近畿北部個体群(2016年4月)

山の中がどこまでも見渡せるこのような荒廃した自然環境で、人は一方的にクマを撃つのです。クマの方は丸腰です。

狩猟はスポーツといわれますが、こんな狩猟は不公平そのものです。しかも、マタギの時代と違って、銃の性能は飛躍的にアップしており、5km以上も!飛弾できる望遠鏡つきライフル銃です。その上、奥地まで舗装された林道が完備されており、人間は楽々車で移動です。ゲームといっても、初めから勝負が決まっています。いじめそのものです。

 

県庁担当者は、山の恵みは昔からいただいてきた当然なものと言われますが、長野や東北地方のマタギと違って、兵庫県の歴史にはそのようなクマ撃ちはいません。

日本はクマを狩猟獣に指定しているから、狩猟するのは当然とも言われましたが、狩猟実施県は、山が深くて下層植生が生い茂っています。20年前の兵庫県の自然林は、下層植生に覆われたもっともっといい山でした。

明治以降、日本が狩猟を導入したことが良かったのかどうか、このあたりで考えねばならないことですが、今回それは置いておくとして、とにかく、こんな逃げ場のない山で狩猟再開などむごすぎると思うのは、私たちだけではないはずです。

 

県の、増えすぎたという生息数の推定方法に重大疑問

指摘済みに付きカット

 

被害防除・自然林再生こそ全力で

クマが集落に出て来て困っている地元のみなさんのために、兵庫県がすべきことは、短期的には誘引物の除去、追い払いや草刈りなどの人里での被害防除です。どうしても困る時は、ハチミツ以外の誘引物を使った有害捕獲、中長期的には奥山自然林の再生です。

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炎天下、地元からの依頼を受け、クマがが潜みそうな場所の草刈りに励む熊森ボランティア

 

地元は過疎化高齢化で被害防除が思うように進みません。

野生動物たちとこの国で棲み分けるには、野生動物が潜めないように、人里を昔のように見通しの良い場所にしておかねばなりません。

若者のみなさん、都市市民のみなさん、年に1回でもいいので、熊森のボランティア活動に参加されませんか。

仲間はみんな優しいし、心身の健康にもとてもいいです。

私たちは、都市と郡部、お互いに助け合って生きて行く国を作っていきたいと願っています。(完)

 

 


兵庫県知事あてのクマ狩猟再開中止の要望書⑨

兵庫県知事 井戸 敏三 様

平成28年8月18日

要望書 兵庫県のツキノワグマ狩猟再開は中止すべき

―推定940頭は過大算出という専門家の指摘があるのに、逃げ場も隠れ場も失ったクマを山中で狩猟とは、生態系保全と人道に反しますー

 

日本熊森協会 会長 森山まり子

  • 専門家から、算出法に疑問、過大推定と指摘の940頭を根拠に狩猟再開は非科学的です

階層ベイズモデルMCMC法を用いて県内のクマ生息数は940頭であると算出したのは、兵庫県森林動物研究センターの県職員の研究員だけで、奥山は調べていないと公言しています。彼の推定法は捕獲が増えることは生息数が増加しているという前提に立っており、2010年山の実りが大凶作の際捕獲された101頭という過去に例のない捕獲数を異常値として処理していない、隣接している京都や岡山、鳥取間のクマの移動を考慮していない等、算出法に問題があり、過大推定だと統計学の専門家から批判を受けています。彼のデータだけで政策を決定するのは、非科学的で危険です。そもそも、森林内に生息する野生動物の数を正確に推定するのは困難です。クマの生息数を人間の勝手な計算で、800頭に一定させようという考えは、自然が全く分かっておらず、多様な生き物が複雑に関係しあっている生態系のバランスを一層崩壊させます。

 

  • 兵庫県の奥山は今大荒廃して鳥獣の棲める環境ではなく、クマは絶滅の危機にあります

今、人里にクマたちが出てきて、地元の方々は大変困っておられます。一見、クマが爆発増加したように見えますが、実はクマは山に棲めなくなっており、生息域を拡大したのではなく、生息分布がドーナツ型に拡大しただけです。兵庫県のクマ生息地では、延々と続くスギの放置人工林が広がり、内部が砂漠化しています。私たちが活動を始めた20年前から改善されていません。一方、わずかに残された自然林はナラ枯れやシカの食害などで、内部では下層植生や昆虫が消えて近年急激に劣化、クマは安心して棲めるすみかも食料も失いました。クマの逃げ場も隠れ場もない山でクマを狩猟するのは、この上なくアンフェアであり、生態系保全の観点からも、人道的見地からも認められません。国の「800頭」が安定個体群というのは、森が残っていたらという前提です。野生動物は、生息地を失うことによって絶滅します。兵庫ではクマの棲む森が失われたままであり、仮に数が増えたとしても、クマは絶滅の危機にあります。

 

  • 兵庫が西日本初で狩猟を再開すれば、他府県のクマ保護にまで悪い影響を与えます

兵庫県は、クマが人里に出て来てどうしても困る場合は、有害獣として捕殺できるようになっており、平成26年に30頭、平成27年に18頭のツキノワグマが捕殺されています。今後も追い払いや誘引物除去、有害捕殺でクマに対応すべきです。ツキノワグマは西日本全域で絶滅が危惧され、今も狩猟が禁止されており(滋賀県では自粛)、狩猟再開を決めたのは兵庫県だけです。せっかく貝原前知事や天皇皇后両陛下のご理解で当時の子供たちが勝ち取った兵庫県クマ狩猟禁止を反故にすべきではありません。、兵庫県がすべきことは、被害防除とクマの生息地であった死んだ奥山の再生に全力をあげることです。今回の狩猟再開を止めてください。


10年間でさらに劣化 兵庫の原生林を調査

8月8日、熊森は2泊3日の全国支部長研修会を兵庫県宍粟市でもちました。

本部がこの場所で研修会を持ったのは、全国支部長のみなさんに、兵庫県のクマ生息地に残された山の現状を知っていただくとともに、本部が地元集落のみなさんとどのようにつながって活動しているのかを見ていただきたかったからです。

 

山形県から参加してくださった支部長代理の方は、「(下草も低木もない)こんな山に、本当にクマがいるのか」と、信じられない様子でした。

毎年北海道から自費で参加してくださる門崎允昭顧問(北海道野生動物研究所所長)は、「こんな山には、クマは棲めないよ」と、バッサリ。

臆病者のクマは、隠れ場がないこんな山は嫌でしょうが、こんな山しかありません。

ダイダラボッチ 2006.8.27 ダイダラボッチ2016.8.8支部地区研修会

2006.8.27撮影    →   2016.8.8撮影

帰ってから、10年前の同じ場所で撮った写真と比べてみて、原生林の劣化が一層進んでいることに衝撃を受けました。(手前の巨木は桂、奥の巨木は栃です)

 

 

渓流を地下足袋で何度か渡られた宮崎県支部長は、宮崎県の渓流と比べて、兵庫の渓流水のぬるいことと、魚影がほとんどないことに驚いておられました。ちなみに支部長が住んでおられる所の渓流水は冷たくて、魚がうじゃうじゃいるそうです。

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門崎允昭顧問は、兵庫県のスギの人工林を見て、「北海道には、こんな山ないよ。密植し過ぎだよ」とショックを受けられていました。北海道の人工林率は29%で、樹種はトドマツ・エゾマツです。

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ここ、氷ノ山のふもとにあたる兵庫県宍粟市の人工林率は73%、植えられるだけスギを植えたということです。

九州から参加した支部長たちは、「こんな山は、九州で毎日見ている。見慣れているよ」として、全然驚いていませんでした。

 

 

 

 

 

 


くまもり本部 近畿とは違う、九州の人工林を視察

7月19,20日、熊森協会本部から九州におもむき、熊本県支部長、宮崎県支部長、福岡県支部長、平野虎丸顧問や現地の熊森会員と共に,熊本県、宮崎県、大分県の山々を現地視察してまわりました。

 

移動中の車窓から眺める景色は本当に人工林ばかりで、九州の人工林の多さには愕然とするものがありました。

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九州の山は、ほとんどがスギの人工林

 

●地震による山崩れ跡と、豊かな湧水(熊本県)

熊本県阿蘇に入り、まず目についたのが今年4月の地震で崩壊した山々の姿でした。

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地震による山地崩壊

今回の地震で崩れた場所はその多くが人工林でした。しかし、そのような観点では報道されていないので、人々は<人工林が土砂災害の大きな原因>となったことにあまり気づいていないそうです。

 

阿蘇周辺では湧水が非常に多く、とてもきれいでした。毎分60トンもの水が湧きだす場所もあるそうです。高森町では湧水をいただきました。クマが絶滅した九州で、こんなにきれいな湧水が出るのを不思議に感じました。昔はもっとたくさんの湧水が湧いていたということです。私たち若い世代は、過去の自然の姿を知らないので、つい今の自然の状態だけで判断してしまいます。

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湧水(熊本県高森)

 

●九州では、皆伐してもすぐに森が再生

今回、九州の山を視察しに行った目的の一つは、九州の支部長の皆さんが、「九州では皆伐後、シカ柵を張ったり植林したりしなくてもすぐに自然林が回復する」と言われるので、この目で見てみたいと思ったことです。

 

実際に九州の山に入って驚きました。

皆伐して一年放置されていた山が、すでにパイオニア種であるヌルデやネムノキ、カラスザンショウなどの稚樹や、ノイチゴなどの下草に覆われていました。近くに広葉樹林が残っていたので、今後、次々と種が飛んできて立派な自然林に回復していくと思われました。

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人工林を皆伐して1年後の跡地(熊本県山都町)

 

下の写真は50~60年放置されていた牛の放牧場跡です。見事に自然林に復元しています。

皆伐後50~60年の山

皆伐後50~60年の山(熊本県)

 

奥山保全トラストが6年前に購入した宮崎県高千穂の人工林の皆伐跡地を見に行きました。沢の対岸から眺めただけですが、見るからに自然植生が回復しており、樹高が6~7mくらいに成長していると見られる木々もありました。九州では、わずか6年でこれほど回復するのかと、とても驚きました。もちろんどこも、シカ柵は張られていません。

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皆伐後6年の山(宮崎県高千穂)

 

自然林再生がむずかしい現在の兵庫の山

下の写真は人工林皆伐後3年たった兵庫県宍粟市の広葉樹植樹地です。シカ除けネットの外はもちろん、中にもほとんど下草が生えてきていません。

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人工林皆伐3年後 2015年8月28日撮影(兵庫県)

 

この違いは?

兵庫県のシカ年間捕殺数は4万6千頭、宮崎は2万5千頭、熊本は2万頭、どちらにもシカはたくさんいそうです。九州と兵庫の自然再生スピードの違いは、シカの密度差?気候差?他にも理由がありそうです。

 

●バイオマス事業の為に皆伐

九州では林業が収入になるということで、皆伐がかなり進んでいました。近年急速に需要が進んでいるのが、バイオマス事業です。これまで売れなかった木材がある程度の値段で売れるということで、林業界は活気づいていました。しかし、バイオマス発電に使われる木は、どんな木でもいいので、バイオマス事業を中心に林業を進めていくと、人工林を放置したり、自然林を伐採したりすることも考えられます。

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バイオマス事業のために皆伐された山(宮崎県)

 

熊森は林業を否定しているわけではありませんが、木材生産に使う場所、バイオマスに使う場所、そして動物がすめる自然豊かな水源の森にする場所などと、山をゾーニングすることがとても重要だと考えています。今のように、目先のお金のために人間が山を全部使うというやり方では、貴重な自然や生物の多様性、水源の森が失われてしまいます。

 

●ストップ・ザ・スギ再植林

残念ながら、九州では人工林の皆伐跡地は、ほぼ必ずスギを再植林していました。手厚い補助金が出るからです。

九州では、人工林皆伐跡地でも、放置しておくだけで簡単に自然林に移行していくのですから、何とか植え過ぎた人工林を自然林に戻していけるよう、熊森がその流れを作っていこうと、支部長さんたちと話し合いました。

再植林したものの、その後、放置されて、自然林に戻りつつある山もありました。

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再植林地が放置され、自然林へと移行

九州で再植林がさかんなのは、九州の山林所有者のみなさんの考え方として、人工林は手入れされたきれいな山で、雑木林は管理されていないきたない山であり、自分の山が雑木林になるのは恥ずかしいという意識があるのだそうです。そのため再植林したものの、その後の管理は補助金で補いきれないので、結局山は放置され、雑木林に戻っていく例もあるようです。

 

●自伐林家の手入れされた美しい人工林

最後に、山を非常にきれいな状態で保っている宮崎県の自伐林家の方をご紹介します。自伐林家は自分の山を間伐し、山が崩れないように手を入れてていねいに木を育てます。本来であれば60年生ほどの太さと思われるスギが、まだ45年しかたっていないというのでとても驚きました。下草もたくさん生えているとても綺麗な山でした。

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林床にはキレンゲショウマの花が一面に咲いていた(宮崎県高千穂)

 

他県の支部の山を見せていただいたことで、また、いろいろと勉強になりました。ご案内くださったみなさん、本当にありがとうございました。

 

 

 


8月18日 本部:山は大荒廃、クマ狩猟再開中止の要望書を兵庫県に提出⑩

13:30~14:00

室谷くまもり副会長ら3名は、兵庫県庁農政環境部長室に出向き、井戸敏三兵庫県知事あてのクマ狩猟再開中止の要望書を、知事の代理として出席してくださった秋山農政環境部長・遠藤環境創造局長・塩谷鳥獣対策課長に手渡しました。

 

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秋山部長に要望書を手渡す室谷副会長

 

NHKテレビをはじめ、マスコミのみなさんで、部屋がいっぱいでした。取材に来てくださったみなさん、本当にありがとうございます。私たちの声を取り上げていただき、とてもうれしかったです。

 

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要望書を提出後、行政担当者(机右側)に、下層植生が消えた山でのクマ狩猟再開は残酷すぎるので中止するよう訴える熊森本部(机左側)

 

室谷副会長は、「クマ生息地の人工林の危機的状況が熊森結成の20年前と比べて全く回避できていないばかりか、今では自然林まで劣化してしまい、生息環境は更に悪化しているのに、推定生息数だけ見て、絶滅の危機を脱したと県が判断しているのはおかしい。

本来の奥山生息地を失っていることから、今も兵庫県のクマは絶滅の危機にある。しかも、推定生息数の計算法に非常に問題があると専門家から指摘されている。生態系保全上、人道上、教育上からも、狩猟再開は中止すべきである」などと、要望書を基に秋山部長に訴えました。

 

秋山部長は、「先日の審議会の答申や、この要望書など検討させていただき、9月中には結論を出したいと思っています」と答えられました。(先日の審議会で、クマ狩猟を再開することについての審議はゼロだったのに、どうやって検討されるのであろうか)

 

今回のクマ狩猟再開は、地元や猟友会には相談せず、兵庫県森林動物研究センターの研究員が出したデータを元に、兵庫県本庁が決めたものだそうです。再開理由はクマの数が増えたから、減らすために人間が山に入って狩猟する必要があると判断したということでした。県内のクマ生息数を940頭と決めつけて、800頭まで減らすために140頭のクマを駆除したいのですと、県庁の担当者はしきりにおっしゃっていました。

 

これらの数字にどこまでの信憑性があるのか、全く不確定なのに、みなさん数字にとりつかれておられるというか、数字化されたもので自然を見ようとされているように感じました。行政は、今、どこでもこうなっているのでしょうか。

机上で数字を眺めておられるより、クマたちの本来の生息地がどうなっているか見に行かれて、胸を痛められた方が、いいクマ対策を思いつかれると思います。

 

熊森が提出した要望書を本当に検討する気がおありなら、兵庫県の推定生息数の計算法に非常に問題があると指摘されている統計学の専門家である日本福祉大学山上俊彦教授を招聘して、坂田氏の計算のどこがどうおかしいと思われるのか、じっくり説明を聞くべきでしょう。山上先生の推定では、爆発増加どころか、2010年山の実り大凶作年時の大量捕殺がたたって、兵庫県のクマ生息数は減少に転じている可能性があるとのことです。

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      山上教授作成の兵庫県クマ推定生息数の変化

注:山上先生は、これまで兵庫県庁は、1992年時の推定生息数を60頭としてきたが、それではその後のクマの増加率がシカ並になってしまい、ありえないことから、当時、200頭~350頭いたと思われるとして、上記グラフを作成されました。実際はどうだったのか、誰にもわからないことです。

 

兵庫県で、調査らしき調査が始まって、初めて兵庫県に棲むクマの生息推定数を出したのが、1994年です。県が㈱野生動物保護管理事務所に調査委託した結果の75頭~85頭です。

 

 

 

 


8月9日兵庫県環境審議会鳥獣部会 傍聴報告⑦ 

兵庫県農政環境部の暴挙、審議する前にクマ狩猟再開が決まっていた こうして社会は狂っていく

 

この日、兵庫県民会館303号室で、平成28 年度兵庫県環境審議会鳥獣部会が開催されました。

熊森は傍聴に出かけました。

審議会冒頭、鳥獣対策課の担当者が、「平成27年度当初の県内ツキノワグマ生息推定数は940頭です。兵庫県ツキノワグマ保護計画」では生息推定数が800頭以上になれば狩猟禁止の制限的な解除を行うことになっています。本日は、狩猟期間1か月、一人当たり捕獲できる数1頭についてご審議賜りたいと考えています」と言われ、熊森はずっこけました。

秋山環境部長も井戸知事も土井森林動物研究センター次長も、「狩猟を再開するかどうかは、審議会で審議してから決めます」と、これまで私たちに言われてきました。しかし、審議会に行ってみると、狩猟再開は審議する前からもう決まっていたのです!茶番もいいところです。

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審議会風景

傍聴してわかったことは、兵庫県としては、兵庫県森林動物研究センター研究員がコンピューターで計算した推定生息数940頭というどこまで本当かもわからない数字にこだわっていて、狩猟により今秋140頭殺して800頭にしたいと考えているということでした。生き物を数でしか見ていません。まるで殺生が数字遊びになっていると感じました。940頭も800頭も、みんな人間が勝手に決めた数字です。(人間、いったい何様なんだ。クマたちの生息地を大破壊しておきながら、クマが食料を求めて里に出て行けば有害駆除で殺す。山にそっと潜んでいたら、今度はハンターが追い掛け回して狩猟だと遊びで殺す。人間の倫理観は一体どうなっているんだ。)

兵庫県のハンター歴40年の猟友会委員は、クマを狩猟したいと言っている兵庫県の猟友会員を自分は知らないと正直に言われていましたが、京都から来ている委員は、京都にはクマを狩猟したいと言っているハンターがたくさんいるから、今秋、一斉に兵庫県に狩猟しに入って来るだろうと言われていました。

兵庫県立大学の先生たちが、クマを大量に殺さねばならないと思わせる恣意的な資料を、パワーポイントで次々と出していました。傍聴席にいた何人かのマスコミ関係者に狩猟再開が正当と思わせるためでしょう。(発表内容の不公平さやごまかしの多さには驚かされました。研究者の良心を捨てたのか、魂を売ったのか、そこまでして、行政に媚び入りたいのかと、これらの若い研究者たちの生き方を残念に思いました。いつか、天が罰することでしょう)

野生動物は、豊かな餌場と、安心して繁殖できる生息地を失うことによって、絶滅するのです。にもかかわらず、生息地についてふれた発表は、ゼロでした。(こんなごまかし審議会をやっていることを知事が知られたら、激怒されるのではないでしょうか)

<審議会を傍聴して>

生命の尊厳や自然への畏敬の念がなく、狩猟やジビエ料理が好きなごく一部の研究者たちが、専門性や科学性という言葉を前面に出して、よくわからない行政マンにうまく取り入り、祖先が保ってきた輪廻の思想や、生きとし生けるものの命は皆同じという優しくすばらしい共存社会を、狂わせようとしていると感じました。

兵庫県によると、兵庫県庁には、狩猟再開に反対する声が5日間で120件入っているそうです。また地元役場の方には、狩猟賛成の声が多数届いているそうです。

地元の人達に、山中で潜んでいるクマを狩猟で追い掛け回すことは地元のためにならないこと、被害防除と森の復元や再生でクマ問題を解決していかないと、クマを初めとする野生動物たちを絶滅させ、水源の森を失い、人類も破滅することを知っていただきたいです。

p.s 部会長の江崎保男兵庫県立大学教授は、審議会途中に、突然思い出したように、「みなさん、制限的な狩猟禁止解除に同意していただけたということでいいですね」と、全く審議もしていないのに、委員たちに同意を求めました。誰も異議を唱えませんでした。同意見の者しか集めない行政の審議会の在り方は、大変嘆かわしく危険です。ちなみに、20年以上クマ問題に取り組んできた熊森の副会長が、審議会委員に応募したら、見事落とされた経緯があります。


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