くまもりHOMEへ

くまもりNews

クマ問題の解決にクマ生息推定数の精査追究事業は不要

クマは以前、奥山から出て来ることがなく、会いたくても会えない動物でした。
しかし、最近は、里や、時には市街地にまで出て来るようになり、農作物被害を出したり、時には人身事故も起こします。
被害にあわれた方、被害にあう恐れがある方にとっては、耐え難い事態だと思います。

 

この問題を解決するために、環境省はクマ指定管理鳥獣化を検討する会を3回実施。
この会の委員に任命された研究者たちが、クマ指定管理鳥獣化で国から交付金が出るようになれば、まずすることとして、毎年のクマの個体数推定事業を実施し、クマが各都道府県に何頭生息しているのか、これまで以上により正確性を高めたいと言われていました。
すばらしい肩書を持つ研究者のみなさんがそう言うと、国会議員も含め、一般の国民は、クマ問題の解決のためには、まずクマが何頭いるのかより正確な生息数確定が必要なんだと思ってしまうでしょう。

 

しかし、クマ問題に取り組んで32年の私たちに言わせると、四国のようにあと十数頭などと絶滅を迎えた場合は別ですが、一般的に、そのような事業は研究者の仕事づくりや論文発表のために必要なだけで、クマ問題の解決のためには、全く不要です。そんなことに私たちの税金を使わないでいただきたいのです。

 

理由1 今問題なのはクマの数ではなく、クマがどこにいるかなのです。

食料が豊富な奥山にのみクマが暮らしているとします。このような以前の状態に戻せば、クマが何頭いても誰も困る人はいません。クマも人も、我が国では長い間、棲み分けを守っていました。戦後、棲み分けラインを超えてどっと奥山に入り、皆伐や開発を行い、うまくいっていた棲み分けを壊したのは私たち人間です。
図①参照。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クマ数は多いが、クマ被害は起きない。

 

クマがハチミツに目がないことを利用して、現在日本では、ハチミツを入れた罠でクマを誘引し、捕殺し続けています。しかし、クマ数を極限まで減らしたとしても、クマが集落のそばにいる限り、被害はなくなりません。

図2参照

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クマ数は少ないが、被害が起きる。

 

問題は、クマの数ではなく、クマがどこにいるかなのです。

熊森の説明を聞けば、小学生でもわかってくれると思います。
環境省やマスコミさん、熊森にも発言の機会を与えてください!

 

理由2 クマ数を正確に数える方法がない

専門外の人には意外でしょうが、実は、クマの生息数を正確に数える方法がないのです。
アフリカの草原の動物なら、上から写真を撮れば何頭いるかすぐ数えられるのですが、クマは普段深い森の中にいて木々に隠れているし、人が山に入ると人を察知してそっと逃げてしまう。木々の葉が落ちる冬には冬ごもりしています。何頭いるのか数えようがないのです。

 

そこで多くのクマの研究者たちがクマの生息数を推定しようとして、悪戦苦闘。膨大な予算を獲得し、クマに不自然なことを次々として、論文発表をしてきました。発信機装着、ヘア-トラップ、カメラトラップなどなど。いずれもクマの生活をかき乱すものばかりです。

 

下の写真は、捕獲されて首に発信機をつけられていたヒグマです。首が締め付けられ、首の周りの毛が擦り切れています。この写真を撮られた北海道のカメラマンによると、山で偶然出会ったヒグマを見ていたら、頭を下にも上にも動かしづらくしていて、クマは耐え難い苦しみを味わっているようだったとのことです。
本来、研究というのは、対象動物に負担をかけずにするのが生物倫理というものです。ダーウィンは、木の陰に隠れてそっと野生動物の生態を研究していたと言われています。

 

 

 

発信機を付けられたヒグマ 稗田一俊氏撮影

 

このヒグマには、両耳にもタグが付けられていたそうです。
兵庫県では、子グマに発信機を付けた研究者がいて、大きくなる時に首が絞められて山で死んでいました。猟師が研究者に向かって、「かわいそうなことをするな!」と、目をむいて怒っていたのを覚えています。

 

ちなみに、現在、クマの生息数推定はどこまで進んでいるのでしょうか。最新発表となる2020年度分が以下です。

 

●北海道のヒグマの場合

95%信頼区間:6,600頭~19,300頭。中央値:11,700頭。

 

●秋田県のツキノワグマの場合
95%信頼区間 :2,800~6,000 頭。中央値 :4,400 頭。

他府県も同様につき、省略。

 

 

95%信頼区間の幅が大きすぎますね。最先端の科学技術をもってしても、クマの生息数の推定がどんなに難しいかお判りいただけたかと思います。

 

秋田県は昨年度、生息数中央値の50%以上にあたる2,300頭のクマを捕殺しました。捕殺数の方は、正確に近いと思われます。秋田県は、さらに捕殺を進めるそうです。みなさんはどう思われますか。環境省指導では、クマが多くいる県でも、絶滅させないように15%以上は捕殺しないこととなっています。

 

私たちは、より正確な生息推定数の把握やさらなる捕殺に税金を使うのではなく、食料豊富な山を再生したり、当面の被害を防ぐために電気柵を張ったりして被害防除に励む方が、クマ問題の解決に効果があると思います。

水源の森を造り守ってきてくれたクマたちに、畏敬の念を失ってはならないと思います。(完)

以前の山を知らない若い人たちに、今のクマ問題の根本原因は山にあることを知ってもらいたい

以下は、2024年3月2日の河北新報投書欄です。

投稿されたのは、奥羽山脈のふもとで自然農をされている船形山のブナを守る会の創設者である小関俊夫さんです。
長期に亘り奥羽山脈の山を見続けてきた小関さんは、人間活動によって、現在の山が、クマにとってどれだけ生きづらい環境に変えられてしまったのかをよく知っておられます。

今のクマ問題を正しく解決するには、過去数十年間にわたる山の変化がわかっていなければなりません。

クマ問題に取り組む若い人たちには、歴史的なこともぜひ勉強していただきたいです。

 

■クマとの共生 方策考えて 小関 俊夫 75歳(大崎市・農業)

 

クマによる人的被害防止のため、捕獲に国の支援が受けられる鳥獣保護法上の指定管理鳥獣にクマが追加されます。山の神だったクマが邪魔者にされました。

 

クマが里に出没するようになったのは、昭和50年代に始まった林野庁による拡大造林施業でブナ林が伐採され、クマのすみかを奪ってからです。それにリゾート開発が拍車をかけました。クマは安住の地・ブナ林を追われたのです。

 

登山仲間によると、最近、山でクマに出合うことが少なくなってきた、クマの生態に異変が起きているのではないかということです。人とクマのすみ分けを図るゾーニング管理が言われていますが、人がクマの領域を侵していることを念頭に議論してほしいです。

 

ブナの伐採は止まりましたが、自然再生エネルギーの名の下に、宮城、山形両県にまたがる船形連峰にも風力発電事業が計画され、森や山が破壊される恐れがあります。また、低周波音や騒音によるクマの健康被害も懸念されます。開発事業の前に、クマへの畏敬の念が大切なのではないでしょうか。

 

昨年はクマの大好きなブナの実が大凶作でした。クマは妊娠しても食物不足だと冬眠中に流産するそうです。今年はクマの個体数は減少するでしょう。クマの指定管理鳥獣追加の前に、人とクマが共生できる方策が必要だと思います。

 

母を探して走り回るくくり罠で左前足切断の子グマ、みなし子グマたちを作らず保護する社会に

今年1月9日のTVニュースによると、ある町のショッピングセンター入り口付近に、子グマが猛ダッシュで走り込んできました。本来なら、母グマと一緒に冬眠しているはずの時期にです。

なんだか走り方が変です。前足の左手首がないのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ショッピングセンター入り口付近に、3本足で猛ダッシュで走り込んできた子グマ

 

入り口を通り過ぎて、ショッピングセンター前の隅っこに行ったので、人々がその辺にあったいすなどを使って包囲し、逃げないようにしました。2時間後、警察と猟友会がやってきて鉄製の箱罠に移し、山に返したということです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

箱罠に捕獲された子グマ。左前足手首がちぎれている

 

 

この子グマに関するマスコミの報道論調には驚かされました。

報道文中の太字は、とんでもないと思われる言葉です。

 

 

<以下、報道文>

1月9日、昼下がりのショッピングセンターに体長およそ50センチの子グマ1頭が出没し、店内が一時騒然としました。

この後始まる大捕物、その一部始終をカメラが捉えていました。

冬眠しないこの子グマは、来店客が行き交う入り口に2時間居座りました。

子グマはその後捕獲され、客などにけが人はいませんでした。

市では子グマは山に返す方針ということです。

 

 

熊森から

 

地元の方の話では、クマが出た!というと、記者のみなさんは大喜びで飛んでくるとのことです。怖いもの見たさ故か、クマニュースは視聴率アップ間違いなしになるからだそうです。

その辺の犬と同じくらいの大きさのやせてガリガリの小さな子グマに人身事故を起こす危険性など全くないことを、熊森は多くの人に伝えたいです。

冬眠しないのではなく、こんなガリガリでは、冬眠できません。(食い込みができていないと冬眠中に死ぬ)
第一、母グマがいないので、大地が雪で覆われる前に、どこでどうやって冬眠しておけばいいのか、この子グマにはわからないでしょう。

 

居座ったのではなく、周りを囲われて動けなくされていたのです。

けがをした人はいませんでしたと言うけれど、けがというなら、子グマの前足首切断という大けがにはなぜふれないのでしょうか。

 

山に返すと言われても、何の餌もない真冬の山で、この子グマは100%生きていけません。

 

この子グマ、どこにいるのか。

熊森は、緊急保護の必要性があると判断し、警察と行政に次々と電話しました。

警察:県に聞いてください。

県庁:市に任せているので市に聞いてください。

市:保健所が対応したので、保健所に聞いてください。

保健所:猟友会に任せているので猟友会に聞いてください。人混みがすごかったので、子グマの前足首がないかどうかは、見ませんでした。

 

行政と違って、電話番号が公開されていない猟友会の方には連絡のしようがありません。個人情報だからと行政も教えてくれません。

 

私たちが保護することを申し出ましたが、飼育許可は降ろせないと言われました。

私たちは胸がつぶれそうになり、どこに放されたかわからないこの子グマのことを思って、何日間も苦しみました。

 

後日、地元の方に聞くと、この子グマは、河川敷を母グマともう一頭の兄弟と3頭で歩いている時に、河川敷に設置されていたくくり罠に左前足がかかってしまったんだそうです。なんとか、罠を外そうとこの子は必死にもがいていたが、何をしてもワイヤーは外れません。早くこの場を立ち去らないと、人間に見つかったら皆殺されると判断したのでしょう。母グマは子グマを助けようと必死でしたが、やがて不可能と悟ったのか、もう1頭の子グマを連れて去っていったようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地元では、シカやイノシシ無制限捕獲用の無差別くくり罠が、至る所に仕掛けられている。
強力バネでワイヤーが足を締め付けるため、様々な野生動物たちが足を失っていく。
日本は先進国です。こんな残酷な罠は、使用禁止にすべきです。

 

残された子グマは、自分の前足の手首を引きちぎり、狂ったように母を探し求めて走り回わっていたということです。ショッピングセンターに何かの物を狙って来たわけではなく、自分を置いていかないでほしいと必死で母を探していたんだろうということでした。

 

昨年、人身事故が相次いだこともあって(過去最多年の1.3倍)、食料を求めて山から出て来て有害獣のレッテルが張られた大量のクマたちは、ハチミツ入り罠に次々と誘導されて駆除されました。(2023年度のクマ捕殺総数は前代未聞の9028頭)その結果、冬が来てもどうしていいかわからず、各地で孤児グマたちが雪の中をさまよっていました。いずれ死ぬだけですが、誰も助けようとしない日本社会です。こんな人間社会でいいのでしょうか。

 

我が国がクマに無慈悲でクマを憎む社会に変化したのは、権威のある人たちやマスコミが、臨界距離内(一般的に12m)で人間に出会ってしまったクマが、人間が怖くて人間から逃げたいあまりに起こす人身事故を、クマが人を襲ったと一斉表現して、まるで一方的にクマが意図して人間に傷害事件を起こすかのような誤情報を出し続けているからだと思います。クマは本来、大変平和的な動物です。

 

日本は水道の蛇口をひねるといつでも水が出て来ます。しかも飲める水です。こんなめぐまれた国は、世界にまたとありません。
これは祖先が奥山水源の森を、森づくりの名人クマたち以下全ての森の生き物たちの聖域として、手つかずで残していたからです。平成になるまで、クマが奥山から出て来ることなどまずなかったのです。

この奥山生態系の仕組みを、熊森は全ての国民に伝えたいです。

 

その奥山を、わたしたち人間が、拡大造林、さらに今、地球温暖化、再生可能エネルギーなどで破壊し続けたから、クマたちは山から出てこざるを得なくなったのです。

人間活動の被害者であるクマたちをさらに殺し尽くそうとしている私たち人間、どうかしています。
人間の倫理観や道徳観はどうなってしまったのでしょうか。

 

野生動物対応の権限は都道府県にありますから、軌道修正するには、各都道府県庁に一般都道府県民が改善を求めて声を上げていくしかありません。

 

私たちは、この県の地元の皆さんのためにも、クマ問題の真の解決に向けて声を上げ行動しようという熱い方々が現れるのを心待ちにしています。(完)

春到来!とよくん、目覚めました🐾

たくさんの方からいただいたドングリや栗を食べ、昨年12月20日過ぎには冬ごもりに入ったとよくん。 例年目覚める日はお彼岸前後でしたが、 昨年、今年と少し早くなってきています。

3月3日(日)暖かな日差しの中、運動場でまどろんでいたとよくんお世話スタッフが目撃しました。スタッフを見るとご飯をおねだりし、クルミとどんぐりをもらい満足そうにしていたそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まだ寝起きでぼんやりしているとよくんではありますが、これから少しずつ活動的な様子を見せてくれるでしょう。

ぜひとよくんに会いにきてください!

   ◇◇◆◆◇◇◆◆◇◇◆◆
   「くま保護基金」のお願い
  くまもりのクマ保護活動は、クマの被害対策や人身事故のお見舞い、現場検証、保護グマの飼育費など、クマと人が共存・棲み分けができるような活動に充てられます。クマ      のことに特化した会費外のご寄付ではありますが、ご協力いただければありがたいでです。https://congrant.com/project/kumamori/5710

2月11日 北海道支部主催 ヒグマ指定管理鳥獣化案について語り合う会in札幌 

昨年11月、北海道の鈴木知事が秋田の佐竹知事ら東北地方と新潟県の知事を誘って、クマの捕殺強化のために国の交付金を求める要望書を、環境省伊藤信太郎大臣に提出しました。
これを受けて環境省は、今年4月の省令化をめざして、今、クマ指定管理鳥獣化を急ピッチで進めています。

 

元々、指定管理鳥獣の制度は、農業被害などを多く出しているシカとイノシシの頭数を10年後の2023年までに半減させる目的で、罠を仕掛けて夜でも山奥でも大量に捕殺することが出来るようにしたものです。結果、大量に捕殺したものの減った分すぐに新しい子が生まれるため、10年たっても思ったように数は減らず、錯誤捕獲される他の野生動物が続出するなど、大変な弊害が出ています。

 

昨年度、東北地方中心に山の実り皆無という前代未聞の異変がおき、秋にクマたちが餌を求めて山からどんどん出て来て、近年最多の1.3倍となる人身事故(218名、うち、死者6名。)とクマの大量捕殺(12月末8558頭:内訳はヒグマ1002頭、ツキノワグマ7556頭)という悲惨な記録が残されました。

 

大激減したクマを、指定管理鳥獣にしてさらに捕殺強化しようという動きに、私たちは疑問を持ちました。シカやイノシシと比べると、クマの生息数は桁違いに少ないし、繁殖力も弱く、地球規模で絶滅しかけている動物です。

 

これ以上クマの捕殺強化を進めると、オオカミに次いでクマまで絶滅し、日本の水源の森が保てなくなってしまいます。

 

第一、クマたちは人身事故を起こそうとして山から出てきたわけではありません。

空腹に耐えかねて出てきたのですから、クマを殺すのではなく、山の中に以前のような昆虫や実りを復活させて、クマが山から出て来なくてもいいようにすることが、この後の対策の中心になるべきです。

 

2月11日、熊森北海道支部はいろんな立場の方をお呼びして、指定管理鳥獣のことなどヒグマについて語り合う会を札幌で開催しました。
会場いっぱいに100名近くの方々がお集まりくださり、予想を超える盛会となりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

札幌 かでる2.7の会場風景

 

(1)「広葉樹の森を育てる」

札幌市森林組合理事 我満嘉明氏 札幌在住

 

 

 

 

 

 

 

 

元青森の漁師だったひおじいさんが、沿岸沿いに北海道にやってきて盤渓に住み着いた第1号です。当時の北海道では、屯田兵の生活を守るために、国有林の木が伐られていました。私のおじいさんは、北海道中の山を歩き回って造材の仕事をしていました。私たち孫にホタテやスルメのおやつを持って帰って来てくれるのが楽しみでした。

 

今、地球規模で地下水が減ってきているそうです。北海道も原生林がどんどん伐られて、スギやカラマツ、エゾマツなどに植え変えられた。そういうとこって下草が生えないんです。雨が降っても水がしみ込まない。しかし、クマが好むナラの木は、根が深く入り込んで地下水を貯える。おいしい水が湧き出る森をつくることにクマが一役かっている。

 

戦後、北海道も、針葉樹ばかり植え過ぎた。道民のボランティアで、広葉樹の森に戻していきたい。

 

 

(2)「ヒグマの判断力・学習能力を知り、ヒグマ出没抑止対策を考える」

プロカメラマン稗田一俊氏 二海郡八雲町在住

流域の自然を考えるネットワーク所属

 

 

 

 

 

 

 

 

魚の写真を取りに行くとヒグマに出会うことになる。ヒグマは人と出会うと、自ら人とのトラブルを回避しようとする高い能力を持っている。集落の裏に住み着いているヒグマは、新たなヒグマがよそから入り込んでこないように住民を守っている面もある。むやみに捕殺するのではなく、出没抑制対策にこそ力を入れるべきだ。

 

ヒグマの研究者たちが、研究のためと言って、誘引物でヒグマをおびき出して捕獲し、首に発信機をつけるなどして、クマに耐え難い負担を強いているが、誘因物多用行為がクマの行動範囲を広域化させていると感じる。

 

 

 

 

 

 

 

首の毛は擦り切れ、発信機によって下にも上にも顔を上げることが制限されて苦しむヒグマ
電磁波障害も心配

 

 

(3)「ハンターとしての経験、今後の対応」

猟友会標茶支部長 後藤勲氏 標茶町在住

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんなに多くの方がお集まりとは予想外です。ヒグマを守りたい人ばっかり集まっている会に殺す人間が行ったら袋叩きに合うんじゃないかと不安だったのですが、今朝、家内が、クマを守ろうという人たちだから優しい人たちばっかりじゃないのというので、そうだなと思ってやってきました。

 

ハーフライフルの規制緩和は時期尚早。内地からやってくる獲りたいだけの経験のない若いハンターたちを誰が指導するのか。ハーフライフルはベテランのハンターに何年かついてノウハウを学んだ人以外が使用するのは危険だ。

 

クマ指定管理鳥獣については、皆さんがクマを殺すなというのはわかるが、私たちは被害を出すクマを殺さねばならない立場にいる。もちろんなんでも殺すのではなく、悪いことをする前に、どうしたらしなくなるか考えることが先決。花火などで追い払うことができる場合は追い払えばよい。

 

クマと人の共存の前に、私たちハンターとあなた方の共生・共存が必要だと感じている。

 

 

熊森北海道支部長 鈴木ひかる

 

 

 

 

 

 

ヒグマ問題は行政だけに任すのではなく、立場が違う様々な人たちの意見を聞きながら、道民みんなの叡智を集めて考えることが大切。クマと人間が棲み分けて共存し続ける北海道をめざして、このような会を今後、もっと北海道各地で開催していきたい。

 

集会を終えて

参加者の皆さんの感想文には、自分たちはあまりにもヒグマのことを知らなさ過ぎた、このような集会を何度も開いていただき、いろいろな立場の方の話を今後も聞いてみたいという声が多くありました。

クマとの共存を願う熊森会員を二者択一的に誤解し敵視する人たちがいますが、熊森会員は一般の人たち以上に被害にあわれている人々にも共感し、何とか手を差し伸べられないかとやさしい気持ちを持っています。みんなで繋がり合ってよい方向に進めていきたいです。

雪の中参加してくださったみなさん、ありがとうございました。

北海道新聞や朝日新聞などの記者さんが取材に来られて記事にしてくださいました。今後ともよろしくお願いします。

3月13日まで『クマの指定管理鳥獣化について』パブリックコメントにご意見を❗

ぜひ、あなたのご意見をぜひ届けてください!
指定管理鳥獣に指定し、捕殺強化を強化しようという動きを止めるため、ぜひ、パブリックコメントに意見を届けてください!下記の日本熊森協会の意見もご参考に。
【パブリックコメント提出方法】
住所と氏名、電話番号、電子メールアドレスを記載し(※匿名は受け付けられません)、意見と意見の理由を下記の宛先に届けてください。
こちらの書式(PDF)を使っていただくこともできます。
3月13日(水)必着
郵送の場合は、封書に「鳥獣保護管理法施行規則の一部を改正する省令案に対する意見」と件名を記載ください。
<宛先> 環境省自然環境局野生生物課鳥獣保護管理室
郵送の場合 〒100-8975東京都千代田区霞が関1-2-2
ファックスの場合 03-3581-7090
電子メールの場合 shizen-choju@env.go.jp
🐾クマを指定管理鳥獣にするかどうかだけ
2月8日に開催されたクマ類保護及び管理に関する検討会では、「クマ類は…ニホンジカ・イノシシとは、繁殖力、個体数の水準、被害の様態が異な」り、…「ニホンジカ・イノシシとは異なる支援メニューを検討する必要がある」とし、人とクマの生活圏を分けることを強調するなど、捕獲の強化に突き進むものではありませんでした。
しかし、今回のパブリックコメントでは、「クマを指定管理鳥獣にする」という省令改正案のみで、人とクマとの棲み分けをどのように進めるのか、シカやイノシシとどう違うのか、全く触れられていません。
🐾生息地復元が全く議論されていない
そもそも、検討会では、放置人工林の深刻な荒廃やナラ枯れの大発生、下層植生の衰退、昆虫の減少、大規模な太陽光発電や風力発電開発など、クマの本来の生息地である奥山の深刻な劣化は指摘されていません。クマは分布を拡大しているのではなく、奥山に棲めなくなり、人里周辺に移動してきています。クマに生息地や餌場を回復していくことは、最も重要な課題で、クマが人里へ来なくても、暮らしていける環境が残っていなければ、棲み分けは実現しません。
🐾環境整備等の人身事故防止対策の実施も未定
また、人身事故を減らすために、捕獲よりも最優先にしなければならない、集落や民家周辺の環境整備も、実際にどのように進めていくのか、過疎と高齢化で圧倒的なマンパワーが不足する地域をどう支援していくのかは全く何も決まっていません。
鳥獣保護管理法施行規則の一部を改正する省令案に対する意見  一般財団法人 日本熊森協会
🔴意見🔴
クマを指定管理鳥獣に指定せず、クマと棲み分けるための制度を創出ください。
🔴意見の理由🔴
クマによる人身事故を防ぎ、クマと棲み分けて共存するために必要なことは、捕殺強化でもなく、生息推定数の調査でもありません。直ちに、下記のために予算をつけ、地域を支援していくことが必要です。棲み分けのために総合対策を行う新たな制度を創設ください。
 人身事故や農作物被害を防ぎ、クマを寄せ付けない集落をつくるため、捕殺に頼らない環境整備等の対策を行える専門員の市町村への配置
 クマの本来の生息地・餌場である奥山の広葉樹林の復元
 山の実りの凶昨年に集落に出ないよう、山裾にエサとなる樹を植え「クマ止め林」をつくる
 地域的な絶滅を招く恐れのある大量捕殺の抑制すること。そのために、全国に放獣体制を整備し、すぐに放獣できない場合の保護施設を設置する。錯誤捕獲が起こらないよう対策の徹底。
 大規模森林伐採を伴う奥山での再エネ開発の規制
以上

『クマを指定管理鳥獣にせず、 人とクマが遭遇しない対策を求める』緊急署名 1 万4749筆 環境省にて、環境大臣宛に提出しました

捕殺強化ではなく、棲み分けて、共存できる支援を!!クマを指定管理鳥獣にせず、 人とクマが遭遇しない対策を求める緊急署名1万4749筆 

2 月 5 日(月) 環境省にて、環境大臣宛に提出しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

環境省でクマの捕殺強化となるクマ指定管理鳥獣化ではない交付金をと訴えた熊森会長と支部長ら

 

日本熊森協会は、クマをシンボルに野生動物たちのつくる水源の森の保全・再生活動に 28年間取り組んできた実践自然保護団体で、クマによる人身事故防止やクマとの共存のための実践活動にも精力的に取り組んできました。

私たちは、捕殺ではなく、クマと人が棲み分け、共存できるようにするための対策支援にこそ環境省は予算をつけるべきだとの署名を年末より集め始めました。全国の方の協力により、 1 万 4749 筆(電子署名 6385 筆   紙署名 8364 筆 ※内 514 筆は追って郵送)が集まり、本日、環境大臣宛要望書として提出しました。

クマとの軋轢が問題となっている、北海道、東北、新潟から、鈴木ひかる北海道支部長、井阪智秋田県支部長、小松淳宮城県支部長、佐藤正陽新潟県支部長がかけつけ、池田幸代埼玉県支部長、高橋英雄埼玉県副支部長とともに、共存のための支援を訴えました。

【署名での要望事項】

1 鳥獣対策専門員を市町村に配置して、クマを寄せ付けない集落づくりを行ってください。

2 奥山水源の森保全のためにも、奥山広葉樹林を再生してクマが奥山に帰れるように してください。 山の中にいるクマの駆除や、 ハチミツ等の強力な誘引物を入れた罠で、クマを山から里におびき出して獲ることはやめてください。

3 クマをはじめ多様な生物の生息地である森林を、 大量に伐採する再生可能エネルギー事業に規制をかけてください。

◆今の体制でも捕ろうと思えば、いくらでも捕れる

本来の生息地である奥山の荒廃に、昨夏の異常高温が加わり、過去にないエサ不足が起きたもようで、昨秋、東北・北海道を中心にクマの大量出没が起きました。人身事故が過去最多、クマの捕殺数も過去最多となりました。

過去に例のない大量出没で、推定生息数の 52%を捕殺した秋田県や推定生息数の半数近くを捕殺した知床の世界遺産地域など、捕殺が抑制できなくなった地域がありました。

現行の鳥獣保護管理法の体制でも、その気になれば大量捕殺は十分に可能です。

クマを現在シカ・イノシシに適用されている鳥獣保護管理法上の「指定管理鳥獣」に指定して、さらに捕殺強化できるようにしてほしいという、北海道・東北 6 県・新潟県の知事連名による要望書が、環境省に提出されています。しかし、クマは、シカ・イノシシと異なり、生息数も少なく、繁殖力が弱い動物で、これ以上の捕殺強化は地域的な絶滅を招く恐れがあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山上俊彦氏(前日本福祉大学教授 統計学研究者)提供資料

 

◆今必要なのは指定管理鳥獣による捕殺強化ではなく、棲み分けのための地域支援

いくら捕殺を強化して生息数を低減させてみたところで、クマを寄せ付けない、クマと遭遇しない集落づくりをしなければ、人身事故は無くなりません。

日本熊森協会でも、クマと人との軋轢を無くすため、近年、人身事故の防止や、クマが集落近くに出てこないような環境整備の支援を進めてきました。この動きを、北海道や東北、新潟など、クマとの軋轢に苦しむ地域にも広げていきたいと考えています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆2023 年の日本熊森協会の被害防除活動実績  兵庫県豊岡市

・活動日数:55 日(2023 年 9 月 16 日ー12 月 16 日)

うち、実働 46 日・地元行政や自治会との打ち合わせ、現地調査 9 日

・作業個所数:12 自治会、89 か所

※1 か所の基準:柿の木 1 本に対策→1 か所、草刈り 1 面分→1 か所

作業内容:柿・栗もぎ、トタン巻き、ネット巻き、柿・栗剪定、柿・栗伐採、草刈り

・草刈り総面積:3208 ㎡

・作業人数(総動員数):67 名(1 日平均 2~3 人)

・集落への侵入を防ぎとめたクマの数:約 10 頭

🐾署名提出に出席した支部長のコメント

【賛同団体一覧】

一般社団法人 JELF(日本環境法律家連盟)

広島フィールドミュージアム(代表 金井塚 務)

株式会社プレマ(愛知県)

NPO 法人 環境研究所豊明(愛知県)

加治丘陵の自然を考える会・飯能(埼玉県)

山口県有機農業推進協議会(山口県)

合同会社 Permaculture DesignLab.(静岡県)

パーマカルチャー中部(岐阜県)

トランジションタウン岐阜(岐阜県)

株式会社みどり機工(愛知県)

タネカラプロジェクト(滋賀県)

オーガニック&つながるマーケット in しが(滋賀県)

よつ葉ホームデリバリー京滋(京都府)

合同会社おかげさま(広島県)

空手道真義館広島支部(広島県)

災害支援団体 IKIMASU.広島(広島県)

廿恋の会(広島県)

三井寺「みんなの森」をともに育む会(滋賀県)

公益財団法人どうぶつ基金(兵庫県)

はかり売り gramme(福井県)

地域資源再生開発研究所(山口県)

愛知アーバンパーマカルチャー(愛知県)

NDN 新潟動物ネットワーク(新潟県)

cobin(愛知県)

平田寺(愛知県)

比企の太陽光発電を考える会(埼玉県)

埼玉県生態系保護協会比企支部(埼玉県)

クマと日本の未来を考える会(大阪府)

(株)ムサシ総合(東京都)

鈴木歯科医院(埼玉県狭山市)

武蔵野造園株式会社(埼玉県)

フリースタイルカフェオリーブ(埼玉県)

タカヒサ建機(埼玉県)

花のひとしづく(福井県)

株式会社 廣部硬器(福井県)

NPO 法人 動物実験の廃止を求める会(JAVA・東京都)

へその緒ファーム(新潟県見附市)

気仙沼の森と海を守る会(宮城県)

Lana herb(愛知県)

一般社団法人 ひらかたしっぽの会(大阪府)

株式会社 ネイチャー生活倶楽部(熊本県)

くまと珈琲(愛知県)

NPO 法人 Happy planet(愛知県)

NPO 法人ゆらゆら(大阪府)

蕎麦屋侍(長野県)

Veg For Us(愛知県)

株式会社 MS マザーズ(熊本県)

名古屋オーガニック給食審議会(愛知県)

ママエンジェルス愛知(愛知県)

㊗ くまもり 秋田県支部が誕生 ❗ 秋田からも、水源の豊かな森を守り、クマと共存する流れを

昨年、クマの大量捕殺が起こった秋田県。本当にこのままでよいのか、森を再生し、共存の流れをつくれないかと集まった方々で、日本熊森協会の秋田県支部が1月16日に発足しました!!

🌟井阪 智  秋田県支部長より   ご挨拶🌟

🔴農業研修での体験から
24歳の時に高知県で1年間住み込みで農業研修をしていたのですが、その時にイノシシが田んぼに毎日のように入り、泥浴びをして稲を倒されたことがあります。イノシシが入らないよう鉄のフェンスで田んぼを囲っているのですが、破られた箇所をいくら張り直してもこじ開けて入ってくる。そんな攻防をしばらく続けているうちに、ふとイノシシたちにも切実な事情あるのではと思えてきました。研修が終わった後調べてみると、食べ物を分け合えたらいいんじゃないかとか、その土地の空気や水が滞っている箇所をイノシシたちは本能的に察知してそれを解消してくれていたのでは、とかそんなふうに思うようになっていました。
この時が野生動物との共生というテーマと最初に真剣に僕が向き合った時かもしれません。

🔴豊かな自然が残る秋田でこそクマとの共生を模索したい
秋田県は去年、クマの市街地への大量出没が起き、人身事故は現時点で70件と過去最高数となりました。今年度のクマ捕獲数は2200頭以上と推定生息数4400頭の50%以上に上っています。県民の関心が高まっている今こそ、秋田県らしい共生のあり方を秋田県民同士で話し合い一緒に考えていくべき時だと思います。

全国的に見ればまだ自然が豊かでクマも多い秋田県には、マタギに代表されるような人と野生動物との密度濃い関わりの歴史や文化があります。秋田県に暮らすうちにそんなことをだんだんと体感覚で実感してきました。
先人たちに学び秋田県の色々な方にお話を聞きながらなるべく現状をつぶさに把握すること、クマがそもそも山に留まって暮らすことができるような豊かなエサ資源・水源を保つ森づくりを軸に活動をしていこうと思っています。
どうぞよろしくお願いいたします。

 

1月31日締め切り❗ 署名🌟 クマを指定管理鳥獣にせず、人とクマが遭遇しない対策を

捕殺するだけでは、人身事故はなくならない
2023 年秋、北日本では観測史上初の夏の異常高温に見舞われ、山中は大凶作。秋に多数のクマが冬ごもり前の餌を求めて里や市街地にまで出て来ました。人身事故が過去最多、クマも次々と駆除され、捕殺数も過去最多となりました。
さらなる捕獲は地域的絶滅を招く
北海道と東北、新潟の知事らが、クマをさらに捕殺すべく、シカ・イノシシと同じ指定管理鳥獣に指定し、捕殺のための交付金を得ることを要望されています。しかし、クマは繁殖力が弱く、生息数もシカやイノシシとは桁違いに少なく、これ以上捕殺を進めると地域的絶滅の恐れがあります。秋田県では今年、生息推定数の50%以上のクマを捕殺しましたが、人身事故はなくなりませんでした。私たちの税金は、人とクマが遭遇しないための以下の対策に使ってください。
🍀要望内容🍀
1.鳥獣対策専門員を市町村に配置して、クマを寄せ付けない集落づくりを行ってください。
2.奥山水源の森保全のためにも、奥山広葉樹林を再生してクマが奥山に帰れるようにしてください。山の中にいるクマ
の駆除や、ハチミツ等の強力な誘引物を入れた罠で、クマを山から里におびき出して獲ることはやめてください。
3.クマをはじめ多様な生物の生息地である森林を、大量に伐採する再生可能エネルギー事業に規制をかけてください。
どうか署名にご協力ください! 締切:2024年1月末日(当日消印有効)
🌏英語版の電子署名もあります🌏
※ぜひ海外の方にも広めてください❗
🐾紙署名も可能です(こちらのリンクからダウンロードをお願いします)https://kumamori.org/…/posts/202312/%E7%BD%B2%E5%90%8D.pdf
※電子署名、もしくは紙署名については、同じ署名なのでどちらか1つしかできません。紙署名は、肉筆の手書きでお願いします。
2024年1月31日必着で日本熊森協会事務局宛に郵送してください。
〒662-0042 兵庫県西宮市分銅町1-4   日本熊森協会事務局

2023年 兵庫県豊岡市で行政・地元・熊森の3者が協力し、クマの人身事故ゼロ、捕殺ゼロ達成

これまで熊森協会は設立以来27年間、「動物たちに帰れる森を、地元の人たちに安心を」のスローガンの元、放置人工林を伐採するなどして、食べ物が豊富な奥山広葉樹林の再生活動に取り組んできました。

何度お願いしても全く動こうとしてくださらない行政に、まずお手本を示そうと思ったわけです。民間のすることですから、面積的にはしれていますが、でも、各地でかなりの面積で実施してきました。

 

早く国が保水力豊かな奥山広葉樹林再生に乗り出さないと、我が国は水源を失ってしまう。米作りができなくなる。現地を調査し続けている私たちは危機感でいっぱいです。

 

森が再生するには気が遠くなるほどの年月がかかります。

 

その間、本部は、兵庫県のクマ生息地で、集落にクマがやってこないよう、地元の皆さんと共にクマのひそみ場になりそうな場所の草刈りをしたり、クマが柿の木にやってきた時は実を採ってクマのいる山に運んだり、都市市民を中心としたボランティアのみなさんにも手伝っていただきながら、被害防止活動を展開してきました。

 

 

 

 

 

 

熊森職員+都市ボランティア+地元

 

リンゴ園にクマが入らないよう、網を張ったりクマを花火で脅したりして追い払ったり、何日間も寝ずの番をしたこともあります。

 

また、クマによる人身事故が発生したらすぐ現地へ行き、おケガをされた方を見舞い、聞き取りをして、原因を特定し、再発防止対策をお伝えしたり、実施させていただいたりもしてきました。兵庫県のみならず他県にまでこのような活動を広げたことで、実にいろいろなことを学ぶことができました。

 

 

 

 

 

 

人身事故現場の草刈り

 

行政と熊森が協力

2020年秋、豊岡市の鳥獣被害担当の職員から、数年ぶりに電話がありました。クマが集落内の柿の木に来ており、人身事故が起きそうな危険な場所がある。力を貸してもらえないか?ということでした。各所から熊森が現場でクマの被害対策に力を入れているという声を聞いていたそうです。

 

現地へ行ってみると、たくさんの方々が利用する山裾の駐車スペースの上に柿の木が反り出ており、夜間、その木の上にクマが柿を食べに来るとのことです。

「この状況、熊森さんならどうしますか?」

この時の熊森は、もうかなり力が付いていました。柿の木は約20本です。

市の担当者、地主、熊森の3者で話し合い、熊森は実を回収したり、クマが登りにくいように柿の木を剪定したり、幹にトタンを巻いたりしました。見事、クマは現れなくなりました。みなさんは、熊森のクマ被害防止対策を高く評価してくださり、今後、クマを捕獲する前に、熊森に被害対策の依頼をしていただけることになりました。本当にうれしかったです。

 

そして、いよいよ去年、2023年9月、私たちは豊岡市役所へ招かれ、市内の振興局と県の担当者、市本庁の担当者あわせて13名の行政担当者と、クマ対策会議を持ちました。

約1時間の会議で、民間団体の熊森協会と市、自治会とどのようにクマ被害対策の段取りを取っていくか話し合いました。

 

熊森本部ではボランティアと本部スタッフからなる、12名の「くまもりフィールドチーム」を作り、各種安全講習を受け、練習もしました。

 

9月は数件だったご依頼ですが、10月~12月にかけてクマが里に出て来ることが多くなり、東北ほどではありませんが、豊岡市でもほぼ毎日、人身事故やクマ捕獲の危険性がありました。

 

去年の豊岡市は、コナラのドングリなどそれなりになっており、山の実りはそれほど悪くありませんでしたが、なぜかクマたちが柿にたくさん来ていました。どのクマもがりがりに痩せているわけではなく、太っているクマもいて、食べる柿・食べない柿をクマ自身が選んで食していました。柿の木によって、味は少しずつ違います。クマたちはこの微妙な味の違いがわかるのでしょう。

 

みごと、人身事故ゼロ!捕殺ゼロ!を達成

結果、豊岡市と熊森で、12地区の89か所で被害対策を行い、人身事故0、有害捕獲0を達成しました。もちろん、地域住民や行政機関の協力があってできたことです。9月下旬~12月上旬まで55日出動したことになります。必要経費は熊森会員の皆さんの会費を使わせていただきました。

 

 

 

 

 

 

 

クマが来ないようにと熊森が大きな柿の木を伐採。地元のみなさんに喜んでもらえました。

 

最後に

根本的なクマ対策は、戦後の拡大造林や大規模林道建設などで人間が破壊してきた奥山広葉樹林の再生、及び、人間が一歩下がることによる、棲み分け復活です。(開かずの森、入らずの森の復活)

 

残念ながら、いまだに国はこの方向に動こうとしません。

 

また、近年は急激な地球温暖化によるナラ枯れや昆虫の消滅など、会設立当時には予想もしなかった奥山の劣化が猛スピードで進んでいます。人間活動による地球環境破壊によって、クマたちは本来の生息地で生きられなくなっています。本来の生息地では大変穏やかな動物ですが、餌を求めて人間のいるところに出てきた時点で、恐怖や緊張感でいっぱいになっていますから、人間から逃げようと人身事故を起こしてしまうんだろうと思われます。

 

クマによる人身事故をなくすこと、被害を軽減すること、できるだけクマを殺さずに棲み分け共存を復活させることが大切です。

クマ問題を解決するためには、環境省はクマを指定管理鳥獣に指定して捕殺強化に交付金を出すのではなく、クマに対応できるだけの専門知識のある行政職員を市町村に配置するためにこそ交付金を出すべきです。

 

林野庁の方の中には、「戦後の森林政策は失敗だった、山を大荒廃させてしまった。私たちはもうどうしたらいいのかわからない」と個人的に言われる方もいます。熊森は林野庁を責める気はありません。良かれと思ってやったことが失敗したのだから仕方がない。しかし、きちんと失敗を認めて、早く山を元に戻していただきたいです。

 

今を生きる私たちが、大型野生動物たちが造る豊かな水源の森を、全生物に、子や孫に残すべきだと思います。

そのためには、国を動かすことのできる欧米並みの大自然保護団体が、今、日本に必要です。

活動できなくてもいいので、ご入会いただきたいです。

フィード

Return to page top