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再び クマの皮はぎ行為は林業にマイナスでも、豊かな森造りにとってはプラス 殺処分は行き過ぎ 

下の写真は、パンフレット 「京都府のツ キノワグマ」の<クマ剥ぎ被害防止ページ>にあるクマ剥ぎ山の写真です。

京都府では、皮はぎ行為を行ったクマは、除去(=捕殺)と決められています。

(PDFファイル、1,013KB) (PDF:1,012KB)

 

s-キャプチャ

クマの皮はぎにより、赤く枯れたスギやヒノキ

(くまもり感想:人間が間伐したようにうまく枯らしている)

クマの皮はぎとは

樹木の水分の吸い上げが著しい6月~7月ごろ、ふつう、母熊が子熊を連れて15年生~40年生のスギやヒノキにやってきて、幹の樹皮を歯などで一方向だけはぎ取り、樹液でぐっしょりぬれた形成層をかじって食べる行為です。(地方によって、皮はぎ文化を持つクマと、持たないクマがある)クマの皮はぎは、一方向だけの皮はぎなので、スギの木は枯れません。

ただし、かじられた幹の部分は傷を負ったことになるので、その後、樹洞ができるなどいびつに成長し、将来的には、ニホンミツバチをはじめ、多くの森の動物たちに巣穴を提供します。(樹洞が形成されない場合もある)

20年ほど前に、福井県の林業家の方からお手紙をいただき、クマの皮はぎ現場を案内してもらったことがあります。クマの真似をして樹液を舐めてみました。この時期のスギの樹液の甘いのにはびっくりしました。(甘くないのもある)

林業にはマイナスであっても、森造りにはプラス

材の価値を落とされた林業家にとっては、これは林業被害です。しかし、この行為は、林業にはマイナスであっても、森造りにはプラスなのです。林と森は全く別物です。クマは林業をしようとは思いませんが、本能的に、生物の多様性を誇る森を造ろうとしています。

樹皮を全周剥いで、スギを枯らし出したクマたち

最近、クマの皮はぎに変化が起きてきて、樹皮を全周はぐクマたちが現れました。こうなると、スギは枯れてしまいます。

京都府は、皮はぎグマに対しては、加害個体を除去する(=捕殺)と決めています。

奥地の山は元々、クマたち野生動物が暮らしていた森でした。戦後、人間が林業でもうけようとして、森の木を皆伐し、スギだけヒノキだけを植えて、林に変えました。ところが、林業がもうからなくなったため、間伐などの手入れもできず、人間はこれら人工林を放置して、今、山を大荒廃させています。

クマに任せておけば、放置人工林も豊かな自然の森に戻っていくでしょう。

林業用地は徹底した防除を

私たちが木を使う限りは、国産材でなければならないと思います。国内林業はとても大事な産業ですが、将来の水源地を確保するためにも、林業は奥地から撤退し、確保した林業地は、徹底した防除を施すべきであると思います。

一つの事象でも、見る角度が違うと、害が益になります。スギの皮をはいだクマは殺処分と決めるのは行き過ぎです。人間が彼らの生息地を奪い過ぎたのです。

人間も生きていかねばなりませんが、人間の視点からしかものを見ないのでは、私たちを生かしてくれている豊かな自然を失って、人間も滅びることになります。

 

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